アイキャッチ画像:自ら撮影したデラホーヤvsホプキンス@MGMグランド

パッキャオvsモラレス1    長谷川、ウィラポンを攻略    ティト、ライトに完敗
ハットンvsチュー


パッキャオvsモラレス1

スーパーフェザー級12回戦展望(2005/3/19、ラスベガスMGMグランド)

O エリック・モラレス(メキシコ、47勝34KO2敗)2.0倍
  マニー・パッキャオ(フィリピン、39勝30KO2敗2分)1.8倍

米国系ブックメーカーでは先週まで両者-115で推移してきたが、ここへきてパッキャオへの投票が集中している模様で、パッキャオがfavoriteとなった。MGMではモラレスのオッズがさらに+110(2.0倍→2.1倍)に上がったとのことである。英国系のブックメーカーは依然モラレスfavoriteで8/11(1.7倍)、パッキャオがeven(2.0倍)である。

実はこの試合を見に行きたくて、1ヵ月くらい前にいろいろ探してみたのだが、ラスベガスで大きなコンベンションがあるとかで、エアーも満席、ホテルもとてつもない値段になっていてあきらめた。ボクシング界ではタイトル(名誉)とマネー(お金)の乖離が進んでいて、何のタイトルもかかっていないこの試合が今年前半最大のビッグファイトである(あと、実現すればガッティvsメイウェザー)。

モラレスは宿敵マルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)に僅差の判定でタイトルを奪われた。キャリアの2敗はいずれもバレラ(通算1勝2敗)であるが、それ以外の相手には接戦すらなくいずれも圧勝している。かたやパッキャオはそのバレラにKO勝ちし、現フェザー級統一王者のファン・マヌエル・マルケスには3度ダウンを与えて引分け、東洋の神秘としていまや日の出の勢いである。

ただし、私の予想は自信を持ってモラレス有利である。理由は2つある。第1は、体格的な問題。モラレスはスーパーバンタム級(122lbs、55.4kg)からスタートして、フェザー(126lbs、57.2kg)、スーパーフェザー(130lbs、59.0kg)と3階級目。長身でリーチも長く、この階級においても体格的に恵まれている。一方、パッキャオはフライ級(112lbs、50.8kg)スタートである。人間いくらでも太ることはできるが、骨格は変えられないのでスポーツ選手として適正体重があるはずだ。

だから、ここ30~40年をみても、複数階級を制覇したボクサーはいるが、フライ級スタートはフェザー級まで、フェザー級スタートはライト級まで、ライト級からはミドル級、ウェルター級からはライトヘビー級、ミドル級に至ってはじめてヘビー級まで活躍することが可能となっている。もしパッキャオが勝てば、空前の大記録ということになる。

もう一つは相性の問題である。モラレスはバレラに負け越し、パッキャオはバレラにKO勝ち、だからパッキャオの方が強いと単純に言えないところがボクシングの面白いところである。何しろモラレスはバレラ以外にはすべて圧勝しているのである。バレラと、モラレスがややてこずったチ・インジン、ヘスス・チャベスを並べてみると、モラレスの苦手なタイプはしつこく手数を出すスタミナ型だということが分かる。パッキャオは決してそういうタイプではない。

モラレスはタイプとしては天才型のボクサーなのである。パッキャオは例によって左右ストレートをすごい踏み込みとともに放ってくるだろうが、モラレスの懐の深さと距離を考えるとマルケス以上に当てることは難しそうだ。スタミナにやや難のあるパッキャオは後半にはペースを取られるとみる。

モラレスの死角があるとすれば、「顔が腫れやすい」ので、負傷によるTKOや不利な状況での負傷判定がありうることと、先週鉄板のはずのグリーンが負けている私が賭けていることだろう。有り金勝負と行きたいが、ブラック($100)一枚で。

