生き残る (ポーカーの奥深い世界第32話) [Dec 27, 2006]
11月に久々の1勝を上げた後も、今一歩波に乗れない状況が続いている。とにかく手がこない。AA、KK、AKなんて贅沢は言わないけれども、たまに来るペアが22とか44(これで勝負に行かなければならないことも多い)、Aが連れてくるのがせいぜいT、一発勝負のローカード・コネクトスーツも来ないという状況では、なかなか華々しいゲームができないのはやむを得ないところである。
さて、浅草橋系のメインイベントがベガスカップなら、上野のメインイベントはWPJ(世界選手権日本代表決定戦)である。このイベント、年間の予選でポイントを貯めて60点以上になれば決勝大会に出場でき、ここで勝つとWSOPorWPTに出られるという魅力的な大会なのだが、その60点がなかなか難しい。昨年はポーカー修行尼僧が「あと・・・点!」とがんばっていたが届かなかった。そのせりかっちは今年は悠々と60点をクリアしてしまったので、私としても遅れを取る訳にはいかない。先々週までの点数は49点、あと11点である。
まず先週の火曜はSTEPS。リバイラウンドありのトーナメントである。実はこのトーナメント、初出場初優勝しているゲンのいいトーナメントであるが、リバイありの1時間半とその後とでは全く戦い方が違うという難しさがある。初めの頃はリバイは敗者復活みたいなイメージでとらえていたのだが、それではたぶん勝てない。リバイラウンドはライブゲームというくらいの感覚でやらないと、精神的にもチップ的にも苦しくなる。38だろうが74だろうがオールインしてくる人はしてくるし、またそれがよく当たるのである。
さて、この日もなんとか2リバイくらいで食い止めて、フルアドオンでおよそ14000点持って第7ラウンドへ。かなりの点数のように思われるが、すでにブラインドが高い(600-1200)のでそれほどゆっくりしてはいられない。14人参加なので2テーブル、まずはファイナルテーブル争いである。道中でスチールに失敗して3600点を失い、ブラインドも守れずにチップは7000点台。これは飛び込むしかないかな、と思って我慢していたら、ばたばたと先に飛ぶ人がいてファイナルテーブルへ。
順位は上がったが、チップが増えた訳ではない。こうなると目標は点数のもらえる6位である。断トツのチップリはポーカー尼僧せりかっち。私がブラインドになると8割方レイズしてくる。3倍レイズなら3回に2回以上成功すれば割に合うのだが(1回のスチールでSB+BBでBBの1.5倍稼げる)、私がコールする確率は5分の1以下だから楽勝である。私だって私がBBならスチールしたいくらいである。とはいえ、チップリに逆らってもいいことはない。ここはじっと我慢の一手である。AJとかKQで下りていたので、後ろで見ていたHさんから、「なんで行かないの」
と言われてしまう。だが我慢の甲斐あって、なんとか残り3人に。ここでAJが来たのでオールインすると、せりかっち、Iさんがコール。そしてIさんもAJで何も起こらず2人でチョップ、せりかっちの巨大なチップの山を削るというファインプレイがあって一時はトップに立つ場面もあったのだが、結局息切れして3着。優勝はそのAJから手が入りまくったIさん。ともかく、3位の入賞ポイント4点を加算して、ここまでのポイント合計は53点、あと7点となった。
金曜日は浅草橋DUKEのウィークリートーナメントである。冬休み前最後の金曜日のせいか、常連の多くが忘年会らしく2テーブルと少なめ。がぜんやる気が出る。こういう時でないと、2着条件のマンスリー権利はなかなかとれるものではないからだ。
この夜も決して手に恵まれた訳ではなく、珍しくスロープレイしたらみんな参加してポットが大きくなったのを取れたという恵まれた展開があって、ファイナルへ。ここでも粘っていたら残り3人になったのは、ひとえに参加人数が少なかったためである。相手はいつものKさん、Sさんである。オールインスチール、フォールド、フォールド、またオールインスチールという無限連鎖に陥っているうちに、ブラインドが上がって次が100-200というところ。現状ボタンで次がBB、持ち点は400点しかない。
ハンドはK8。行って行けない手ではないが、できれば下りたい手でもある。ただし、次がBBでチップ半分持っていかれるということになると、ここで下りても次が命がけとなる。そうなった場合、K8よりいい手が来る確率より、悪い手が来る確率の方が高そうだ。とはいえ、勝負になるとすれば二人ともAがなく、ポケットペアもない場合で、最悪はKを持ってかつ9以上を持たれている場合である。「ちょっとチャンスがないかなぁ」と言いながらオールイン。
