同一週東西制覇!  (ポーカーの奥深い世界第10話) [Oct 14, 2005]

10月7日は浅草橋DUKEの新システムによるトーナメントの開幕である。持ち点が60点から100点になり、ストラクチャーも変わり、この店の呼び物である「ベガス・カップ」への得点加算方法などが新しくなったのだが、最大の変更点は19:30、21:30と1晩で2回のトーナメントとなったことである。開始時間が30分早まったため、店のオープンも早くなり、参加者の出足も早い。結局29人参加で3テーブルが満杯となってのスタートとなった。

ところが平等に3つに分かれたはずの私のテーブルには、Jさんはじめ、Kさん、Bさん、Cさん、Mさんといった「濃ゆい」メンバーが集まってしまった。その上、苦手としているDRさんまで同じテーブルである。もちろん、誰と一緒だと楽だとか誰と一緒ではきついとかいう事はないのだが、それでも「落とし穴を掘って待ち構えていらっしゃる」方々と最初から当るのは厳しい。初手から全く油断できない展開となった。

幸い、先週はひどいはまり手となったKKで、今回はコールに徹してそこそこのポットをせしめたこともあって、序盤は手を絞っていく戦法でまずまずのチップ量を確保できたのだが、1テーブル整理となったあたりから大変なことになった。Bさんのオールイン、フラッシュ目のリバーで打ってきたDRさんにAヒットを下りてしまい、まんまと絵札ヒットのDRさんにサイドポット、Bさんにメインポットをせしめられてしまったのを皮切りに、先週同様のはまり手の嵐が来た。

AK、88、QQといった手を連続してレイズで入ってことごとくボードに裏切られるという「地獄への一本道」、チップ量はどんどん減ってしまう。その次の手もAQ、目をつぶって再度レイズで入り、ボードにAが2枚2が2枚出てのAフルでなんとか若干は取り戻したが、その間に下家のCさんの手元にかなりのチップが移動してしまっている。決勝テーブルに移動する頃には持ちチップはグリーン6枚の150点。人数が3分の1で平均チップがほぼ300点のはずだから、もうそろそろ飛び込むしかない状況である。

決勝テーブルのSBにオールインで飛び込み、なんとか倍にすることはできたものの、まだまだ先は長い。その間にすごいことが起こっていた。同じくオールインで飛び込んだDRさんのローカードがストレートになり、次の手で今度は「69」からやはりストレート、あっという間にチップリーダーである。参加しない間に次々と人数は減っていき、チップはDRさんと上家のKさんのところに集中している。序盤リードしていたCさんも惜しくも脱落し、残るはチップを持っている2人と私の3人となった。

さて、決勝テーブル残り3人にはなったものの、チップ量の劣勢は変わらない。とはいえ、オールインで飛び込むほど追い詰められている訳でもない。チップリーダーはDREさん、2位はkurodaさんで、2位3位をたして1位のチップ量という状況である。

DREさんは、昨日も言ったように苦手にしている。まあ、大抵の男は美人には弱いものなのだが、彼女はDUKEに来るとほとんど上位入賞を果たしており、同じテーブルになって勝てたためしがない。テニアンのサテライトトーナメント(本戦出場権を賭けた10人トーナメント)でもやられている。それも、一撃で決めに行って逆に決められてしまうケースが多い。

だから、本来チップ量からいって先に勝負を賭けるのは私なのだが、できるだけ一撃で決められないような戦法をとった。2人が勝負に出たときにはある程度のハンドでも下り、一人が下りたときにはできるだけ打って出る。それもレイズはせず、ベット、コールを主体にした。その結果、たまたまスチールになることが多く、チップ量をほぼ均衡する状態に持っていくことができた。

その後はかなりハンドが良く、結果的になんとかDREさんとのサバイバル戦を勝ち抜き、kurodaさんとのヘッズアップに持ち込むことができた。そして、6:4くらいで私のチップ量の方が優位に立っている。

