競 馬 オートレース 万馬券 ディープ産駒、英ダービー制覇
金沢競馬で照明ダウン ダービーだから倍つける訳ではない
カシノとは?スポーツブックとは?
日本国内において、金銭を賭けてゲームを行うことは刑法により禁じられている。特別法として制定されている、競馬、競輪、競艇、オートレースのいわゆる公営競技を除き、ギャンブルを行うことはできない。
しかし世界的には、特に先進国においては、カシノを持たない国の方がむしろ少数派となっている。カシノは、国や地方公共団体からライセンスを受け、公正な運営、熟練したスタッフ、支払いの保証、顧客サービス等の定められた条件を満たした上で、その営業を認められているのである。
カシノ(日本語ではカジノだが、外国ではカッシーノと「シ」にアクセントを置かないと通じない)の提供している種目には、主としてテーブルゲーム、スロットマシン類、それとスポーツブックがある。
テーブルゲームは文字どおりプレーヤーがテーブルの周りに座って(立つ場合もある)ゲームを行うもので、カードを使うバカラやブラックジャック、カリビアンスタッドポーカー、ダイス(サイコロ)を使う大小やクラップス、ルーレット盤に球を転がすルーレット、パイガオタイルと呼ばれる牌を用いるパイガオなどのゲームがある。
スロットマシン類は機械を相手にゲームを行うもので、近年ではコンピュータと連動したTV画面で行われるビデオスロットやビデオポーカーの進出が著しい。
スポーツブックは日本でいう競馬の場外売場のようなものであるが、賭ける対象が競馬やドックレースだけでなく、野球やサッカー、バスケットボール、アメリカンフットボール、ボクシング、カーレース、果ては次の選挙でどこが勝つかに至るまで、広範囲の賭けが行われている。
このHPでは作者である私個人の趣味で、テーブルゲームについての考察と、スポーツブックに関する現在進行形での記事を中心に進めていくこととしたい。おつきあい願えれば幸いである。
[Mar 14 ,2005]
スポーツブック
スポーツブックの賭け率の記載方法には、アメリカンスタイルとユーロピアンスタイルがあるが、ここでは、ラスベガスで用いられているアメリカンスタイルで説明する。
ペイトリオッツ -260 -4.5
イーグルス +220 46 o/u
このように記載されている場合、チーム名のすぐ横に書かれているのがマネーライン(ML)という賭け方で、単純に勝ち負けを当てるものである。
この場合、ペイトリオッツが有利とみられていることから、オッズが-260となっている。-(マイナス)で表記されているオッズはイーブン(1:1、日本の競馬でいうと2.0倍)以下ということで、"-x"は"100/x"という意味である。したがって、-260は100/260≒0.385、1の賭けに対して0.385の配当、競馬でいうと1.385倍ということになる。
一方、イーグルスのオッズは+220。+(プラス)で表記されているオッズはイーブン以上ということで、"+x"は"x/100"ということである。したがって+220は220/100=2.2、1の賭け金に対して2.2の配当、競馬でいうと3.2倍ということになる。
さて、この場合ブックメーカー(胴元)は、賭け金の合計がほぼペイトリオッツ2.2に対してイーグルス1になるとみていることになるが、もしそうであれば、本当はペイトリオッツのオッズは-220(1.455倍)でもいいことになる。この差がブックメーカーの取り分(ハウスエッジ)ということである。つまり、MLの賭け率の数字を単純に合計すると、マイナスになるということである。
次に説明するのがポイントスプレッド(PS)、これがボールゲームの場合のスポーツブックの代表的な賭け方となる。
上の例では、ペイトリオッツの行、MLの数字の横に-4.5という数字がある。これは、ペイトリオッツの点数から4.5点引いたとして、どちらが上かを賭けてください、というものである。当然のことながら、有利と思われるチーム(Favoriteという)から点数を引く。
