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鬼怒川温泉 [Jun 25,2005]

急に思い立って、土・日で奥さんと鬼怒川温泉(きぬがわおんせん)に行ってきた。

かつては日光・鬼怒川といえば首都圏の奥座敷的な温泉地・景勝地で、たいへんなにぎわいをみせたところである。しかし、昔はどこの職場にもあった社内旅行というものが全くすたれてしまい、また子供の数が減って親子連れもあまり来なくなり、さらに近場の外国旅行と比較すると近い距離に対して割高感があって、というようなさまざまな逆風により、いまではかなり閑散としてしまった。

以前は当日飛び込みで夏休み最初の週末など泊まれるはずがなかったのだが、今回はどこの宿も例外なく「空室あり」の表示である。比較的便利でレジャー施設の整っている鬼怒川でさえこのありさまなのだから、さらに奥の川治、塩原といったところは相当に厳しいことになっているのだろう。

日本道路公団から栃木県道路公社に運営が移管されて、通行料が半分になった日光・宇都宮道路を今市で下りて、鬼怒川を上流へと遡っていく。昔は社内旅行や家族連れでごった返していた温泉街も、店の人の方が目立つくらいである。今回泊まったのは「鬼怒川プラザホテル」。鬼怒川べりに建っているので、窓から見るとまるで足の下を鬼怒川が流れているように錯覚してしまう。左右は山がすぐそこまで迫っており、木々の深緑が鮮やかである。

温泉は単純アルカリ泉。温泉量以上に旅館があるので、加水・加温はやむを得ないところか。それでも、すべすべしたアルカリ泉特有の肌ざわりで、ライトアップされた川岸の巨岩を見ながら入る檜の露天風呂はたいへん気持ちがよく、このところの心身の疲れをほぐしてくれた。夜には山腹から打ち上げる花火大会。雨雲が低くまで垂れ込めていたため、大きく広がる前に消えてしまったのは残念であったが、それでも十分に夏の風情を味わわせてくれた。

龍王祭という地元のお祭りだそうで、おみこしも出て出店もにぎわっていたが、たかだか地酒の2、3合で眠くなってしまったのは残念であった。窓から夜景をみていて、川沿いの一等地にあるのに、全く明りが点いていない大きな建物がいくつもあるのもちょっと悲しかった。日本の温泉地にも、やっぱり足繁く通うべきだなあ、そうしないと、みんな潰れてしまうなあ、と自分のことだけでも大変なのに観光業界の将来のことを心配してしまったのでした。

[ミニ情報]鬼怒川温泉は普段の土・日なら当日飛び込みでも十分に泊まれるようです。夕食・朝食ともバイキングでよければ12kでそこそこの宿は泊まれるみたい。夕食は普通のレストラン、朝バイキングだと15k、部屋食だと20kぐらいの感触でしたが、当日でなければもっと安く探せるようにも思います。20k出すならもう少し奥にいい宿がありますので、いまの鬼怒川なら12~15で何とかしたいところです。

[Jun 25,2005]

薮塚温泉 [Apr 13, 2006]

薮塚温泉は首都圏から最も近い温泉地のひとつとして知られている。現在は群馬県太田市となったが、昔は薮塚本町という町だった。電車なら東武伊勢崎線(~桐生線)、東北道なら佐野藤岡、関越道なら本庄児玉(あるいは北関東道伊勢崎)で下りる。

お察しのとおり、伊勢崎オートにほど近い温泉場であるので、オートレースの行き帰りによく行っている。また、ここの近く(というより、温泉付属のレジャー施設)として「三日月村」があり、木枯し紋次郎ファンだったこともあり、子供の小さい頃連れて行ったことがある。久しぶりに、先週の日曜日に行ってきた。

温泉は炭酸水素泉。成分表をみると陽イオンとしてナトリウムイオンが含まれているので、炭酸水素ナトリウム即ち重曹泉ということになる。メタ珪酸も若干含まれている。湧出時には17度くらいというからつまり鉱泉で、加温・加水して供用している。そのせいというわけでもないだろうが、無色透明で特に匂いや肌への刺激があるわけではなく、ゆっくり入ることができる。

ここの最大のセールスポイントは、そうした温泉そのものの効用というよりも、露天風呂から望む関東平野の雄大な景色であり、その意味では日帰り・宿泊とも「ホテルふせじま」を選ぶべきである。6階屋上にある露天風呂からの眺めはまさに絶景で、何度来ても胸がすく思いである。だから、目が悪い人はメガネを持って風呂に入る必要がある。一度、「ホテルふせじま」以外の宿をとったことがあり、非常にがっかりしたことを覚えている(設備も大分違う。なんといっても皇室御用達)。

三日月村は温泉の裏山にあって、江戸時代の宿場町の風景と笹沢左保の記念館をメインとしたきわめて小規模なテーマパークである。ただし、ここにあるアトラクションは値段の割に楽しめることは保証する。特に「不可思議土蔵」は、日本で最も足もとのふらつくアトラクションといっていいのではないか。内耳(三半規管)の弱い方には絶対にお奨めしない。

近くには「日本スネークセンター」「蛇研究所」という、それぞれわが国随一のへび研究施設(毒蛇用の血清生産も含む)もあるが、蛇はあまり得意ではないので行ったことはない。

