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鴨志田穣・西原理恵子「アジアパー伝」 |
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さる20日に鴨志田穣(かもしだ・ゆたか)氏が亡くなった。享年42。カメラマン、エッセイストというより西原理恵子の元夫としての方が有名かもしれない。元夫とはいっても、「毎日かあさん」によると最近は再び同居していたようだ。 タイに渡ってひょんなことから戦場カメラマンの橋田信介(2004年死去)のアルバイトになり、やがて本職のカメラマンとなっていくあたりのストーリーが中心となっている表題作は、それ自体かなり読み応えがある。ただ、一緒に載っている西原のショートコミック(本題とほとんど関係のない内輪ネタ)の方でむしろ売上を伸ばしていたのではないかと思われるのは、ちょっと悲しいところか。 それでもこのシリーズは単行本5冊になるほど続いたのだから、かなり評価されていた作品ということになる。実際、もと共産党員でありみんな平等な回転寿司をこよなく愛する橋田信介が、カンボジアやボスニア・ヘルツェコビナでかなりきわどい世渡りをしていたり、お手伝いさんに財産を持ち逃げされたりする話を読むと、思想と人柄はあまり関係がないんだなあということがよく分かる。 他にも、漂泊のタイ在留邦人ミヤタのおっさんや、格調高い韓国の酒豪キムさんとカクさん、タイ社会のかなり底の方を生きている人たちなどたくさんの魅力的な人物が登場する作品なのだが、橋田氏の他に一人だけ上げろといわれるとわたし的には札幌時代から続くカモ(作者鴨志田氏)の親友である土肥(ドイ)君を推薦したい。 ドイ君は故郷札幌で出版社をやっているのだが、たびたび韓国を訪れるうちにハングルがぺらぺらになってしまったので、二人で韓国に行くといろいろ安い宿や飲み屋を開発してくれるのである。この二人は豊平川の上に走っている水道管の上を渡ろうとして途中まで行ったら雪が降ってきて九死に一生を得たというようなあぶない真似をしているのだが、この二人とキムさんとカクさんがソウルでとことん飲んだ「鯨飲のソウル」はかなり好きな作品。単行本5冊を初めから読むのもいいが、この話の載っている「煮え煮えアジアパー伝」を最初に読むと入りやすいと思う。 そういえば最近ジンギスカンを食べていないなあ。氏の冥福を祈って、久しぶりにラムを食べたくなってしまった。 [Mar 27, 2007] |
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