2008年4月、スカイアクセス建設中の印旛沼周辺。


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開業間近の成田新高速   もうすぐ開通   開通!スカイアクセス

成田新高速・千葉北道路の現状

さて、2008年をスタートするにあたり、たまには目先を変えて地元の話題について。

わが千葉ニュータウンは、昭和40年代のいわゆる高度成長時代、田中真紀子代議士の父親である田中角栄首相の「日本列島改造論」の頃に成田新幹線と一体となって企画されたものである。しかし、空港反対運動によって成田空港が当初予定された機能を提供できなかったことに加え、オイルショック後の景気後退により、ニュータウン計画そのものも大きく縮小されてしまった。

その後、同時期に計画された東北・上越新幹線は建設されたが、成田新幹線計画は中止となった。しかし、それから約二十年後、新幹線で建設した施設があまりにももったいないということで、いまの成田エクスプレスや空港地下駅が利用されるようになった。しかし、千葉ニュータウンから成田エクスプレスの分岐点まで、直線距離わずか10km足らずについては、長いこと手付かずのまま放置されていたのである。

それが実現に向けて本格的に動き出したのは、ここ3、4年のことである。成田高速鉄道、千葉県北千葉道路建設事務所などのHPによると、平成22年度にはそれぞれ開業・供用を目指しているとのことであり、だとすればある程度工事が進んできているはずである。

千葉ニュータウンから成田空港に向かうためには、地上か地下かは分からないがどこかで印旛沼を渡らなければならない。そして、現在鉄道と道路が通っている印旛日本医大から印旛沼にかけては、天然記念物(印旛村の)である「吉高の大桜」があり、半日歩いても自動販売機一つないというのどかな里山地帯が続く自然に恵まれた地域なのである。

正月休みの一日、おそらく工事の人もいないのではないかということで、デジカメを手に、こののどかな一帯を歩いてみることにした。

もともと成田新幹線は東京と成田空港を短時間で結ぶことを目的としていたので、カーブをできるだけ少なくし踏切も作らないというコンセプトがある。実際に、千葉ニュータウンの西白井から印旛日本医大までの線路は地図上でみてもほとんど直線であり、半地下・立体交差であるため踏切も全くない。日本医大の駅から線路をそのまま延ばすと、国道464号線と北総自動車学校のあたりでぶつかる。

そこは、以前は桜見物のための駐車場だったのだが、いままさに工事が始められていた。そしてその先は、一車線の田舎道。この先に車で入っても駐車スペースがないことから、桜の時期には車の乗り入れが禁止されている地域である。そんなところに鉄道と片側二車線の国道ができてしまうのだろうか。

国道464号の分岐点から田舎道に入る。もちろん、歩きである。

工事中となっている国道464号との交差地点。右の建物は北総自動車学校。


国道からちょっと入ると、もうこんな感じの一車線道路。


印旛村天然記念物「吉高の大桜」。山桜で開花はやや遅いが、桜の時期には大勢の見物客が訪れる。


まず、国道分岐点から北東へ。印旛沼をめざして進む。というのは、現在、国道464号が印旛沼を渡るのは甚兵衛渡しといわれる地点であり、そこと斜めに交差するような形で成田側の工事が進められていることから、まず印旛沼の渡河地点を確認しようという訳である。

田畑や低い山、ところどころ農家が点在する田園地帯を歩くこと約1時間、印旛沼の湖畔に到着。平らな地平線に、成田空港にこれから着陸しようとする飛行機が見える。しかし、工事現場らしき機材までには、まだかなり距離がある。どうやら、線路は印旛捷水路の向こう側(成田側)をしばらく走るようだ。

印旛沼は江戸時代の田沼意次の頃から干拓が進められていて、私が子供の頃はまだ「W」型を保っていたのだが、いまでは「ウォン(Wに-)」型になっていて、真ん中の横棒の下はすでに埋め立てられてしまった。そしてこの真ん中の棒「-」にあたるのが印旛捷水路で、ここから印旛沼の水を新川(下流で花見川に合流して東京湾へ)に流しているのである。

