テキサスホールデム    オマハのルール    初手の考え方    トーナメント戦略

テキサスホールデムのルール

1.役の強弱

テキサスホールデムの役の強弱は普通のポーカーと同じです。弱い方から、ワンペア<ツーペア<スリーカード<ストレート<フラッシュ<フルハウス<フォーカード<ストレートフラッシュとなります。ストレートフラッシュの中でAハイ、つまり最強の組み合わせであるTJQKAをロイヤル・(ストレート・)フラッシュというのはご存知のとおりです。席や周り順を決める際にはスートの強弱を便宜上つけますが(クラブ<ダイヤ<ハート<スペード)、役の強弱にはスートは関係ありません。

カードの強さはAが最も強く、以下K、Q、…、2の順となります。同じ役同士の勝負となった場合、強いカードを持った方の勝ちとなります。ストレートはAのみがTJQKA、A2345と高い方と低い方の両方に使うことができますが、QKA23のようにAを越えて続くものはストレートとは認められません。フルハウスの場合は、スリーカードの方の数字が優先されます。ストレートは並びの最後の数字で決定されるので、A2345が最弱、TJQKAが最強となります。

同じ役でかつそれが同じ数字で構成されている場合、勝負はキッカーと呼ばれるそれ以外の構成カードによって決められることになります。つまり、「AAK65」と「AAQJ8」の勝負となった場合、キッカーが最も強い数字(この場合K)である前者の勝ちとなります。同様に、何の役もない場合、最も強い数字を持っている人の勝ちとなります。そこでも同点の場合、さらに次のカードの強弱の勝負となります。

例1:役が違う場合、役の強弱により勝負が決まる。

       Bさん 2ペア


       Cさん 3カード=勝ち



例2:役が同じ場合、カードの強弱により勝負が決まる。

       Dさん フラッシュKハイ


       Eさん フラッシュAハイ=勝ち



例3:役も数字も同じ場合、キッカー(残りのカード)の強弱により勝負が決まる。

       Fさん Aスリーカード T、8キッカー


       Gさん Aスリーカード K、8キッカー=勝ち



同じカードが使われているじゃないかといわれるかもしれません。いいところに気がつきましたね。テキサスホールデムでは手札2枚の他は共通の持ち札(コミュニティカードという)となるので、少なくとも1枚、最大で5枚同じカードが使われることになるのです。

また、手の強弱は7枚のうち5枚で決まるので、あとの2枚は勝敗に影響しません。まれに、コミュニティカードの5枚が最強の手ということがありますが、この場合手札がAAでも、23でも残っている人は全て勝ちということになります。

例4:手札の強弱に関係なく、両者勝ちの場合。

       コミュニティカード(ボードともいう)


    Kさん 手札AA   役:ストレート9ハイ=勝ち


    Lさん 手札23   役:ストレート9ハイ=勝ち



例5:手札は違うけれども、両者勝ちの場合。

       コミュニティカード(ボードともいう)


    Mさん 手札AT   役:A7ツーペア Kキッカー=勝ち


    Nさん 手札A3   役:A7ツーペア Kキッカー=勝ち



2.ゲームの進め方

テーブルの割当てと席順が決まると、各自にカードが配られ、最大のカードを引いた人がボタンの位置をとります。ボタンには目印となるもの(本当に、ボタンであったりする)が置かれ、時計回りに1人ずつ交代となります。

ボタンの次(左隣)の人がスモールブラインド(SB)、そのまた次(左隣)がビッグブラインド(BB)と呼ばれ、それぞれゲームの開始前に決められた量のチップをブラインド(強制的に)ベットさせられることになります。[厳密にいうと、一人ずつ回っていくのはBBなのであるが、ボタンが回っていくと考えた方が初級者のうちは混乱しない。]

ブラインドベットがそろうと、ディーラーはSBから時計回りに1枚ずつ、2周でひとり2枚のカードを配ります。ここで、第1回目のベッティング・ラウンド(賭けるか賭けないかの意思表示)となります。意思表示の仕方はそれぞれの場面ごとに次のうちから選択します。


(1) そのベッティング・ラウンドで、自分の前にベットされている場合

コール ベット額と同額のベットをして、賭けを受け入れることを意思表示するものです。

フォールド ダウンともいいます。ベットをせずに、賭けから下りることを意思表示するものです。手札2枚は誰にも見えないように伏せてディーラーに返します。

レイズ ひとのベット額以上のベットをすること、つまり賭け金をつり上げることを意思表示するものです。

特に初級者のうちは、どの意思表示でも発声してからアクションを起こすよう心がけましょう。発声しないでただチップを置くだけだと、自分の意図したものではない方に解釈されるおそれがあります。最初のベッティング・ラウンド(プリフロップ)においては、すでにブラインドベットがありますから、意思表示は上の3つのうちいずれかとなります。


