ギリヤーク尼ヶ崎、最後の大道芸人
2012川越公演 [Dec 2, 2012]
ギリヤーク尼ヶ崎の年末最終公演は、このところ小江戸・川越で行われるようである。ところが、11月に予定されていた名古屋での公演予定を体調不良でキャンセルしており、ファンサイトにもいつまで待っても告知されない。
実はこの日(12/2)は、出張から朝一番の飛行機で帰って、速攻で着替えて川越に向かう予定であったので、空振りとなると大変つらい。念のため、新宿公演で配られたチラシの裏に書いてあった川越の電話番号に掛けてみた。最初に女性が出たので、
「ギリヤーク尼ヶ崎の公演予定について聞きたいのですが・・・」
と尋ねたところ、
「んー・・・、ちょっと待ってください。」
と何となくよく分からない様子で男性に代わった。察するところ、この男性がチラシの配布元であるのだろう。最初の女性は、電話の趣旨はよく分からないながら、この男性がそういうことをするということはよく知っているように思われた。
「もしもし。やりますよ。午後2時から、予定どおり。ところで、どなたさまで・・・」
と逆に尋ねられてしまったので、
「いや、ただ見物に行く者で、名乗るほどのものでは・・・。では当日よろしくお願いします。」
とごまかした。出張の出先から確認したところ、2日前になってようやくファンサイトにも告知されたのである。
ところで、この間、「亀は意外と速く泳ぐ」を久し振りに見ていたら、なんとギリヤークが出ていることが判明した。何度も見たDVDなのに、気付かなかったのはうかつであった。
この映画は主演が「のだめ」上野樹里、助演が蒼井優、脇を固めるのが岩松了、ふせえり、さらに「私は子供が嫌いです」伊武雅刀に「帝都物語」嶋田久作、温水洋一にいま旬の「孤独のグルメ」松重豊も出ているという豪華キャストなので、ご興味のある方はご覧になって損はない(はずである)。
さて、会場の成田山川越別院に行くには、武蔵野線で北朝霞まで出て、東武東上線で川越市に出るのが早そうだ。家から2時間ほどかかって川越市駅の階段を上がっていると、
「TAIPAさんじゃないですか。」
と思わぬ人から声がかかった。なんと、makkooさんである。
会場となった成田山川越別院。真言宗なので、山門のところに弘法大師の銅像があります。
定刻となり支度を始めるギリヤーク。この日は、赤い棒の上下を間違えてなかなか組み立てられないなど、いまいち精彩がありませんでした。病み上がりのせい?
makkooさんは私のサイトを見てギリヤークに興味を持ち、今回の公演を見つけて参加されたとのことで、ありがたいことである。成田山川越別院まで、makkooさんのスマホでナビをしていただきながら、最近のポーカー事情についてお伺いする。地図で見たのとはやや印象が異なり、駅からは20分近くかかる。
WSOPではとうとう日本人初のブレスレットが誕生したこと、最近はニューカマーの方々が増えてきたこと、などをお聞きした。今年はベガスカップ決勝に5点のチップから準優勝し、マカオ旅行を手に入れたそうだ。相変わらず、勝負強いお方である。私の方は、なかなかまとまった休みが取れず海外に行けないことなどをご報告する。
成田山の境内に入ると、例によってろう石で丸の中に「青空舞踊公演 午後2時より」と書いてあり、気仙沼震災公演の写真が置いてある。実物を見るのはまだ3回目だが、いつも見ているような気分になってきた。早くから場所取りをしていた人たちが、名古屋公演中止の話をしている。みなさん、ネット上で最新情報を入手なさっているようだ。
午後2時の定刻となり、どこからともなくギリヤーク師が登場した。いったいどこで待機しているのか気になるが、喫茶店にいるとの声も聞こえてきた。始まる前はいいだろうけれど、終わった後は濡れているのでどうするんだろう。機会があれば最後まで確かめてみたいものだが、2時間しゃべっているとの噂もあるのでちょっと考えてしまう。
さて、知っている人がそばにいると、いろいろネタバレを話してしまうのが私のいけないところである。余計なことで、makkooさんにはうるさい思いをさせてしまう。公演の流れなど説明しながら見ていたのだが、いつもとちょっとずつ違うことに気が付いた。
