係数の大きな男 (ポーカーの奥深い世界第19話) [Apr 18, 2006]
関数y=axのaを係数という。最近感じ出したのは、私は係数の大きな男ではないかということである。何を言っているのかというと、ひとより振れ幅が大きいということである。ツイているときは、圧倒的にツクが(そういうことはほとんどない)、ツイていないときは決定的にツカない。人間罫線の作戦をとることができないのも、そのせいである。こいつツイてないなと思って逆張りしても負ける。ダメなときはどんなツカンポと対決しても私の方が弱いのだ。
私のポーカー自体、技術よりも流れと気合を重視する
ので、自分の運気に最も注意してゲームを進める。自分の運気が強くも弱くもない場合には、チップがどこからどこへ流れつつあるかを注意して見ている。だが、最近自分の運が弱い時はよく分かるのだが、ひとの運が悪いのを狙っていってもほとんど外れる。そして気が付いたのである。弱い時は私がいちばん弱いのだと。先週の火曜日、4日のSTEPSでは、7時の開始第一局をATで制したあと、8時過ぎに再びATで勝つまで、全く勝てなかった、というより手が来なかった。そしてその状況は、リバイラウンド終了まで続いたのである。この間、参加したのはBBのチェック回しのみ。他はすべてフォールドである。なにしろ、AとKはほとんど来ず、来ても相手は2とか3。ポケットペアなど全く来ないのである。
ポーカーを始めて間もない頃、テニアンのライブで3時間近く全く手が来なかったことがあったが、どうも私にはこういう傾向がある。ただ、参加する回数が極端に少ないため、オールイン対決にも巻き込まれることがなく、ほとんど上がっていないにもかかわらずポイント圏内に滑り込むことができてしまった。
そして金曜日、7日のDUKEウィークリーでは、セカンドのTTOSで今年2度目の優勝。この日はちょっと酔っ払っていたので、ひとのアクションなどほとんど気にしないでやっていた。Jさんがすごい勢いで飛ばしまくっていたのだが、スタッドでホールカードAAが来て稼いだりしてなんとかついて行くことができ、最後はMさんとの残り3人になった。ここでなぜかいいハンドが連続して入ったり、手が悪いときには残り2人で打ち合ってくれたりして、優勝してしまった。ほとんど運だけである。
そして翌週の火曜、11日のSTEPS。開始当初からいい手がくる。T9をコールしたら78がフロップで落ちる。コールでついていったらリバーで6が落ちるという絶好の展開。だが、好事魔多し。いい手がバッティングしての打ち合い、これに敗れてのリバイという厳しい状況が続く。こういう時こそ、かねて用意の作戦Xである。
作戦Xは、優勢(チップがあったりツイている状態)では使わない。互角ないし不利な状況のときに、仕掛ける手である。具体的には、①あるポジションのとき(ボタンで)、②ある条件で回ってきて(だれもコールせずに回ってきて)、③ハンドがある一定の範囲であれば(Aがあるか、絵札2枚のとき)、基本的にレイズで受けるというものである[( )内はもちろん冗談。これだと当り前のポジションベット]。
しかし、これがいずれも不発なのである。実は、ボードがある想定内のものであれば相当に強力なハンドなのであるが(バレる?)、いずれもそうはならないのである。結果的にずるずると連敗する。リバイまたリバイで、リバイチップは自己最高の10枚になってしまった。そしてリバイ終了後間もなく、前のゲームで大きくチップを減らしたAさんが、いったん手にした5000点チップを、細かい1000点チップで数えなおしてのレイズ(たしか10000点置こうとしたのを9000点でレイズ)。この時、私のハンドはようやく来たAJ。
相手は下り坂、こちらはようやく来た浮上のチャンス。ショートオールインではあったが、相当に自信のあった一着である。Aさんの開いたハンドはA5。75%の勝率である。しかし、フロップであっという間に5が出る。Jは一向に現れず、結果は無念のゲームセットとなってしまった。STEP史上まれにみる9時過ぎの敗退。もちろんポイント圏内にはほど遠い。
考えてみたら、負けたテニアンの時と同じである。マークしていた相手の運気が下がってきたとみた時、じつは自分の運気はそれ以上に下がっている。運気の波(バイオリズム)には入れ違いがあるはずなのにこうなるということは、私の係数はひとに比べて大きいのだ、と気がついた次第である。もっともそうでなければ、ほとんどズブの素人がテニアンや国内の数ある大会に優勝できる訳はないのである。
これからは、他人の運気を見定めようなどとこすっからいことはせず、ひたすら自分の運気を高めて勝負しようと思っているところである。そうすると作戦Xはいったいどこで日の目をみることになるのであろうか?
[Apr 18, 2006]