[Apr 13, 2006]

首都圏より北にあるため、薮塚温泉は桜が満開でした。後方に見えるのが「ホテルふせじま」。


湯西川温泉 [Jun 21,2006]

栃木県の最奥部が栗山村である。ここを北へ福島県に抜ける国道121号線、通称会津西街道(東武鬼怒川線から続く野岩鉄道に並行している)から川治ダムで西に山を入っていくと川俣湖から女夫渕(めおとぶち)温泉を経て奥鬼怒となり、山を一つ越えた五十里(いかり)ダムで西に入ると湯西川温泉である。現在では舗装されているが、それでも曲がりくねった細い山道が続く難路である。

そんな具合だから、源平争乱の折り、負けた平家の落人が隠れ住んだというのもうなづける。この栗山村には落人伝説のある里がいくつかあるが、その中で最も有名なのが湯西川温泉である。

最初にその話を聞いた時、本州西端の壇ノ浦(下関)から、中国道を抜け京を抜け鎌倉を抜けてこの山奥までどうやって見つからないで逃げてきたのかな、と疑問に思っていたのだが、あとから調べてみると源平の争乱は一の谷~屋島~壇ノ浦だけでやっていた訳ではなく、関東(当時は坂東)でも多くの戦いがあった。もちろん大将格が西から逃げてきて合流したことはあるだろうが、中核は関東で源頼朝に敗れた軍勢なのだろう。

それはともかく、その平家の末裔を名乗っているのが湯西川の老舗旅館である「本家伴久・萬久旅館」である。湯西川温泉全体が近年急速に観光化しており、大型ホテルも何軒かできているのだが、古くからの旅館は川沿い(この川の名前が湯西川)に建っている。

木造の建物は年季が入っていて、しかも磨き込まれている。温泉はアルカリ性単純泉であるが、長時間入るとちょっと湯当たりするくらいなので、源泉の成分にはいろいろ入っているのだろう。とはいえ、川を眺めての露天風呂はどうしてもゆっくりしてしまう。

夕食は館内にある吊り橋を渡った対岸にあるいろり部屋へ。竹に入れた酒をいろりの火であたためながら、鹿肉や山菜、川魚、へらにつけて焼いた味噌などをいただく。いろりで焼いたとち餅はこの地域ならではの味わいで、まさに浮世の憂いを忘れる瞬間である。また朝食もすばらしく、おかゆ、白米、麦飯から好きなものを選んで、とろろをかけたりおしんこでいただく。

この旅館の唯一のネックは値段が高いことである。だからできれば平日に休みをとって訪れたい。おそらく、大太鼓を叩いて歓迎してくれるはずである。

[Jun 21,2006]

本家伴久の夕ご飯は、囲炉裏のある別棟でいただきます。


日光湯元温泉の思い出 [Jun 28, 2006]

昔、千葉県の小学校の修学旅行というと、たいてい日光に行ったものである。私の場合も東武電車で日光まで行って、東照宮を見て、いろは坂を上って奥日光に向かいそこで一泊。翌日は戦場ヶ原を歩いてから下りのいろは坂を経由して、再び日光から東武電車に乗って帰るというルートだった。もう40年近くも前のことになるのであまり記憶はないのだが、今よりもずっとにぎやかだったことは覚えている。

その後再び日光へ行ったのは社会人になってからである。当時の職場の仲良しグループ5、6人で、土曜の仕事が終ってからやはり東武電車で日光まで。そこからタクシーに分乗して奥日光に泊まった。ここの温泉は日光湯元温泉といい、硫化水素泉、つまり硫黄泉である。白濁した温泉というのは関東ではここらあたりまで来ないとないのだが、あの独特の匂いと湯上りの感触は若い頃は決して得意ではなかった。

だから、本当に体にいいのは上がり湯を使わずに、体をかるく拭いて温泉成分を残しておくことなのだが、そんなことに気が付いたのは結構歳がいってからである。もちろん今では硫黄泉は好きである。あの卵の腐ったような匂いは気にならないことはないが。

さて、そんな日光だが、最近の寂れ様はかなり重症である。思うに、みんな車で出かけるようになって、日光が日帰り圏になってしまったというのが一つ。もう一つにはリピーターを期待できるようなものがあまりみられない、ということがあるのだろうと思う。

小さい頃は、ケーブルカーやロープウェーがあるとそれだけでうれしくなったものだけれど、最近の子供はそんなものでは喜ばない。だからそういうものがあるところ自体、昭和30年代の観光地であっていまの時代には合わない。

そういうものを喜ぶ世代は「社内旅行」という形で、大きくなってもリピーターでいてくれていたのだが、今では社内旅行がある会社は決して多くはない。そして、東照宮も華厳の滝も一度で飽きることはないものの、四回も五回も行くかというとそんなことはないし、いろは坂に至ってはただの坂である。だからひと気がなくなるのは仕方ないのだが、かといってそれを悲しむにはあたらない。