ブックメーカーは、MLでは偏ると思われる賭けをハンデをつけることによって1:1とするように、ハンデを決めることになる。しかし、ブックメーカーの取り分があるので、配当はイーブン(2.0倍)という訳ではなく、ほとんどの場合-110(1.90倍)になる。
PSのハンデと同じ列、ハンデがつかなかった側(Underdogという)に45 o/uという数字があります。これは総得点を賭けるもので、この場合両軍の得点合計が45点より上か下かという賭けである。配当はPSと同じように-110となる。アメリカンスタイルの場合、特に引分けに対し賭けがある場合を除き、ML、PS、o/uとも引分けの場合賭け金は元返しとなる。
以上がラスベガスないしアメリカンスタイルの賭け率表示となるが、イギリスなどヨーロッパ系のブックメーカーでは異なる方法をとるところが多い。
マンユナイテッド vs ACミラン
home evens,draw 2/1,away 5/2
この試合ではホームチームが勝つと賭け金の同額の配当が(再び日本の競馬流にいうと2.0倍)、引き分けだと2倍の配当が(同3.0倍)、アウェイチームが勝つと2.5倍の配当が(同3.5倍)得られるということになる。ここでも、配当から類推される投票割合は1/2、1/3、2/7で1を超えてしまう(47/42)。つまり、推定される投票割合より低い配当をすることにより(引き分けの場合本来33/14=2.35倍の配当となるべきところ、2倍の配当)、余った分がブックメーカーの取り分となるわけである。
アメリカンスタイルとユーロピアンスタイルの違いは、賭けの主力となる種目に影響されていると考えられる。NFLやNBA、MLBなど米国のゲームはきっちり勝負がつくことが多いのに対し、ヨーロッパで好まれるサッカーは引き分けがかなりの割合にのぼるからである。
[Mar 13, 2005]
ブックメーカー方式とパリミチュアル方式
胴元が掛け率を提示する場合の方式として、ブックメーカー方式とパリミュチュエル方式(注.昔は、トータリゼーター方式ともいった)がある。英米のブックメーカーの提示するのは、もちろんブックメーカー方式であるが、日本のJRAその他の公営競技が表示しているのはトータリゼータ方式である。前者はプロでないと勤まらないが、後者は素人でも胴元になれる、という点に特色がある。
ブックメーカー方式の場合、ブックメーカーは提示したオッズは当該契約において賭け参加者との確定した配当率となる。したがって、仮にeven(2.0倍)で賭けが成立すると、その後人気が集中して直前のオッズが-200(1.5倍)になったとしても、直前に成立した契約に対しては1.5倍で払戻せばいいが、当初の契約に対しては2.0倍で払い戻す義務を負う。日本の公営競技が表示する事前のオッズがあくまで「中間オッズ」であり、最終締め切り後に計算した払戻金ですべての的中者に払い戻すのとは大きく異なる。
だからブックメーカーは単に賭けを受けるだけでなく、「どちらにどの程度投票が集中するか(投票シェアの正確な把握)」「実際にどれが勝つ可能性が大きいのか(勝者の予想)」を正しく分析する必要がある。その上で、自らの利益を最大にすると予想されるオッズを提示する。実際にブックメーカーをやった訳ではないので断言はできないが、おそらく確率統計の手法を使っているものと思われる(その中でも、ミニマックス理論=予想される最悪のケースが起こったときの利益を最大にする組み合わせを選択する、を使っている?)。ハンデを切る場合はさらにどのくらいのハンデならば「丁半そろう(バランスする)」のかを判断しなくてはならない。とても、官庁や地方公共団体の片手間仕事では追いつきそうもない。
