麻雀について。昔の麻雀とネットマージャンの話題。

麻 雀    ネットマージャンとの出会い    ネットマージャンで重視すること
大事なのは楽しむこと    時間切れツモ切り    上がり見逃し    ツイてない時に深入り
必ずカンをするプレイヤー    後ヅケ上等のプレイヤー    差がつくと退場のプレイヤー
ギャンブルの地獄の釜を垣間見る    明カン再考    天鳳とはしばらく距離をおくことにした

麻 雀

いまではほとんど考えられないかもしれないが、バブル以前には、オフィス街に相当数の雀荘があり、仕事帰りのサラリーマンがひと勝負してから帰ることは全く当り前のことだった。「カラオケ、麻雀、ゴルフはおやめなさい」などという本もあったが、私の記憶ではカラオケの隆盛はレーザーディスクが登場した1980年代半ば以降のことであり、ゴルフはいくらなんでも毎日はできない。その点、麻雀は毎日だって可能だし、4人揃わないとできないので3人から誘われると断りにくいことこの上なく、サラリーマンにとって一番縁の深いものであった。

当時の勤め先のルールは学生ルールと大差なく、「割れ目、ドボンあり、焼き鳥あり」くらいのもので、レートこそ社会人レートだが、それほどのインフレルールではなかった。私自身高校の頃から友達と徹夜で卓を囲んでおり、大学ではゼミ終了後には恒例で翌朝までという生活を送っていたから、麻雀は決して下手ではない(と思っている)。それでもあまり勝てなかった(負けもしていないが)のは、多分、性格が弱かったからだろう。

森巣先生も言うように、麻雀は長時間やれば上手の必勝である。何をもって上手というかを述べだしたら1週間くらいかかってしまうのでやめるが、あえてまとめれば「ベイシック・ストラテジー(BS)」と「場の読み」であろうと思う。ブラックジャックと同じように麻雀にもBSがあり、どのような状況でどう打つかということについては最適の解がある。ただし、BJと同様BSどおり打っても勝てないときはある。その時、どうやって流れを自分の方に持ってくるか、というのが「場の読み」である。

自分に流れが来ていない時どうするか?一番確実かつ簡単なのは、ツイていない奴を叩くことである。しかし、カシノと違い卓を囲んでいるのは親しい人であり、仲のいい人である。先週だけであの人は何万円負けたなんてのも分かっている。そういう状況で叩けるかというと、私には叩けなかったのである。もちろん上がりを見逃すことなどないにせよ、そういう人が親の時は安上がりはやめようとか、リーチを掛ければ下りるだろうから掛けるとか、余計なことを考えた。自分の成績は勝っても負けても大した額にならないよう心がけた(勝つと集金しないといけない)。

幸い、年を追って麻雀が衰退していき、今では声がかかることもほとんどない。ただ、親しい人同士のゼロサムゲームは、お互いに懐に余裕があることが前提であり、そうでない場合どうしてもしこりが残る。性格がよくない(=遠慮しない)人が勝つことになり、精神衛生上も良くない。この先もし再び麻雀をすることがあるとすれば、学生の頃のレートになるだろうと思う。

[Apr 21, 2005]


ネットマージャンとの出会い ~天鳳を楽しむ(1)

先週お伝えしたように、コロナの影響で山に行けない日が続いている。非常事態宣言は解除されたものの、首都圏の住民は山に来ないでくれと自粛要請が出ており、こういう雰囲気は続きそうだ。

という訳で山歩きの記事はしばらく載せられないので、ネットマージャンの記事を書くことにしたい。ギャンブル関連の記事は、スポーツブックを除けば2009年以来。十年以上ぶりである。お楽しみいただければ幸いである。

かれこれ四半世紀マージャンから遠ざかっていた私がネットマージャンをしようと思ったのは、コロナ騒ぎのStay Homeでやることがなくなってしまったからであった。

ABEMA TVを見ていると、ネットマージャンをしているという若手棋士が何人かいる。マージャンゲームというと昔ゲーセンでやった対コンピュータ2人ゲームの印象が強くて、課金しないと勝てないのだろうという思い込みがあった。

ところが、最近のネットマージャンは何十万人という会員数で、実際に相手するのも人間である。変に操作して評判を落とすよりも、安定した収入を背景にちゃんとゲームをさせた方が運用も楽なはずである。

もちろん、1卓の2人が組むインチキの可能性はなくはないが、1局(東風戦または東南戦)で組み合わせは変わるし、カネも賭けていないのにそこまで手間をかける奴もいない。それに、2人組んだからといって、必ず勝てるとは限らない(絶対勝てるのは2の2の天和だけ)。

あとは、一部のネットポーカーのようにメアドを教えたら変な勧誘メールが来るのだけが心配である。調べたところ、業界最大手の「天鳳」がそれほど悪くないようだ。さっそくインストールして、課金25日分550円を決済した。

「天鳳」の目玉といっていいのは、段級位制である。これは非常によくできている。

格付けられる最初の級は9級であるが、初段に上がるまでは降級がない。さらに、4位になった場合の減点も2級からなので、普通に番数を重ねれば多くの人は上位級までそれほど時間はかからないだろう(私は初段まで3日だった)。

4位のマイナス点は1級で東風戦-20、東南戦で-30。初段になると東風戦-30、東南戦で-45である。プラス点は段級によらず東風戦が1位+20で2位が+10、東南戦で+30と+15だから、初段になるとちょうどゼロサムゲームということである。

おそらくこのあたりが、最初の壁になるのではないだろうか。私も一度初段から1級に降級して、痛い目に遭った。ここを突破するにはそれなりに工夫がいる。

オーソドックスな方法は、4位を取らずに1・2位をとれるよう精進することである。実を言うと、一般卓の場合4位を回避することはかなり意図的に可能である。ルールを覚えたばかりの初心者も入ってくるからである。

もう一つの方法は、上級卓に挑戦することである。上級卓の場合、1位のプラス点が東風戦+40、東南戦+60となるため、三段までゼロサムとならないからである。

[Jun 29, 2020]

ネットマージャン天鳳。対局後は牌譜で振り返ることができるので、勝てば2度楽しむことができる。



ネットマージャンで重視すること ~天鳳を楽しむ(2)

さて、リアルマージャンで何を重視するかというと、第1に卓を囲む人達との人間関係であり、第2におカネである(逆という人がいるかもしれない)。だからリアルマージャンでは、勝ち過ぎない、負け過ぎないことが重要である。