湯の湖から湯滝、戦場ヶ原に至る高原地帯は静かな方が味わい深いし、ゆっくり自然と親しむことができる。観光関係の方には申し訳ないが、いまの方がいいと思ってしまったりする。近くの霧降高原道路も償還期間が過ぎてこの秋から千円近い通行料がタダになるというし、日光へは近々行ってみたいと思っているところである。

[Jun 28, 2006]

神山(みやま)温泉; [Aug 21, 2006]

先週末は賭け事もポーカーも抜きで温泉に充電に行ってきた。土曜日の朝早くに家を出て東北道佐野PAのレストランでバイキングの朝食(これが安くてお値打)をとった後、日光宇都宮道路の今市で下りて、そこから車でそれぞれ20分以内にある神山(みやま)温泉、かご岩温泉、鬼怒川温泉と3ヵ所はしごしたのだが、ネットで調べて評判が良かった神山温泉が特に印象深かった。

ここは今市から日光方面に少し入ったところにあるのだが、にぎやかな日光・鬼怒川とは打って変わってひと気のない田園地帯を走っていく。そして関東の人なら名前だけは聞いたことのある「日光猿軍団」のやっているオートキャンプ場に、この温泉はある。

露天は300円、内湯は500円(サウナ付きらしい)で、もちろん露天風呂へ。男女別にはなっているのだが、簡単な脱衣所があるだけでいきなり湯船がある。そこそこ広くて10人くらいは入れそうだが、朝早いので誰もいなかった。

泉質はアルカリ性単純泉となっているのだが、かなり硫黄の匂いがする。ここのお湯は地下1500メートルからくみ上げたものをそのまま引いている、いわゆる「源泉かけ流し」である。湧出温度が46度くらいなので、お湯の出口では熱いのだが、湯船にたまっているうちに冷えていくらしくて少しぬるく感じる。お湯の出るあたりにいると温かいのだが、硫黄の匂いはこちらの方が濃い。

だから長く入っていられるような気がするのだが、これが結構効いて湯上りには体がほてってちょっとのぼせるくらいである。本館の2階に畳敷きの休憩所があるのでここで休める。

「源泉かけ流し」というと湯量が少なくてすむ高級温泉旅館や山奥の秘湯に行かないとなかなか体験できないが、それほど値段も高くないここは、「源泉かけ流し」がどんなものか経験するにはいいところだと思う。ただし、オートキャンプ場なので設備はそれほど整っていないし、特に露天風呂では虫とかが飛んでいるので、そういうのが苦手な人には内湯の方がいいかもしれない。

その後、前にも書いたかご岩温泉に行って、再び温泉に入って天然あゆの塩焼きを味わい、さらに鬼怒川温泉に泊まって温泉に入り地酒を堪能したのだが、今回の旅でもう一つ印象深かったのは翌日の昼に寄った「小百(こひゃく)田舎そば」である。

ここは、さきほどの神山温泉から鬼怒川に抜ける道からちょっと入ったところにある小百公民館に併設されており、想像するに最初は野菜とか売っている普通の農産物産直センターのようなものだったと思うのだが、いまではいす席とテーブル席で3、40人は楽に入れるそば屋さんになっている。そして、本当に田舎道を入っていく辺鄙なところにあるにもかかわらず、ほとんど一杯になってしまったのだから評判の店なのだろう。

ざるそばは550円、大ざるそばは750円。地元産の玉ねぎ・にんじんを使ったかきあげが100円。まさにここで打ったに違いないそばは、ほとんど(全く?)つなぎを使っていないのであまり長くはないのだが、まぜもののないそば本来の味がする。そして、普通盛りでも大盛り並み、大盛りだと超盛りといっていいほどの分量がある。

奥の調理場で地元のおばさん達が揚げているかきあげも、そのまま何もつけないで食べてもおいしい。なるほど地元で評判になるのもうなづける味で、本当の手打ちそばを食べてみたいという人にお奨めの店である。秋の新そばの季節になったら、もう一度来てみたいところである。

[Aug 21, 2006]

神山温泉露天風呂。暖簾のすぐ先が脱衣所。


小百田舎そば外観。周囲は森と田んぼなのだが、これが結構混んでいたりする。


川治温泉(爆) [Jun 11, 2007]

思い立って温泉に行こうという場合、東北道沿いに行くことが多い。特に日光宇都宮道路から鬼怒川近辺を回るコースは何度となく行くのだが、その場合なぜか素通りしてしまっていたのが川治温泉である。かつては「鬼怒川・川治」と並び称された温泉観光の名所であり、一度は行ってみるものだろうと今回入ってみた。

いつも素通りしてしまうのが、この温泉は狭い道路沿いに展開していて駐車場がほとんどなく、車だと行きづらいということがあった。現にwebで調べてなかなかいいと評判だった某旅館(立ち寄りで入らせてくれる)はたった5、6台が止まっているだけで駐車場が一杯で入れない。駐車場の大きい某旅館に行くと日帰りは午後1時からというのでここも断念(まだ10時過ぎだった)。結局、露天風呂で知られている薬師の湯へ行くことにしたのであるが、じつは事前に調べただけでもやや不安が残り、できれば避けたいと思っていたのであった。

