長いトンネルを抜けた・・・かな? (ポーカーの奥深い世界第31話) [Nov 30, 2006]
ホントに先週末はどっぷりポーカーに漬かり、ようやく長いトンネルから抜けたような気がする。木曜日には浮上のきっかけをつかみ、金曜日には実に3ヵ月ぶりの優勝、そして土曜日は1トーナメントに6時間半という久しぶりの長期戦で、頭がウニになりそう
になった。ともかく、9月のテニアンのノースウェスト遅延によるトーナメントキャンセル以来続いていた最悪の状態から、確実に上向いているのは何よりのことである。さて、話は先々週の土曜日、蔵前のコーナーポケットにおけるベガスカップにさかのぼる。8月に最後の1勝を上げて以来、全く勝負にならない日々が続いていた。ほとんどのゲームが、一次予選(最初のテーブル)でやられてしまうのである。そういえば、AAも10月のベガスカップシーズン決勝の開始第一局以来見ていない。というよりも、絵札以上のポケットペアがここ1ヵ月ほど来ていないのだ。さすがにこれだけツイていなければ何をやってもうまくいかないはずである。
しかしその日のコーナーポケットでは、しばらくぶりにKKといういい手が来た。4倍レイズしたところ、Smさんにオールインで受けられていやな予感がしたが、開いたハンドは99、勝率は約80%である。案の定フロップにはAが出た(レイズ大正解)けれどもボードには9は落ちずに、久々にちゃんとしたハンドで勝てたのである。しかしこの日はそこまで。ATvsA8でのオールイン(勝率約75%)は8が出て負け、KQsvsJ4oのオールイン(勝率70%)はJが落ちて飛んだ。もちろんファイナルテーブルにはほど遠い位置でのゲームオーバーである。
さて、週が変わって木曜日の祭日はDUKEのベガスカップ。店内改装のため開催日が変わり、参加者は少ないだろうと思っていたら、なんと開始時刻の7時には続々と人が集まって結局4テーブルでのスタート。入賞は2位だからこれはかなり厳しい。しかし、1ラウンドからKK、QQが入ってくる。ブラインドが低い上リミットなのであまり実入りは良くないのだけれど、こんなことはしばらくなかったことだから気分がいい。
その後もそこそこがんばれる展開が続いたのだが、ショートスタックのSaさんをJJで討ち取りに行って、なんとボードにTが2枚落ちて逆転負けを食らってから運の女神がSaさんに移動してしまったようで、ファイナル7着で終わってしまった(Saさん優勝)。しかし、久々のファイナルテーブルである。続くセカンドトーナメント(HORSE)でも、ミックスゲーム10ラウンドを勝ち残りファイナル1歩手前の11着。帰りは終電近くになってしまったが、手ごたえをしっかりつかんでちょっとうれしい帰りの電車であった。
さて翌日の金曜日。会社は普通にあるので5時間睡眠で一日がんばり、そのまま浅草橋DUKEへ。この日のウィークリートーナメントは1回だけで、後半戦はウィークリー上位者のみのマンスリートーナメント。昨晩のメンバーが同じように集まってきて3テーブル。できれば上位2名に残りたいけれども、これだけ数が揃うと運が味方してくれないとなかなか厳しいものがある。実際、開始早々トップペアで打っていったらKKのCさんが隠れていて、ざくっとチップを減らす。みんな勝とうとしているんだから、なかなかうまくは行かないのは当り前である。
4ラウンドまではじっと我慢。チップ整理で5-10の第5ラウンド、すでに持ちチップは50点を切っている。55が来たのでレイズ、さらにベットと歯をくいしばって攻めていく。ボードにはK、Qとローカード。リバーまで回ったが相手はA持ちでなんとかここをしのぐ。がまん大会はまだまだ続いて、第8ラウンド終わってチップは100点(緑4枚)。強制に近いオールインで100点入れるとコールは4名。ハンドはJハイのそれほど強調できる手ではなかったのだが、Jが落ちてまたもやしのぐ。400点(緑16枚)持ってしまえば、総チップ量2000点ちょっとの世界だから、なんとかがんばれる。オールインスチールをかけたり、打ち合いになったらAQで下りたりして、なんとか残り3人にまでたどり着くことができた。
さて、ここまで来て2着と3着では大違いである。もちろん1着を取りたいが、3着を避けたい気持ちの方がかなり大きい。だから、残り2人に打ち合ってもらうことにした。チップはさらにレベルが上がって黒チップ(100点)。2度のオールインシチュエーションでなんとか決着が着いたが、トップのDさんが20枚(2000点)くらい、私は3枚(300点)。計画通り2着には残ったけれどもちょっと優勝は厳しいので久々に「玉砕オールイン戦法」である。1回目はQヒットで倍増。次のオールインはDさんが下りて、その次のオールインでDさんからオールインしてきた。こちらのハンドは52o、普通は受けられない。ただ、ここで下りるとせっかく倍にした苦労が水の泡である。
