1年間 (ポーカーの奥深い世界第27話) [Aug 30, 2006]
早いもので、昨年テニアンでポーカーチャンピオンシップを戦ってから1年たつ。いま思うとあの時はすごいハンドが続けて来て序盤でリードし、中盤ではじっとがまんが続き、終盤ではオールインを連発して瞬間的に勝負を決めてしまった。その後いろいろな大会に参加したけれども、あれほど手に恵まれたトーナメントはなかった(その頃は経験が浅くてよく分からなかったが)。
さて、テニアンに向けての最終調整のつもりで望んだ土曜日のベガスカップ、日曜日のリゾポカとも、真ん中よりちょっと上だが決勝テーブルには残れず、というなんとも中途半端な結果に終った。その中で自分なりに収穫になったのは、リゾポカの序盤でおそらく今年初めてくらいのお金持ちプレイを練習する機会が現れたことである。
5テーブルスタートの序盤。リゾポカは開始10分もたたない間にオールインの声がちらほら聞こえだす展開の早いトーナメントなのだが、この日も例外ではなく、私のいる第4テーブルでも何度かのオールインの応酬がみられた。最初の休憩前、ハンド55の時にフロップに5が落ち、ポーカー侍さんにオールイン強制されたがなんとかコールしてチップを倍増、テーブルのチップリーダーとなってしまった。
こういう機会はほとんどないので、実はやり方がよく分からない。だが、ポットが小さいのに暴れても仕方がないので、ブラインドの小さいところではじっくり手を待ち、15-30とそろそろ魅力的なポットになってきたところでスチールを試みることにする。しかし、リゾポカの恐ろしいところはチップの暴力を振るおうとしてもあっさりコールされてしまうところである。飛び込まれないようなチップ量の人を狙ってメイク150(5倍!)のレイズをしたところ、SBのGONティーはGで下りてくれたのだが、BBのAさん(仮名)にオールインで受けられてしまった。
多分真っ青になっていたと思う。なんせハンドは65sなのである。手ではなくポジションと相手のチップ量を重視したのだが、やはり慣れない事をするとこんなもんである。「なんだよ~、ブラフかよ」とGティーに冷たくコメントされてしまう。かなり不利な状況ではあるけれどもAさんの手もKQなので、当たったモン勝ちである(大体60:40)。
フロップが開いて、Q23。ヒットされたが、ストレートのガッツショットドローである(この時点では80:20)。そしてターンで4が出た。危うく命拾いである。もし負けたとしてもチップは半分近く残っているのでゲームオーバーにはならないけれども、どっと疲れた。本当に、慣れないことをするものではない。そしてリバーは7、そこまで出なくてもいい感じである。
その後もショートスタックのオールインを受けて勝ったり負けたり、あるいはスチールしたりしているうちに、チップは750点を越える。スタートが150点だから5人分のチップであり、5テーブルスタートだからこのままのチップ量を維持していれば平均チップで決勝テーブルに進めるという状況になった。しかしブラインド50-100、残りは2テーブルで13、4人というところ。おとなしくしていれば何の問題もなかったはずなのだが、ここで魔が差してしまった。
その前のBBでドレちゃんのオールインを36か何かで受けて何の見せ場もなく敗れたあたりがターニングポイントだったのだろう。1周の間ほとんど手が来ないでフォールド。そしてUTGでハンドはKQs。SBのBBSTARさんがショートスタックで、なんとなくオールインして来そうな気配。BBのめぇめぇさんは下りても問題ないチップ量で、みんな下りた場合SBのBBさん(まぎらわしい!!)がレイズして生き返ってしまうと思った。
しかし、ミドルポジションにはせりかっちとchibaさんがいる。コールで入って、絡んでこられるのは嫌だ。幸いチップ量は私の方が多い。BBSTARさんとのヘッズアップなら、仮に負けても被害は小さい。600点以上のチップを前進させて「みんな下りて」のオールインを敢行した。魔が差したというのは、この時めぇめぇさんのチップ量を確認していなかった、ということである。
思惑通りボタンまではみんなばたばたと下りてくれた。そしてBBSTARさんは思ったとおりオールイン。よし勝負!!と思ったその時、なぜか隣のめぇめぇさんがカードを捨てない。「どーしよーかなー?」と考えている。えっ、そりゃあ話が違うよと思ってチップ量をよくみると、なんと私よりもちょっとだけ多いような気がする。BBSTARさんを土俵際に追い込んでいるつもりが、自分が土俵際に追い込まれていたのだった。
そして明るく、「コール」。こちらは目の前が真っ暗である。めぇめぇさんのハンドはAT。こんなんで命かけなくてもいいだろー、と言っても後の祭りである。対めぇめぇさんでは45:55と若干不利なくらいだが、BBSTARさんはAKである。これは30:70でかなり不利。でも、カードオープンをした途端、だめなような気がした。よく考えればめぇめぇさんに勝てば飛ばないのだから、この時点ではそれほど悲観する状況ではないのだが、それほど動揺していたということだろう。
そして、フロップでいきなりあと2枚しかないはずのAが落ち、早くも絶望的となる。さらにリバーではTが落ちて、実はプリフロップでは最も不利なはずのめぇめぇさんが1000数百点のポットをスクープしたのである。その後間もなく決勝テーブルになったので、今回もその直前で悔しいゲームオーバーであった。そして紆余曲折があったのだが、優勝したのはめぇめぇさん。優勝者に飛ばされたのだから仕方がないと言わざるを得ない。
今回は久々にチップを持った戦いであったが、最後には平均チップ量以上の状況から一気にゲームオーバーとなってしまった。反省すべき点はたくさんあるのだが、これも本番前の練習と思って前向きに考えるしかない。とにかく来週は、この1年の成果を発揮して悔いのない、そして楽しい遠征にしたいものである。
[Aug 30, 2006]