(2) そのベッティング・ラウンドで、自分の前にベットされていない場合

チェック 賭け金を積み増ししないで、現状維持することを意思表示するものです。

ベット 現状の賭け金にプラスして、賭け金を支払うことを意思表示するものです。ゲーム全体の流れの中ではレイズと同様の効果となりますが、そのベッティング・ラウンドでの最初の積み増しをこう呼んで区別します。

そのベッティング・ラウンドで最初のベットがなされると、あとは(1)と同じになります。全員がチェックするか、最後にベットまたはレイズした人から1周回ると、そのベッティング・ラウンドは終了となります。


最初のベッティング・ラウンドが終ると、ディーラーは残ったカードの最初の1枚を捨てて(バーンカード)、次の3枚を共通の場のカード(コミュニティカード)としてテーブル中央で裏返します。この3枚のカードのことをフロップといいます。フロップが配られると、2回目のベッティング・ラウンドとなります。

2回目のベッティング・ラウンドが終ると、ディーラーは残ったカードの最初の1枚を捨てて、次のカードをコミュニティカードとしてテーブル中央で裏返します。このカードのことをターンといいます。ターンが配られると、3回目のベッティング・ラウンドとなります。

3回目のベッティング・ラウンドが終ると、ディーラーは残ったカードの最初の1枚を捨てて、次のカードをコミュニティカードとしてテーブル中央で裏返します。このカードのことをリバーといいます。リバーが配られると、4回目のベッティング・ラウンドとなります。

4回目のベッティング・ラウンドが全員チェックで回るか、誰かのベットまたはレイズにコールして1周回り終えると、全員チェックの場合ボタンから遠い人、最後にベットまたはレイズした人がいる場合はその人から、手札をオープンします。その結果、最も強い組み合わせの人が勝ちになります。初級者のうちは、ここまできたら、勝っても負けても手札を手元でオープンしましょう。役を見逃している場合があるからです。上級者のように伏せたままディーラーに返すことはもちろん、表にしてもカードを投げてしまうと、囲碁・将棋でいう「投了」とみなされて、自動的に負けとなってしまうことがあります。

3.賭け金の配分

ゲーム終了時に最強の手を作った人か、ゲーム途中のベッティング・ラウンドで自分以外のすべての人をフォールドさせた人がそのゲームの勝者となり、賭け金のすべて(ポットという)を手に入れることができます。ただし、後者の場合には勝者は常に1人ですが、前者の場合は勝者が2人以上となる場合があります。その場合、ポットは勝った人たちで山分けされ、チップの最小単位より小さい額については位置が悪い人(ボタンから遠い人)に配当されます。

また、ライブゲームの場合、ハウス(カシノ)の取り分として、ポットの一定割合がディーラーによって天引きされます。これをレーキといいます。レーキはハウスに支払われる金額ですので、リアルマネーの場合はこれとは別に、勝った人がディーラーにチップを払うのが普通です。その金額はそれほど大きなものである必要はなく、ポットの1%前後、金額にして最低1US$くらいを目処にすれば、それほど変な目でみられることはないと思われます。

このページのトランプ絵柄につきましては、Ugetsu Company ”HOMEPAGE MATERIALS”の素材集を使用しました。ありがとうございました。


オマハのルール

オマハの基本的な部分はテキサスホールデムと同じです。ボタンとスモールブラインド(SB)とビッグブラインド(BB)が回りもちで、BBの次の人(UTG)からプリフロップのベッティング・ラウンドが始まります。このベッティング・ラウンドが終ると、3枚のコミュニティカード(フロップ)が配られ、2回目のベッティング・ラウンドとなります。以下、ターンが1枚(3回目のベッティングラウンド)、リバーが1枚(最後のベッティングラウンド)、計5枚のコミュニティカードが配られて、勝負!となります。

テキサスホールデムとの最大の違いは、手札が4枚配られること、そして必ず手札で2枚、ボード(コミュニティカード)で3枚のカードを使って、一番強い役を作らなければならないこと、です。従って、ボードで例えばTJQKAのストレートができていても、みんな勝ちとはなりません。ボードは3枚しか使えないからです。同様に、手札でフォーカードが来てもほとんど役に立ちません。そのうち2枚しか使えないし、手札にあるということはボードに出ないことは確実ですから、手が発展することが望めないからです。

それでも、テキサスホールデムの2枚に対して4枚のカードがあるということは、それだけ高い役を作れるチャンスもあるということであり、勝つためには3カード以上の手ができていることが望ましい、とされています。従って、テキサスホールデムでは最強であるAAが来たからといって安心することはできません(もちろん、かなり強い手ではあります)。フラッシュ目やストレート目の手もかなり期待できる種目である、といえるでしょう。


例1:AAKKでも、まくられる

       ボード


      Pさん Aスリーカード


      Qさん ストレートJハイ=勝ち



例2:ハンドからは2枚、ボードからは3枚しか使えない

       ボード


      Rさん Jワンペア(フラッシュではない)


      Sさん フラッシュQハイ=勝ち



上の例1では、Pさんは手札のAAとボードのAJ9でAスリーカードJ9キッカーの役ですが、Sさんが作った、手札8T、ボード79Jのストレートの方が上です。ストレート系にとっては、異なる数字の4枚が揃うとチャンスは大きく広がる、ということが分かります。