対して、日本の公営競技はどうやっているのかというと、全ての投票(売上)の中からまず自分の取り分として25%を天引きして、残りの75%を当った人で分けなさいというだけのものである。足し算と掛け算と割り算ができれば誰でもできるので、集計機(トータリゼータ)方式という訳である。そこには、リスク判断も、経営努力も存在しない。あるのはひたすら、正確な売上集計と計算だけである(厳密には、すべての人が当り馬券のみを買うと、胴元は本来75円のところ100円で払い戻すことが法律で決められているので経費見合い分だけ損をするが、そんなことはあまり起こらない)。
それでは日本のノミ屋(もちろん非合法)はどうやっているかというと、客への払戻金はJRAなりと同じである(そうだ)。ただし、それだと客にとってわざわざノミ屋で買うメリットはないので、ノミ屋の側で買った額の10%をキャッシュバックするシステムになっている(と聞いたことがある)。それでも、お上は25%取っている訳だから、ノミ屋は15%儲かるということになる。昔は今ほど場外売場や電話投票がなかったので、結構儲かる仕事だったという。
ただ、この場合もリスクをとっているだけであって、本当のブックメーカーのようにオッズを自分で提示している訳ではない。だから、絶対的に投票数の大きいJRA等の存在を前提にしなければ、ノミ屋という業態は存在しえない。そういえば、昔「ノミ屋殺し」というのがあって、絶対的に投票数の少ない競輪や競艇の単勝で有力選手をノミ屋で大量に買って、本場の方は逆にその他の選手を買って払戻金を吊り上げ、本来ありえないオッズでノミ屋に払い戻させる、といった方法があったそうだ。当時、単勝の発売窓口は連勝とは別にあって、その数も1つか2つだったから、そんなことが可能だったのかも知れない。いずれにせよ、聞いた話であるが。
[Apr 23, 2005]
競 馬
競馬をはじめとする公営競技では、周知のように賭けると同時にその25%は自動的に控除されて開催経費その他に宛てられる。したがって、賭ける側にとっては、フィフティ・フィフティの確率であっても配当は賭け金の半分しかもらえないという、マカオの強制チップをはるかに越えた恐るべきハウスアドバンテージとなっている。
もちろん、ギャンブルをする人の動機はそれぞれであって、収支はともかく的中した爽快感を味わいたい人もいれば、競馬を通じて畜産振興や社会福祉に寄与したいという人もいる。だから決して競馬ないし公営競技を否定するものではないのだが、ギャンブルを長く続けるためにはそれらを「買わない」ことが最高の戦略と言わざるを得ない。
しかし、公営競技で勝つ方法が全くないのかというと、そうではない。一つはカシノゲームが基本的に確信の有無と結果にあまり関係がないのに対し、競馬等においては確信のあるレースはそうでないレースより確実に的中率が高いこと。もう一つはオッズが賭けに参加する者の意識に左右され、結果として確率を正当に反映したものとはなっていないこと。これらの要因を最大限活用すれば、25%の控除率を克服することが全く不可能という訳ではない。
具体的には、以下の条件で的中する確信があるレースのみ参加し、そうでないレースはすべて見送る、ということである。
1. 軸馬(ここでの軸馬とは、自分の買い目の軸となる馬のことで、人気馬か穴馬かに拘らない)が人気馬の場合、何らかの理由で勝つ確率より低く評価されている場合。
2. 軸馬の人気がない場合。
買い方についても条件がある。買ったとたんに25%負けるのだから、買い目は極力少なくする必要がある。したがって、元取りといわれる、当っても元金にしかならない目は買わないようにしている。そうするとほとんどのレースが見送りとなるが、見るだけでも競馬は十分に楽しい。
ちなみに、私が競馬場その他公営競技場に行って1日に最大のマイナスとなったのは、もう25年前のことになるが中京競馬の2万円である。以降、それ以下のマイナスにしかなっていない(カシノではその20倍[涙])。それでも、年に何度かは数万円、十数万円のプラスという日もある。現時点において、競馬で損をしないためにはこのやり方しかないのではないかと思っている。
[Mar 3,2005]
オートレース
