Welcome 佐倉稲門会


とうもん・さくら俳句の会(第十三回会報)_2018

楠原 正人
蝶を追う昆虫少年今何処

楠原 小枝美
五月雨に目元涼しき苔地蔵

坂田 孟夫
きぬさやの旬のぜいたく玉子とじ

大塚 正明
つづじ燃ゆ近くて遠い昭和かな

吉野 信義
さくらんぼ粒ごと笑まふ子らの顔

中村 昭夫
日が射して蝶が休めり野の仏

大島 信三
キリキリとかじかむ朝の富士眩し

田中 育子
千代紙の女雛男雛を折り上げて

村田 修造
雲の峰城址抱え仁王立ち

平野 萬司
目に青葉肩にそよ風口に歌

澤谷 英男
擂鉢に山椒香れり夕間暮

松平 武史
滴りや岩鷲づかむ大樹の根

和田 勇
歳をもう捨ててしまいぬちゃんちゃんこ

高橋 輝久
春泥や古き和菓子屋閉づという




句会は毎月第三土曜日(10時から11時半)開催中
入会は和田勇,高橋輝久宛て、メールして下さい<。



とうもん・さくら俳句の会(第十ニ回会報)_2017

楠原 正人
屋形船打ち捨てられてつばめ舞う


楠原 小枝美
緑蔭の木漏れ日父母の気配して


坂田 孟夫
船出待つ網を繕う春隣

大塚 正明
遅刻の子顔赤くして息白し

吉野 信義
年長けて短夜嘆くこともなし

中村 昭夫
しゃがの花往古を偲ぶ一夜城

瀧澤 信治
噴水の水のしぶきに日の溢れ

大島 信三
ちっちゃな子ちっちゃな伸びの薄暑かな

田中 育子
そら豆の大粒小粒青き味

花川 章子
風花や青空に舞ふ子等の声

村田 修造
かげろいの馬出し堀に一葉散る

澤谷 英男
蒲公英や廃校の庭見つめをり

松平 武史
図書館の本に折り跡梅雨寒し

和田 勇
笑窪とて憂きしことあり薄暑かな

高橋 輝久
落雁の膝にこぼれて梅三分




とうもん・さくら俳句の会(第十一回会報)_2016

坂田 孟夫
したたかに外皮おしのけ冬木の芽

大塚 正明
冬萌や素足に土の柔らかし

吉野 信義
蝋梅や冷気押しのけ香を放つ

中村 昭夫
冬萌や古寺の石仏安堵顔

滝澤 信治
葦雀さわぐ印旛の沼に沿ひ

大島 信三
冬萌の土手ゆく二人影ひとつ

田中 育子
老いた猫帰らぬままに水温む

花川 章子
荒海にもまれ打れし鰤の味

村田 修造
花筏掻き分け進む鴨哀し

澤谷 英男
見渡せば豊かに光る春の水

松平 武史
蓮浮葉釈迦の微笑み眼裏に

和田 勇
菜の花や消え入りそうな小糠雨

高橋 輝久
紫陽花のはや枯れ色に雨上がる




とうもん・さくら俳句の会(第九回会報)_2014

坂田 孟夫
虫干や袖も通さぬかたみ分け

吉野 信義
物憂げに咲く無住寺の八重桜

中村 昭夫
春愁を吹き飛ばしたり乙女声

大島 信三
あの寺の思いかけない除夜の鐘

田中 育子
雷を遠くにききて夕支度

花川 章子
はくれんや高き小窓の灯ともりぬ

澤谷 英男
枇杷の実や安房の小山に色を添え

松平 武史
囀りや一途に生きし日もありぬ

和田 勇
問診が旅の話へ日脚伸ぶ

高橋 輝久
菜の花が鞄より見え下校の子






とうもん・さくら俳句の会(第八回会報より)_2013


坂田 孟夫
薫風の里山守る鳥居かな

吉野 信義
煩悩を持ち越したまま除夜明ける

中村 昭夫
夕立なりふとくぐりたり縄のれん

大島 信三
坂の上雲ひとつなし菜の花忌

田中 育子
あじさいや石寺山門の羅漢像

花川 章子
シクラメン窓辺の光溢れおり

澤谷 英男
大糸線白馬常念風薫る

松平 武史
夕立来て坂東太郎隠れたり

和田 勇
起きたてに寒水飲みて背筋伸ぶ

高橋 輝久
胸元を抜ける風あり橋涼み



とうもん・さくら俳句の会(第七回会報)_2012

坂田 孟夫
忙しく旅立つ鳥や薄氷

渡邉 信一
結納の吉日を待つ春一番