まず、仕度中のBGM。これまではカセットから「禁じられた遊び」や「白鳥」がかかっていたのだが、今回は何もない。手作りのチラシ「ギリヤーク尼ヶ崎」のコピー配布もない。投げ銭用の帽子も置かなければ、茣蓙に霧も吹かない。あるいはお寺の境内なので遠慮しているのかと思っていたのだが、そうでもなかったようである。
というのは、「青空舞踊公演」を立てる台(写真の赤い木の棒)を組み立てるのに上下を間違えてなかなかできなかったり、化粧用の頭ネットをつけたままじょんがら一代のかぶりものをしようとして、紐が足らなくなってなかなか結べないということになったからである。さすがに常連さんから指摘がありやり直して、ともかくも開演である。
なかなか被り物の紐が結べなかったのは、化粧用の頭ネットをつけたままだったためと思われます。カセットの調整もこの日は何度か失敗。
いつもお世話になる川越のおばさま方と踊るよされ節。
今年の恒例で、演目は「じょんがら一代」「よされ節」「念仏じょんがら」の順。じょんがら一代を踊り始めるが、心なしか動きが小さい。最初に茣蓙を持って観客前を一回りするところで、いつもより小回りなような気がした。やはり名古屋をキャンセルした体調の影響か、それとも埼玉の寒さが効いているのか。
観客の方はコート、襟巻、マスクなど防寒に十分の体勢をとっているが、それでも足下から冷えてくる。小さい女の子はコートの襟を立てて膝をかかえているくらいである。その中を襦袢一枚(とふんどし)で踊るのだから、体を動かすだけでも大変だろう。
よされ節では小さい女の子に逃げられてしまい、大人だけの踊り。最後にメインの念仏じょんがらとなったのだが、ここでアクシデントが起こった。なんと、アクションに不可欠の数珠をトランクから出し忘れていたのである。
それまでも、カセットのスタートタイミングがうまくできなくて何度かテープを取り出して確認していたし、入れ歯を外すタイミングも遅れ気味であった。その前には念仏の赤の羽織の上からさらに一代の白い羽織を着ようとしたりしていた。後から、「ぼけちゃったかな?」と言っていたので、自分でも手順がうまくできていないとは思っていたようだ。何しろ、曲が始まって1周歩いて、茣蓙に座ってから気が付いたのだから大変である。
トランクの中をいろいろ探した30秒くらいは、さぞかし動揺したに違いない。それでも何とか数珠の入ったビニール袋を見つけることができ、踊りを続けることができた。まあ、いつも見ている人なら手違いがあったことは分かるが、そうでなければあんなものだと思われるに違いない。(makkooさんもそう言っていた)
ただ、緊張したためか数珠を手繰る動きが今一つうまく行かず、ぶん回すのを多めにやっていた。クライマックスではそれまでの動きをカバーするためか、すごい勢いで本殿の階段を駆け上がっていき、踊り場で「南無阿弥陀仏」を熱唱、さらに数珠をぶん回す。そして手水鉢のところに置いてあったバケツを持ってきて、例によって頭からかぶってのた打ち回る。最後はきっちりまとめて、今年の締めを飾ったのであった。
「何だかのどがからからで、調子悪くて・・・」
と反省の弁。
「数珠忘れちゃったけど、踊りを中止しないで済んでよかった。今日はいままで踊ったことのない動きも出たので、まあよかった。50周年目指してがんばります。また、ここに来ます。」
とのことでした。個人的には、最後まで帽子を置くのを忘れていたので、今日は実入りが少なかったのではないかとちょっと心配。そして次回からは、「ネット外してないよ」「数珠忘れてるよ」と始まる前に言ってあげよう。
最後にmakkooさん、ご一緒いただいてありがとうございました。実はお会いする直前まで、仕事がうまく行かないことでくよくよしていたのでした。お会いした瞬間からモードを切り替えることができ、帰りまでずっと仕事のことを考えずにすみました。本当にありがたかったです。ぜひまた、お会いしましょう。
[Dec 12, 2012]
成田山本殿の階段で走る!ギリヤーク。
たぶん5度以下の気温の中、今年納めの水かぶり。風邪など引かないで、来年も元気な姿を見せてください。
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