国道からわき道に入り、すれ違いが困難な道を川沿いへと下っていく。幸いすれ違う車もなく、広い駐車場があったのでここはひと安心。入浴券売り場へ行くと発売機があるのだが、もぎりのおばさんが早口で話しかけてきて落ち着かない。露天風呂だけなら300円、休憩所を使うなら500円で、危うく300円の露天風呂だけを買わされそうになる。500円のを買うと休憩所のワッペンを取りに10mほど先の事務所に戻らなければならなかったので、それが嫌だったらしい。

男の露天風呂は川沿いにしばらく行った先にあり、雨が吹き込んできそうな脱衣所と、透明なポリで簡単に囲った露天風呂があった。洗い場はなく湯船だけ。そして向こう岸や橋を歩いている散歩の人からまる見えである。風呂の底はとがった岩や砂利がしいてあって油断していると怪我をする(した)。

温泉はかけ流しと書いてあるが、源泉は35度前後ということで奥の方の機械が温めているらしく、そこから熱いお湯が出てくる。湯船は20人くらいは楽に入れるくらい広いが、そんな具合だから適温になっているのはお湯を温めているそのあたりだけである。

単純泉で特ににおいやすべすべ感は感じられない。何より散歩をしている人に見られている中で入るのは落ち着かないことこの上ない。10分ほど入っただけで出たが、肌寒い天気もあって湯冷めした。休憩所の切符を買わなければ大変なことになるところだった。ちなみに女性専用は休憩所から直接入れて、囲いや天井もちゃんとあって、シャワーや簡単な洗い場もあったそうだから、これで同じ値段というのは納得できない。というより、カネ取るなよこんな温泉!

また、さらに川沿いにほんとの囲いも何もない源泉だけの露天風呂もあって、底もきれいで入りやすそうなのだがさらに丸見えである。35度でもがまんできるが、何十分も衆人環視の下で漬かっている勇気のある人はいないらしく無人だった。しかしそれより嫌だったのは、「犬猫洗うな」という注意書きである。控えめに言って、一度来たら十分である。

[Jun 11, 2007]

誰も見ていなくて犬猫を洗う人がいなければ、入りたくなる完全露天風呂。


喜連川温泉 [Nov 19, 2007]

宇都宮から北東に3、40分行ったところに、喜連川温泉(きつれがわおんせん)がある。北西に同じくらい行くと鬼怒川温泉で、これはもちろん鬼怒川沿いにあるのだが、喜連川温泉は那賀川の近くにある。那賀川は水戸を通って大洗の北で太平洋に注ぐが、鬼怒川は千葉まで来て利根川と合流する。水源は近いのだが全く異なる水系である。

鬼怒川方面だと、江戸村やワールドスクエア、ちょっと足を伸ばせば日光もあるなど観光施設が数多くあるが、こちらはあまり大したものはない。わずかに、那賀川の「やな」と、焼き物の町として関東近郊では有名な益子と笠間があるので、陶器に興味がある方ならそのついでに寄ることもできる。

この喜連川温泉、ボーリングにより開かれた温泉で開湯は1981年とかなり新しい。ナトリウム-塩化物泉いわゆる食塩泉で、温泉成分表によると硫黄、鉄分を含むとなっているがそういう匂いはしない。海藻に似た湯の花が少し混じっていて、お湯の色は少しだけ黄色がかっている。

今回訪れたのはかんぽの宿日帰り館。この施設には宿泊館と日帰り館があり、入口が違う。料金は600円とさすがに公共施設だけあってお安い。もちろん簡易保険の運用資金で作られているので設備は立派で清潔である。

日帰り館の入口を入ると、円形のホールにそって階段があり、2階が浴室、1階には大広間や休憩室がある。浴室は内風呂と露天風呂。露天風呂というより野外風呂という風情で、風呂からそのまま芝生の庭に続き、はるかに那須連峰を望むいい景色である。ただ、露天と打たせ湯が一緒の浴槽で、そちらを使っている人がいるとお湯の落ちてくる音や飛んでくる水しぶきが気になることも確か。

はじめに述べたようにボーリングされた温泉だが、成分はかなり濃いと評判で、よく温まる。お風呂上りは階下の休憩室で休むことができる。土地のお年寄りで一杯だった。

[Nov 19, 2007]

かんぽの宿日帰り館


近くにある那賀川と高瀬観光やな。


高峰温泉 [May 2, 2014]

高峰温泉は浅間山の中腹、標高2000mに建つ一軒宿である。

新幹線の佐久平駅からバスで約1時間、途中の小諸駅からは40分、小諸の街から北へ山道を登って行く。夏期は宿の前までバスが来るが、冬の期間はアサマ2000スキー場までしか除雪が行われず、そこから宿までは雪上車が迎えに来る。バスは1日2本しかないので、その時刻に合わせて来てくれるので安心である。

雪上車は3台あって、送迎客の数に応じて大きさを変えているらしい。私が行った時は春休みのためお客さんが多く、一番大きな雪上車が来ていた。中だけでなく上にも座るスペースがあって、慣れたお客さんは上を選ぶようである。私も帰りに乗せてもらったが、浅間山の雄大な姿を望むすばらしい景色であった。