WBOウェルター級タイトルマッチ(2005/3/19、米ラスベガス)
エリック・モラレス O 判定(3-0) X マニー・パッキャオ

モラレスは前回バレラ戦から4ヵ月、試合が決まってから2ヵ月(当初はマルケスvsパッキャオ再戦の予定だった)と短期間だったことで、コンディション作り(減量)に失敗したようだ。リングインの時に見たら、顔は激ヤセ体は余裕含みで、1Rにはパッキャオの予想外のボディ攻撃を受けてこれが効いてしまった。

自分でも調子が悪いことは分かっていたのだろう。2R以降とにかく負けないボクシングをした。ディフェンスを固めて後ろ足にウェイトを置いて動きながらパッキャオを迎え撃つ。深追いはしない。体が大きく懐の深いモラレスにこれをやられてはパッキャオには厳しい。また前半はポイントを取られてもいいと開き直り、手数を減らしてコンパクトな左ジャブ、右ストレート、左フックを叩き込んだ。パッキャオは攻勢はとるもののモラレスに強打で返され、4回終了後にはすでに口の中を切っていたし、5回には右目の上をカットした。

中盤以降は予想通りモラレスのペース。だが、モラレスも調整に失敗したためか終盤にきて息切れ。パッキャオの反撃にたじたじとなる場面もあった。ポイントは3ジャッジとも115-113の2ポイント差でモラレス。モラレスのコンディションの悪さを考えると「負けない、倒れない」作戦もやむを得なかったが、もう少し打ち合いを見たかった。

モラレスは今回は減量で苦労したようだが、もう1階級上げると今度は体格的なアドバンテージがなくなる。ライト級(Sフェザー級より約2.3kg上)ではWBC王者のホセ・ルイス・カスティージョが最強だが、カスティージョはウェルター級(ライト級より2階級、約4.5kg上)でノンタイトル戦をやっているくらいで体が違う。モラレスとしてはきつくても現階級で戦うのがベストだと思う。

パッキャオはモラレスより肩一つ分小さく、やはり体格的にこの階級では厳しいことが分かった。今回はたまたまボディが効いたが、得意の左ストレートはほとんどダメージを与えることはできなかった(あの腫れやすいモラレスの顔が腫れてなかった)。バレラは彼と同様にフェザー級の体格だからいい勝負になるだろうが、ナチュラルなこの階級の強豪、例えばホエル・カサマヨルなどと対戦した場合、限界があるのではないか。

最後にスポーツブックの結果。evenではいくらなんでもつけ過ぎ。先週やられた分を利息をつけて取り戻した。一応カシノとスポーツブックのサイトと名乗っているからには、たまにはきっちり当てないとね(唄)。

[Mar 19,2005]


長谷川、ウィラポンを攻略

WBC世界バンタム級タイトルマッチ(2005/4/16、日本武道館)
O ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ、47勝33KO1敗2引分け)
  長谷川 穂積(千里馬神戸、17勝5KO2敗)

戦績に歴然と現れているように、百戦練磨のウィラポンにかなり分のある戦いである。長谷川につけ入るスキがあるとすれば、年齢(36歳)からくるウィラポンのスピードダウンだけだが、仮にヒットアンドアウェイでうまく立ち回ったとしても、西岡の第一戦のVTRのようになるのではないか。しかし打ち合えば長谷川に勝ち目はない。ウィラポンの判定勝ちが6割、KO勝ちが3割とみる。

この試合の前座では、日本スーパーバンタム級タイトルマッチ、中島吉兼vs木村章司戦があるし、注目のホルヘ・リナレス(世界ランカー)、粟生隆寛(あおう・たかひろ、元高校チャンピオン)も登場する。もう一試合がなければ絶対に日本武道館に行ったと思う。自分が払った入場料が奴のファイトマネーになると思うだけで腹が立つから行かない。新井田豊(にいだ・ゆたか)のことである。

新井田はもう3~4年前になるが、世界チャンピオンになったとたんに一度引退した。「達成感」のためだそうである。22、3の奴が20戦もしてないのにジムや周囲の力で世界戦を組んでもらって、「やるだけやった」というのも笑わせる。多分、無敗(引分けはある)のまま引退したらかっこいいとかそんなことだったんだろうと思う。

