お金持ちプレイ (ポーカーの奥深い世界第22話) [May 31, 2006]
お金持ちプレイとは、序盤で大きくリードして、チップの暴力
ともいわれるプレッシャーをかけながらさらに有利な状況をめざすという戦法である。なにしろ、相手にとって勝負することはゲームオーバーの危険を冒すということだから、どうしても二の足を踏む。お金持ちプレイをされた場合、プリフロップなら勝つ確率の高いJJ以上のペアやAK、フロップ以降であればナッツないしナッツドローでないと勝負に出られないというのは、単に私の気が弱いからではなく誰でも思いあたることではないかと思う。思えば今年に入ってから、実際のゲームでお金持ちプレイをしたことが全くない。もちろん終盤で追いついてチップリーダーというのはあるのだが、序盤でリードする展開にはなかなかならない。そのあたりの原因と対策をいろいろ考えさせられたのがこの週末であった。
金曜日の晩はDUKEのウィークリー。今月はこの日が初登場なので、当然マンスリー権利はない。負けると第2試合はないので2着権利を目指して序盤から積極的に行こうと思った。しかし、手が入らない。ポケットペアはおろか、Aとハイカードすら来ない。ようやく来たAQで勝負に出ると、相手はペア。しかもセットを作られてアウトである。決勝テーブルにさえ残れない惨敗であった。
続く土曜日はベガスカップ。早起きしてホームページの更新、トレーニングジム、枯れてしまった芝の手入れとハードスケジュールをこなして夜7時前にDUKEへ。第1試合はホールデム、第2試合はTTOS(ホールデム×2、オマハ、セブン)。第1試合は金曜日と同じ流れが続く。ポケットペアは88まで。AKはヒットせずフォールド、AJは昨日と同様セットを作られてしまう。決勝テーブルはるか手前でのゲームセットで、第2試合までの待ち時間が長かった。
ようやくAAが来たのはTTOSのオマハになってからで、しかもあとの2枚がKとTではローの楽しみがない。結局Kさんにストレートを作られてアウトである。その後セブンスタッドでのオールインが成功してなんとか決勝テーブルには残ったのだが、ボタン決めでいきなりBBになってしまい万事休した。
3日連続ポーカーの2日目までいいところなし、そして日曜日はメインイベントのリゾポカである。テニアンの2日間トーナメントを勝っている3人のうち、BJさんもLupinさんもリゾポカで優勝している。勝っていないのは私だけ、決勝テーブルに残ったことも1度しかなくて、他の大会と比べても極端に成績が良くない。なぜなのだろうかと寝不足の頭で考えながら、3日連続のDUKEに向かったのであった。
BJなら・・
前にも書いたことがあるが、私の戦法は”タイト・アンド・アグレッシブ・プラスアルファ”であることを目標としている。実際は限りなく”タイト・アンド・パッシブ”に近いので、打たれたりかぶせられたりすると意気地なしにも下りてしまうことが多い。結果として、勝負に行くハンドはかなり少なく、序盤戦はショートスタックぎりぎりの厳しい戦いとなってしまう。
だがいつかは勝負できる手が来るので、そこでオールインで倍増して何とか戦線に復帰する、そこで再びタイトになり、何とか生き残ってとりあえず決勝テーブル、というのが私の戦い方である。人数が少なくなれば「行ける手」のハードルも下がるし、ブラインドも大きくなってそれなりに冒険する価値が出てくる。しかし、リゾポカではそういうところに行き着く前に沈没してしまうことが多いのだ。
おそらくその要因の一つは、テーブル数が多くてなおかつブラインドの上がり方が急だから、ただがまんしていてもジリ貧になってしまうということであると思うが、もう一つには、序盤で必ずどこかで打ち合いとなり、チップの貧富の差が開くのが早いということがあるのではなかろうか。そしてリゾポカに出る人達はポーカー歴に長短はあるが基本的にはギャンブルに強いので、乗っている時はがんがんくる。つまり自然とお金持ちプレイをされてしまうのである。
例えば、自分がAQを持って参加したとする。プリフロップでレイズしたらコールされた。フロップAK3が出てベットしたらレイズされる、なんてケースがあったとする。相手のチップ量が自分の倍以上あるとしたら、勝負できるか、ということなのである。ここで問題なのは、相手がAA、KK、AKを実際持っているかどうか、というのはもちろんであるが、もしかしたらそれ以上に、相手がブラフだということに勝負をかけられるかということなのではなかろうか。
お金持ちプレイをされるときついのはそこのところで、自分の手に勝負をかけるのは仕方がないが、相手の手に勝負をかける場合、そのハードルはどうしても高くなってしまう。相手のハンドを高く想定してしまうのである。上の場合であれば、例え相手がATであっても同様にレイズしてくるかもしれない。もしかしたらJTとか24とか、あるいは全くのリアルブラフかもしれない。それをこちらが勝手にAKだと思ってしまうのだ。
もちろん、相手も「こちらの手がAA、KK、AKではない」ということに勝負をかけているのだが、お金持ちだからチップの相対価値は小さい。負けたって、まだまだ挽回は可能な水準である。そんなこんなで、決断を先送りしていくうちにブラインドはどんどん上がり、自然死水準に落ち込んでしまう。今回のリゾポカもまさにそういう状況であった。残り4テーブルで大きくチップを減らし、残り3テーブルの時には虫の息。最後はA2でオールイン。相手Cさんはペア。”345!”と呼び込んだら3と4は出たのだが、5は出ずにゲームオーバーとなってしまった。
こうした泥沼の悪循環を避けるためには序盤である程度のチップ量を確保しなければならないが、それは早飛びの危険性と背中合わせである。どうしたらいいのかなあ、と思い悩むことが増えた週末でありました。
[May 31, 2006]