スキー場のゲレンデの間を抜け、雪上車で10分ほどで高峰温泉である。夏は車も通れる林道だが、冬は1mを超える積雪である。雪上車以外に来る手段はない。(荷物がなければスノーシューかスキーでの移動は可能)。そしてスキー場を過ぎると売店も自動販売機もここにしかない。文字通りの一軒宿である。

朝のバスは11時に着くので、お昼もこちらでお願いすることになる。サーモンや鯉の定食、そば、おやきなどがあり、私は鮎の塩焼き定食をお願いした。チェックイン時刻よりかなり早く、お昼頃には部屋に入れてくれる。窓からは小諸市内、遠くには八ヶ岳まで望む、これもまたすばらしい景色であった。

こちらの宿に来てちょっとびっくりしたのは、山の中の一軒宿にしては館内設備がとてもきれいだったことである。もちろん、夏場に車が入って来れるということも大きいのだろうが、まず部屋に入って畳が新しいことに驚いた。そしてトイレはTOTOの最新節水型ウォシュレットである。ここは山小屋じゃなくて温泉旅館だと認識を新たにした。

窓際にはヒーターがついており、濡れた衣服などはここで乾かすこともできる。また1階には大きなストーブが終日ついており(天然ガスが出るらしい)、靴やスノーシューはここで乾かしてくれる。このストーブのおかげで、館内は夜でも薄着でいられるほど暖かい。

それと驚いたのは夕食である。場所柄、鯉やサーモン、鹿肉、山菜などが主ではあるものの、先付からお造り、鍋、煮物、焼き物、揚げ物と本格的な和食コースである。マグロとか牛肉を出さないところがなかなかである。この日は初スノーシューでほとんど食欲がないくらい疲れていたのだけれど、いざ食堂に行ってビールと湯葉のおひたしをいただいている間に、何とか生き返ることができた。

宿の特色の一つは標高2000mから見る満天の星空で、この日も夜9時から鑑賞会があったのだけれど、スノーシュー~温泉~夕飯+ビールの3連闘により、8時回ったあたりで早々に寝てしまったのは残念であった。冬の澄んだ星空では、条件がよければ天の川までくっきり見えるということである。これはまた、次回の楽しみにとっておこう。

冬場には、バス終点のアサマ2000スキー場まで、雪上車のお迎えがあります。


夕食はこの後、焼き物、蒸し物、揚げ物と続く。鍋は鹿鍋。食前酒はイタドリ酒ということです。


さて、温泉の話である。

部屋に備え付けてある「高峰温泉の歴史」をみると、もともと明治時代に先々代が源泉を見つけてボーリングをしたけれど土石流が来て埋まってしまい断念、先代が苦労の末ボーリングに成功して温泉宿を開いたのだが火事で全焼、現在の場所で再開できたのは比較的新しく、30年ほど前ということである。

(私が高校時代に篭ノ登山に登った時には、この場所にはなかったことになる。ちなみに、高峰温泉の歴史の他にも、山と渓谷とか、秘湯の本とかが部屋に置いてあって、朝の雪上車待ちの時間に結構おもしろく読ませていただいた。休憩室にも、本が多く置いてある。)

昭和の終わりに火事で焼ける前は、もう少し下の谷の中にあったということである。当時の写真が館内に残っているが、周囲に高い木々が見えて、いかにも谷間に建っているという風情であった。現在は水ノ塔山の登り口付近、稜線に位置しているので、景色はいまの方がかなりいいだろう。源泉から宿まで、何百mかポンプアップしているとのことだ。

泉質はカルシウム・ナトリウム・硫酸塩泉。源泉は30度ほどなので加温している。浴用とは別に飲用に源泉を引いてあるが、飲むにはちょっと硫黄の匂いがきつい。糖尿病に効果があるということだから、一杯だけいただく。

山小屋と同様に、なるべく石鹸等は使わないように注意書きがある。というのも、ここで使用している「創生水」は油を溶かす力が強く、石鹸を使わなくても十分汚れが取れるそうである。個人的には、最近尾瀬とか三条の湯に行って石鹸禁止は慣れている。山の中だし仕方がないと思う。

お風呂場は1階、2階にあり、さらに屋外を50mほど行くと「雲上の野天風呂」があるらしい。らしいというのは、この日は雪が多すぎて歩いて行くのは危険ということでやっていなかったからである。それでも、1階、2階の温泉で十分堪能できた。当日の夕方、スノーハイクで疲れた後は2階の展望風呂へ。ここからは高峰山と深沢川の深い谷を望むことができる。

お湯の硫黄臭はそれほどきつくない。そして、刺激もそれほど強くない。アルカリ泉ほどではないが、肌にしっとりとなじんでくるお湯であった。山歩きで疲れた足先やふくらはぎをマッサージしながら湯船につかっていると、何ともいえずリラックスすることができた。

ゆっくり眠った後、朝まだ暗いうちに1階・ランプの湯へ。その名のとおり灯りはランプだけで、いかにも風情がある。ここには2つの湯船があり、そのうち1つは源泉をそのまま使ってある。30度くらいあるのでサウナにある水風呂ほど冷たくはないが、それでもちょっと冷たい。せっかくだから入ってみる。硫黄臭が加温したものより強いように感じた。