中途半端な手ではないので、ボードがローカードばかりになればそこそこ楽しめることは確かなのでコールしたら、DさんはAK。勝率は約33%で、ATとかでコーってしまうよりも大分と勝率がいい。フロップは両方とも当たらない。ターンもrag。このまま何も起こらなければAハイで負けだが、いくら小さくてもヒットすれば勝ち。6アウツだから、確率は12%強である。「2か5!」と呼び込んだら落ちたのは2。なんと2ヒットで逆転してしまった。次のオールインもJ3oから3を当ててしまい優勝、なんだかDさんに申し訳なくて仕方ない結果となってしまった。
そうして出場権を得たマンスリートーナメント。やはり序盤でTさんにストレートを引かれてしまいチップを減らしたが、なぜかトップペアになることが多くてファイナルテーブルへ。結果は入賞1歩手前の6位だったが、まずまず勝負権のあったゲームだった。これで前日から4つのトーナメントでそこそこの結果が残せたのだけれど、まだトンネルから出たという気はしない。なぜかというと、オマハ(4枚のカードが配られる)は別として、これですでに1ヵ月半の間AAが全く来ていないからである。再び終電1つ前の電車に乗りながら、このままいい感触で来週を迎えるのがいいのか、それともAAを見るまでがんばるのか考えた。翌日の土曜日には、上野で開催がある。
翌土曜日の上野のイベントはJUMPSである。このトーナメント、本場とストラクチャーを同じようにしようというコンセプトのもので、1ラウンドが40分と長くしかもブラインドの上がり方が緩やかなので、必ず長期戦になる。加えて、今月はリミットトーナメントなので、ますます決着が長引くはずである。
ということは粘っていれば何周も回ってくることになり、AA様を拝むにはもってこいのトーナメントといえる。ただし、3日連続はさすがに体がきつい。NFLの録画も貯まっている。どうしようかなあ、と参加予定者を見ていたら、なんと猛獣プレイをさせたら日本一と評判のAさんのお名前が載っている。最近鍛えていただいていないだけに、これは行かなければならない、というわけで急いで仕度して再び電車に乗った。
2時にトーナメント開始。2000点持ちで最初のラウンドは25-25で40分。回っている間に、三々五々メンバーが集まって結局12人の2テーブル。猛獣Aさんに加えて、日本一タイトなプレーヤーながらディーラーをやると「47」とか「38」がナッツになるようなボードを配ってしまうOさんとか、これで3日連続で会っているポーカー修業尼僧せりかっちとか、とりあえずレイズのIさんとか、しぶとい草食動物のSさんとか他にも個性的な面子が来ている。
Aさんは結構久しぶりだったのだが、いつものようにとレイズしまくりで、そのたびに「がおう」と吠えてくれる。ブラインドが小さいとなかなか命がけにならないので、なごやかな雰囲気でゲームは進むけれども、なぜか最初の1時間は全く上がれない。レイズしてもまず下りてもらえないので、セットにならないポケットペアはよほど上のペアでないと打ち切れない。何度か参加したゲームでもフロップまで見せてもらって下りるというパターンが続いてしまう。
チップは早くも1500点くらいまで減ってしまったが、2ラウンドも25-50の40分。最後までコーってもレイズがなければ300点だから、そうそう飛ぶことはない。3時を過ぎて、ようやくAJでAが当たってポットを手にした。しかしAQの人がいてボードがAKKQragという冷や汗のチョップだった。その後しばらくして、88が来た。ポジションがよくなかったのでコールで入ったら、フロップで8が出た。
よしっ、とうとう来たぞ、とチェックで回してベットが入ったのでチェックレイズである。2人がコールで残って、次のカードは絵札。ここもチェックで回したら打たれたのでチェックレイズ。2人ともコールして最後の1枚はなんと8。フォーカードである。ここは全員チェックで1000点以上のポットを獲得した。
後から、このチェックレイズ2回はあまり上品ではなかったなあと思った。フロップはいいとして、ターンではコールして、リバーはベットするのがあるべき姿のような気がした。もっとも、それだとコールしてもらえなかったかもしれないが。チップ量に余裕ができたので、次の50-100、75-150の2ラウンド80分は現状維持を目標に控え目に終始する。