「どうしてこんなに血が騒ぐんだー!!」と仮面ライダー藤岡弘が叫んでいたオートレース。元SMAPの森クンも、がんばっています。でも、あっという間に存亡の瀬戸際というか伝統芸能的世界に行ってしまいました。もしかすると、あと10年経ったらやっていないかもしれません。でも、面白いんです。オートレース。
オートレースは1周500メートルのだ円形コースを、ブレーキなし、ミラーなし、タイヤ三角という競技用オートバイで、最高時速百数十kmで走って順位を競い、その順位を競馬と同様に当てる、という公営競技である。競馬と同様、25%の控除があるためギャンブルとしてみるときわめて非効率的であるが、レースの推理にかなりの楽しい時間を過ごせることから、コストパフォーマンスは高い。
なにしろ、競馬は年間約2千頭(JRAのみ)のニューフェイスが登場するが、オートレースは現役600人足らずの選手を覚えたら、あとは2年に20人ほど入ってくる新人を押さえるだけである。1年もやっていれば、ほとんどの選手についてその戦力、戦法、癖、その他の要素が自然と頭に入るようになっている。
オートレースの大きな特徴は、ハンデキャップがあることである。実力差のある選手が同一レースを走る場合、通常10から100メートルの範囲でハンデがつく。この場合重要であるのは、何メートルのハンデがついたかということではなく、相対的な位置関係である。
たとえばA選手のある日のハンデが50メートルで、50メートル前に1人、40メートル前に3人、30メートル前に3人の選手がいるとすれば、たいていの場合A選手にとって楽勝のケースとなる。実力差のある選手が7人走るだけだからである。一方、A選手のある日のハンデが10メートルで、10メートル前に5人、10メートル後ろに2人の選手がいる場合は厳しい戦いが予想される。力の差のあまりない5人が壁になり、かつ自分より力のある2人が追いかけてくるからである。
オートレースの予想はこうしたハンデを考慮した実力差、選手(エンジン及び人間)の好不調、天候、走路コンディション、展開、等の要素を推理して買い目を決める。基本的に、ハンデの重い(後ろからスタートする)選手の方が強いし人気になるので、推理の中心はその選手が来るか、来ないかになる。また、レースの見方もその選手が追い込めるかどうかになるので、スタートからゴールまでまんべんなく楽しめることが多い。
全国に、川口、船橋、伊勢崎、浜松、山陽、飯塚の6つのレース場がある。不景気により、17年度から川口以外のレース場は開催日数が少なくなる。
[Mar 13,2005]
万馬券
万馬券とは、払戻金が10000円以上となる的中馬券のことである。馬券の額面は100円であるから、つまり100倍以上のオッズである。俗に「マンシュウ」ということもあるが、これは競艇(ボート)の場合の万「舟」券の音読みからきているとされる。ついでにいうと、競輪・オートレースの場合は万「車」券である。
私は公営競技からギャンブルに入ったので、馬券歴はもう三十年になる。しかし、万馬(車)券をとったことは数えるほどしかない。中でも、最初に万馬券をとったのは30代の半ばになってからのことで、ギャンブルを始めてから15年近くたってからのことである。
その間の成績が惨憺たるものであったかというと、決してそういう訳ではない。年間の収支をつけていた頃は、25%の控除率をカバーしてプラスになっていた位である。むしろ、プラスになるような買い方をしていたから、万馬券がとれなかったということなのだろう。というのは、万馬券というのは「荒れる要素がある」レースだから生まれるのであって、どうしても損をしたくないと思えば、そうしたレースは避けることになるからである。
だから、万馬券をとろうと思えば、ある程度大きなリスクを許容しなければならない。普通に予想しているだけでは、なかなか引っかかるものではないのである(最近は3連単などというものがあるので、一概には言えないが)。ある程度年をとるまで万馬券が取れなかったのは、そうした余裕というか遊びの気持ちが足りなかったからなのだろう。