ところがネットマージャンの場合、卓を囲む人達は1回1回別だし(たまに2度3度当たることがある)、おカネは賭けられていない。だが、みんなが自分の上がりだけを目指してノーガードの打ち合いばかりでは楽しくないので、天鳳ではいくつかの工夫をしている。

その第一は、段級制である。人間、何かの格付けがあるとそれを維持したい改善したいと思うようになる。4位が続くと降級するので、なるべく振り込まないように努力する。結果として、おカネを賭けたのと同様にゲームを楽しむことができる。

先週書いたように級位は9級から始まり、段位は九段まである。勝ち続ければ昇級昇段する訳であるが、ゼロサムゲームであるからそううまくは行かない。特にマージャンは、運の要素がかなり大きいゲームである。

段級制の他にも、天鳳はいくつか個人データの統計数値を出している。レイティングはさまざまなゲームで使われている指標で、1500からスタートする。1位・2位が多ければ1600、1700と上がって行くが、3位・4位をとると下がる。

面白いのは、1級の平均レイティングが各級通じてもっとも低い1400台で初期値を下回ることである。これは、1級までは降級がないため、4位を多くとっても1級までは上がれるということでもある。初段は1500台、二段は1600台が平均で、そのくらいでないと段位維持は難しいということである。

平均順位、平均得点はそのハンドルネームで戦った全対局の平均である。各順位まんべんなくとっているとすれば、平均順位は2.5、平均得点は0となる。

さらに、1位率から4位率、和了(上がり)率、放銃(振込み)率、リーチ率、ハコテン率などさまざまの数字があり、参加したトーナメント(一般卓・上級卓、東風戦・東南戦、食いタン・赤ドラ有無)ごとに統計がとられている。

ただ、個人的な感想をいえば、これらの指標すべてをよくしようとするとかえって混乱するように思う。あくまで主力は段・級で、獲得した段はなるべく維持して、さらに上を目指すというのが基本的なスタンスになる。

そして、段位を維持しようとすると、どうしても4位をとらないような戦い方をすることになる。4位だけ段級判定がマイナス点となるので、4位さえとらなければ降級することはないのである。

しかし、4位にならないようにするということは、必然的にディフェンシブな戦い方となるので、多くの場合トップを獲得する確率も低くならざるを得ない。戦績でいうと、2位率と3位率が25%を上回り、1位と4位が下回るというパターンになりがちである。

リアルマージャンの場合、トップでなければ2位も4位も一緒で、トップをとれば次は4位でも問題ないのだけれど、ネットマージャンの場合はそうではない。トップをとっても4位1回で帳消しだし、4位でなければ1位も3位も現状維持以上である。

[Jul 6, 2020]

現在までの最高段位は三段です。



大事なのは楽しむこと ~天鳳を楽しむ(3)

さて、前項で書いたのは、天鳳でリアルマージャンのおカネに代わるものが段・級であり、レイティングであり、ハンドル毎に集計される統計数値であるという事だが、反面、それらにこだわりすぎると、もともとの趣旨である楽しむことができなくなる。

リアルマージャンに例をとれば、これを負けたらいくら取られるなんてことを考えながらやっていても楽しくないのと同じことである。せっかく、負けても実害ないマージャンをしているのに、バーチャルな指標でくよくよしていたら何をしているのか分からない。

ネットといえどもマージャンだから、いつもうまく行くとは限らない。というよりも、どんなに正しい手順で打ったとしてもツモられるのは防げないし、聴牌しても半分以上は上がれない。

まして、4位にでもなれば、その悔しさは格別である。マイナスが溜まると、初段以上では降級のストレスが加わる。だから、段級にこだわりすぎると、こんなに面白いネットマージャンをしたくなくなってしまう。

長くマージャンをしていて、このゲームほど大小の波が行ったり来たりするゲームは、他にないのではないかと思う。だから、4位になる時はどうやってもその波を避けられないことが多い。

「天鳳」の牌譜機能で、勝ち負けに限らず1局を振り返ることは必ず行っているが、4位のゲームで自分の努力で避けられたと思うケースは半分もない。大抵は他に選びようのない手順で、振り込みを余儀なくされているのだ。

ギャンブル/ゲームには上手・下手のスキルによる差がつきものである。ただ、マージャンの場合、ポーカーのようにスキルで運のよしあしがカバーできるのかどうか、個人的には疑わしいと思っている。

その第一の理由は、ポーカーの場合「下りる」という行為によって被害を最小限にとどめることができるけれども、マージャンの場合は下りようと思っても3人相手に安全牌を打ち続けることは至難だし、ツモられれば被害の発生は避けられないからである。

第二の理由は、天鳳の機能のひとつである高段者対局の観戦をしていて思うのだが、ある程度のキャリアを積んでいれば、打ち方はそれほど変わらないからである。どういう配牌であればどういう作戦をとり、どういうケースで下りるか。リーチをかけるかダマテンで待つか、どのタイミングで食うか、高段者も私もほとんど違わないように見える。

おそらく、本当にマージャンが強い人はとてつもなく運が強いか、あるいは運の押し引きがうまいかだと思っている。運というのは個人の努力とは別次元にあるものなので、運が向いてくるよう祈ることはできても、運を直接どうこうすることはできない。

だから、負けるのがくやしいのは仕方がないとして、段位が下がるから、レイティングが下がるからせっかくのマージャンを楽しめないとするならば、本末転倒なのである。

ネットマージャンは、空いた時間に楽しくマージャンができるように開発されたものである。ゲームをより楽しむために工夫されたバーチャルな仕組みを気にしすぎて、今日はやめておこうと思うとしたらもったいないのである。

いちばん大事なのは、ゲームを楽しむことである。ノーガードの打ち合いではなく、しのいだり冒険したりするのをより楽しむための仕組みである。ゲームを楽しむのに差し支えるならば、そんなもの気にしない方がよっぽどいい。

[Jul 13, 2020]

ツイているときはすべてうまく行く。配牌ですでに聴牌で、役があるのでリーチをかける必要もなくドラもついている。三色にしそこなったら、いきなり4索が出てくるのもすごい。