しかしもともとは水路だから、沼よりも地盤は固いし、水深も川幅もそれほどない。だから沼に橋をかけたりトンネルを掘ることと比べれば、コストも低くてすむし安全だろう。問題は沼地に生息する魚や野鳥への影響であるが、最近の印旛沼といえば「カミツキガメ」が代名詞となっているくらい外来生物が繁殖してしまっているだけに、自然保護を訴えるだけの力強さに欠けるのは確かだ。

湖岸のサイクリングロードに沿って、南へ進む。500mばかり行ったあたりが渡河地点らしく、新しい橋の骨組みが作ってあり、そこからこちら(印旛村)側に、やはり田んぼを埋め立てて大規模な工事現場となっている。

この成田新高速鉄道ができると、うちの近くの駅から成田空港まで営業キロ数で約20kmと至近距離になる。電車なら約15分(駅3つ)、自動車なら30分弱で着く計算になる。それはそれで大変便利なのだけれど、今だって40~50分あれば着く。

いま大変にのどかなこの景色の中に、あと1~2年の間に間違いなく無粋なコンクリートの支柱が建てられ、おそらくその上に成田新高速鉄道が、下には千葉北道路が建設されることになる。のどかな景色を見ながら歩くのはとても気持ちがいいのだが、コンクリートの支柱を見ながら歩くのはあまり気分がいいものではない。

事実、私が千葉ニュータウンに越してきてから今回が9度目の正月なのだが、その間にも線路は伸び道路は増え、気持ちよく歩くことのできるお散歩コースはだんだん少なくなってきている。これからしばらくすると毎日散歩しなければならなくなるというのに、これはあまり望ましいことではないような気がした。

工事現場から南西、村の方向を見ると、7~800mほど先に見える一番左の山が崩されて茶色くなっていた。おそらくあそこから印旛沼に向けて線路と道路が作られるのだろう。バリケードがあるため工事現場を直接通ることはできないので、いったん村に入り、ぐるっと回って現場に向かうことにした。

印旛沼湖畔に出たところ。地平線沿いに、飛行機が見える。


捷水路渡河地点。


印旛村側工事地区。遠くに見える茶色い崖のところから線路・道路が伸びる予定。


再び村に向けて入っていく。くねくねと曲がりながら登っていく道を5分ほど進むだけで、工事なんて一体どこでやっているんだろうという田園地帯になる。正月で工事も休みなので音もなく、鳥の声すら聞こえない。距離的に言って、工事が行われていれば結構うるさいような気がする。

しばらく行くと台地状になり、道が平らになる。農家が1軒と畑、上ってきた印旛沼側は竹林となっている。ここで、真新しい舗装道路を発見。1車線の狭い道だが、崖の方に伸びており行き先には家もない。工事現場に向かう道のようだ。 ここをたどっていくと、まさに工事現場であった。

下の写真にあるように、ここから高低差でいうと30~40m下まで、おそらく道路になるであろう工事現場となっている。印旛沼側からみると山が削られて茶色くなっていたのが、私がカメラを構えている地点になる。 そして、そこでそのまま180度振り向いて撮影したのが、次の写真である。この景色が、五十年近く昔、私が子供の頃を過ごした下総地域の代表的な田園風景である。

ご覧の通り、何もできていない。ただし、画面中央の何百mか先にブルドーザーが見えるから、おそらくここも近いうちに工事地域に入ってしまうのだろう。 私が子供の頃たくさんいた、めだかやたにし、蛙やどじょうやいろんな動植物が、ここにはわずかながら残されていたはずである。しかし、上の写真のようになったら、それも難しい。ちなみに、最初に書いた「吉高の大桜」は、この写真の右側の山の上を100mほど行ったところにある。

もちろん、環境だの自然だの言っているのは我々都会に生活する者の感傷のようなもので、ここにずっと住んできた人達にとって半日歩いても自動販売機一つないなんてことは不便以外の何物でもなく、広い道路や鉄道の開通による利便性の向上はそのまま生活の改善につながる。だから、豊かな自然をそのままに、なんていうのは一種の偽善なのであろう。

ただ、いま羽田空港の拡張にそれほどの障害(漁業権とか)がなくなり、国際線乗り入れの可能性が大きくなっている中、成田空港へのアクセスを改善しようというのは羽田との競争という側面が大きい。必要な開発ならば仕方がないが、もしかすると将来ほとんどの国際線が羽田から飛ぶようになって、この開発はムダだったということになる可能性はないのだろうか。

