ディーラー志願 (ポーカーの奥深い世界第14話) [Jan 20, 2006]
先週の日曜日1月15日は、リゾカジ・ポーカー大会、略してリゾポカの記念すべき第1回の大会であった。とはいっても、昨年の5月に京都リゾカジ杯、12月には第0回のリゾポカが行われているので、全く初めてのメンバーという訳ではない。そして、この記念すべき大会に、なんと、私がディーラーとして登場したのである。
ディーラーというと、それこそ競技経験豊富な方々が勤めるべきもの、という先入観がある。特に国内の大会の場合、ディーラーが同時にひとりのプレイヤーとして参加することが多いからなおさらである。しかし、そんなことでバックを踏んでいては上達への階段を一歩上ることができないし、いろいろな大会でディーラー数が不足していると聞いているし、何よりも自分が楽しむためにやってみたい、ということで志願したところ、幹事のMITさん、ドーナメントディレクターのビッグ師匠からお許しが出て、いざ出陣となった。
以前から機会があればディーラーをやってみたいと思っていたのでシャッフルの練習はしていたし、暮れの「我中ポーカー一番決定戦」でもちょこっとやらせていただいたのだが、その時は”飛んだあと”にディーラー専業としてであった。今回は最初から、プレーヤーとして参加しながら配らなければならない。そのためには、ある程度作戦を練る必要がある。またもや、通勤電車でのシミュレーションが始まった。
作戦の詳細については今後のこともあるのでここで明らかにすることはできないが、当然いつものような打ち方はできない。ディーラーである以上ゲームの進行に最大の注意を払う必要があり、いつも自分の手に集中することは特に経験の浅い私にとっては無理な相談である。となると手を絞る必要があるが、AAとかKKでしか参加しなければ当然相手は早めに下りるだろうし、第一そんな手が来るまで待っていられるかどうかという問題もある。もう一つ、自分の手に関わっている時間はあまりないことが予想されるので、瞬時に行く・行かないの判断を行う必要がある。
いろいろ考えた結果ある作戦をとることとした。仮にこれを作戦Dと呼ぶことにしよう。本番前に一度、この作戦を試す必要があると思い、13日の金曜日、DUKEウィークリーに参加した。この日もDUKEは3テーブルが一杯の大盛況。これである程度の戦績が残せれば、リゾポカにも目処が立つ。ディーラーを何とかこなすというのが第一目標だが、だからといってむざむざと負ける訳にはいかない。
思ったとおり、参加回数が少なくいい手も来ないので、確実にチップが減っていく。しかも、この夜は長期戦の様相を示し、ブルー(1点)チップが整理される第4ラウンド終了まで、ほとんど飛ぶ人がいない。判断を早く行う練習として、カードは1度しか見ない。それでほとんど参加しないものだから、えらくヒマである。そして、チップ整理から間もなく、早くもBBの2~3倍という危険水域に達してしまった。
この時はUTGでポケットペアが来てなんとか凌ぐ。だが、すぐまた一周回ってくる。これは、精神衛生上きつい打ち方だなあと思っていたら、ようやくオールインの声がかかり始めて人数が減ってきた。結局、75点原点のチップがグリーン4枚(25×4=100点)以上になることはほとんどなかったにもかかわらず、決勝テーブルにまで残ったのである。こんなやり方だからここまで残るとあとはほとんど勝負にならず9位での終了となったが、それでもここまで残れるということでかなり自信になった。
1日置いて15日の日曜日、DUKEに着いたのは午後1時。トーナメント開始までまだ1時間あるというのに、地下に下りる階段の途中からにぎやかな声が聞こえるほどの盛況である。普段のDUKEは3テーブルまでだが、この日は5テーブルが設置されており、出場者の席割りをみると50人近い参加者である。これは、大変なことになった。
私のテーブルには、MITさん、ビッグ師匠はじめBJさん、itoさん、tagamanさん、めぇ社長、ゴンさん、kopaさんなどなどおなじみの面々。ん?テニアン選手権の決勝テーブルのメンバーが4人もいるではないか!こんなハードなテーブルで、しかも打ち方を変えて上位に残れるのか、非常に不安になる。配り始めはさすがに緊張して、2度カードを開いて配ってしまったのと、11人分配ってしまうというミスディールがあった。でも、仲間内の皆さんに温かく見守っていただき、なんとかゲームを進めることができた。
それでも、なかなか声を出すことができない。後からビッグ師匠には「威厳がない!」とご指摘をいただいたが、ともかく最初はミスディールしないように、人数分を1枚ずつ配るのに精一杯で、とても声を出す余裕などなかった。それでも徐々に、「ブラインドお願いします」「アクションお願いします」「オールイン入りました。○○点です」などと声が出せるようになった。ほんと、ここまで来るのにかなり時間がかかったのですよ。
結局、1回目の休憩時間までゲームに参加したのはBBでチェックした1回だけ。それも当然上がれていない。それでも、持ち点3000点はまだ2000点以上残っている。もちろん、私のゲーム進行が遅いせいもある。結局作戦Dの「行ける手」が来たときには、ぼちぼちオールインで飛ぶ人が現れてテーブル移動が出始めたあたりである。
最初の「行ける手」でオールインすると、誰もコールせず結果的にスチールとなる。200-400で600点のブラインドが入って一息つく。間もなく、AAが来た。どなたかプリフロップでオールインしている。こちらのチップ量の方が大きかったので迷わずコール。しかし、自分で配っているのに相手に2ペアを作られてしまう。「弱え~」の大合唱。全く否定できない。
もうしばらくして、今度は確かBBで88のポケットペア。下家のMさんがオールイン、上家のTさんがコール。88は微妙なハンドだが、コールしてもまだ1000点と少し残るのでコール。フロップで8が落ちる。Tさんチェック、私もチェック。ターンはrag、Tさん・私ともチェック。リバーではKだったか絵札が落ちた。スト目はかなり薄く、相手が8より上のセットでなければ多分大丈夫という局面で、Tさんからオールイン要求。おそらく2ペアのはずなのでオールインコール。ここを押さえて一気に持ち点は5000点を突破した。
しかし、好事魔多し。そのすぐあとに今度はビック師匠がA・8・2のフロップを見てオールイン。チップ量は私の方が多い。ハンドはというと、A8である。おそらくAKなんだろうなー。まくられるかなー、と思いながらコールすると、なんと2ヒットなのであった。これは必勝、負けるはずがない、とカードを開いていくとリバーで再び2。またもや、自ら逆転のカードを配ってしまった!
結局、これが致命傷となって、あとは残り1枚、2枚になり命からがら生き延びる、という展開となってしまった。それでも、残り15名くらいとなりディーラーを替わってもらったときの1000点チップ1枚の状況から、粘りに粘って決勝テーブルに残り7位という好成績を収めることができたのだから、自分で自分を誉めてあげたい(古い?)。
ほとんど初めてのディーラーで、もっとちゃんとできたのになー、と反省することしきりだが、ともかく自分が楽しむことができたのは収穫であった。次回は作戦Dにさらに磨きをかけ、やはりディーラーをしながら優勝したLupin兄貴にぜひともあやかりたいものである。
[Jan 20, 2006]