ネットマージャンでよくやるミス・時間切れツモ切り

ネットマージャンはリアルと違い、チョンボやフリテンのようなミスをすることはない。システムの制約で、上がれないようになっているからである。

しかし、ネットでしか発生しないミスがある。これは痛い。今後の自戒も含めて、書いておくこととしたい。

私が何度も痛い目に遭っているのが、時間切れで強制的にツモ切りされてしまうことである。特に「速打ち」モードでは、5秒間の持ち時間が切れると3カウント以内なので、クリックがうまくコンピュータに伝わらないだけで時間切れ・ツモ切りになってしまう。

待ちが複雑な場合やドラや生牌をツモってきた場合に、自分では一瞬躊躇しただけのつもりなのに、クリックが間に合わなくてツモ切りされてしまう。自分の上がりが遠のくだけならまだしも、危険牌のツモ切りはまさに危険である。

特に相手からリーチがかかったような場面では、河や手牌を見比べているとあっという間に時間切れである。下りているのに振り込むこともあり、悔やんでも悔やみきれない。

反射神経の鈍い年寄りの場合「速打ち」モードは避けるべきかもしれないが、上級卓の東風戦は「速打ち」しか場が立っていないことが多い。二段以上では一般卓だと場の点数だけでマイナスになるので、痛しかゆしである。

時間切れとなる大きな要因が、あまり関係ないチー、ポンの確認を見逃している間に、持ち時間を使い果たしてしまうことである。「泣かない」を選択しておくとその心配はないが、今度は役牌のポンを見逃したりする。

こうした時間切れの弊害を最小限にとどめるためには、ゲームが始まったら集中して頭をクリアにし、どの牌をツモったらどうするかのシミュレーションをあらかじめしておく他はない。年寄りには厳しい条件である。

その前提となるのは、酒を飲んだらやらないということである。本当のことを言うと、一杯やっていい気分で打つマージャンは相当楽しいのだが、アルコールが入ると明らかに注意力が散漫になる。(今更あえて言うまでもない)

そして、一杯やるとどうしても気が大きくなり我慢がきかなくなる。他人の捨て牌など見ていられない。いつもと同じようにやっているつもりでも、情報入力が何分の1になっている上に、判断速度が何割増しなのである。

そういう傾向に気づいたので、酒を飲んだら《なるべく》ネットマージャンはしないようにしている。以来、時間切れツモ切りの洗礼は少なくなったものの、いまだに時々食らってしまうのは悲しいことである。

[Jul 20, 2020]

上級卓・東風戦は早打ちしか開いていないことが多い。持ち時間を使い果たすと、3秒でツモ切りとなる。これで振り込むと、いつも以上にショックが大きい。



ネットマージャンでよくやるミス・上がり見逃し

私が当初よくやったのは、上がりの見逃しである。

ネットマージャンの場合、「自動和了」という機能があって上がりの場合自動的にロンをしてくれる。この機能を使えば見逃しはないのだが、高めで上がるか直ドリでないと追いつかないというケースもある。そうした場合は「自動和了」を外しておくのだが、そういう時に限って上がりを見逃すのである。

自動和了を使わなくても、当該ケースでは「ロンをするかしないか」聞いてくるので、落ち着いて考えれば何の問題もないのだけれど、時間切れは見逃しになるのである。もちろんフリテンだから、ツモ以外は上がれないということになる。

そういうことを短期間に2回やったものだから、聴牌したら即座に「自動和了」を押すことにした。それで上がりの見逃しはなくなったが、問題は高めか直ドリを要するケースである。いろいろ考えて、そういうことをしないと追いつけない場合は潔くあきらめることにした。

だから、安めでも追いつけるようにあえてリーチをかけたり、ドラが入ってくるのを待ったりする。それができないケースは、何かのはずみで直上位者が振り込むよう祈りつつ、下りるのである。

私はこういうケースを「他力本願」と呼んでいる。なぜか、何回かに1回は祈ったとおりライバルが振り込んでくれたり、親でツモられて逆転したりするから不思議である。阿弥陀如来も、こんなところで使われているとは思わないだろう。

そして、これはリアルマージャンでも当然あることなのだが、ほとんど瞬時に判断しなければならないネットマージャンにおいて、マークしていない相手のダマテンに対する注意が散漫になることはどうしても避けられない。

リアルマージャンの場合、ツモった後で少し考えても「早く切れよ」と言われるだけだが、ネットマージャンは時間切れツモ切りである。これは、経験を積んでもなくならない。

次善の策として、親やリーチ者を中心にケアすることになるのだが、そういう時に限って高い手をダマテンする奴がいるのである。仕方がないといえば仕方がないし、相手が一枚上とあきらめる他はないのだが、牌譜を見直すと危険牌を切ったりしているので気づいてケアしなくてはならないのである。

こういうケースが連続したので、上がりに向かう手と下りる手の見極めを早め早めに決断することにした。ラス目で下りるのはつらいことも多々あるが、そこは上に書いた「他力本願」である。意外と、上位者が振り込んで3位に繰り上がったりする。

[Jul 27, 2020]

ツイてない時はこんなもの。20000点持ってラス親に、4位者からダブリーをかけられすぐにツモられる。



ツイてない時に深入り

リアルかネットかによらず、ツキがない時には全くダメなものである。リアルであればそう簡単に「今日はヤメ」とは言えないのだけれど、ネットの場合はすぐに撤退することができる。このメリットは生かすべきである。

とはいえ、時間に余裕があって他にやることがない時に限って、全くツキがない場面に遭遇する。ある程度ならば下りる練習だと思ってがまんするけれども、来る配牌来る配牌全部ダメで、ツモもひどいとなると、やっていて楽しくないのである。

私の経験では、東風4回中3回振込みで、残る1回も親で満貫をツモられたことがある。イーシャンテンから、全く要らない萬子を10回連続ツモ切りして、一気通貫になったこともある。下りているのに、ノーマークの相手に振り込むなど日常茶飯事である。

東1局から、やるんじゃなかったと思う。空き時間を楽しむためにやっているのに、苦しいだけつらいだけの時間が続く。

こういう時は、さっさとあきらめて別のことに時間を使う方が建設的である。ツキはなかなか来ないけれども(大体、1ヵ月に1回くらいか)、ダメポの日は2、3日置きに来たりする。空き時間を楽しむゲームだけれど、やられるのを楽しむほど人間ができていない。