こうした傾向は、カシノに親しんでいる最近でも基本的には続いているようで、「損はしたくない」という気持ちが強いから、勝ってもたいした額にはならないことが多い。逆に負けても致命傷にはなっていない(今のところは)。よく言えば生き残りが図れるが、悪く言えばいつも不完全燃焼ということである。
最近特にはまっているポーカーでいうと、ライブは地道にプラスを積み上げていくやり方、トーナメントは万馬券を取りに行くやり方のような気がする。まだまだ経験は足りないが、諸先達を相手に、いろいろ試したいことを思いついている。最近仕事&仕事でストレスがたまってきているので、電車の行き帰りでそういうことを考えている時間が一日の中で一番楽しい。
ちなみに、私の最高払戻金記録は、2001年安田記念の馬連120,600円×2である。
[Jul 14, 2005]
ディープインパクト産駒、英国ダービー制覇
6月3日に行われた伝統の英国ダービーで、ディープインパクト産駒のオーギュストロダンAuguste Rodinが快勝、これは日本の競馬界・馬産界にとってすごいことである。
世界の競馬でどのレースが別格かといって、英国ダービーと凱旋門賞をあげることに異議のある人はほとんどいないだろう。そして、凱旋門賞は何回でも挑戦できるのに対し、ダービーは明け3歳の一度しか挑戦できない。これを勝つというのは大変なことなのである。
その昔、ジャパンカップで日本のトップクラスが世界の二線級に敵わなかった頃から競馬を見ている。当時は父内国産というレースすらあって、父が輸入馬でない馬は能力的に劣るとさえみられていた。
いまや、ジャパンカップで外国馬が上位に食い込むことはほとんどない。競走馬の父で日本産馬でない馬を探す方が難しい。ここ20~30年でそれだけ日本の競馬はレベルアップしたのである。
そのディープインパクト、父がケンタンキーダービー馬サンデーサイレンス。父も1995年から2007年までリーディングサイアー(産駒の賞金獲得額トップ)。ディープ自身も2012年からリーディングサイアーである。
ヨーロッパでは、いまやガリレオ産駒が大レースを軒並み制しており、次の関心は、多くなってしまったガリレオ系牝馬にどの種牡馬を配合させるかということになりつつある。
ディープ産駒では2018年の2000ギニーを制したサクソンウォリアーSaxon Worrior が、初の英国クラシック勝ち馬である。一昨年英・愛オークスを圧倒的大差で勝ったスノーフォールSnow Fallも、ディープ産駒で母父ガリレオである(スノーフォールは惜しくも、馬房内の事故で死亡)。
言うまでもないが、欧州各国や米国の種牡馬でも、子供が英国クラシックを勝っていない例は山ほどある。対して、日本以外で走ることの少ないディープ産駒がこうして3頭のクラシックホースを出すということは、すごいことである。
英国だけではなく、フランス版2000ギニー、ダービー、オークスもディープ産駒が勝っているし、米ブリーダーズカップも、ラヴズオンリーユーがターフを勝っている。南半球のGIもいくつか制している。
欧米の競馬先進国で日本馬がこれだけ注目を集めることは、私が生きている間に起こるとは思えなかったことである。
いまや世界の父系の9割以上を占めるだろうネアルコNearcoはイタリア産馬だし、ネアルコを追う存在であるノーザンダンサーNorthern Dancerもカナダ産馬である。しかし、彼らが種牡馬として供用されたのは英国であり米国であった。
日本馬がそのように注目されるのは、私のイメージではアルゼンチン産馬やドイツ産馬の産駒が英国クラシックを勝つのと同じくらい、信じられないことなのである。
オーギュストロダンの勝ち方も素晴らしかった。2番人気という高い支持を集め、外外を回って直線抜け出す強いレースで、展開のアヤとかうまく前が開いたという勝ち方ではなかった。
おそらく現3歳世代が相手なら、この後もいくつかGIを勝てるであろう。ブックメーカーのオッズでは、秋の凱旋門賞の一番人気になっているそうだ。(スノーフォールの例があるので、それよりも早く種牡馬になってほしいが)。