許せないのは、彼が他でもない横浜光ジムの選手だからだ。横浜光ジムの会長は関光徳(せき・みつのり)、かつて東洋フェザー級チャンピオンを5年以上にわたり防衛した名選手である。関が活躍したのは1960年代、原田や海老原の時代である。当時は今のように世界戦統括団体が4つもなく、しかも軽量級にはジュニアクラスもない。世界チャンピオンは、現在の4団体・2クラス(スーパーバンタム、フェザー)8人が1人であった訳だから、強さもさることながら世界戦を組むだけでも大変な時代であった。

しかも、当時の世界フェザー級チャンピオンとして君臨していたのはビセンテ・サルディバル、メキシコの国民的英雄にして、1960年代を代表する名選手であった。関は東洋では無敵を誇ったものの、サルディバルの牙城を崩すことはできず(判定負け、KO負け)、とうとう世界チャンピオンにはなれなかった。あと20年、いや10年遅れて生まれていれば、間違いなく世界チャンピオンになれただろう。

そんな会長にお世話になりながら、世界チャンピオンになったとたんにやめるというのは、まさに「人生意気に感じない」奴である。目や体を壊したわけではないことは、その後引退を撤回したことで証明済み。ボクシングも粘るばかりで面白みがなく、彼の試合はいつもダブルタイトルマッチだ(ピンを張れない)。同階級のイーグル京和とは技術的に雲泥の差。今回も面白くない試合になるだろう。

亀田興毅の移籍問題がニュースになっているが、彼はきわめてお行儀のいいグリーンツダジムの選手であったことに感謝すべきだ。訳の分からないジムであれば、かつての西島洋介山の二の舞(飼殺し)になるところであった。日本のジム制度の後進性(相撲部屋と似ているのは、日本の興行制度がそもそも同じようなものだから。芸能界もそうですね)もなんとかすべき時期にきているとは思うが。

  WBC世界バンタム級タイトルマッチ(4/16、東京)
長谷川 穂積 O 判定(3-0) X ウィラポン・ナコンルアンプロモーション

ウィラポンの勝率9割と予想したが、10割にしなくてよかった。長谷川の勝因は圧倒的不利が予想された中で、開き直って打ち合ったこと。ウィラポンはスロースターター気味であるので、そこに長谷川の小気味いい左ストレートが適確にヒットした。オーソドックス対サウスポーではありがちなパターンとはいえ、同様にサウスポーの西岡にも打たせなかったウィラポンなので、やはり年齢から来る衰えなのだろう。

中盤はさすがにウィラポンの巻き返しに危ない場面もあったが、ここでも打ち合いに応じて、9回、10回には疲れの見えたウィラポンをあわやダウンかというところまで追い詰めた。長谷川自身も24歳と若く、まだ強くなっているということなのだと思う。とにかく、一流のチャンピオンを明らかな判定で下しているのだから、文句のつけようがない。これで、ジュニアクラス以外では、畑山隆則(ライト級)以来のチャンピオン誕生である。

長谷川の上昇度と、ウィラポンの下降度がちょうどマッチングした、タイミングの良さ、巡り合せを感じさせたが、ここで思うのは西岡利晃のことである。西岡は2000年から合計4度ウィラポンに挑戦し、判定負け2度、引分け2度でいずれも王座獲得はならなかった。特に2度目の対戦(引分け)の時は、ちょうど昨日のような戦いでウィラポンを追い詰めた。違うのはウィラポンが今ほど衰えていなかったということだけである。運が悪いといえばそれまでだが、多分それだけではないのだと思う。

西岡はウィラポンへの4度挑戦の間の約4年間、ウィラポン以外とはほとんど戦っておらず、しかも強豪との対戦は全くない。そもそも世界ランカーになって日本チャンピオンを返上して以来、生き残りを賭けたここ一番という試合をやっていないのである(昨年秋の中島との試合が久々)。