絶対権力者であった白河法皇が、「思うに任せないもの。鴨川の水、賽の目、荒法師」と言ったそうだが、なるほどツキの波というのは、全く思うようにならないのである。

最近は、かなり懲りてきたので深入りする前に撤退するようにしているが、天鳳を始めた当時は、ツキがないのに続けて1日で4位ばかりを10回ほど取り続けたことがあった。

ツキというのは面白いもので、ツイている時はすべてうまく行く。必ずしも正解でない打ち方をしても不思議と振り込んでもらえるし、なぜか当り牌をツモってこない。そもそも、他家の態勢が整う以前に聴牌しているのである。

一方、ツイてない時の現われ方はさまざまである。追っかけリーチをかけられて振り込むのはまだいい方で、配牌からツモからめちゃくちゃ、下りているつもりが引っ掛けリーチにもろに振り込んだりする。

考えてみれば、ツキが来るのは4分の1だから、1ヵ月のうちで1週間だけ。残りの3週間は延々と我慢大会となるのはやむを得ないところなのだが、せめて2位とか3位に粘れるチャンスくらいないと、楽しみがない。

私の場合、親でツモられたり振り込んだりして4位になるよりも、みんな早上がりでいつのまにか東4局、20000点あるのにラス目で、最後は29000点者に1000点上がられて終わりというケースがあきれるほど多いのである。

最初のうちは、いつまでもこんなことが続かないだろうと思って、1日に20局以上戦っていた。ところが、その20局で勝率1割、連対率2割、4位率4割などという戦績を残していては、ストレスがたまる一方なのである。

そうしたケースでは、ラスを10回も取る前に、潔く撤退するという選択をするよう心掛けている。月550円の課金がもったいないとは思うのだけれど、こんなところでストレスを増やしてもしようがないのである。

そんなことを言っていても、1ヶ月近くもツカない日が続くとストレスがたまる。7月は月初から全くツカない日が続き、とうとう月末に4位6回を連続して段位が二段に下がってしまった。勝負ごとというのは、本当はやらないのが一番ストレスにならないのかしれない。

[Aug 3, 2020]


必ずカンをするプレイヤー

さて、これから書くのはネット上に集うさまざまなプレイヤーについてである。正直なところ、こういうことをしていたら勝てないよ、と思っていたやり方なのだが、最近自信をなくしている。そういうプレイヤーに負けるのである。

あるいは、しばらく離れている間に、私の知っているマージャンとは違うゲームになってしまったのかもしれない。ひとまず、昔からのプレイヤーが違和感を覚えるプレイだと理解して読んでいただければありがたい。

哭きの竜の影響なのかどうなのか、やたら目立つのは4つ揃うと必ずカンをするプレイヤーである。

私の若い頃には、ローカルルールでカンご祝儀というのがあって、カンをするごとに3人から何点かずつもらえるということがあった。それでも相手の手を高くするリスクがあり、暗カンはともかく明カンはやらないのが普通であった。

ところが、自分の持ち点、相手の持ち点にかかわらずカンが連発される。カン材でも安全牌として持っている選択肢もあるのに、それもしない。手の内で暗刻になっているのにわざわざカンをして、相手のリーチに裏ドラ6枚乗せてしまったケースを見たことがある。

下図のケースでは、上家が開始早々私の捨てた東をカンである。聴牌なら嶺上狙いということもあるが、全然聴牌でない。親だから、上がってトップに届かなければ連荘できるので無理にドラを増やす必要もない。なぜここでカンが必要なのか、本当に謎である。

私の理解するセオリーでは、リードしている場合カンドラを増やすのは得策でない。それだけ逆転されるリスクが増すからである。手の内をさらすのも得策でない。待ちが読まれやすいし、下りる場合も切る牌が少なくなる。

トップと3400点差の親だから、あわてる必要はない。いずれにしても聴牌していなければ嶺上開花にはならないから、鳴かずに回すのが私の知っているマージャンである。ドラは自分に有利に付くとは限らないし、攻めるにも守るにも選択肢が減ることは間違いないからである。

しかし、このプレイヤーは四段なので、私より勝っているのである。あるいは、カンドラをどんどん乗せるというのが最近のセオリーなのだろうか。だが、理屈で不利だと分かっているのにそれを真似するのは理性が許さない。

下図の場合、どうしてもカンにしたければとりあえずポンで、聴牌してからカンするのが昔ながらのマージャンである(そもそも、カンする必要がない)。誰かがリーチをかけたら、カン材で残っていた牌は安全牌になる。

もしかすると、そうやって場を乱すことにより他家の精神状態を平静でなくすことが、展開上有利になるのかもしれない。だとしても、デメリットの方が多いやり方のように思う。みんなが哭きの竜ではないのだ。

AUTHOR: 通りすがりさんのコメント:この局で決められる可能性が高くなるからだと思います

>仮にドラがない場合ですが、カンしないとカン3ソウ直撃の場合のみ逆転します。
>カンした場合、カンドラが乗らなくても、直撃ならばなんでも逆転です。こちらは両面OKなのが大きなメリット。
>もちろんカンドラが1枚でものれば、あがりさえすれば逆転です。
>仮にカンドラが他家にのってあがられたとしても、点数はともかく順位に影響はほぼないと考えられます(西家は元々トップ、南・北家は大差のため)。

>ドラが1枚ある場合ですが、カンしないと58ピンを脇からロンした場合は逆転しませんが、カンすれば無条件であがれます。なのでこれもカン。(ドラが2枚以上ある場合には無意味ですけど)

>なお、ポンからのカンはチーテンを取ったらカンできませんので、符ハネ狙いの意味がなくなってしまいます。

>というわけで、じっくり考えたら大明カンすべしという結果になるかと思います。
>ただ、自分が咄嗟にこの判断ができるかというとかなり疑問ですけど(笑)。


[Aug 10, 2020]

上家は、わざわざ東の暗刻をカン。ご祝儀がある訳ではないし、親なので仮に追いつけなくとも連荘できるのに、謎である。四段だから、私より勝っているプレイヤーである。


後ヅケ上等のプレイヤー

私が最初にマージャンを覚えた頃、役牌の後ヅケは禁止というルールだった。できるだけ安上がりをなくし、門前で手作りをすべきであるという考えが支配的だったからである。

喰いタン解禁と前後して、後ヅケありがむしろ普通になった。その後に赤五筒、ワレメ、ドボンなどインフレルールが導入され、現在では赤五萬、赤五索がネットマージャンではデフォルトになっている(ワレメ、ドボンはなくなった)。

しかし、後ヅケを期待して喰っていると、役がなくて上がれないことになりがちである。だから昔のプレイヤーは、やむを得ないケース以外は先に役牌を鳴くし、喰いタンで、一・四、六・九の両面待ちは無意識のうちに避ける。