例2では、ボードに4枚のスペードがありますから、テキサスホールデムならば手札に1枚でもスペードがあればフラッシュ完成ですが、オマハの場合ボードは3枚しか使えませんので、手札には少なくとも2枚のスペードが必要となります。Rさんは1枚(A)しかありませんので、フラッシュにはなりません。

ちなみに、Sさんは手札の56とボードの347でストレートにもなっていますね。


2.ローハンド

オマハハイローの一番分かりづらいのがローハンドですね。ローハンドというのは、文字どおり低い手ということで、簡単にいうと「1(A)を最小として、最も数字の小さい5つの異なる数字を集めた者が勝ち」というゲームです。以下では8オアベター、つまり8以下をローハンドとするというルールで説明します(これ以外のルールもありますが、8オアベターが一般的です)。

さきほどルールのところで説明したように、手札で2枚、ボードで3枚のカードを使わなければならないので、少なくともボードの5枚のうち3枚、8以下のカードがなければそのゲームではローハンドは成立しません。また、自分の手札に2種類の8以下のカードがなければ、ローハンドは作れません。

ローハンドは、ペアやスリーカードになっていてはいけません。そのため、ローハンドは強い方からいうと、A2345>A2346>A2356>A2456>A3456>23456>A2347>・・・>45678という順序になります。

つまり、手札にA2があって、3~8までの異なる数字の3枚のカードがボードに出ていれば、これはローハンドのナッツですから、少なくともローハンドは取れるということになります。

ローハンドは成立しない場合がありますが(ボードに3枚以上の8以下の数字が出ない場合。または誰も2枚のローカードを持っていない場合、など)ハイハンドは必ず成立します。ローハンドが成立した場合、ポット(賭け金総額)はハイハンドとローハンドで折半されますが、ローハンドがない場合、ハイハンドを作った人の総取り(スクープ)となります。

例3:ローハンドが成立しうるボード

    


   ハイハンドのナッツはJJ、ローハンドのナッツはA2。



例4:ローハンドが成立しないボード

    


   ハイハンドのナッツはAhXh、ローハンドは成立しない。



3.初歩の戦略

正直申し上げて、オマハハイローは難しいです。ひとつだけいえるのは、みんなに4枚のカードが行っているので生半可な手では勝てないことと、ローハンドで勝とうとしてもボードにローカードが来なければいかんともし難いということです。

従って、初心者のうちは大きく負けないように手を絞ること、深追いはなるべく避けることが生き残る戦略といえるでしょう。まあ、勉強のためにフロップを見てみる、というくらいがいいのかもしれません。

ここでもし、A2以外のローカードが3枚出て、しかも自分の手札にA2があるときはレイズです(ローハンドは勝てるし、もしかしたらみんな下りてくれるかもしれません)。また、ハートが3枚出て手札にAを含む2枚のハートがある場合や、フロップで手札のハイカードペアの3枚目が出た場合なども有望でしょう。

それでも結構まくり目が残ることが多いですし(Aまたは2が出るとナッツは変わる)、勝者が複数なんてこともよくあるゲームですから、自分なりの距離感が固まるまではあまり大勝負しない方が無難でしょう。

基本的に、オマハハイローはスクープして勝つゲームです。ローハンドはどちらかというと守りの戦略と考えた方がいいかもしれません。ハイハンドで勝負していたらたまたまローも取れてしまったというあたりが、いいさじ加減なのかもしれません。


テキサスホールデム戦略編 初手の考え方

1.はじめに

さて、身の程知らずにも戦略講座をやろうという訳だが、なぜこんなことをやるのかというと一つには自分の理解のためであり、もう一つにはポーカーサイトを覗いていると初心者講座から上級者講座までのスパンがひろすぎやしないか、と思うからである。ということで、毎日通勤電車で考えていることをまとめることにした。

テキサスホールデムの場合、自分がどのような戦略をとっているか知られるのは非常に不利であり、こんなことをHPに載せて裏をかかれたりするリスクは相当あるが、こうした戦略論は私の戦法のうちの一部に過ぎないので、あまりそういう心配はしていない。ましてや、人に真似されれば光栄ではあるが、私より他に真似をすべき人はたくさんいると思うから、まあ読み物として楽しんでもらえれば幸いである。


2.役作りの二つの考え方

テキサスホールデムでは、最初に2枚(ハンド)、次に3枚(フロップ)、その後1枚(ターン)、最後に1枚(リバー)と配られるため、その都度役作りに対する考え方を整理していかなければならない。大きく分けて役作りには二つの考え方がある。

ルート1:ワンペア→ツーペア→スリーカード→フルハウス→フォーカード

ルート2:ストレートまたはフラッシュ→ストレートフラッシュ

ルート1はヒットすることにより徐々に相手を上回る考え方であるし、ルート2は狭義の役作り、これができれば一気に逆転という考え方である。そして当然ではあるが、2枚しかないプリフロップの段階でルート2の役が確定していることはありえない。ルート2というのは何らかの方法でフロップ以降に勝負を持ち込まなければならないということである。

そして、ボード(コミュニティカード)は各プレイヤーにオープンかつ共通のものであるから、ルート2の役ができる可能性が大きいか小さいか、あるいは全くないかは考えれば分かるし、それが分かるようになるのがテキサスホールデム攻略の第一歩となる。

ルート2の役ができるかどうかがボード次第であるということは、大方のゲームはルート1の考え方で進められるということである。逆に、そういうときにルート2の考え方で参加すれば、勝つ確率は低いものの勝った場合に得られる成果も大きいということになる。


3.AAはなぜ強い?