一方長谷川は、東洋チャンピオンを獲得、鳥海純(世界ランカー)との挑戦者決定戦(非公式だが)を経てタイトルマッチに臨んだ。こうした積み重ねというか階段を一歩ずつ上がるまっとうなやり方が、運というか巡り合せを呼び込んだのだと思わずにはいられない。

[Apr 17, 2005]

ティト、ライトに完敗

WBCミドル挑戦者決定戦展望(2005/5/14、米ラスベガス・MGMグランド)
O フェリックス・トリニダード(プエルトリコ、41勝34KO1敗) -190(1.45倍)
ロナルド・ライト(アメリカ、48勝25KO3敗) +160(2.6倍)

トリニダードは統一ウェルター級、統一スーパーウェルター級、WBAミドル級の元王者。ライトは統一スーパーウェルター級元王者。トリニダードはリカルド・マヨルガ戦に続く復帰第二戦。ライトはデラホーヤに勝ったシェーン・モズリーに連勝してかなり評価を上げている。

ライトの戦力自体は認めざるを得ない。サウスポーで懐が深く、的(顔)も小さい。ディフェンスに長けておりペースをつかむのもうまいことから、並の強打者ならコントロールしてしまうだけの力はある。トリニダードがホプキンス戦のように空回りする状況に陥る可能性はゼロではないだろう。

とはいえ、この試合は160ポンド(ミドル級リミット)契約で、WBCミドル級の挑戦者決定戦でもある。トリニダードがこの階級ですでに世界チャンピオンとなっているのに対し、ライトにはこの階級での実績がない。モズリーがもともとライト級から上げてきた選手であることを考えると、モズリー戦を過大評価することには若干の疑問が残る。

ましてや、トリニダードは並の選手ではない。あのディフェンスのうまいウィリアム・ジョッピーが見切れなかった右ストレートが必ずやライトをとらえるはずである。問題はマヨルガ戦でみられた試合勘の悪さが残っていないかどうかだ。オッズは前売り時点よりライトが買われてやや接近しているが、トリニダードファンにとっておいしいオッズである。ブラックチップで勝負。

なお、Fightnewsによると、トリニダードは記者会見でライトに向かって、「今からでも、やめた方がいいんじゃないの?さもなきゃ、あまり殴られないうちに、コーナーがストップしてほしいな(I hope your corner will not allow me to hit you a lot.)」と言ったそうだ。彼以外が言うと虚勢なのだが、彼が言うと本当のことに聞こえるのがすごい。

  WBCミドル挑戦者決定戦(5/14、米ラスベガス)
ロナルド・ライト O 判定(3-0) X フェリックス・トリニダード

Fightnewsでは"surprisingly easy twelve round "と表現しているように、全く予想外のライト楽勝だった。その最大の要因は、WOWOWを見て感じたのだが、トリニダード(ティト)のスピードのなさであったと思われる。体をみる限り、絞ったティトに対しライトは明らかに腹回りに余裕がある。にもかかわらず、ライトの右ジャブをティトはヘッドスリップもウィービングもパーリングもできずに食い続け、しかも打ち終わりに左を出すこともできない。ティトの出来は過去見たことのないほど悪かった。

これは、ライトの上手さももちろん評価しなければならないものの、ティト自身の問題、それが過信による研究不足、練習不足であったのか、あるいは減量苦、年齢による限界であったのかもしれないが、それが大きな原因となったものと思われる。その意味で、ティトの再起への道は、ホプキンスの時とは比較にならないくらい厳しいものとなるだろう。

これでミドル級戦線は全く混沌としてきた。四団体統一王者バーナード・ホプキンスはすでに40歳を超え、現役生活を続けるインセンティブはビッグマネーファイト間違いなしのトリニダードとの再戦であったはずだ。次回防衛戦で新鋭ジャーメイン・テイラーと対戦するが、ここで防衛を果たすとあと目ぼしい挑戦者は元WBO王者のフェリックス・シュトルムくらいしかいない(IBF指名挑戦者サム・ソリマンはホプキンスを避けスーパーミドルで世界挑戦予定)。シュトルムでは、トリニダードと比べると興行規模(=ファイトマネー)が一桁以上違う。

