ギャンブル全般のお話   ~生き残ることが大切だ

若い頃、大橋巨泉にはまった。金曜イレブンは欠かさず見た。「巨泉の競馬」上・下も勝った。年間でプラスになるのはすごいことだと書いてあった。

毎日結果を記録することにした。あっさり、年間プラスになった。

でも、うれしかったのは一時だけで、あんまり面白くない記憶が残った。12月など、プラスを維持しようとして有馬記念も含めてあまり買わなかったし、だんだん休むことも多くなった。

寺山修司だったか、「あなたは競馬でプラスかマイナスか」と問われて、「じゃあ、あなたの人生はプラスですかマイナスですか?」と答えたという。

ギャンブルは勝つか負けるかが大切なんじゃない。生き残ることが大切なんだと思う。


だから、ギャンブルする際に最も気にかけなければならないことは、いかに勝つかではなくて、いかに負けないか、ではないかと思う。ギャンブルで勝つときは、ほとんど何も考えなくても、打つ手打つ手が面白いように当たって大儲けするようにできている。基本的に、どうしたらいいだろうと迷うときは、負けるときか勝てないときかのいずれかである。

このとき、負ける方に一直線で向かうとその先には破滅が待っている、ような気がする。勝てない、の方にできるだけ近づけることが、長くギャンブルを続ける要諦なのではないか。昔から「元金を持って帰れば名人なり」とか「勝てないときは半ジギリ」とかいうのは、きっとそういった境地なのだろうと勝手に判断している。

そのためには、自分がどのようなパターンで負けることが多いのかを把握しておくことが必要だ。別項で述べるように、同額ベットでそんなに大きくマイナスすることはない。どこかで、ベットアップの罠にはまっていることが多いはずである。また、信じられないマイナスが続いているとすれば、それは自分がどのような状態のときなのかを把握し、次回からはできるだけそうした状態にならないよう配慮することが必要であると考える。

本業で潤沢なギャンブル資金を確保できている人などめったにいないはずである。ギャンブラーの多くは、それを失えば実はかなりきつい、という金を張っているはずだし、それこそがギャンブルの醍醐味といえなくもない。だとすれば、有り金をすべて失うことは極力避けなければならないし、そうならないよう、仮に傍目からはみみっちく見えるとしても、1チップでも原点に近づける努力を怠ってはならないと思う。

[Mar 2,2005]