私が訪問したすぐ後の4月には館内改装のためお休みとなり、この工事で各部屋にトイレ(ウォシュレット付き)が付くということである。山小屋に近い宿から、さらに本格温泉旅館に近づきつつあるようだ。きっと経営状態もいいのだろう。一軒宿のひなびた雰囲気を残しつつ、次の世代に引き継いでいただければと思う。

[May 2, 2014]

雪上車の上から宿の入口。帰りにはお見送りがありました。


帰りは快晴。前方に大きく立ちふさがるように浅間山も見えます。もうすぐ4月なのに雪は十分で、アサマ2000スキー場も盛況でした。


小滝鉱泉 [Jun 2, 2017]

八方ヶ原林道の途中から左に入る道があって、その奥に赤滝鉱泉、小滝鉱泉という二つの鉱泉があることは以前からチェックしていた。いつか泊まってみたいものだと思っていて、今年のゴールデンウィークにたまたま空いていたので、小滝鉱泉の予約を押さえることができた。5月1日の1泊で、空模様をみて当日か翌日かに高原山に登ろうという計画である。

実際には5月1日は大気の状態が不安定で、関東各地で落雷やゲリラ豪雨があったので、当日はゆっくり家を出て一般道で栃木へと向かった。道は空いていて昼前には鬼怒川付近に到着したものの、楽しみにしていたライン下りの売店はやっていないし、小百田舎そばも月曜日定休で空振りしてしまった。

仕方なく、近くにあるもう一軒のそば屋「原宿そば倉」で手打ちそばと山菜天ぷらでお昼にし、「まつたか」でゆばを買い、矢板に移動。道の駅で時間をつぶして、3時になったのでそろそろ大丈夫だろう、と八方ヶ原林道へと向かったのでありました。

林道から鉱泉への細い道は、横から覗いたことはあったが初めて入る道である。刈り払いをしてあって道幅は想像より広かったが、傾斜はかなりきつい。途中で赤滝鉱泉の道が右に分かれ、さらにきつい傾斜を進む。砂利が敷いてあってところどころコンクリで固めてあったが、カードレールのないヘアピンカーブの連続で、すれ違いは困難なので対向車が来ないことを祈る。

走ること十分ほど、ようやく平らな場所に出た。すぐそばに谷川が流れ、小さな滝が落ちている。これがまさに鉱泉の名前になっている「小滝」である。対岸はすぐに急傾斜となり、おそらく県民の森へ続くのであろう登山道が見えている。しかし、その道には車は入ることができない。いま下ってきた連続ヘアピンカーブの道以外、車の通れる道はないのであった。

「なんでこんな山奥に連れてくるわけ?」と奥さんはかんかんである。ところが、ゆっくり温泉に入って、夕飯に鮎の塩焼きが出ると、いっぺんに機嫌が直ってしまうのだから現金なものである。

お湯は黄色く濁っていて浴槽が金気で染まっていたので、鉄泉系かと思って泉質表をみてみると、硫酸イオンとマグネシウムイオン、アルミニウムイオンが多い。それでは硫酸塩泉かというとそれほど成分が濃い訳ではなく、温泉法上はメタケイ酸に該当すると書いてあるから単純泉ということになる。単純泉というと無色透明が多いから、印象とは大分違う。

「鉱泉」というだけあってもっと低い水温で湧出しているものを沸かしているのだろうが、お湯加減も非常にいい。入ってみると足先が見えないくらいの黄土色だが、硫黄のにおいはしない。むしろすべすべ感があるのは、メタケイ酸系のせいであろうか。

ゆっくりお湯に漬かった後は食事。こちらはすべて部屋出しである。はじめに出てきた手作り餃子だけでもかなりのボリュームなのに、続けて出てきた山菜の天ぷらがあり、あゆの塩焼きがあり野菜の煮付けがあり、生ゆばがある。自家製のお漬物があるし、後から豚の角煮が来て、締めは手打ちそばである。食べきれないほどの量であった。

かなり人里離れたところにあるはずなのに、wifiが整備されているのはすばらしい。もちろんTVもちゃんと映る。はじめはこんなところに連れてきてとぶつぶつ言っていた奥さんが、来年また来たいと言うほどのいい宿でした。

[Jun 2, 2017]

小滝鉱泉全景。とてつもない山の中にありますが、部屋もきれいですしwifiも通じてます。もちろん風呂と料理は絶品。


ただし、八方ヶ原林道から標高差100m近い連続ヘアピンカーブを下りて来なければなりません。道幅は狭く、ガードレールがないのでちょっとこわい。


日光湯元温泉 [Jun 30, 2021]

先月、男体山に登るため日光湯元温泉に宿泊した。

日光湯元に泊まるのは約40年振りで、3度目である。最初は小学校の修学旅行で52年前になる。12年くらい後に、最初に就職した会社の課内旅行で泊まった。いずれの回も、温泉でゆっくりするというより仲間で騒ぎに行ったようなもので、どういう景色でどういう旅館だったかほとんど覚えていない。

だから、今回戦場ヶ原を越えて湯ノ湖が近づいたとき、あまりの雄大さに驚いてしまった。湖畔に並ぶ温泉街からは、後方左から日光白根山、温泉ヶ岳(ゆせんがたけ)、さらに右に山王帽子山から太郎山へ連なる峰々が続くという、まさに圧巻の風景なのである。