初手の考え方を検討するサイト等において、AAのハンドで下りるべきだなどと主張しているものはない(ケースによって、そうしなければならないことはもちろんある)。それだけAAは別格で強いのだが、それはなぜだろうか。

1.プリフロップにおいて、最強(ナッツ)である。

2.コミュニティカード(ボードともいう)に2つ同じ数字がなく、ストレート、フラッシュができない(スト目・フラ目という)組合せで、かつAが出ていれば、ナッツである。

3.2.でAが出ていなくても、ハンドがポケットペア(手札がペア)のプレイヤーがいなければ、自分がいちばん強いペア(ハイペアという)を持っている。[ツーペアがいなければいちばん強い]

つまり、多くの場合に「自分がいちばん強く」かつ「いちばん強いということが自分で分かる」ということである。だから、どのポジション、どのようなシチュエーションでも勝負していいというのはAAだけであり、その他の手は何らかの瑕疵がある。例えばKKは、「AAがいなければプリフロップで最強」ではあるが、フロップにAが落ちたとたん2番手以降の手になってしまう。そして何よりも「いちばん強いということが自分で分からない」というマイナスがある。

もう一つ、勝負になると他のプレイヤーとの優劣になるが、その場合相手が勝負してくる可能性の大きい「ポケットペア」にしても、「フロップでのヒットを期待するハンド」にしても、AAはそれらに対して圧倒的に優勢であるということがあげられる(むしろランダムハンドの方がAAには分がいい。といっても勝率25%程度)。だから、プリフロップで打って来るプレイヤーがいても、AAは余裕をもって対応することができる。


4.ポケットペア

AAでなくても、ポケットペアはすでにワンペアが出来ているということであるから、プリフロップにおいてはきわめて強力な手である。ただし、フロップが落ちた瞬間に二番手以下になる可能性もあり(あるいは大きく)、両刃の剣(大盛りネギだくギョク、古いか・・・)の性格が強い。

従って、どのように打ち回すかということを考えた場合、ポジションを重視する必要がある。ポジションが良く他のプレイヤーの動向を見てから意思決定できる場合、ペアの数字以上の効果を期待することができるし、逆にポジションが良くなければ、常に後ろに自分以上のハンドの人がいることを心配しなければならない。具体的には、相手が一人しかいなくてかつポケットペアでなければ、ハンドが22でも十分勝負になるし、逆にQQを持っていても後ろからAA,KKが出てきたら勝ち目は薄い。

また、フロップが落ちてセット(スリーカード)になればきわめて強力な役であるが、それでも自分のペアの数字より上の数字がボードに見えていれば「自分がいちばん強い」かどうかは分からない。また、自分のペアよりも大きい数字の絵札が出るとほぼアウトである。というのは、AとかKとか、あるいはハイカード2枚を持っている人はかなりの確率でゲームに参加してくるからだ。

その意味で、ポケットペアはいろいろなことを考えながらゲームに参加すべきかどうかを判断することになる。


5.フロップでのヒットを期待するハンド

フロップでのヒットを期待するハンドの代表はAKである。俗に「当らなければただのブタ」といわれるように、2のワンペアにも負けてしまう手である。もちろん、フロップでヒットしなくてもターン、リバーでの逆転がありうる場合が多いが、その分リスクが大きく常に自分が引かなければ勝てない(現状のままでは負け)であることは心しておくべきであろう

AKの他にも、AQ、AJ、KQなど参加したくなるケースが多いのがこのハンドであるが、注意すべきなのは例えばAQであっても、望むのはAが落ちることではなくQがハイペア(ボードの数字の中で最も大きいのがQ)になりハイペア+Aキッカーとなることである。Aが落ちてもAKがいては勝てないからである。その意味で、絵札2枚での参加はリスクを伴う。

また、同様の理由でAxの場合もAがヒットしたからといって深追いはできないし、xがハイペアになるのはせいぜい8か9だろうから、そうしたリスクを常に念頭に置いてプレーする必要がある。その場合はむしろ、次に説明するルート2の役作りをめざす考え方でとらえるべきかもしれない。

もう一つ、この手のハンドには「AA以外のポケットペアとは五分」という長所がある。AA以外のプリフロップオールインなら、受けて立ってじゃんけんするのに最も適したハンドであるといえる。