そんなことを考えながら2つほど山を越え、最初の国道464号線との交差地点まで戻ってきた。時間にして3時間弱。いいお散歩コースである。ただ、ここにコンクリートの支柱が林立するようになれば、歩こうという気にはおそらくならないだろう。あと2、3年でここが本当にそうなってしまうのか、折に触れて見に来てみたいと思っている。

村側の高台から印旛沼方面に向けて建設中の工事現場。


上の写真から180度振り返るとこうなる。昔から変わらない田園風景。


さらに山を2つ越えたあたり。こんな感じで工事が進められている。


[Jan 21, 2008]

成田新高速・千葉北道路その後

正月休みに工事の様子を見てきた成田新高速・北千葉道路、その後どうなっているのだろうか。ちょうど大桜の時期でもあるので、しばらくぶりに行ってみた。

先々週から関東地方は雨の日が多く、台風並みの低気圧が2度にわたってやってきた。19日の土曜日は2回目の低気圧が金曜日中大雨を降らせたので、田舎道はまだ水たまりがそこら中にできており、舗装されていない土の部分は靴が沈むほどのぬかるみである。

今回は天気が良くないので、軽に乗って工事現場を見下ろす高台へ。すると、正月には田んぼや草むらを貫いて広く土の筋があるだけだったのに、鉄筋が積み上がった大きな構造物ができている。おそらくは、上に鉄道を走らせるためのコンクリートの土台である。

成田新高速鉄道などのホームページをみると、高架部分を作って上に鉄道、下に道路を作る地区が多いようである。前にも書いたように北総鉄道~成田新高速鉄道はいわゆる新幹線規格で、カーブが緩く踏切が全くない。鉄道と道路を同一平面に作ってしまうと踏切が必要となるので、こういう形になるのであった。

そして180度振り返った逆側は、正月にはほとんど何もなかったが、下の写真のように工事が進んでいる。ブルドーザーはじめ重機もかなりの数入っているのが見えた。そして、正月には入れたのに立入禁止になっているところもあって、前のように間近で撮影することはできなくなっていた。

ちなみに、私が毎日通勤している北総鉄道部分でも、新鎌ヶ谷駅に続き小室駅でもホーム増設工事が完了し、成田空港まで直通電車が走る際に通過待ちをする態勢が整っている。開通が予定される2年後に向けて、いよいよ工事は本格化しているのであった。

正月にはなかった巨大な鉄筋の構造物。高架部分を作るための土台部分(橋脚)と思われる。


2008年1月。まだ構造物の姿は見えない。

180度振り返った反対側。正月にはほとんど何もなかった場所である。


2008年1月。山の形が一緒だが、景色は様変わり。

大雨が続き、天然記念物「吉高の大桜」も散ってしまいました。手前の畑に、花びらが見える。


[Apr 21, 2008]

2009年の成田高速鉄道・千葉北道路

昨年前半に2度お送りした成田高速鉄道・千葉北道路について、年も改まったので現状を。実は、記事を書いたときの撮影スポットのあたりが立入禁止になってしまい、しばらく行くことができなかった。

年末になれば工事もお休みになるはずなので、ちょっとくらい工事中のところに入っても大丈夫だろうと行ってみたのだけれど(実際には立入禁止区域には入ってませんが)、意外な展開になっていた。というのは、昨年写真をとった地点は、すでに存在しないことが判明したのである。

前回、前々回の写真を見ていただくとお分かりのとおり、前後に工事区間を望む高台から写真を撮っている。ここを通過するのは上に橋をかけるのか、それともトンネルを掘るのかのどちらかだろうと思っていたら、そのどちらでもなかった。高台そのものを削って平らにしてしまったのである。

その高台からは、田んぼを突っ切って前方の林まで道が伸びていたのだけれど、その道ごと高台が削られてしまった。下の写真をよく見ると、工事中の橋桁の向こうに高さ20mくらいの丘があって、こちら側にはわずかに残された土の塊がある。この両地点を結ぶ空間に、昨年の撮影スポットが存在したのである。

