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 WBAの落日

今日はボクシング統括団体の一つ、WBA(World Boxing Association)について述べてみたい。

WBAの起源は1900年代初頭までさかのぼることができる、世界で最初のボクシング統括団体である。1960年代までは、ボクシングで世界チャンピオンといえばWBAの認定王者のことであり、ことさらWBAと言わなくても他に団体はなかった。それが現在の4団体になってしまったのは、1960年代の終わり頃からビジネスとしてのボクシングが大きくなり、統括団体が一つだけでは錯綜する利害関係を調整しきれないということが遠因となったものと考えられる。

WBAの前身はNBAといい、NとはNational、どこのNationかというとアメリカ合衆国である。世界タイトル戦や世界ランキング作成において、アメリカ主導を嫌がったWBC(World Boxing Council、もとはといえばWBAの諮問機関)が別の王者・ランキングを認定し始めたのが世界戦分裂の端緒であった。多くの場合、チャンピオンが強すぎる挑戦者を忌避するといったケースがその原因となったが、その背景として、より多くの世界戦を興行したいという大手プロモーターの思惑があったことは想像に難くない。

日本では、ここまでの2団体、WBAとWBCしか認定していないが、その後1980年代にIBF(International Boxing Federation)、1990年代にWBO(World Boxing Organization)が世界的に統括団体として認められ、現在この4機関が世界チャンピオンの認定団体といわれている。

さて、ここまで読まれた方は、最古の歴史を持つWBAが最も権威があり、そのチャンピオンも高いレベルの選手であろうと思われるかもしれない。ところがさにあらずで、いま4団体の中で最もチャンピオンのレベルが低いのがWBAなのである。まず、統一チャンピオン(複数団体にわたるチャンピオン)はチャンピオン同士の統一戦により生まれるが、現在の統一チャンピオンでWBA由来(もともとWBA王者だった)は一人もいない。

また、ヘビー級のジョン・ルイスに始まり、ミニマム級の新井田豊に至るまで、そのチャンピオンの多くは同階級の他の王者より明らかに見劣りする。ファイトマネーでも、実力的にもである。いま、実力ある選手が権威を認めているのはWBC(ヘビー級ビタリ・クリチコ、スーパーフェザー級マルコ・アントニオ・バレラはじめ)であり、最も統一戦で好成績を収めているのはIBF(ミドル級バーナード・ホプキンス、スーパーライト級コスチャ・チューはじめ)である。また、好選手の一本釣りという形で階級によって強いチャンピオンがいるのがWBOである(もともとこの手法で、デラホーヤとともに世界的になった団体)。

なぜこういうことになったかというと、常々私が言っているところの「権威とマネーの乖離」である。いくらチャンピオンであっても、その実力が評価されなければビッグマネー・ファイトの声はかからない。二線級の対戦者同士でタイトルマッチをしていては、そのうち他団体よりもレベルが低くなるのは自明である。JBC(日本ボクシング協会)もそろそろそのような観点から、IBF、WBOを認定することを検討すべきだろう。世界の一線級を見せないで、ボクシング人気が高まるはずはないからである。

[Apr 16, 2005]



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