日本にももちろん、キズナをはじめとする後継種牡馬もいるし、親子三冠のコントレイルもいる。
キズナは、オーギュストロダンと同様、ディープインパクトにノーザンダンサー系牝馬の血統である。日本ダービーを勝っているが、ニエル賞GⅡ優勝、凱旋門賞4着とヨーロッパでの実績もある。
そのキズナ産駒のソングラインが、英国ダービーの翌日行われた安田記念で連覇を果たし、GI3勝目を挙げた。ディープインパクト自身はすでに死亡してオーギュストロダンが最終世代となるが、まさに最後の大仕事であった。
[Jun 6, 2023]
3日に行われた英国ダービーは、ディープインパクト産駒のオーギュストロダンが快勝した。ディープ産駒はこれまで英2000ギニーと英オークスは勝っているのだけれど、ダービーはまた別格。すごいことです。
金沢競馬で前代未聞の照明ダウン事故
先週の日曜日、11月19日の金沢競馬で前代未聞の開催打ち切り事件があった。
グリーンチャンネルの地方競馬中継では、私が見始めた時刻にはすでに事故が起きた後で、第8Rの競走不成立、第9R以降の打ち切りが相次いで発表された。JRAは武士の情で詳しい状況を放送しなかったが、バカな奴と思っていたに違いない。
この事故は8Rの馬が走っている最中に照明が落ち、日没直後の雨天でいきなり暗くなって3頭が落馬した。それでもゴールまで走った馬はいたのだが、不成立となり当たった人にはお気の毒である。1着賞金は44万円とたいした額ではないが、均等割で全馬8万円の補償になるはずである。
大井競馬、伊勢崎オートレースでナイターが始まってから約30年。落雷等で照明が落ちた事故はあったが、競走中に起きたのは記憶にない。こういうことがないよう監督官庁が指導しているからである。
そして、照明が落ちた原因というのが、午後7時10分に消灯という設定にしていたはずが、17時10分に落としてしまったという人為的ミスだったらしい。まったくもってお粗末としかいいようがない。
昭和30年代から40年代にかけての公営競技場は殺伐としていて、人気馬がだらしないレースをしただけで「八百長だ」と客が騒いで施設を壊しにかかるのは日常茶飯事であった。今回のようなケースだと、当たった馬券を持つ人は朝まで居座っただろう。
しかしそれから数十年が経過、馬券を買う人の多くはネット投票で、場内で見ているのはごく一部である。JRAのように何万人来ていれば主催者も緊張するが、おそらく100人とかそういうレベルだろう。
地方競馬の場合、全国団体である地方競馬全国協会が管理しているのは審判部門だけで、審判以外の業務については主催者、金沢競馬では石川県または金沢市が担当している。
だから、競馬のプロといえるのは審判部門だけで、それ以外は転勤してくる県や市の職員がやっている訳である。(これは地方競馬だけでなく、ボートも競輪もオートレースもそうである)
普通に考えて、照明を自動で落とさなければならない理由など思いつかないが、県庁や市役所はそうやっているのだろう。何かの理由でレースが遅れることはあるのだから、電源は最終レースの払戻しが終わってから手作業で何がいけないのだろうと思う。
おそらく設計段階で、自動消灯の機能が組み込まれているので、せっかくだから使いましょうという軽い考えである。昔のナイター照明は点灯も消灯も時間がかかったが、いまならLEDで瞬間消灯である。
大井競馬では自家発電等で照明をバックアップすることはあっても、自動で照明を切断するなんてお間抜けなことはしないだろう。JRAは審判以外も含めてプロ職員だからこういうことはありえないが、来年から開催時間の延長を進めるにあたり、おそらく運用方法の見直しを行っているはずである。
[Nov 22, 2023]
金沢競馬で競走中の照明ダウンにより開催中止という前代未聞の失態。自動で照明を落とす設定で、午後7時10分に消灯するはずが17時10分に消灯したことが原因という。写真は落馬負傷して救急車に運ばれる騎手。