ところが、いまのプレイヤーは結構それが平気らしいのである。ゲームが終わって牌譜を確認すると、これを鳴いたら上がれないよというケースを鳴いていることがたいへん多い。シャンポン待ちで役牌が出ないと上がれないなど当り前のように見る。

下の図1のケースでは、南を後ヅケすることを前提に、すでに八筒を喰っている。ところが南は下家が対子で持っているので、出ることはない(向こうはダブ南だ)。結局、対面の私のリーチに、五萬を振り込むこととなった。

問題は、これで聴牌まで持って行けたとしても、南が出ないと上がれないということである。勝負するとしても、五萬しかないとは危な過ぎで、喰っていなければ手元に安全牌・六筒があったかもしれない。

図2のケース(私が下家だが、分かりやすく方向を変えている)では、このプレイヤーはドラ(一索)が配牌から暗刻である。ポンする前の時点でまだ役がないが、かなり待ちが広いリャンシャンテンである。

ところが、私の切った一萬をポン。イーシャンテンにはなったものの、役がないので上がれない。一筒が出て三色にするか、でなければ対々和をめざすしかなく、現実はリャンシャンテンのままである。

私だったら、対々和を目指すには危険牌を切らなくてはならないし、そもそも一筒が出てくるとは限らない。一萬・一筒は鳴かずに、三色にはこだわらず聴牌を待ってリーチをかけることを選ぶだろうと思う。

でも、このプレイヤーは一萬を鳴いた。その後一筒と六索のシャンポン待ちとなったが、なぜか一筒が出て三色ドラ4でハネ満である。(その一筒も対子落としなので、あまり出そうになかった)。

当り前だが、六索の方が出たら役がないので上がれない。私なら、ドラ3枚あるのにそういうリスクの大きいことはできないが、いまの人はそうなったら仕方がないと割り切っているようなのである。

もちろん、ドラ3枚持っていようが他家に先に上がられたら役に立たないし、聴牌しても上がれないことなど日常茶飯事である。しかし、待ち牌が出ても役がなくて上がれないという事態は極力避けようとするのが普通の感覚だと思っていた。

このプレイヤーは三段なので、決して弱いプレイヤーではない。それでもこういうプレイをするということは、私よりこちらの方が現代的なのかもしれない。

[Aug 18, 2020]

図1:このプレイヤーは南の後ヅケを狙ったが、現状役なしのイーシャンテン。残りの南2枚は下家が持っていて、こちらも後ヅケ狙い。逆転を狙う対面(私)のリーチに、五萬を振り込む。


図2:このプレイヤーは配牌でドラ一索が暗刻。現時点で役がないのに、一萬をポン。一筒が出ないと上がれないが、なぜか出てハネ満。私の知っているマージャンとは違うようだ。



差がつくと退場してしまうプレイヤー

リアルマージャンでは絶対にお目にかかれないのが、差がつくと退場してしまうプレイヤーである。

天鳳の場合、退場して回線が切られると、プレイヤー名が赤で表示されるのですぐ分かる。当然、すべてツモ切りである。天和でも地和でも上がれないので、順位が上がることはありえない。

一般卓だと本登録していないプレイヤーが「No Name」で参加するので、ちょっと差がつくと退場するのはよくあることである。ただ、上級卓で二段とか三段持っていても、事態に改善の見込みがないと判断すると、退場する人は結構いるのである。

気持ちはよく分かる。勝ち負けもさることながら、配牌とかツモの流れ、他家との相性などで打っていても楽しくないというケースは私にもある。オーラスで直上位者と2万点差など絶望的な場面もある。

とはいえ、天鳳ではハコテンゲームセットというルールで行われているので、全くチャンスがないというケースはそれほど多くない。満貫手でリーチをかけて裏ドラ期待というところまでは、何とか持っていけるものである(上がれないが)。

下図のケースでは、最後の親が流れて厳しい状況ではあるが、直上位者との点差は13500点である。リーチ棒が出ているので、ハネ満をツモれば逆転、直ドリなら6400点でいい。絶望的な点差とはいえない。

私は、逆転の可能性が少しでもあるのに退場するというのは気が進まない。というのは、他家が許しても麻雀の神様が許さないのではないかということが一つと、もう一つはリアルマージャンではそんなことは絶対できないからである。望みがないというレベルとは一段違う判断なのである。

他にも、待ち牌が河にすべて出ているにもかかわらずリーチするプレイヤーや、もうツモ巡がないのにリーチをかけるプレイヤー、最終巡でチー、ポンをしたにもかかわらず聴牌していないプレイヤーを見たことがあるが、複数回見た訳ではないので、単なる凡ミスなのかもしれない。

驚くのは、そういうプレイヤーの多くが私より段位が上だったり、レーティングが上だったりすることである。もしかすると、私の知らないセオリーがあって、現代ルールにはその方が適しているのかもしれない。

[Aug 24, 2020]

対面が早退したプレイヤー。捨て牌が暗転しているのは、すべてツモ切りを示す(ゲーム中は名前が赤表示となる)。3位との点差は13500点で、決して絶望的な差ではない。



ギャンブルの地獄の釜を垣間見る

正直なところ、いまの段階でこの原稿を書いていいのかどうか半信半疑なのだけれど、気分的には少し落ち着いたので再び落ち込む前に書いておくことにする。大げさかもしれないが、ギャンブルの地獄の釜の中を垣間見たような気がするのである。

発端は、ネットマージャン「天鳳」である。7月になって、妙にツキのない負け方が増えてきた。よく調べると三段に昇格した時、つまり6月半ばからそういう調子だったことが分かる。

とにかくテンパイが遅い。こちらが一九字牌を整理しているうちにリーチがかかる。あっという間に追っかけリーチ、間の悪い時には私以外の三家すべてリーチである。

こうなると、すべてに通る牌などない。向こうはツモ切りなのに、なぜか私の捨てた牌で当たる。でなければ、すぐにツモられる。裏ドラは100%乗って、たいていハネ満、倍満。三倍満もあった。

なんとか手が整ってリーチをかけても、なかなか上がれない。三面待ちでカンチャンに負けるなど当り前である。何回かに1回ようやくツモっても、裏ドラなど絶対に付かない。

いろいろ試してみた。ツカない日はがまんしてプレイしないことにしたり、上級卓で相手が悪いのかもしれないと一般卓で戦ってみたりした。明カンや後ヅケも試してみた。もちろん、牌譜を見て、どこで負けたのかちゃんと復習している。