しかし予想に反して、SBのSさんもオールインコール、BBのKさんも「これじゃ下りれない」とか言いながらコールである。[注.後からKさんに教えていただいたところ、チップ量と2人オールインの状況とハンドから判断してのコールで、普通は44は下りるそうです]数えてみると、私がSさんより1枚多く、Kさんは残り半分くらい。このポットを取った人がほぼ勝ちで、Kさんが勝てばその瞬間ゲームセットという状況となった。手を開けると、Sさんが確かA6、Kさんが44。なんで3人しかいないのにA持ちとポケットなんだ、とわが身の不運を嘆くが、決してノーチャンスということはない。気を取り直してボードを見る。
フロップ、何も落ちない。ターン、何も落ちない。そしてリバー、何も落ちない。なんと4オーバーをかいくぐって44の勝利である。そして、Sさんには申し訳なかったがチップ1枚の差で私が2位。なんとかマンスリー権利を手に入れることができた。今の手の勢いではこのあたりが一杯で、これ以上を望んでも罰が当たるだろう。案の定、セカンドのTTOSでは予選テーブルで撃沈した。
土曜日は上野のJUMPS。WPJポイントを稼ぐには最も適したトーナメントである。しかも2000点持ち、1ラウンド40分という長丁場で、手を待ちたい私にとっては比較的うれしいトーナメントである。ゲーム開始は午後2時。最初は25-25という小さいブラインド。そしてこんなところでめったに来ることのないAAである。BBだったので、チェックで回し、ちょこちょこベットしたのだが、ポットは300点もない。それでもAAはうれしいものである。
2ラウンド25-50、3ラウンド50-100、4ラウンド100-200とゆっくりと進む。午後4時を過ぎた頃から、オールインが頻繁にかかりだす。このあたり基本下りで進めていたのだが、ミドルペアが来てスチール気味に3倍レイズした時にBBのSさんにオールインされ、すごすごと下りてしまったのでチップを減らしてしまう。700点と1000点の間を行ったりきたりしながら、今日も入賞が精一杯だなあ、でもまだファイナルテーブルにもなっていないんだよなあ、とどうしても気持ちがシュリンクしてしまうのであった。
生き残りへの第一関門はAhKh。もちろんオールインだが、BBが200点なのに700点くらいしかないので全く迫力がない。対面にいたAさんが全く躊躇せずにコール。これだけ自信満々というのは相当厳しそうだなあ、と思っていたら出てきたのはAA。覚悟したがフロップでハートが3枚落ちてあっさり逆転した。
しかし2、3周するうちにあっという間に危険水域へ。ハンドはJ9。リンプインしてフロップを見たらJが一番大きかったのですぐにオールイン。よく見たらクローバーが3枚だったのでかなり冷や冷やしたが、ここもクラブ2枚がいなくてなんとかしのぐ。
そしてようやくチャンスは来た。BBでハンドを見るとAA。さあオールインだ、と待っていたらせりかっちがスチールで600点、SBのOさんがレイズで1200点入れている。ショートオールインしたらせりかっちが下りてOさんとのヘッズアップ。Oさんは99。ボードには7とか8とか落ちてかなり危なかったが、なんとか9は落ちずにポットを確保、2時間ぶりくらいに安全圏に脱出した。
しかし良かったのはここまで。なんとかファイナルに進み、入賞点の付く6位まで粘ったところで強制オールインに近い状態へ。2人が参加していたので珍しくノールックでオールインしたら、後から見たらトップペアだったのだが、フラッシュにまくられていた。もっともハンドもQ4とたいしたことはなかったのだが。しかしこれで5点追加して58点。60点まであと2点となった。
ゲームオーバーになると、隣のテーブルですでにHOPSが始まっている。ゲームはセブンスタッド。その後DUKEのベガスカップに一緒に行く約束のせりかっちはまだまだチップをたくさん持っているし、見ているだけでは面白くないのでこちらに参加。すると、意外と手がくる。時間になったらオールインしてしまおうと思っていたのに、いつのまにかチップリーダーを争うところまで来てしまった。
こうなると、腰を落ち着けていかなければならない。浅草橋にはせりかっちに先に行ってもらい、じっくり勝負。最後のヘッズアップまで勝ち残った。ここでもストレートのオープンドローでオールインし、みごと4を引いてストレート完成したのだが、Oさんにフルを作られてゲームセット。しかし2位の入賞点2点を確保して、遂に目標の60点となったのである。
先週1週間は入賞点をめざしての戦いとなったので、生き残りシチュエーションばかりでかなり疲れる展開であった。今週一週間残っているが、今度は熱く華々しいゲーム運びで、一年をしめくくりたいものである。
[Dec 27, 2006]