なるほど、橋をかけたりトンネルを掘ることに比べれば、進路に立ちはだかっている高台をなくしてしまう方が安上がりだろう。考えてみれば高速道路の工事でも、山の斜面を切り崩しているのはかなり見慣れた景色である。それでも、歩いて行けるほど近いところで、一年前にはあった土地がきれいさっぱりなくなっているのは、かなりショッキングであった。

この、国道464号との交差地点から印旛沼捷水路までの工事区域は「吉高(よしたか)区間」というのだが、こうして山や丘を切り崩した結果、ほぼ上り下りのない、なだらかな曲線上を鉄道線路が走ることになった。以前は農家と田畑しかなかったあたりを鉄道線路の工事が進んでいる図は、結構シュールである。

一つ疑問だったのは、橋脚だけみるとこの上に通るのは鉄道だけのように思えることで、そうなると千葉北道路はこの下を走ることになるのかどうか、ということである。見た感じでは、片側2車線+歩道を作るにしては、やや幅が狭いような気もする。

工事予定の看板をみると、いよいよ今年前半には鉄道部分の土木工事が完成するようだ。来年に予定される開業に向けてこれからどのように工事が進められるのか、また並行して通るはずの千葉北道路はどうなるのか、今年も工事現場通いは続くことになりそうである。

前回撮影地点を下から見上げる。シートのあるあたりが、削られてしまった高台のあった地点。


この写真は、2008年4月の同地点。

印旛捷水路の渡河地点。なんかちょっと貧弱。


この写真は、2008年1月の同地点。橋桁も何もない。

民家の前を走る成田高速鉄道。


[Jan 7, 2009]

2009年初夏の成田高速鉄道・千葉北道路

ゴールデンウィーク後半の5連休、出かける予定がない。毎日晴れているのにボクシングをみたり室内でポーカーばかりというのも何なので、再び印旛村の成田新高速・北千葉道路の工事現場に向かった。

印旛村中央公園に車を止めて、歩き始める。国道との交差地点は地下を鉄道が走る立体交差の形で路面部分がほぼ完成し、すでに複線の線路が引かれているのが見える。もちろん、信号や電線その他電気系統はこれからになるが、このあたりの区間はほぼ完成に近づいている。

ここから人や工事車が見えなかったので、連休中で工事は休みだと思い、工事現場に沿って細い道を入って行ったのだけれど、印旛沼に出るあたりはまだ工事中で人がいた。行き詰ったら立入禁止区域をショートカットしようと不埒なことを考えていたので、思わぬ遠回りを余儀なくされてしまう。

今年の正月と比べて、成田高速鉄道が走る高架部分が長くなっていた。作り始めだった印旛沼の渡河部分は、すでにきちんと鉄橋が完成しており、その両側にも高架部分がつながっている。田園地帯を分断する無粋なコンクリートの境目が、印旛日本医大駅から印旛沼まで、すでにできあがっていた。

イメージ的には、吉髙大桜のある山と、印旛村中央公園のある山の間にある谷が、昔は全部田んぼであったものが、ほとんど全部線路と道路予定地のために埋め立てられてしまったような感じである。それでも、残された水田に水が張られ、今年の田植えがまさに行われているのだった。

電車だけならともかく、成田空港に直結する北千葉道路が完成すれば、間違いなく交通量は多くなる。そのときこの水田が稲作を続けられる環境にあるのかどうか。

江戸時代には新田開発を夢見て、田沼意次が干拓を計画した印旛沼。実際に水田として整備されたのはずっと後の明治時代以降になる。その水田が、その役割を終えて道路と線路になる。それらが本当に必要なものとして長く利用されることを祈るばかりである。

国道交差地点からみた成田高速鉄道延伸部分。新幹線規格のためすべて高架で踏切りはない。このあたりから人が見えなかったので、工事区域に沿って入っていったのだが・・・。


かつての高台を削った地点。左手の山は線路の上まで伸びていた。


1月に逆方向からみた同地点。木々が見える。

印旛沼渡河地点。すっかりでき上がりました。


2009年1月の同地点。

[May 7, 2009]

