ラスベガス修行2007年秋 (ポーカーの奥深い世界第52話) [Dec 12, 2007]
11月24日土曜日、ステイプルズセンターでボクシングを観戦した12時間後、すでに私はラスベガスへのノースウエストに乗っていた。今回の遠征は実質3日間、少しの時間も無駄にすることはできないのである。
昼前にはラスベガスに到着、タクシーで今回の宿エクスカリバーに向かう。まだ1時前だったが、チェックインの行列ができていたので、その後に並ぶとあっさりチェックインできて、おまけにもう部屋を使ってもいいという。厳しいスケジュールの中、少しでも余計な時間を過ごさなくていいというのはありがたい。
今回の遠征目的の一つ目はボクシング観戦だが、二つ目はいままさに佳境に入っているNFLのスポーツブックを実地に体験すること、そして三つ目がポーカートーナメントへの参加である。部屋に荷物を置き、さっそくスポーツブックを探す。
場合によったらMGMグランドまで歩かなければならないと思っていたが、エクスカリバーのスポーツブックも十分すぎるほど大きかった。ストリップ側の入り口からすると奥、シャトルバス乗り場の近くに、大画面とたくさんの小画面で、競馬やバスケットボール、そしていまやシーズンたけなわのアメリカンフットボールを中継している。そして、もちろんその勝敗についてここで賭けることができるのである。
この日は、カレッジフットボールの注目ゲームが多く行われており、現時点のランキング2・3位のミズーリ対カンザスも西部時間の午後5時半からのスタートとなっている。とはいえ、カレッジの勝敗まで予想できないので、翌日のNFLのフットボール券(?)を買い、レストラン街にあるファーストフードManchu Wok(中華と書いてあるがちっとも中華じゃなくむしろエスニック)で昼・夜兼の食事をすます。
さて、この日参加するつもりのポーカートーナメントは、午後7時スタートのシーザースパレスのデイリートーナメントである。なぜここかというと、前回来た時にすごくポーカールームが広々していてよかったのと、次のトーナメントが午後11時からあるので、負けたら続けて参加できるからである。
最初にお断りしておくと、今回の遠征でプレー時間はほぼ7時間だったが、その間AAは一度も来ず、KK1回・JJ1回はスチールしただけ。AKは2回来ただけというきわめてハード・ラックなハンドに耐えなくてはならなかった。だから、今回の報告ではドラマティックな展開はほとんどない(それは、いつもそうだが)。
$150バイインのリバイなし、5000点スタートの1ラウンド40分だから、最初のうちは様子見である。ハンドも悪いが、スーツやコネクトで面白そうだと思って参加してみても、ドローにすらならないという引きの悪さである。25-50なので、大体レイズ・リレイズと入るのでフロップで出来ていないと下ろされてしまう。
結局、スチールで1回ポットを手にした後はずるずると後退し、5000点が4000点と少しに減ってしまった。ボードをみると参加者は94名。まだまだ勝負は先なのだが、早くも気だるい雰囲気になってきてしまった。
エクスカリバーのスポーツブック券。写真をとらなくても、結局当たらなかったので持って帰れました。
シーザースのトーナメントは25-50からで1ラウンドの時間も長い(このトーナメントは40分)のだが、かといって手を絞っているとアンティラウンドが早々に始まってしまう。だから、そうそうゆっくりしてはいられない。ましてや90人も参加しているのだから、早めにダブルアップしないとすぐにショートスタックである。
相変わらず手は来ない。ハイペアはおろか、AT以上が来る気配すらみえない。当然、下りてばかりである。2ラウンドの50-100、SBでハンドはQ5o。3人コールしたので、参加。BBもチェックで、珍しくフロップを見ることができた。
フロップQ52のレインボー。なんと、ツーペアである。もちろんチェックで回す。ミドルポジションからポットベットが入る。にっこり笑ってチェックレイズを入れると、相手はリレイズオールイン。プリフロをコールで入ったことからみて、ペアやAQではなさそうだ。QヒットでキッカーK~9あたり、現状勝っているはずとみてコール。案の定Q9だった。
そのまま何も起きず、ツーペアの勝ちで8000点にほぼダブルアップ。”Blind Special!”といわれる。ああ、これはほんとに英語だったのね。間もなく2ラウンドが終わって休憩。ディスプレイを見ると92人中残っているのは46人。こんなにブラインドが低いのに、もう半分しか残っていないのであった。
3ラウンドからは早くもアンティ25が始まって100-200。1周で550減るけれども、おかげさまでそれほど急ぐ必要はない。ほぼ「見」で回して4ラウンド、アンティ50の200-400、スチール一発で1000点以上手に入るあたりから動き出した。A8でスチール、ATでスチール、そしてAKが来て2000点打ったところで、リレイズオールインが入る。絶好のタイミングで、もちろんコール。
相手はTT、ほぼ互角である。なにしろ、この日初めてプリフロでコールできるハンドである。これで負けたらしょうがないと気楽に見ていたら、フロップの一番上にいきなりKである。よくやった。T出るなよ、よしっっ、そのままKペアで再びダブルアップ、アンティ、ブラインドを合わせて15000点を超えたのであった。
しかし、良かったのはここまで。4ラウンドを終わって残り30人、平均チップはあるし、もう一回ダブルアップすればイン・ザ・マネー、と思って手を待つが、最初に述べたように全く手が来ない。5ラウンド(アンティ100、400-800)、6ラウンド(アンティ200、600-1200)の80分間は、A7とか99とか危なっかしいハンドでスチールして何とか15000点を確保するものの、増やせそうな展開にはならない。