4時から5時までの間は再び引き波が来たのか、全く上がれない。開始から3時間が過ぎたが、まだ12人のうち7、8人が残っている。5ラウンドは100-200。チップ量はアクティブプレイヤーのGさんがダントツで、8000点近く持っている。後は2位グループで平均2500~3000点くらい。時たま誰かがオールインになるのだが、そこを勝ち残ってしかも平均チップのポットを手にしてしまう、という状況が続く。
さらに6時を回って第6ラウンド(150-200)から第7ラウンド(200-300)。このあたりでようやく入賞の決着がつく。そして、残り4名のところで、ようやく待ちに待ったAAが来た。レイズしたが、チップリのGさんがコール。フロップTTJ、チェックで回ってきてベットしたらコールされる。ターン8。ここもチェック、ベット、コール。そしてリバーはJ。フルハウス目、フラッシュ目、ストレート目、全部ある。Gさんここでベット、どうみても不利である。なんたってチップリだから、たとえレイズしたところで下りてくれる訳はない。コールしても多少チップは残るけれども、ほとんど勝負権はない。
「参りました」と言ってマックしようとも思ったが、やはりAAは捨てられずにかわりに600点のチップを放ってしまう。オープンすると、なんとGさんは「チップの暴力」ベットでKQのストレートドロー。なんとか命拾いしてチップは6000点台に伸び、初めてトップが見える位置にまで浮上したのである。
6時半から隣のテーブルでセブンスタッドのHOPSが始まっており、ディーラーのMさんはずっと配りながらのプレイが続いている。第8ラウンド(200-400)あたりでようやく残り3名となる。Gさんが12000点、私が7000点、Mさんが5000点といった見当か。誰かが打つとあとの二人が引くという展開が続き、ついに第9ラウンド(400-800)、時計は8時を回ってすでに開始から6時間。頭がぼおっとしてきた。
6時間も続けて同じトーナメントを戦うのは、テニアン以来である。そのテニアンも、途中で30分、1時間の休憩が入ったので、ほとんど休みなしのぶっ続けプレイというのは経験がない。なにしろ、家で朝昼兼用のブランチをとってから10時間以上何も食べていないのである。もちろん条件はみんな同じである。このブラインドだと打ちっぱなしで計4800点入る。総チップ量が24000点だから、ポットが10000点近くなるとほとんど勝負がかりである。何とか、勝負をつけてしまおうと変な企みをしてしまったのが、いま思うと最大の敗因である。
その一つ目はMさんのオールインシチュエーション、こちらは99だったので、コールのつもりであまり深い考えがなく付いていった。ボードには9以下の数字が並んでいる。ここまでずっとコールでついてきたMさんが残りチップを入れてオールイン。ポットは7、8千点あったかもしれない。何百点かでコールなので、ほとんど迷わずコールしたら、Mさんは25だか46だか忘れたけれどローカード2枚で、なんとストレートを作っていたのである。上はエースか絵札で下が当たって、コールだからセットはない、などと勝手読みをして最後までコールしてしまったのは大きな間違いであった。
まあ、これはドローで付いてきたMさんのファインプレイとして、次のGさんへのスロープレイは大失敗だった。フロップで2ペアができて、ベットしたら例によってGさんがコールしてきた。この時点でブラインドの回り具合で私がチップリーダーになっており、ここはスロープレイで致命傷を与えてしまおう、とターンはチェック。リバーで打ってきたのでコールしたら、なんとフロップの1枚にターン、リバーの計3枚のハートを使ってランナー・ランナーでフラッシュを作られてしまっていた。
仮にターンでベットしたとしてもGさんは付いてきたかもしれないが、だとすればフラッシュドローでリバーのベットには下りられるから減るチップ量は同じ。だったらランナー・ランナーでやられないように打っていくべきだったと思う。
結局、こうした手痛いミスによって、第10ラウンド(500-1000)には自分自身がオールインシチュエーションになってしまい、結局75vs44の2オーバーであっさり4をセットにされて3位でのゲームオーバーとなった。時間は8時35分、じつに6時間35分の長期戦となった。ちなみに優勝したのはMさん。上のローカードでのストレートからチップ優位になり、最後は私が飛んでから10分ほどでGさんを押し出したのであった。
今回の教訓は、長期戦での要諦はとにかく集中力を欠かさないということであった。集中力を失ってくると楽に勝とうとして、無理な仕掛けや自分勝手な読みをしてかえって自分が致命傷を負うことになる。運がなくても勝てないが、ミスをしても勝てない。なかなか、思うようには行かないものである。
[Nov 30, 2006]