佐藤 清
里山に野草求めし春うらら

中村 昭夫
春愁を吹き飛ばしたり空の青

吉野 信義
薄闇に浮き出て匂ふ花空木

田中 育子
雪かぶり赤い実はゆる庭のすみ

花川 章子
あめいろに煮えた大根おでん鍋

大島 信三
初空や思いのままにあるがまま

澤谷 英男
濡れそぼつ葉裏に居りし蝸牛

松平 武史
遠き世の栄華の跡や樟若葉

和田 勇
風薫る富良野にありし無人駅

高橋 輝久
仏壇に少しかわきし柏餅



とうもん・さくら俳句の会(第六回会報)_2011

坂田 孟夫
剪定の枝の芽ぶきし春の音

渡邉 信一
冴え返る富士霊峰に光さす

佐藤 清
初夢や息災願ふ今年また

中村 昭夫
夏山に足を止めなん鳥の声

吉野 信義
せつぶん会伽藍の庇天に映え

田中 育子
雪見馬車古牧温泉一巡

花川 章子
冴ゆる月心の中を読みとられ

大島 信三
冴え返るサイレンの音まっしぐら

澤谷 英男
天草や豊穣の海桜鯛

松平 武史
幸せのかたちそれぞれ良寛忌

和田 勇
軒先に槍のごとくに夕立かな

高橋 輝久
天井の高き禅堂冴え返る





とうもん・さくら俳句の会(第五回会報)_2010

坂田 孟夫
掘り起こす土くれにおう春隣 

渡邉 信一
万緑の御柱ごし八ヶ岳

佐藤 清
五月晴れ嬉しさ半ば傘寿かな

田中 育子
朝とりのきゅうりトゲさす指の先

花川 章子
玉響や露草のつゆ珠となり

大島 信三
カタコトと座敷わらしか亀の子か

澤谷 英男
黎明を引き裂くごとき不如帰

松平 武史
吹き降りの未明に止みて黄水仙

和田 勇
葭切や小川の魚影眺めをり

高橋 輝久
蟇出でて一歩も退かぬ歩みかな




とうもん・さくら俳句の会(第四回会報)_2009

坂田 孟夫
山眠りポツリ灯がつく里の家

渡邉 信一
ハルニレの新芽味わう野猿かな

佐藤 清
唄響くタンゴバンドや風薫る

田中 育子
雪が舞ふ怒涛岩打つ北の海

花川 章子
誕生の祝の宴雪あかり

大島 信三
雪吊りや庭のあるじの心意気

澤谷 英男
あたたかや観音様に手を合わせ

松平 武史
秋草を活けしロビーや国訛

和田 勇
賞状に句読点なし花菜漬

高橋 輝久
うすら日をまといてをりし寒牡丹





とうもん・さくら俳句の会(第三回会報)_2008

坂田 孟夫
百四の鯉泳ぎけり南風

渡邉 信一
オリーブや青空のした延々と

佐藤 清
五十年祝いの宴風薫る

田中 育子
友垣や付いて離れて独楽のごと

花川 章子
娑羅の木の青葉しぐれて頬ぬらし

大島 信三
見上げれば葉桜もよし山の宵

澤谷 英男
ひじき取る老女の肩のたくましさ

松平 武史
囀や紀伊の語り部老婦人

木原 亨
汐引きて浅利採りおる島人よ

和田 勇
義母の杖短かく切りし燕子花

高橋 輝久
夏めくや青きを描く画架のぞく




会報アーカイブから(第二回会報)_2007

松平 武史
蚕豆や畝に幼な子靴の跡

澤谷 英男
清流に飛び跳ねんかな鯉幟

田中 育子
大根をきざむリズムや鍋煮立つ

佐藤 清
むくみとれ妻の笑顔で初笑い

花川 章子
万緑や船に揺られて利尻島

大島 信三
いつまでも娘は娘お年玉

木原 亨
凛と咲く一本だけの大桜

和田 勇
口笛のとぎれとぎれや啄木忌




会報アーカイブから(第一回会報)_2006

松平 武史
畑仕事一汗かいて朝餉かな

澤谷 英男
寒月や凍てつく道の青白さ

田中 育子
円描くしだれ桜の花の陰

佐藤 清
陽を受けて輝く緑五月晴れ

花川 章子
朝もやにほのかな香り薔薇の花

大島 信三
初釜に和服でおわす総理かな

木原 亨
妻と焼く蛤開き磯香る

和田 勇
薄氷やはだか祭りの男衆

高橋 輝久
座禅堂かしづく如く雨蛙