6.ルート2の役作りをめざすハンド

最初に述べたように、2枚しかカードがない段階でストレートやフラッシュを狙うというのはリスクが大きいし、AXsのように他にA持ちがいなければ勝負になるというケースを除いては、ポジションが悪いときに打って出るハンドではないように思う。とはいえ、多くのプレイヤーが参加しない67oというような手で、もしボードに345なんてカードが落ちた日には、一攫千金のチャンス到来である。

したがって、ポジションがいい場合やプレイヤーが少ない場合、どうしてもスチールを決めたい場合などに、大きなリスクを許容した上で、こうした手で勝負することになる。

絵札2枚や隣接するカードとのスーツ(Q9とか)の場合、5.の意味と6.の意味があってゲームに参加するケースが多いが、フロップが落ちた瞬間でその成否はほとんど明らかであるので、意に反したボードの場合、潔く撤退する勇気も必要だろう。

もう一つ、フロップでストレートやフラッシュが完成するケースはむしろ少なく、この段階ではドロー(あと1枚で完成)で、ターン、リバーの結果待ちということが多い。ここで歯をくいしばるか、次のチャンスを待つかはそれぞれのプレイヤーの個性なのだろうと思う。


7.以上のいずれにも該当しないハンド

以上に述べたケースのいずれにも当らないハンドで参加するケースというのはBBですでにチップを置いているという場合以外はあまりないかもしれない。しかし、たとえ83だって8が3枚、3が3枚落ちればナッツだし、88332などという場合も実質ナッツである。こういうボードだと、「まさかこんな手で参加してこないだろう」とほとんどの人は思うから、A8とかでビッグベットしてくることが考えられ、そういう場合は大儲けとなる。

もちろん、そういうことはほとんど起こらないので、通常は参加を見送るべき手である。ただ、もう一つの考え方として、「誰にも役ができないことに賭ける」という意味で、こうしたハンドで参加することはありうる。その場合、打たなければ意味がない(最後まで回ったら勝ち目がない)ので、それなりの勇気と技量が求められる。


8.総括~私の考える初手のとらえ方

以上述べてきた初手のどれで参加するかしないかということについては、「AA以外は参加しない」と「すべてのハンドで参加する」を座標軸の両端に置いて、さまざまの姿勢、考え方がある。だから、一律にポケットペアかA9以上とか決めてゲームに参加することは、自分にとって有利な選択肢とはいえない。

重要なのは、現在自分の置かれているポジション及びシチュエーション(チップ量、残り人数、ブラインドの額、テーブルの他のプレイヤーの打ち方、などなど)によって、その都度自分の立ち位置、どのレベルの手で参加するか、しないかを判断していくことなのではないかと思う。

さらにいうと、参加すると決めた時点で、ボードにどのような数字が出るか出ないか、他のプレイヤーがどのようなアクションをするかしないかによって、自分の次にとるべきアクションを想定しておく、ということが重要である。

だから、ボードを見て、あるいは他のプレイヤーのアクションを見て、考える(ふりをする)というのはあくまでインサイドワークであるべきであり、本気で悩むくらいなら初めからゲームに参加すべきではない。そこで考えるというのは最初に考えが足りなかったからで、その時点で当初のプランは崩れているからである。


テキサスホールデム 初級者のトーナメント戦略

1.戦略の重要性

テニアンポーカー選手権が来週末に迫り、私が「テニアン・チャンプ」を名乗っていられるのもあと10日余りとなった。偉そうなことを言っていられるのも今のうちなので、ここで日頃考えているトーナメントの戦略論についてまとめてみようと思う。

ポーカートーナメントというのは戦争に似ている。一人一人のプレーヤーはそれぞれ戦場における戦国大名であり、それぞれチップという部下を持っている。人員は限られているので、部下を増やすイコール勢力を拡大するためには戦場にいる他人から奪わなければならない。そしてそこには、戦争と同様に戦略、戦術、戦闘というそれぞれの要素が絡み合って、勝敗を決めていくのである。

戦争であるから、まず自分自身の戦力を正確に把握する必要がある。まず前提となるのは、初級者にとって戦闘能力ではベテランに敵うわけがないということである。ならばどうしたら生き残れるか?戦略・戦術で上回らなければならない。それでも五分五分にはならないかもしれないが、ベテランが深傷をおっていれば(チップ量できわめて自分が優位にあれば)、なんとかなるかもしれない。

戦略とは何か?言葉を変えれば戦争目的といっていいかもしれないが、私はポーカーには3つの異なる要素、ベクトルがあるのではないかと思う。それは、「楽しむこと」「勝つこと」「上達すること」である。われわれはポーカーで御飯を食べているわけではないので、この中では「楽しむこと」が最優先されるべきであるというのが私の考えである。

しかし、深夜番組でゴルフの先生が「健康のためとは言うけれども、スコアが良くなければ健康のためにはなりません」というように、「楽しむためとはいいながら、勝たなければ(いい成績をとらなければ)楽しくはありません」というのが真実であろうと思う。その意味で、この3要素はもちろん相互に影響しあっているのだが、これらに対してどう比重を分配していくのかというのがまず出発点ではないかと思う。

