ポーカーフェース (ポーカーの奥深い世界第12話) [Dec 12, 2005]
夏ごろから上野ルームの木曜日は"Live Day"となり、テキサスホールデムのライブが行われている。トーナメントだと生き残らないとゲームに参加できないので堅くプレーせざるを得ないが、ライブだとそのあたりリラックスして参加できる。だから、トーナメントではできない「受身」や「乱取り」の練習ができる絶好の機会として重宝させていただいている。先週は、このライブで非常に勉強となるゲームがあった。
細部はいろいろとあるので、ここではエッセンスだけ述べるにとどめるが、リミットのブラインド2-4、ゲーム4-8。1箱100点のチップが基本でなくなるとリバイであるが、ちょうどみんな100ちょっとずつ位持っていたと思う。テーブルは11名、ここでの主要登場人物を回り順にA氏、私、B氏とする。私のハンドはKJ。プリフロップは1レイズあったくらいでほぼ全員参加。フロップはA-K-T。
ここでも1ベットあったくらいで、コールで回ってライブプレーヤーは7、8人残っていたと思う。だから、すでにこの時点でポットは100点近い。私の手はセカンドペア+ストレートドロー。ポットが大きいので下りる気はさらさらないが、仕掛けるのは危険だと思っていた。そして、ターンはQ、ストレート完成である。ボードはハート2枚のスペード、クラブ1枚ずつ。
A氏はベット。途中フォールドとコールがいて、私はレイズ。この4枚で終ればAハイストレートで勝ちだが、問題はフラッシュ、フルハウスを作られることである。だから、ここでJを持っていない人には何としても下りてもらう必要があった。なぜなら、ハートのJは私が持っていたのでフラッシュドローでなおかつストレート完成という人はいなかったし、AA、KKを持っていても現時点ではスリーカード。AJでもストレート以上の手にはならないからである。だからレイズした。
私から一人置いて下のB氏とあと1人がコール。この時点で残っているのは5名。Jは4枚しかないので、誰かがドローで勝負を掛けている!再びA氏に回ってリレイズ。この時点でA氏がJを持っていることは確実。考えていることはおそらく私と同じだろう。最初コールした私の上家は下り、私は更にリレイズ。B氏はコールしてもう一人はフォールド。A氏の再度のリレイズに私、B氏がコールしてこのベッティング・ラウンドはようやく終った。
この時点でポットは200点以上となった。3人のJ持ちというのも、ほぼ妥当な線だろうと思ってリバーを見ると、2度目のTである。まあ、全員Jを持っているのなら大事はないはずだと思っていた。A氏はここもベット。私はコール。すると、B氏がレイズである。とたんに悪い予感が走る。まさか、Jを持たないであのリレイズに付いて来られてしまった?あとはおとなしくコールするしかない(この後、A氏リレイズに2人コールでショウダウン)。
A氏はJX
、私もKJ、しかしB氏はKT。リバーでフルハウスをキャッチし、300点を超えるポットを独り占めしてしまったのである(なぜ最後リレイズしなかったのかとの問いに、AAを持たれているかもしれないから、と答えられていた)。このゲーム、Jを持たないで付いてこられた以上にショックだったのは、そのことに私が全く疑問を持たなかった、ということである。これが私だったら多分下ろされていたはずだし、もしかしてAAを持っていたら勝負したかもしれないが、それでも誰が見ても分かるくらい勝負気配を漂わせていたはずである。しかし、B氏は全くいつもと同じように、まるで当然Jを持っているように平然とコールされていた。ポーカーフェースというのは表情に出さないというだけではなく、体にも気配にも表さないことなのであった。だから、この勝負は、きっとリバーが開く前に私が負けていたのである。
[Dec 12, 2005]