これほどすばらしい景色を、ずいぶん昔とはいえ2度も来ておきながら全く記憶にも残っていないとは不覚である。とはいえ、この歳になっても新しい収穫は喜ぶべきことだ。

温泉街に入るとすぐ硫黄臭が漂っているように、基本的には硫酸塩泉である。温泉街の東寄り、湖から少し入ったところに共同源泉があり、各旅館に供給されている。大規模なホテルでは別に自前の源泉を持っていて、微妙に成分が違うようである。

私の泊まったおおるり山荘にも何本かの源泉があり、成分表は共同源泉と3本の自家源泉をまとめて掲示されている。多い成分は硫化水素・炭酸水素-ナトリウム・カルシウムで、硫酸塩泉と炭酸水素泉の性格を併せ持っている。

硫黄らしく白濁したお湯だが、それほど濃くはない。そして、湧出温度がそれほど高くない(約43℃)ため、熱く感じることはない。夜中にボイラーの響く音がしたので、加温しているのかもしれない。

こちらの温泉は夜中でも温泉に入ることができる。ありがたいことである。自然温泉であれば当り前のようだが、防犯上の問題はともかく供給量の問題から、入浴時間が制限されているところが少なくない。

朝、露天風呂に入りに行ったところ、まさに正面に温泉ヶ岳を望むすごい景色で、しばし時を忘れて見とれてしまった。

もっとも、以前訪れた旅館はもう少し奥にあるため、露天風呂からこのような雄大な景色を望むのは難しいようである。小学校の時に泊まった板屋旅館はコロナの影響か、「本日お休みさせていただきます」の札が下がっていたし、社会人になって泊まったであろう一角もあまりひと気がなかった。

代わりに、奈良市内でもないのにシカが道の真ん中を堂々と歩いていたし、温泉寺の前では疾走するタヌキを、湖畔では顔を洗いに来ているサルの群れを見かけた。

湯ノ湖に沿って、収容人員200~300ありそうな大規模ホテルが7つ8つ並んでいるのだが、それほど集客できるように見えない。昔なら社内旅行や修学旅行で大口需要があったのだろうが、現状それも難しい。

頼みの綱は海外客で、泊まったホテルにも中国語・韓国語で案内が書かれていたのだけれど、コロナでもちろん来ておらず日本人シニア客ばかりだった。

ただ、一時期北海道が中国人客ばかりになって雰囲気がよくなかったので、年寄りが遠慮しながらしゃべったり館内をマスクして歩いたりするのを見るのはほっとする。こういう雰囲気で、ずっとやっていけたらいいのにと思う。

ところが実際には、ここと立地がよく似た温泉街である阿寒湖温泉には閑古鳥が鳴いており、しばらく前だがそこら中が休館・閉館となっている状態であった。それも、何階建ての大きなホテルに建て替えて何年もしないうちにである。

はじめから、大規模な投資などしないで小規模に続けていればよかったと思うが、そうはできない人間の悲しさということになるのだろうか。

[Jun 30, 2021]

※ 奥日光湯元をはじめとするおおるり旅館グループは、2021年8月末で塩原おおるり、草津ニュー紅葉の2館を除きすべて閉館することとなりました。本当に残念です。また泊まろうと思ったのに。割引券もあるのに。

お世話になったおおるり山荘。日光湯元温泉に来るのは3度目ですが、ゆっくり風景を楽しめたのは初めてです。


翌朝、温泉街を歩くとシカもお散歩中でした。サルとタヌキにも出会いました。


ショック!!! ホテルおおるり閉館 [Sep 1, 2021]

2、3日前のことである。秋の山行の下調べをするのにGoogle Mapをみていたら、その近くにあるホテルおおるりのところに「2021/8/31閉館」と書いてある。ホテルおおるりはついこの間日光湯元に行ったばかりである。

ところが、ホテルおおるりのホームページを見ると、閉館となるのは1つ2つではなく、グループ12館のうち10館が8月末で閉館となるという。私が6月に泊まった奥日光湯元も閉館である。

下野新聞のWEBによると、閉館となったホテルは売却の方向とのことであるが、コロナで自粛が推奨され海外客が戻る目途もまったく立たない中、買い手が簡単に見つかるとは思えない。あるいは、鬼怒川の廃墟ホテル群のようになるのかもしれない。

先々月に泊まった印象では、温泉は湯量豊富だし部屋はきちんと清掃されているし、半分セルフとはいえハーフバイキングの食事も悪くなかった。受付や売店に常時人がいないのは不便だが、朝5時に覗いたら当番の人が出てきた。少ない人数で、ちゃんと運営されていたのである。

6月に泊まった時10月までの割引券を配っていたので、秋にまた来ようと思っていたのである。にもかかわらず、閉館である。使う方は他を当たればいいけれども、従業員や納入業者は目の前が真っ暗だろう。

もちろんコロナは不可抗力であるが、事件発生から1年半経っているのに感染者数が急拡大して総力戦などと言っているのは政治の責任である。しかし、100以上の客室、数百の収容人員のハコを作っておいて、50人の来場客では採算が取れませんなどというのは経営者の見通しが甘すぎたということである。