もう一つ押さえておかなければならないのが、上達するとはいってもそこには素質の壁が必ずあるということである。若い頃、囲碁・将棋に凝っていた時期があって、囲碁でアマチュアの強い人に指導を受けたことがある。ご存じのように囲碁は19×19=361の碁盤に打っていくので、ひと勝負少なくとも200手以上、多い場合は300手になる。さて、指導対局が終わったあと、その強豪はなんと、初手から並べなおして、どこがどういけなかったかを解説してくれたのである。そのくらい、トッププレーヤーの能力、才能はすごいものなのである。

ポーカーにおいても同様で、例えば貴方(貴女)が、現在テーブルに座っている各自のチップ量、試合開始以降の各自の戦績、勝負どころの自分のハンドとボードなどをよく覚えていないとか(私がそうです)、手の良し悪し、ボードとマッチしているかどうかを表情やそぶりに表さないことができない、また他人のわずかな表情やそぶりの変化を敏感に察知することができない(これも、私がそうです)とかといった要素があるとすれば、おそらくポーカーの才能としてトッププレーヤーまでには達しないと思った方が身のためである。

しかし、そうした「戦闘」能力で敵わないとしても、戦略・戦術でいくらかはカバーできるのがポーカーではないかと思う。それでは実際にどのような戦略・戦術があるのか、次回はまず、「勝負にこだわった初級者の戦略」について述べてみたい。



2.「勝つこと」を重視した戦略

前回は、戦略を構成する要素に3つの要素、つまり「勝つこと」「楽しむこと」「上達すること」があることを述べたが、その中で楽しむことと上達することをかなり犠牲にして、勝つこと、つまり勝負にこだわった戦略について説明してみたい。

もちろん、勝つとはいっても、初級者である貴方が上級者に伍して互角以上の成績をコンスタントに残す、などということはありえない。それでも、技量の差を極小化し、ポーカーの持つ「運のいい方が勝つ」という側面を最大限に活かすやり方はある(と思う)。それは、フロップが開く前に勝負をかけてしまうこと、即ち、「玉砕オールイン戦法」である。

手札の2枚だけしか情報がない場合、どんな上級者であっても、これで勝てるという確信がある訳ではない。例えAAを持っていても、38に負けてしまうことはありうることなのである。しかし、フロップの3枚が開いて手札と合わせて5枚の情報がある場合、戦闘能力のある上級者に勝てる確率は相当に低くなってしまう。だから、フロップが開く前に勝負をかけるのである。

この作戦をとる場合、見栄とか(こんな手でオールインして恥かしくないか、といった)、楽しさとか(できるだけ長くゲームを楽しみたい、といった)、技術の上達とか、そういったことには一切目をつぶる必要がある。狙うのはただ一つ、オールインによるじゃんけん勝負である。

通常、誰かがオールインをした場合、それにコールするのはある程度勝算のある手でないとならないといわれているが、そうしたセオリーも無視する。どうにも勝負にならないという手でない限り、ある程度チップを持っているうちにオールインをぶつけてしまうのがこの作戦の要諦である。もちろん、どの手で行くかということは戦闘のレベルでは重要なファクターなのだが、戦術としてより重要であるのは、勝てばチップを倍増できるというシチュエーションで飛び込む、その他の場合は勝負しないということである。

引分けの場合は先にオールインした方の勝ちなどというルールがない以上、どちらが先だろうが関係ない。つまり、先にオールインするのもオールインにコールするのも同じである。また、初級者である貴方のオールインは大抵の場合不利な条件であるだろう(良くて五分五分、普通は25%くらいの勝率かもしれない)。それでも、技量の差がそれ以上あると考えれば、4回に1回勝てるじゃんけんというのは今の貴方にとって決して率の悪いものではない。

仮に32人のトーナメントであれば、単純計算ではオールインで5連勝すれば優勝である。実際はオールインするまでブラインドに削られるのでそうそう簡単には行かないけれども、チップを原点の2倍にするだけで状況は相当改善される。それ以降もうまくオールインをぶつけていけば、運が味方すればかなりいいところまで勝ち進むことができるはずである。

おそらく、初級者が上級者に伍していい成績をとるための作戦としてはこれが最上であり、私自身もこれで実力以上の成績をたびたび収めることができた。しかし最近では、実はこの作戦を封印している。それは、ポーカーのもつ「ゲーム自体の楽しさ」「上達する喜び」を犠牲にしているのではないか、と思うからである。それでは他の要素を最小限にして「楽しさ」を最優先する戦略とはどのようなものであるか、次回はそのことについて述べてみたい。



3.「楽しむこと」を重視した戦略

ポーカーの楽しみは結局のところ、いい役を作って勝ち、ポットを総取りすることではなかろうか。最初に述べた戦場の例でいえば、敵の大将を討ち取ったり手柄を立てることになるだろう。もちろんトーナメントで勝ち残ることも楽しいのだが、一度も上がれない15位と取ったり取られたりの16位とどちらがより楽しいかといわれると、前者がいいと迷いなく言える人は決して多くはあるまい。