開業間近の成田新高速~北総レールウォーク

かねてから注目している成田新高速鉄道・北千葉道路、鉄道の方はそれこそあっという間に工事が進んで、今年中には開業の見込みである。一方、工事の進捗に伴い立入禁止区域も増えて、なかなか間近で写真を撮ることができない。なんだかなぁ・・・と思っていたら耳寄りなニュースが飛び込んできた。新高速鉄道のレールウォークが開催されるのである。

これは、成田新高速ウォッチャーとしては見逃す訳にはいかない。さっそく往復はがきで申し込んだものの、募集400名に対して、応募総数4418名というから10倍を超える競争率である。これはつらいかなと思っていたら、運良く当選はがきが返ってきて、1月17日の実施日を待つ。朝起きるといい天気。でも、すごく寒い。

集合は午前9時、北総線・印旛日本医大駅前である。今回のレールウォーク、午前・午後の2回行われ、集合も日本医大組とJR成田組に分かれる。全部で400名なので、それぞれの組は100名ずつ。受付時間に印旛日本医大に着くと、もうレールウォーク参加者が集まっていた。

集まった人達をさりげなく見回すと、半分以上がお年寄りのようだ(こちらも中年夫婦だが)。カメラを持っている人が目立つけれど、鉄道マニアというほどではなさそう。ここからバス2台に分乗してスタート地点の成田湯川駅へ向かう。ここは、工事前に「(仮称)成田ニュータウン北駅」とされていた駅で、現在終点である印旛日本医大の次の駅になる。

新高速鉄道に並行して作られる千葉北道路ができれば、そこを通って10分足らずで着くはずなのだが、まだ工事中なので成田市内をぐるっと迂回するため30分近くかかる。最後に、普段は立入禁止である工事中区域を進んで、駅前広場になるはずの場所へ。ここでバスを降りる。

今年7月の開業に向けて、駅の躯体工事はほぼ出来上がっているが、内部はコンクリートの打ちっ放しでまだまだこれからである。工事中の駅舎から、仮設の階段を下りて線路内へ。線路内はかなり歩きにくいのではないかと予想していたのだが、砂利を敷くのはこれからということで、現状はコンクリートの平面が多く歩きやすい。

新高速鉄道はこの駅から、旧・成田新幹線の経路(現・JR成田エクスプレスの経路)に合流して次の駅は空港第2ビルということになるが、今回のレールウォークはそれとは逆方向、印旛沼方向へと向かう。

スタート地点の成田湯川駅。まだ工事中。


いよいよ、線路内に入る。


レールウォークだから、グランドレベルは当然線路。目線の位置は左右とも遮音壁で囲われているので、見えるのは上方と、はるか前方、はるか後方のみ。遠く富士山は望めるものの、印旛沼のどのあたりを歩いているのかは分からない。

先行グループの進み具合により、時々ストップする。報道関係の人も結構いて、参加者にインタビューしたりしている。ところどころでヘルメットをかぶった工事関係の方が説明してくれる。この線路は新幹線規格で、レールは溶接で継ぎ目がないこと、枕木は現在では木ではなくコンクリだが、それでも枕木と呼ぶことなど、聞かなければ分からないことである。

成田湯川駅からすぐのトンネルは新高速唯一のもので、いったん掘削して工事してから埋め戻してトンネルにしたとのことである。トンネルの中は、風が抜けて寒い。トンネルを抜けてしばらくカーブを進むと、はるか彼方まで一直線の部分。ここは最高時速160km/hでの運転区間で、印旛沼沿いを走る。

この直線部分をしばらく進んだあたりに特設の展望台が作られており、折り返し点となる。成田湯川駅から1.5kmというから、まだ国道464号との交差地点や、私が何年か前から定期的に撮影している場所より、ずいぶん成田寄りのところである。展望台に上がるが、案の定あまり来たことのない場所だ。

線路(橋の上にある)と並行して工事が行われているのは、北千葉道路である。成田新高速は今年の7月に開通予定であるが、北千葉道路はこれから橋を作ってということになると、少なくとも2~3年先のことになりそうだ。振り返って来た方向を見ると、安食から下総松崎(まんざき)にかけて、印旛沼湖畔の低地から丘になっているあたりの景色を望むことができる。