すでにわが国では10年前から人口が純減に転じており、今世紀後半には六千万人程度とかつての半分になることが見込まれている。家も、学校・保育園も、レジャー施設も外食施設も商業施設も半分しか要らなくなる。「スクラップ・アンド・ビルト」とよく言われるが、スクラップが増えるだけでビルトの必要がなくなるのである。

資本主義の世の中だから、儲かると思って投資することを誰にも止められないし、担保をとるから取りっぱぐれることはないと思って貸すことも止められない。でも、誰もが儲かる訳ではないし、貸し倒れれば担保を処分しても足りない。

本来ならば、急いで返さなくてもいいおカネで施設を作り、料金は人件費と食材費、施設改修のための積立金くらいに充当しておけば、利用者が減ったとしても何とか急場はしのげる。でも、そんなことができるのは公共施設だけで、民間施設の多くはフル稼働して何とか借金返済できるような資金計画を立てている。

そうやって余計なことをして廃墟を作るのだけれど、カネのある人がそのカネを捨てるのも資本主義では本人の自由である。人の土地が廃墟になるのを見て不愉快に思う方が勝手という理屈だろう。景色や自然は「公共財」で、誰か一人の所有物ではないはずなのだが。

とりあえず、秋の山でどこに泊まろうか、一から計画を見直さなければならない。

[Sep 1, 2021]

6月に泊まった際、10月までの割引券を配っていたホテルおおるり。まことに残念なことに、8月末で10館中8館が閉鎖となりました。まだ2館やっているので、使えない訳ではないのですが。


奥鬼怒温泉郷・日光澤温泉 [Dec 27, 2021]

先般、長いこと懸案となっていた奥鬼怒温泉郷に行くことができた。

私が若い頃買ったガイドブックには、このあたりの温泉にはまだ電気が通っておらず、ランプの宿だと書いてあった。日光澤温泉は外観こそ当時をほうふつとさせるものの、中は意外と新しい。

女夫渕(めおとぶち)駐車場から、鬼怒川源流に沿って遊歩道を延々と歩く。ガイドブックを見ると、遊歩道に沿って温泉宿が点在しているようなイメージなのだけれど、実際歩いてみるとかなり違う。

というのは、女夫渕から八丁の湯までがかなり長くてここまで1時間半かかるのに対し、八丁の湯、加仁湯、日光澤温泉は歩いてすぐで、スーパー林道も加仁湯の上まで通り、そこから八丁の湯、日光澤に枝分かれしているのである。

だから、林道が通ってすぐに八丁の湯、加仁湯が大規模なホテル風に改築したのに対し、日光澤温泉だけが昔の山小屋風であるのはちょっと不思議である。いちばん奥だからできなかった訳ではなさそうである。

さて、この日光澤温泉、外観だけみると奥多摩の雁峠山荘みたいだけれど、、窓は二重で床にはじゅうたんが敷かれ、中にいる分には寒くない。部屋にはファンヒーターとこたつが用意されている。

内部は何度か増改築されていて、ところどころ段差があり構造も分かりにくい。朝になって、窓から外を見ると前日通った温泉神社が上に見えたので、ようやく位置関係を把握できたくらいである。

温泉は内湯と露天風呂があり、男風呂の内湯とすぐ外の露天は硫酸塩泉である。山ひとつ向こうが日光湯元温泉なので、泉質もよく似ている。硫黄臭があるのも同じで、何度か入っていると体が温泉の匂いになる。

お湯は相当熱い。水を入れて冷ますように書いてあるのだが、蛇口を一杯にひねっても水はほとんど出てこない。だから、熱いのを辛抱して入る。露天風呂は幾分冷めているみたいだが、翌朝は大雨だったのでぬるくなってしまっていた。

泉質表によると、別にある露天風呂は食塩泉のようなのだが、朝入ろうと思ったら土砂降りになっていたので断念した。やはり日光湯元でも食塩泉が出る源泉があったと思う。

この日は女夫渕から鬼怒沼まで登って、しかも2000m付近は雪と氷だったのでかなり疲れた。しばらく湯舟に浸かったら相当効いてしまって、階段を昇るのに四苦八苦した。浴室は構造的には地下2階にあたり、2階にある客室まで3階分登らなければならない。

食事は1階の広間でまとまって食べる。あゆの干物、野菜天ぷら、肉とピーマン炒めなど。アルコール類もひととおり置いてあり、私は地酒・日光誉の純米吟醸をお願いした。きんきんに冷やしたもので、口当たりがすごくいい。

auの携帯は圏外だったが、どこかの携帯を使っている人がいたので、まったく入らないということでもないようだ。ただし、TVとかは置いていないしWifiもない。何となく、高野山の宿坊を思い出してしまった。

[Dec 27, 2021]

日光澤温泉玄関と一体化する番犬サンボ。建物内部は外から想像するほど古くはありません。


浴室は構造的には地下2階になるため、2階の客室からの往復はちょっときつい。特に鬼怒沼まで行ってきた後は。この写真は下から。


日光澤温泉の夕食。あゆの干物、野菜天、肉とピーマン炒めなど。地酒・日光誉の純米吟醸はなかなかいけます。


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