だから、とりあえず「勝つこと」「上達すること」より楽しむことに比重を置くという戦略はおおいにありうる。逆にいうと勝つことにこだわらなければそれだけで楽しむことができるのかもしれないし、もしかしたら人生の達人とはそのような人なのかもしれない。ともかく、楽しむという戦略に基づく戦術は、「行きたいときに行く戦法」ということになるのだが、このとき考えなくてはならないのが、そうは言っても勝てる可能性の低い手で粘るのだけはやめるべきである、ということである。

前回述べたように、手札がどんな手であってもその時点ではチャンスはある。しかし、フロップが3枚開いた時点で大方の勝負はついてしまっている。例えば、As-Qd-8dというフロップで、貴方が仮にQsJhと持っているとして最後まで粘るべきなのだろうか。貴方が現在勝っているのは、誰もAを持っていなくて、QQペアも88ペアもKQもいない場合だけである。また、もう一枚ダイヤが落ちたり、9からKまでのどのカードが出ても、ストレートまたはフラッシュの可能性が出てくる。もう一枚Qが落ちるのが最も望ましいケースだろうが、それでもAAとか88、AQ、KQがいれば敵わない。

だから、そもそもQJoで参加すべきではない、という考え方もあるのだが、参加してしまった以上、打たれたら(ベットされたら)潔く撤退すべきであろう。QJoで期待するフロップはQとJが一緒に出るかA-K-Tが出るかであり、それ以外の場合きわどく負けている(これをハマリ手という)可能性が大きい。「行きたいときに行く戦法」においては、引き時を間違えるとすぐに傷が深くなることを忘れてはならない。

逆に、As6sとかで参加して、スペードが3枚フロップに出た場合などはポーカーをやっていて良かった!という瞬間であろう。ここぞとばかりに、がんがん行っていいシチュエーションである。ストフラやフルハウスを作られてしまったら、これで厄払いができたと思って諦めよう。また、レイズ・リレイズで盛り上がっている場に56oとか38oとか中途半端な手で参加してみるのも一興である。AKとかQQを持っている相手に、3-8-8とか出てナッツというのも、溜飲が下がるというか、かなりうれしいものである。

結局のところこの戦術はやりたいときにやりたいことをするというものなのであるが、手札2枚からフロップで何が出たらいいのか、フロップ3枚をみて何がナッツなのか考えることが必要となるので、初級者にとってやってみて損のない戦術である。ただし、前回の「玉砕オールイン戦法」と同様、運がよければ勝てるし悪ければ勝てないという限界がある。

運が悪いときでもそれなりの成績を収めるためには、やはり技術の向上、つまり「上達すること」が求められるのである。次回は「上達すること」に主眼を置いた戦略について述べてみたい。



4.「上達すること」を重視した戦略

たとえ今は初級者であっても、いずれは上級者に伍して自らの腕で勝負していきたいと思うなら、「勝つこと」「楽しむこと」をある程度犠牲にして「上達すること」に軸足を置いた戦略を選択する必要がある。なぜ「上達する」ことと「勝つこと」が両立しにくいのか。それは囲碁・将棋において「定石(定跡)を覚えると一子(香車一枚)弱くなる」のと同じようなことがポーカーにおいてもあるからではないか、と思っている。

ポーカーを始めたての頃は、ある意味好きなようにプレイできるので、手が伸び伸びしている。前回、前々回に説明した作戦もいわば「捨て身」であり、負けてもともとと開き直ることのできる戦術である。そういう時は、不思議と運が向くことが多い。ところが今回述べる作戦は、上級者に近づこうというものであるから、なぜか手が縮こまってしまう。何も考えないでやっていたときより、かえって戦績が振るわないことが多いのである。だが、「上達する」ためには、この道を避けては通れないと思って耐えるしかない。

ポーカーの定石は一つしかない訳ではないので断定的なことは言えないのだが、少なくともこの戦略における有力な戦術として、「タイト&アグレッシブ・プラスアルファ」と呼ぶことのできる作戦がある。タイトとは、手を絞って勝つ確率の高いハンドで参加すること、アグレッシブとは、積極的に攻撃姿勢でゲームに臨むことである。例えば、ミドル以上のポケットペアか、AK~AT、スーツの揃ったAxでしか参加しないが、一度参加したらベットやレイズでどんどん攻める、ということである。

競馬に例えれば、1日12レースを全て買うのではなく、1レースに絞って資金をぶち込むというやり方に似ている。参加するときは勝てる可能性が大きい手であるので、逆に「これで勝てないのはおかしい」と思ってしまうのが、上に述べた手が縮こまってしまう理由ではなかろうか。そして、手が来るか来ないかはまさしく運だから、来なければ延々とフォールドし続けることになる。とはいえ、calling station(コールばかりする人)よりfolding machine(下りてばかりいる人)の方が、寿命が長くなることはおそらく間違いない。