結論は、何も悪いことはしていない。ひたすら運が悪いだけである。なのに、1着率から3着率まで2割、4着率4割などという惨憺たる結果であった。

「こんなことは確率的にありえない」と思っていくらやっても、同じなのである。天鳳が悪いのかと思って他のネットマージャンも試してみた。そのゲームでは、16局連続ビリを取らなかったりした。でも、もう一度天鳳をやっても、なぜか同じことなのである。

私自身この歳になるまで、3競オート、カシノゲームをはじめさまざまなギャンブルを経験したけれども、こんなことは初めてである。7月を過ぎ、8月も復活せず、9月に入っても改善の兆しは見えない。たまたま1日よくても、続く6日間は全然ダメである。

7月末に二段に降格し、9月には初段に降格した。天鳳は月550円だが、他のゲームに数千円突っ込んでいる。ここで気が付いた。これが、多くの人がギャンブルで身を亡ぼす地獄の谷底、煮えたぎる釜の入り口なのではなかろうか。

これまで、確率的にありえないほどの負け方をしたことはなかった。しかし、バカラにせよ何にせよ、確率では考えられないことが起こるから破滅するのである。たかだか数千円で気づくことができたのは、間違いなく幸いなことであった。

オーラスの現状4位。親のリーチなので現物の一索を打つしかないが、上家がそれで待っている。技術云々ではなく、この牌をここでツモる時点で弱いということ。3ヵ月もこの状態が続くと、さすがにめげる。


私がマージャンに関して大きな勘違いをしていたのは、マージャンはディフェンスさえきちんとしていれば大負けすることはないと思っていたことであった。

捨て牌やその他の所作から当り牌を推理し、それを捨てないように回し打ちしながら自分も聴牌に持っていく。それがマージャンの醍醐味かと思っていた。だがこうなってみると、それは大きな勘違いだったのである。

誤解を恐れずに言えば、マージャンの勝ち負けは卓に座った瞬間に決まっている。弱いからといって常に負けるわけではないが、長くやっていれば必ず弱い奴が負ける。

そして、マージャンの強弱は推理力や判断力ではなくて、ひたすら「引き」が強いか弱いかではないだろうか。昔からそう思っていたけれど、ハイテクで牌譜を分析できるようになって改めてそう思う。

競馬に例えれば、血統の知識や馬場適性の分析、展開の推理がいくら的確にできても、馬券の勝ち負けはそうした要素では決まらない。勝つ奴は語呂合わせだって出目だって勝つ。マージャンもそれと同じではないだろうか。

「天鳳」のレビューを見ていて、運の偏りがひどすぎると口をきわめて酷評している人の記事を見たことがある。その人は相当強い(レイティング2000近い)のだが、2000を超えるかどうかというところで全く手が入らなくなった。操作しているとしか思えないというのである。

読んだ時は、そんな手間のかかることをするほど運営も暇ではないだろうと思っていたが、実際に自分が3ヵ月近くもそういう状態が続くと、確率的にはありえない、つまり何らかの操作が加わっていると思ったのは確かである。

リアルであれネットであれ、マージャンは楽しみのためにやっている。勝ったり負けたりして、ひと時楽しめればそれで十分である。

ところが、テンパイするのは他家だけ、裏ドラがのるのも他家だけ。配牌は一九字牌が流局ぎりぎりの8枚、ツモは全く伸びず、ドラを持てば他家が早上がりという状況が3ヵ月も続くと、平静ではいられない。ましてや、楽しむことなどできるはずもない。

もし、こうした偏りが操作(課金残り日数とか、そういったもの)でないとしたら、上級卓に常駐するプレイヤーは引きが強い連中ばかりで、その中に入って引きが弱い私が勝てるはずがないということしか考えられない。

件のコメント主も、レイティング1900程度までの相手に比べれば引きは強いのだが、レイティング2000と戦うと相対的に引きが弱くなる。それで、ここまで偏るのは何か操作しているのでは、と疑うことになったのではなかろうか。

話を元に戻すと、3ヶ月続いたひどい状況から回復したのは、初段に落ちて一般卓に常駐するようになってからである。何ヶ月ぶりかに3連続トップをとり、肩の力が抜けた。

何しろ6月中旬以降、4位は3回も4回も連続するけれども、トップは決して連続で取れないということが続いていた。おそらくそれは、引きの強い奴にはどうやっても敵わないということであり、そういう卓でないところで楽しむのが利口だということである。

マージャンは楽しむためにやっているのであり、ストレスをためるためにやるのではない。そして、私は数千円の課金で済んだけれど、あの気分なら桁違いの金額を突っ込んでやられてもおかしくなかった。

この歳で、ギャンブルの奥深い谷底、地獄の釜の入り口を見ることができたのは、ある意味収穫であった。

[Sep 22, 2020]


明カン再考

オンラインマージャン「天鳳」をプレイするようになって、4ヵ月になる。ところがその4分の3、6月中旬以降の約3ヵ月、全く勝てない日が続いた。

確率にはゆらぎがあり、ツイている時もあればツカない時もある。しかし3ヵ月間全くダメということになると、これは実力かもしれない。あるいは自分の習い覚えたマージャンが、時代遅れになっているのではないかという疑念が生じてくる。

私のプレイの基本方針はいくつかあり、そのうちの一つがディフェンス重視である。確率的に4回に1回程度しか上がれないのだから、残りの3回は他家の上がりである。だとすれば、できるだけ振り込まないよう守りに徹することが4位を取らないための戦略だと考えていた。

その基本方針は変わらないのだが、微妙なところでこれまでの自分のやり方が通用しないように感じている。だから、他のプレイヤーのやり方を見て、取り入れるべきところを取り入れようと試行錯誤しているところである。

その一つがカン、特に明カンをするしないである。前に書いたように、天鳳で久しぶりにマージャンをプレイして、誰もが4枚揃うとカンするのに大変な違和感を感じたことは事実である。

いただいたコメントでも、どちらかというと肯定的な意見であった。カンすることによりチャンスが増すのであれば、他家にドラが増える(かもしれない)リスクを冒しても見合うというのが、現在の多数派のようである。

これについては、なるほどそうすべきというケースがあるし、やはり止めておくべきではないかというケースもある。前者については自分もやってみるし、後者については引き続き控えるということになる。以下では、まず前者について書いてみたい。