あとは来た方向に戻るだけ。再び左右の視界がなくなり、ただ線路の上を歩くのはちょっと退屈である。成田湯川駅に戻り、ホームに上がってレールウォークは終了。参加者には記念品(エコバッグ、シャーペン、バッジ、ミネラルウォーター、パンフレット)が配られ、甘酒のサービスがあって、再びバスに乗って印旛日本医大駅に戻った。

成田新高速は、この成田湯川までが複線で、あと成田空港までは単線となる。旧・成田新幹線区間は見た目は複線となるものの、片方がJRのみ運行、片方が京成のみ運行となるのでそれぞれ単線の2本の線路ということになる。そうなると、成田空港始発の電車が飛躍的に増えるということではなさそうだ。

したがって、私の駅から成田空港までの所要時間は、理論上は15分くらいになるがそんな電車はなく(もしくは、1日に何本かしかなく)、実際には乗り換え時間含めて30分位はかかるのかもしれない。都心まで最速36分というのに、あまり差がないようにみえるのは残念だが、まあ特急料金なしで済むのでよしとしよう。

今回のレールウォーク、線路の中の様子がよく分かったのは収穫だったが、思った以上に外の様子が分からないのは残念だった。もう少し暖かくなったら、線路沿いの景色の移り変わりを、また見に行きたいと思う(でも、もう花粉症の季節が始まるんだよなぁ・・・)。

仮設展望台。緑の帽子が参加者。ヘルメットが工事関係の方々。


仮設展望台の上からみた印旛沼方向。隣の土盛りは、工事中の北千葉道路。


成田湯川駅に戻って、お疲れ様でした。この駅では上下の停車線、追越線で4本。ここから先は線路が1本の単線となります。


[Jan 19, 2010]

もうすぐ開通・成田スカイアクセス

以前から注目している成田スカイアクセス、いよいよ来月には成田空港への乗り入れが始まる。現在、私の住んでいる千葉ニュータウンあたりでは、試運転の車両が行き来するのを見ることができる。

成田スカイアクセスのダイヤのあらましが、通勤電車の吊り広告にも載っている。現在の北総線の本数はそのままで、直通の新型スカイライナー、空港特急などが増便となるらしい。うまく乗り継げば通勤時間は短くてすむのだけれど、正直なところ混むのはうれしくない。そうでなくても最近、沿線の開発がどんどん進んでしまい、帰りの電車は座れないのである。

さて、せっかくだから開業間近の試運転を見ようと思って、成田市の大谷津運動公園まで足を伸ばしてみた。梅雨入り間近の晴れ間で、陽射しはまだ穏やか。あまり風もない。花粉のピークも過ぎて、つかの間のお散歩日和である。駐車場が空いているかなと思ったけれど、スポーツ大会もなかったせいか、車はほとんど停まっていなかった(プールが営業していると混みそうだ)。

さて、冬にお伝えした線路ウォークの起点、成田湯川駅はこの公園から谷一つ千葉ニュータウン側に戻ったあたりにある。そして、スカイアクセスはこの公園の先、土屋(成田イオンのあたり)で旧成田新幹線と合流する。つまり、JR成田エクスプレスと並行して走ることになる。

この公園は高台になっているので、成田山新勝寺をバックに、成田エクスプレスが走っているのが見える。試運転の新型スカイライナーを撮るのに、いい場所はないかなぁと公園内を散策する、テニスコートの植え込みの裏を歩いていたら轟音。あわてて走ってみたけれど、最高時速160km/hなので追いつけない。結局最初の試運転を見逃してしまった。

成田湯川から先は単線なので、1本見逃すと次はいつ来るのか見当がつかない。ダイヤ通りならば1時間に少なくとも4~6本は行き来するはずであるが、1ヵ月前の試運転だからダイヤと同じというわけでもなさそうだ。

40分以上待ったけれど来ない。奥さんが公園で遊んでいた若いお母さんとお話ししている間に、仕事の電話が鳴ってのんびりしていられなくなった。仕方ないなあと帰りかけたら、いきなり轟音。待ちに待った試運転車だが、カメラを出すのが遅れたのでやっと撮れたのが下の写真。

