負のビックウェーブ

先週、ブラックジャックに関する記事を書いていて、「しのいでいれば、4~5時間に一回はビッグウェーブが来る」と書いていて、ふと思った。今年に入ってから、「正の」ビッグウェーブが来たためしがないのである。

私の負け方には大きく分けて2種類ある。ミニマムベットに近い金額で打たれ越しているつもりが、ずるずると負けが込んでリミットに達してしまうケースがひとつ。どこかでチャンスをとらえて勝負をかけようと思っているのだが、その機会もないまま沈んでいくので、精神衛生上非常によろしくない。ただし、ある程度見極めがつくので(今日はダメそうだという)、マイナス額を少なくする(ハコテンになる前に撤退する)という次善の戦略が可能である。

もうひとつは、「負のビッグウェーブ」が来て、わずか10手程度、時間にして5~10分程度であっという間に有り金がなくなるというケースである。出会い頭の事故のようなもので、避けようがない。こちらはなぜかベットを増やしたときにそうなることが多い。あとから考えると、なんでミニマムで流しておかなかったんだろうと思うことがほとんどであるが、その時はどういう訳か押さえがきかないのである。

先日のマカオではこの2つの負け方できっちりやられた。まず初日の晩だが、ご一緒したtagamanさん、あけみんさんご夫妻、でんさんと私の4人でカーサリアルのバカラ卓を囲んでいた。それまではわずかなへこみであったが、あるシューの半ばからどうにも勝てなくなった。数えただけで13連敗したと思う。ただし、その時はほとんどミニマムベットであったので、負け額自体はそれほど大きいわけではなかった。次の晩もあるので、そのシューまでで失礼した(それでも午前3時だった)。

翌日、サンズ、ギリシャ神話と回った後、泊まっているハイアットのカジノ・タイパで今回遠征最後の勝負をかけて単騎バカラ卓に臨んだ。マカオにいる時間も残り12時間前後。前の晩もそれほど寝ていないので、ここ1~2時間が勝負と思い、自らのミニマム額を大幅に引き上げての戦いとなったのだが、ここで「負のビッグウェーブ」が来た。とにかく、大きく賭ける目は間違いなく外す。8を起こしても9で叩かれる。最後は普通中国人なら黙って賭けるであろうツラに、私が賭けているからと全員逆張り。気が付いてみたらわずか10手ほど、時間にして15分かそこらの間に昨日の負け分の倍以上の金額を失っていた。

「負のビッグウェーブ」は短時間で来るので、じわじわと苦しむことはないのだが、こいつにやられたショックというのはかなり大きい。もうカシノはやめようと思うくらいである。でも「正のビックウェーブ」が来た時の爽快感、万能感も忘れられず、しばらくするとまた次回の挑戦のためにおカネと時間の算段を始めるのでありました。

[May 24, 2005]