下の図1は、今までの私ならまずしなかった明カンである。白を鳴いたものの、上がってもせいぜい1300点でオーラスがさらに続く。4位との差は2300点で、振り込めばあっという間に入れ替わる。カンしたら、自分に有利か相手に有利かは半々である。

ここでは、九索を明カンしてドラに期待してみた。驚くべきことにその九索がドラになって、いっぺんに満貫確定。2・5萬4萬待ちをツモって、一気にトップである。

図2は開始早々の東2局。親で七対子のイーシャンテンからドラ九萬を打ちたくないので急きょ対々和に組み替えた。九萬をカンしたのは親なので他家が下りてくれるのを期待したのだが、案に相違して誰も下りてくれなかった。

結局、南家と北家がリーチをかけてきて、最後五萬が出て対々ドラ4のハネ満となった。これも、以前ならダマで流して親満までだっただろう。

たまたまこうなっただけだったかもしれないが、短期間で2度のトップという成果があったことは確かである。本来は下りてもらうつもりのところを勝負されたのでケガの功名ではあるにしても、少しだけ現在のマージャンをキャッチアップできたかもしれない。

図1 誰も3万点に届かず南入。白のみ1000点では仕方がないので明カンしたが、以前ならまずやらなかったことである。


図2 ほとんど必要ないが、ドラカンで他家が下りてくれることを期待した。実際は誰も下りてくれずリーチをかけられたが、何とか親ハネをあがることができた。


さて、そのようにカンが有効なことは場合によってあるのだが、やはり首をひねらざるを得ないケースもある。そのうちの一つが、リーチをかけられた後、特に親のリーチ後にする明カンである。

図3のケースは、三索待ちのテンパイである。發をカンして符ハネするしカンドラが乗るかもしれないけれども、開始早々の東一局でそれ以上に優先すべきは、大きなマイナスを食わないことだと思っている。

開始早々勢いに乗って突っ走るという戦略もあるだろうけれど、他家のリーチ後であればチャンスの倍のリスクがある(自分は表ドラだけ。リーチ者は裏ものる)。まして親のリーチでは、2倍のさらに1.5倍ということになる。

こういう場合、昔のリアルマージャンでは黙って發を捨てるのが当然とされていた。テンパイがくずれる訳ではないし、絶対安全牌である。チャンスは増えない代わりにノーリスクだし、裏ドラを乗せて親の上がりを高くしたら他家の迷惑になる。

このケースではもちろんカンドラ、裏ドラは親に乗って、親はハネ満となった。たまたまカンした人が振り込んだので実害はなかったけれど、こうしたケースではツモられたり振り込んだりして私自身が被害を受けるケースが非常に多いのである。

牌譜でこうした一局を振り返ると、いまのプレイヤーはほとんど下りないのを改めて感じる。その要因の一つに、リアルマネーが賭けられていないことはもちろんあるだろうけれど、それ以外にも理由はありそうだ。

おそらくその理由の一つが、カンドラがもろに乗った快感が非常に大きいということがあるのではないだろうか。図3でカンドラ表示牌が白なら、2000点の役が發ドラ5で12000点になる。ちょうど、前回の私のケースと同じである。

ただ、12000点になる倍の確率で親のリーチは18000点になるかもしれず、東一局で18000点振り込んだ日にはその半荘がほとんど終わりであることを考えると、私ならカンはできない。

とはいえ、「たかが」マージャンである。親っパネを振り込んだところで、懐が痛む訳ではない。それよりも、自分の役が飛躍的に高くなりトップを取れる可能性が高まる方がうれしいという考え方も分からないではない。

「より高く上がるためにより高く上がられるリスクを許容する」か、「より高く上がられるリスクを回避するため自分のチャンスを棒に振る」か。私のような考え方は、ネットマージャンの時代にはそぐわないのかもしれない。

[Oct 7, 2020]

図3 カンした後リーチをかけられるのと、他家のリーチ後にカンするのではリスクの大きさが違うと思っている。それも親のリーチである。この後カンドラが乗って親はハネ満となった。(私は対面)



天鳳とはしばらく距離をおくことにした

6月から楽しませてもらっていたネットマージャン・天鳳であるが、10月の課金まででしばらく距離をおくことにした。最大の理由は、やっていてちっとも面白くないからである。

前にも書いたように私のマージャンはディフェンス志向で、半分以上は下りている。1位率が明らかに低くて、2位率と3位率が水準より高くなることは承知の上である。

だから他人ばかりが上がることを気にしてはいないのだけれど、他家がリーチをかければ一発ツモ、裏ドラゾロゾロ、倍満三倍満出まくりなんてものばかり見させられると、正直なところ興ざめする。運営が何と言い訳しようが、統計確率的にみてありえないのである。

前にも書いたように、三段昇段から3ヵ月ほど、全くツカない日が続いた。とにかく、配牌で一九字牌が7、8枚あるのがデフォルトで、整理している間にリーチがかかる。半分近くが一発ツモである。下りようが回そうが、関係ないのである。

WEBで天鳳がらみの記事を検索すると、みんな同じような不満を持っているのが分かる。運営のいうとおり確率にはゆらぎがつきもので、千局二千局くらいで偏るのは当り前といわれればその通りだが、数ヶ月不愉快にされる方の身になっていただきたいものである。

昔のリアルマージャンを思い出すと、確かに運の偏りはあったけれども、1日ツカないということはかえって珍しかった。一発ツモ裏ドラもろのりが何度も続くなんてこともなかった。

リアルマージャンはツキがなくても会話があったり飲みながら食べながらなので楽しかったけれども(だから、気の合わない奴とはやりたくなくて、遠ざかってしまった)、ネットマージャンは対局だけである。それで、これほど運が偏るというのは、ゲームの興趣を著しく減殺するものである。

3ヶ月ツカない日が続いて初段まで落ち、そこで久しぶりに3連勝したけれども、そんなことは一回しかなくて、またビリは続くがトップは1回切りになってしまった。9月に二段に戻ったけれども10月には再びその状態となり、半月ドツボが続いて、とうとう堪忍袋の緒が切れた。

ネットで言われているのは、ドツボモードになると配牌もツモもめちゃくちゃで、終盤で危険牌をツモらされるので回し打ちしても無駄ということである。たまにいい配牌でも、聴牌するともっと早い奴がいて当たる。その通りの経験を私もした。