なるほどこの速度でほぼ直線の北総線内を走れば、東京まで40分足らずで着くだろう。走る前は、なんで無理矢理アクセス鉄道を作るのだろうと思っていたけれど、こうなると早く乗ってみたいと思ってしまうから不思議である。

大谷津運動公園内を走る、成田新高速鉄道の高架線。この部分は単線区間で、あとわずかでJRと合流します。


やっと捕まえた試運転中のスカイアクセス。


[Jun 12, 2010]

開通!成田スカイアクセス

先週の土曜日、17日から成田スカイアクセスが開業した。ここまでの工事状況をウォッチしてきた当プログとしても、感慨ひとしおである。成田空港から都心への大動脈が、私の印象ではあっという間にできてしまったという感覚である。

昭和40年代に東京・千葉間で開通した鉄道には営団地下鉄東西線とかJR(当時の国鉄)総武快速線があるが、それらの鉄道も作り始めてから実際に走るまでそれほど時間がかからなかったような記憶がある。計画がなかなか進まなくなったのは高度成長期の後半以降、地価がずっと上がり続けると思われた頃からである。

特に第二常磐線と成田新幹線は、永遠に完成しないと思われたが、ご存知のとおり第二常磐線はつくばエクスプレスとして開通したし、成田新幹線は何回かの計画変更を経て、このたび成田スカイアクセスとして開通の運びとなった。計画時期が同じ東北・上越新幹線では、大宮開業の頃を覚えている人も少なくなった現在、本当に感慨深いものがある。

さて、成田空港から都心(といっても日暮里・上野)まで40分以内というのが売りのスカイアクセスだが、第二ビルからわずか3駅目にあたるわが最寄り駅からも30分以上かかってしまう上、スカイライナーより本数が少ないアクセス特急という便の悪さはつらいところ。とはいえ、まず乗ってみなければということで海外に行く訳でもないのに行ってみたのでありました。

最寄駅の印西牧の原はアクセス特急が止まらないので、各駅停車に乗って1駅先の印旛日本医大まで。ここで成田空港直通のアクセス特急を待つ。実は、印旛日本医大から先に行くのは、日暮里まで直通のスカイライナーと、約40分に1本しか走っていないアクセス特急しかないのである。適当に行くと30分以上待つことになりかねないので、時刻表を確認する必要がある。

印旛日本医大から、新しく開通した部分となる。並行して千葉北道路の工事が行われているが、まだ橋脚しかできていないところがほとんどで、開通は数年先になりそうだ。工事中は下からばかり見ていたが、上から見ると本当にいい景色である。

次の駅である成田湯川までは結構長い。時刻表によると8.4kmだから、中間にもう一駅あってもおかしくはない。ただ、真ん中あたりからは印旛沼に沿って走るので、駅を作っても乗る人はあまりいないだろう。成田湯川から先は単線となるので、ここでスカイライナーの通過待合せがある。

成田湯川を過ぎると、いよいよ成田市街である。成田山新勝寺の塔が見える。そして成田イオンの先で、JR成田エクスプレスとの合流地点。赤白の成田エクスプレスと並んで走るのは、なかなか乙なものである。

意外だったのは、空港自動車道をくぐるあたりに上下線のすれ違い区間があり、ここで数分間停車しての通過待合せがあったことである。さきほど成田湯川ではスカイライナーとのすれ違い、今度はアクセス特急とのすれ違いであった。ここを過ぎると間もなく空港第二ビル、そして終点成田空港となる。

ここまでの運賃は730円。けっこう高い。正味電車が動いていたのは20分ほどだが、この日は時刻表を見て行ったにもかかわらず、乗換えと通過待合せで40分以上かかってしまった。うまく乗り継げなければ、さらに時間がかかる。出発時には少々の待ち時間は苦にならないが、到着時にはちょっといらいらするかもしれない。まあ、一度使ってみないことには何ともいえないが。

印旛日本医大を過ぎてしばらく走ると、印旛沼に出る。いい景色である。


成田湯川駅では、スカイライナーの通過待合せ。都心まで直通36分は、なかなか魅力的。


成田空港駅構内の表示。左のオレンジが成田スカイアクセス、右のグリーンが従来の京成線。スカイライナーは原則スカイアクセス経由となった。


[Jul 23, 2010]



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