時間がかなり押してしまい、第1ラウンドの決勝戦は場所を移して入り口近くのテーブルへ。先週私のKKオールインを飛ばしてくださったLさんも応援に来てくれる。チップ量の差がそれほど大きくないので、しばらくはブラインドの取り合いになる。途中で、SBからミニマムレイズした手を押さえてからやや私の方に流れが傾き、最後のA8オールインで8の方がストレート。引分けの目もあったのだが何とかしのいでDUKE初優勝を勝ち取った。

休む間もなく、ブラインドが取られっぱなしになっている第2ラウンドへ。しかし、第1ラウンドでかなり消耗していたため、途中までノーリミットと気づかないほど注意力が散漫になってしまった。決勝テーブルまでもう1人というところでA5sの無理やりのオールインをチップリーダーに受けられ、これをフラッシュでまくられて試合終了となった。

1日置いて10月9日、場所は新大阪のKOKO Plazaである。開場時間の午後1時に8階会議室に着くと、すでにビッグ師匠や主催者の方々は準備に入られている。「名古屋は誰が勝ちましたか?」と師匠に伺うと、「前半はあけみんさん、後半はTakeuchiさん」とのお答え。ともによく知っている人たちである。これはがんばらないといけない、と決意を新たにした。

参加者は24名、8人ずつ3テーブルのトーナメント開始である。テニアンでもご一緒したリゾカジの大先輩Nさんの他は、初対面の人たちばかり。まあ、それほど肩に力を入れずに自然体で臨もうと思った。開始数手でQQが入る。レイズすると皆さん下りてスチールとなり、お約束でオープンしてカードを戻す。「素人なんで手見せちゃいますよ。お手柔らかに頼みます」というサインである。3ラウンド60分はおとなしく観察。結構みなさん、がんがん飛ばしている。5000点持ちの25-50で始まり75-150までのリミットなのだが、結構チップ量の差が開いている。

休憩をはさんで第4ラウンド、ここからはノーリミットである。間もなく、Aとローハンドのスーツが来る。ポジションも良かったので、オールイン。すると、すでに持ちチップが1000点切っているKAさんがコール。ハンドは絵札とローカードだったが、ヒットされてしまってチップを減らす。その数手後、逆にKAさんのオールインをAKで受けたらTTだった。リバーでAが落ちて辛くも勝ち、さきほどのチップを戻してもらう(実は、この日のバウイティは2、この時と、あとは最後のヘッズアップだけである)。

その後しばらくして、今度はA9sが来たのでオールイン。すると、しばらく考えていたAさんが、「そろそろ行きますか」と言ってコールである。ハンドはペアなしの絵札2枚。まだ序盤、これをコールされてしまうとは、と愕然とした。チップはAさんの方が多いが、その差はわずか。これを外すとAさん自身がブラインドに削られるくらいの差である。フロップで絵札がヒットしたが、リバーで再びAが落ち、本当に薄氷の命拾いである。

この勝負で、正直なところ、事前に考えていたゲームプランが全く崩れてしまった。適当な言葉が見つからないが、あえて近い言葉をさがせば「空気が読めなくなってしまった」のである。何回か戦った相手であれば、どのようなシチュエーション(ラウンド、ポジション、チップ量、ハンド、相手関係、・・・)でどのようなアクションをするかおよその想像はつくのだが、それが全く分からない。だから勝負どころもつかめない。オールインでチップ量は増えたものの、それを食いつぶしながら何も出来ずに周回を重ねることとなった。

さらに1度の休憩をはさんで第7ラウンド、テーブル整理となるあたりからボタンやブラインドでのスチールを何回かすることができたが、それでもチップ量は5000点と10000点の間を行ったり来たりの状況が続く。決勝テーブル直前にはMさんが3万点以上のチップを独占して金持ちプレイ、ブラインドはそのまま献上せざるを得ない。たまたまオールインの打ち合いで人数が減っていき、何とか決勝テーブルにまでたどり着くことはできたが、チップ量は平均12,000点のところ、5000点を下回っている。