他に言われていることとして、ドツボモード=「負け役」になると、捨て牌で七対子ができたり一通ができたりする。リーチをかけると他家が安上がり、たまに上がっても裏ドラは絶対つかないなど、すべて何度も味わっていることである。

正直、運営側が何を考えてゲームを作っているのか、よく分からない。いくら配牌に操作はないと言っても、目の前でありえないレベルをたびたび見せられては、信じろという方が無理である。

もっとはっきり言うと、他人にありえないツキが来ることは構わない。なぜ、自分には何ヶ月もドツボモードばかり寄こすのかということである。自分と同じ卓の誰かがいつもツイている麻雀を誰が打ちたいと思うだろうか。

牌山なんてバーチャルなもので、コンピュータには「見えている牌」と「その他の牌」の区別しかない。牌山が事前に作られているのか、事後的に作られるか分かったものではない。いずれにしても、肝心の部分はブラックボックスなのだ。

天鳳の有名なイカサマは複数ハンドルで一卓に2人分参加するというものだが、運営側でも変な操作をしている感触は否定できない。

ネットのアドバイスは、そんなオンラインゲームをしても腹が立つだけなので、すみやかに課金をやめるべしということであった。残念ながら、そうするしかない状況である。

みんながそう思って課金を減らすことしか、運営側にプレイヤーの不満を伝える手段はないのである。

[Oct 27, 2020]

最近の典型的配牌。九種で流局にもできず、対子はオタ風、あとはバラバラ。發が2枚になりますが、もちろん場に出ません。この局は一度も上がれず、もちろんラスを喰いました。下家のいきなりドラ3枚と比べてください。


先週書いたように、ネットマージャン「天鳳」をかなり集中してプレイしていたのだが、首をひねるような事象が頻繁に起こるので少し距離を置こうと思い課金をやめている。せっかくの機会なので、確率のことについて少し書いてみたい。

たびたび書くように、ポーカーをしていた頃「負けるのはこの1枚が出た時だけ」というケースで、その1枚がまさに出てしまうケースがたまにあった。カード52枚中の1枚だから約2%、実際の確率はすでに見えているカードがある(自分の手札とフロップ、ターン)のでもう少し大きくなる。

しかし、そういうケースは印象的で長く記憶に残る。18%(AA vs KK)だって逆転するのは大変である。ほとんどのケースでは、理論確率とそれほど違わない結果となるものだし、感覚的にもそうである。

バカラに例えれば、プレイヤーの5回ツラくらいの計算だから、それほど頻繁には起こらないけれども、一晩やっていればそれほど珍しいことではない。実際、そのくらいのツラに乗ったり裏切られたりしているのである。

一方、マージャンの場合はどうか。牌の種類は27+7で34種類。話を簡単にするため分母を34とすると、一発ツモの確率は単騎・カンチャン・ペンチャンは1/34だから約3%、シャンポン待ちは上がれる牌が4枚しかないからやはり約3%。両面待ちで約6%、3面待ちで最大約9%となる。(実際は場に出ている牌や手持ちの牌があるので、もう少し小さくなる)

つまり、単騎やシャンポン待ちを一発でツモられる確率はポーカーで残り1枚が出たり、バカラで5連続ツラになるのとたいして変わらないということである。あって不思議ではないが、一晩に何度も出るものではない。

加えて、そういうケースではほぼ確実に裏ドラが乗る。上がり形に使用する牌は最大13種類、34分の13だからおよそ1/3。対子や刻子があれば使用する種類はそれより少ないから、実際には裏ドラ確率はもっと低くなる。

だから、一発ツモでしかも裏ドラが乗る確率は、単騎待ち等で最大約1%、両面待ちで約2%、3面待ちで約3%である。自分の手についてはほぼこの確率と思うけれども、目の前で他家が上がるケースは、間違いなくこれより高い確率で起こっている。

さらに、事象が全く独立なら(偶然起こったのであれば)、2回続けて起こる確率はそれぞれの二乗となる。単騎待ちだったら1万分の1、三面待ちでも千分の1。七対子で裏ドラなんていったら、もっと低い確率である。

さて、私はリーチ9回連続裏ドラなしという目に遭ったが、確率をはじくと約2%となる。もし、他家がリーチ一発ツモ裏ドラが連続し、その間私が裏ドラ乗らずを9回続けているとすれば、10万回から50万回に1回がいま目の前で起こっていることになる。

この計算は、それぞれの事象が独立である(偶然起こった)と仮定した場合である。50万回に1回までくれば、もうあと一歩でミニジャンボ1等2000万円(200万分の1)である。こういうケースは、私は独立ではないと推定する。

ネット情報では、天鳳にはパチンコの確変にあたる機能が組み込まれていて、ツキモードでは当り牌を一発ツモに持ってくるし、裏ドラが乗るように表示牌を変える(というか決める)という。

真偽はさだかではないが、もしそうであれば、私に裏ドラが来ないのも誰かに一発ツモ裏ドラが頻発するのも、同じコインの裏表である。50万分の1どころか起こるべくして起こっているのである。

でも、そういうことをしたい人は麻雀ではなくパチンコをやっていただきたい。おそらく、のめり込ませて高額の課金をさせるためには、それが効果的だということだろう。ゲームを作る側からすれば、当然の思考経路である。

WEBをみると、おそらく運営側であろうコメント者が「確率にはゆらぎがつきものです」「リアル麻雀だってそういうことはあるでしょう?」などと書いている。

そういうコメントを見ると思い出すのが、麻雀放浪記で鹿賀丈史が、2回連続で「2の2の天和」を食らい、「どこの誰がこんなしょぼい手に引っかかってカネ払うんだよ」と逆上する場面である。

偶然の左右するゲームだから、2回連続天和だったからといって、必ずしもインチキとは限らないかもしれない。しかし、偶然であれば確率の示す数字からそれほど大きく外れることはない。常識の問題である。

想像するに、ただ普通に牌を積んでブレイさせるだけでは、他のオンライン麻雀と差別化できない。だから、プレイヤーが興奮するような機能を装備する。役満も出やすくするし一発・ドラも出やすくする。ツカない時は徹底的にツカなくする。よくも悪くも話題になれば客は集まる。そういうことなのではないだろうか。

賭場にはイカサマはつきものだし、わざと新入りに勝たせて深入りさせる策略も江戸時代からある。しかし、そういう操作に手を染めた時点で、すでにカタギではないことには留意すべきであろう。

[Nov 4, 2020]

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