この作戦の要諦はまさにそこにあって、いいハンドが来るまではひたすら我慢することである。だから「楽しむこと」はかなり犠牲になる。どうにも手がこない時、中途半端な手で行ってみたくなることが多いのだが、そこを耐えることが重要である。上級者の中には、AJで行かないという人すらいるのだ。

さて、「タイト&アグレッシブは分かったが、プラスアルファって何?」と思われた貴方、鋭いです。実はこの部分は私も明確に表現することはできません。でも一つだけいえるのは、「タイト&アグレッシブ」を徹底すればその出現率は7、8%かせいぜい10%程度。つまり平均すると10回に1回以下しかゲームに参加できないはずなのに、多くの上級者はもっと参加しているような気がする。それは何か、ということなのである。

この部分は誰も教えてくれないので、盗むしかない。その一つの方法として試してみて損がないのが、上級者といわれるプレイヤーと同席する機会に恵まれたら、負けを覚悟して手を開かせる方法に持っていく、ということである。そしてうまく手を開かせることができたら、そしてその手が上に述べた「タイト」なものではなかったならば、その時のポジション、絶対的・相対的なチップ量、ボード、参加者などをしっかり覚えておいて、なぜその上級者が、その時その手で参加したのかをよく考えてみるのである。

「タイト&アクレッシブ・プラスアルファ」作戦が「上達すること」に本当につながるのかどうか正直なところ自信はないが、以前より視野が広がってきたことだけは確かである。ただ上級者とされるプレイヤーの7、8割はタイト&アグレッシブであるということがよく言われており、今のところは、この戦術を自分なりに極めて行きたいと思っている。

さて、これまで3回にわたり、「勝つこと」「楽しむこと」「上達すること」にそれぞれ比重を置いた戦術について説明してきたが、それ以外に他の勝負事と同様にポーカーにおいても非常に重要であるのが、メンタル面である。最後にこのことについて説明して、今回の戦略講座のしめくくりとしたい。



5.ポーカーにおけるメンタル面

中国武術のことわざで「一胆二力三功夫」というのがあるらしい。らしい、というのは、もともと相場の格言にそういう言葉があったような気がして調べてみたらこれが出てきてしまったのでそういうのだが、いわゆる「心技体」ということである。日本でも中国でも最初に来るのはメンタル面であるということに着目すべきであろう。

ポーカーも勝負である以上、最後にモノをいうのは精神力である、というのは私の信念である。運は基本的にみんな平等であり、技術が一緒ならば成績は似たようなものになるはずなのに、おそらくそうはならない。そこには、どうしても勝ちたいという「勝利への執念」、苦しい状況を耐える「不屈の闘志」、勝つためにはどうすべきかを常に念頭におく「前向きの姿勢」、勝負どころで迷いを断ち切る「決断力」といったメンタル面での差があって、それが結果に反映するように思えてならない。

ポーカー歴が必ずしも長くはない人であっても、カシノゲームの経験が長い人はそれぞれそれなりの勝ちパターンを持っている。その根底には、ギャンブル全般に共通するものがあるはずだ。ギャンブルをやっている人がいまだにギャンブルを「やれている」ということは、とりもなおさず生き残ってきたということである。だから、それぞれどこかで必ず勝っているはずであり、負けているはずであり、その結果ともかく死ななかったということである。

ポーカーの技術を一朝一夕に向上させることは、たぶん難しい。しかし、メンタル面の力を向上させることは、日々の精進次第である程度可能なのではないか。座禅ではないが、通勤電車の行き帰りでいろいろなシミュレーションを行う、というのも一つの方法かもしれない。カシノの他のゲームでも、もっと言えば日々の生活の中でも、メンタル面を強化する機会というのはいろいろあるように思う。

そのアンチテーゼとしてあるもう一つの考え方は、「たかだかポーカー、そんなに気合をいれることはない」と肩の力を抜くことであろう。われわれ一般人はポーカーでごはんを食べようと思っている訳ではない。日々のストレスをポーカーで発散することが本当の目的であるはずなのだ。だとすれば、あまり勝とうと思うことはかえって健康上よくないのではないか。そうでなくても、囲碁や将棋と違って、強いからといって毎回勝てるゲームでもないのである。

そして、これは負け惜しみなのだが、結局のところ対人ゲームで強いのは、性格の良くない人である、ということは知っておいた方がいい。他人に対する遠慮、思いやり、同情、手助けといった要素は、対人ゲームの勝負において絶対にマイナスに働くのである。だから、ポーカーで強くなることより、みんなに好かれる人でいたいという選択肢は十分ありうるし、途中でも言ったけれど、人生の達人とはそういう人なのかもしれないと思う。


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初級者が偉そうなことを書きました。最後までお付き合いいただいた方々に感謝いたします。私が「テニアン・チャンプ」を名乗ることができるのもとうとう明日までになりました。週明けからは、ポーカーについての記事は、もう少し違った観点から書いてみようと思います。どうもありがとうございました。

[Feb 16, 2006]


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