それはライトについても同様で、ライトのボクシングはファンを引きつけないから、大きな興行とはなりにくい。ホプキンス自身にもそういうところがあるので、ホプキンスvsライト戦がもし実現したとしても、玄人受けはするだろうがビッグマネーファイトにはなりそうもない。だとすれば、ホプキンスが現役続行をするかどうか、するとしても面倒な四団体同時王座を維持し続けるかどうか不透明な状況になりつつあるといえそうで、ホプキンスの今後の動向が非常に気になるところである。

今回のトリニダードvsライト戦には再戦条項があるようで、ライトにとってはトリニダードとのビッグマネーファイトを避ける必要はないから、多分実現するだろうと思う。しかし、今回の対戦でトリニダードの商品価値がかなり下がったことは確かであり、中量級は新たなヒーローの誕生を待つ時代へと突入することになる。

その意味で、ライト以外でこの試合結果に張り切っているのはフェルナンド・バルガスだろう。トリニダード、デラホーヤにいずれもKO負けしているが、いずれの試合も大いに盛り上がったファン受けする試合であったし、何より彼はライトに勝っているというアドバンテージがある。もともとスーパーウェルター級なので、ミドル級転向に大きな問題があるとは思われず、何しろまだ若い。バルガスの今後の復活路線にも注目したいところだ。

[May 14, 2005]

反射神経と持久力(ハットンvsチュー)

IBFスーパーライト級タイトルマッチ(2005/6/4、米ラスベガス・MGMグランド)
リッキー・ハットン O TKO11R終了 X コンスタンチン・チュー

先週のボクシング、コンスタンチン・チューvsリッキー・ハットン戦をWOWOWでみてからずっと、持久力と反射神経について考えている。

この試合の背景をおさらいすると、チュー35歳・遠征・カウンターパンチャー・長期休養明け2戦目、ハットン26歳・地元・猪突猛進ファイター・長期ブランクなし、試合開始午前2時すぎ、観客はすべてハットン応援という状況である。

試合開始から展開はほぼ同じで、ハットン突進→腕が絡んで双方打てず→クリンチ→もみ合い→レフェリーが入ってブレイク→ハットン突進→・・・の繰り返し。7、8Rくらいからチューが消耗して急に失速、それほど打たれてはいないのだが11R終了後に試合放棄でハットンTKO勝ちという結果となった。

「すごい試合でした」と高柳アナウンサーやゲストの長谷川穂積(WBC世界バンタム級チャンピオン)は言っていたが、正直あまりいい内容ではなかった。同日放送のライト級統一戦、コラレスvsカスティージョの試合の方が10倍くらい良かったと思う(あの頑丈なカスティージョが最後白目をむいて「落ちた」)。

チューは反射神経に優れ、また目のいい選手で、相手の動きのスキをみごとにとらえてカウンターを取る。その右ストレートは一発で決めてしまうパンチ力があるので、ザブ・ジュダーのような速い選手でもチューには敵わなかった。そのチューがただ前に突っ込んでくるだけのハットンに対応できなかったのは、年齢や遠征というだけでなく、午前2時という試合時間が大きく影響しているように思う。

もちろんプロであるから、試合時間に合わせて体調を整えているはずではあるが、ボクサーの場合試合直前まで減量というもう一つの戦いがあるので、昼夜をひっくり返したような生活はたぶんできなかっただろう。人間には体内時計があって、太陽の出ている時間には活動的になり、出ていない時間には休むようにできている。その休む時間に動かなければならない場合、主に影響を受けるのは反射神経なのではないか。素人が考えても、眠くなる時間に例えば射撃をやれば、的中率は下がるはずだからである。

一方、持久力については、全く影響を受けない訳ではないだろうが、その度合いはそれほどではないと思われる。オリンピックのマラソンが、早朝にやったり夕暮れにやったりするけれども基本的には強い奴が勝つように。だから、ハットンの若さと持久力がチューの反射神経を上回ることができたのではないかと思う。

[Jun 10, 2005]

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