ブラインドはすでに1000-2000、ポジションによっては飛び込まざるを得ない状況であり、ボタン決めにも力が入る。上家にKが入って、SBスタート。もちろん苦しいが、何とか1周はがまんできそうだ。その1周の間に、AKオールインのビッグ師匠をはじめ、何人かがゲームオーバーとなる。見ていると、オールインではハンドの悪い方が必ず勝っている。これは参考にできる、と思った。

人数が減ったのと、すぐに勝負するようなチップ量の人がいなくなったことで、BBでのオールインはスチールとなった。これで、アンティとブラインドが戻ってきた。そうしてじりじりと挽回することができ、残り4名というところでは手許には20000点を超えるチップが集まってきた。おりしも、下家がオールイン。ここで勝てば、一気に優勢である。ハンドはKTs、コールである。そこそこ勝負になると思っていたのだが、相手方のハンドはこともあろうにKJ。これでは勝てない。

多少私の方がチップ量が多かったのだが、それでも残ったのは1000点チップ2枚と100点チップ6、7枚。総チップ量が12万点、残り4名で平均チップは3万点だから、これでは勝負にならない。さすがに落ち込んだ。いつもの私なら次の手でオールイン→終了なのだが、この時はなぜかフォールド。たまたまボタンで、アンティだけ出せば済むからだったかもしれない。そして次のUTGで、配られたハンドはJJ。もちろんオールインだが、メインポットなどお構いなく、私と関係がないサイドポットで盛り上がっている。ここでサイドの何分の1かのメインポットと、アンティを手に入れた。

手元に残った10000点弱で、なんとかブラインドをやり過ごしていると、チップの少ない私などお構いなしに、オールインの打ち合いが始まった。「こうなると、二人とも引かないぞ」という声も聞こえる。全くの他力本願で結果を見守る。そのうちに一人がゲームオーバーとなり3位以上が確定、さらにオールイン合戦があって一人が抜け、とうとうヘッズアップとなってしまった。

ヘッズアップといっても、総チップ量12万点のうち、私の持っているのは1万点くらいであるから、全く問題にならない。ブラインドは3000-6000、手を選んでいたら終ってしまう。どう考えても、目をつぶってオールインしかない。しかし、目をつぶっている間に2連勝、それと確かKさんのフォールドもあって、持ちチップは4万数千点になった。「これで打ち回していけますね」と長らくチップリーダーだったMさんにおっしゃっていただくが、私はこの流れで勝負をかけるしかない、と思っていた。

次の手で、SBのKさんがオールイン。私の手は45s。現時点で負けていることは間違いないが、スト目もフラ目もあるこのハンドは、勝負を賭けるのに不足はない。ほとんどノータイムでコール(ショートオールイン)。そしてKさんの手はなんと73。想像だけれども、すぐれたBJプレイヤーであるKさんにとって、縁起のいい組み合わせなのかもしれない。フロップで4が出た。他には3も5も7も出ない。ターンでもそのまま。そしてリバーでも、・・・そのままである。なんと4ヒットでの勝利、そして逆転である。

そのすぐ次の手は私のSBであるが、BBのKさんがオールインの気配。ここは気合を外すのが本当なのかもしれないが、あえて行くことにした。オールインの他にオプションはないのか、とご指導を受けてしまう所以であるが、ここまで来た以上、この流れに乗って一気に決めたかったからである。ハンドはAとローカード、幸いに、フロップでローカードの方が当たる。ターンまでで、Kさんには手元2枚のヒットとフラッシュドローのまくり目が残ったが、リバーでは何も起こらず、なんと大逆転の優勝である。

決勝テーブルではほとんど他力本願で、自分の順位が一つでも上になることだけを祈っていたら、本当に最後「運だけで」勝ててしまった。そんな状況ですので、大阪のみなさん、また東京で対戦するみなさんも、引続きお手柔らかにお願いいたします。最後に、あたたかく迎えていただいた大阪ポーカーオフの運営者の方々、参加者のみなさんに厚く御礼申し上げて、今回のレポートを終えたいと思います。「どうもありがとうございました!」

[Oct 14, 2005]

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