ダービーだから倍つける訳ではない
昨日、2024年5月26日は第91回日本ダービーだった。
昔、山本コータローが「きょうはダービー、めでたいな」と歌い、ハイセイコーやカブラヤオー、トウショウボーイが走った頃はわくわくしながら見たものだが、最近はダービーにかけて徐々に興味がなくなってくるから不思議である。
理由ははっきりしていて、ダービーが終わらないと三歳馬(いまでいう二歳馬)がデビューしないからである。ダービーに出てくるのは昨年から走ってきたメンバーですでに何度も顔合わせしており、いわゆる「勝負付け」が済んでいるのである。
そして、ダービーまで勝ち残る馬たちの血統はどれも似通っていて、サンデーサイレンス系、Northern Dancer系、Mr. Prospector系の組み合わせなのである。血統研究とか分析がほとんど意味をなさない。
(サンデーサイレンス、Mr. Prospectorは米国産、Northern Dancerはカナダ産だが、日本に輸入された馬はカナ表記するのが競馬界の慣例である。)
以前より格段に日本のサラブレッドは強くなり、日本ダービーも賞金3億円の国際競走にもかかわらず海外からの参戦はない。府中2400mで勝ち目がないからである。半面、出走馬のほぼすべてがサンデーサイレンスの子孫となった。
サンデーサイレンスは1989年のケンタッキーダービー、BCクラシック勝ち馬で1990年輸入。百年に及ぶ日本競馬の歴史で、わずか三十数年前の馬の子孫が日本ダービーの出走表ほぼすべてを埋めてしまうのだから、たいしたものである。
その結果、前の世代の種牡馬たち、ヒンドスタンやチャイナロック、パーソロン、テスコボーイ、ノーザンテーストさえ母系の片隅にしか残っていない。サンデーサイレンスひとり勝ちの傾向は、かれこれ二十年以上続いている。
今回の出走17頭のうち、キズナ産駒5頭をはじめサンデーサイレンス直系が9頭。残る馬も母系からサンデーサイレンスの血をひく。まったく入っていないのは、外国産馬のシンエンペラーだけである。それでも父系はNorthern Dancerだから、まあ親戚みたいなものである。
その昔、トウショウボーイを破ってダービーを勝ったのはクライムカイザーだった。父系をさかのぼるとゴドルフィン・アラビアンだが、おそらくこの系統最後の日本ダービー馬である。現在、ゴドルフィン・アラビアン系の種牡馬自体が国内にはいない。
3代始祖とされる残り2頭のうち1頭がバイアリー・タークだが、こちらもシンボリルドルフとトウカイテイオーが最後である。いま日本のサラブレッドはほぼすべてダーレー・アラビアンの直系子孫である。
その意味で、予想の最重要ファクターだった血統分析がいまやそれほど重要ではなくなった。組合せが多少違うだけで、どの馬もほとんど同じだからである。あとはその馬の適性とか気性とかになるが、それは机上分析では分からない。
話を戻すと、ダービーはお祭りだめでたいなと言ったところで、昔から言われるように「ダービーだから倍つける訳ではない」。興味がなければ無理して馬券を買うこともない。
育ちが悪いせいなのか、良血馬が評価通りに強いレースをするよりも、氏も育ちもたいしたことない馬が良血馬を圧倒するレースを見る方がわくわくする。地方競馬だと時々そういう馬が出るし、デビュー間もない馬にはそういう楽しみがあるので、馬券を買って応援するのはそういうレースまで待とうと思っている。
第91回ダービーは、56歳横山典弘騎乗の9番人気ダノンデサイルが直線内を突いて快勝した。父エピファネイアはサンデーサイレンスと叔父甥にあたるRoberto(ロベルト)系だが、父の母シーザリオ(米国のGIを勝った日本産馬)がサンデーサイレンスの孫である。
[May 27, 2024]
昨日は第91回日本ダービーだった。ハイセイコーやカブラヤオー、トウショウボーイが走ったのははるか昔になってしまった。
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