この休憩で残り2テーブルの18人。イン・ザ・マネーは9着からなので、あと半分。飛んだら出るつもりだった11時のトーナメントも、すでに始まっている。ここからはショートハンドの戦い、アンティとブラインドを積極的にとりにいかないと、ただでさえ平均を割っているのにさらに苦しくなる。
7ラウンド、アンティ300、1000-2000。平均チップはおよそ25000点になるが、10000点前後の人も半分くらいいて、「入れ頃」である。幸いこのラウンドはSBスタートだったが、1周の間に3人飛んでテーブルバランス、両テーブルとも7人ずつで残り14人となった。
次がUTGというところで、来たハンドはKJクラブのスーツ。この日のハンドの中では上位5%以内に入るハンドである。持ちチップの約半分、8000点でレイズ。なんとかスチールできないかなと思っていたら、すぐ下から約10000点のオールイン。かなり負けてるっぽいが、下りる訳にもいかずコール。相手はAQo、ナイスハンドである。
結局この対決はフロップでQJともに出てしまい、これが致命傷となった。残り5000点となって、BBのA4sでオールインし、2人コール。「ん?これ勝ったら戻るじゃん」と思ったが、フラ目なし、Aも落ちずで終了。開始から5時間と5分、真夜中の0時5分に14位での終了となりました。
あとたった5人、と思うと何とかできなかったかと思わないでもないが(結果的にKJを下りてA4をオールインすれば、スチールできたかも、とか)、序盤から最後まで全くと言っていいほど手が来ず、コネクトやスーツで参加してもドローにすらならなかったことから考えると、ちょっと無理という結論に達した。まあ、前回遠征の残り3テーブルから2テーブルに、少しは前進してよかったなあと思いながら、真夜中のストリップをエクスカリバーへ戻って行ったのでありました。
#3 MGMグランド デイリートーナメント
さて、翌11月25日は、もう遠征最後の晩である。前日、シーザースパレスから帰ってドリエルを飲んだら、それまでの睡眠不足の帳尻を合わせるように9時までノンストップで眠ってしまった。あわてて朝ご飯を食べにバフェへ。日曜日なので、エクスカリバーのバフェは朝昼兼でちょっとだけ高いが、そのかわりシャンパンが付く。朝からそんなに飲んでもいられないけれど。
東部時間の午後1時に始まるNFLのデーゲームは、西部時間のラスベガスでは午前10時である。この中継を見ようと思って、わざわざ$30高い37型テレビ付きの部屋にしたのである。下のスポーツブックに行けば全試合見れるが、やっぱり自分の部屋で一人ゆっくり観戦する方がいい。
しかし、中継の入っていたジャイアンツ対ヴァイキングスのゲームで、序盤からマニング弟が敵にパスをきっちり通す(インターセプト)。今年はあまりこういうことがなかったのに、わざわざ来た時に限ってやるんだからなー。これで、前の日買っておいたスポーツブック券は紙くずとなった。おもしろくないので、午後のゲーム(西部時間1時)もあわてて買いに行ったが、こちらも大差で勝つはずのアリゾナが8連敗中の49ナーズに負け、パーレイが紙くずになる。
さて、そんなことをしている間に夕方になる。新4コーナーの歩道橋を渡ってMGMグランドへ。ここのポーカールームは広くて居心地がいいし、参加費もそれほど高くないのでお奨めである。午後6時スタートの$125バイインに登録。飛んだら8時半のラクソーに転戦する予定であった。
ここのトーナメントは基本的に6テーブル。3000点スタート、25-50から倍々で上がっていき1ラウンドは30分である。オーバーフローしたり早飛びしたプレーヤーは、”alternative”として最初の3ラウンドだけ順番に入ってくる。だから、3ラウンドまではリバイがあるのと同じ感覚で、早めに勝負していく必要がある。
みんなそのように思っているらしく、1ラウンドからどんどんオールインが入る。ここでは1RのミドルポジションでAJが入り、アーリーのレイズ300を800でリレイズ。ここはコーられて、フロップはすべてスモールカード。相手チェックにオールインすると(打ち過ぎ)、ちょっと考えてコール。出てきたのは99。セットになっていなかったのでひと安心。
ターンでいきなりJ。申し訳ないが、逆転でダブルアップである。その後、KQリンプインでQがトップペアとなり、QJと打ち合いになってここでも大きく増やし、7500点に。あとはおとなしく、3ラウンド終了を待つ。4ラウンド200-400も手堅くスチールでやり過ごして、5ラウンドからはアンティ100の400-800。いよいよブラインド&アンティの取り合いである。
テーブル整理になって、対面にフェリックス・トリニダードに似た若い奴が入ってくる。こいつがえらくアグレッシブで、やたらとレイズ、リレイズをかましてくる。おまけにというか、この時ちょうどNFLのペイトリオッツvsイーグルス戦が佳境に入っており、私の席からはテレビは背中になるので気になって仕方がない。この時点で、絶対有利のはずのペイトリオッツがリードされていたのである。
カードを捨ててはテレビを見るという落ち着かない状況でAQoが入ってきた。ポジションはボタン。3人コールで入っているので、相手を絞ろうと思ってメイク3000点のレイズ。他は下りてくれたのだが、トリニダード似が”リンプインだからねー”とかいいながらオールイン。チップ量は私より多い。ここで迷ってしまった。下りても原点以上はある。負けたら、即飛びである。結局、AQを見せて下りた。後から考えると、ここが勝負時であった。
そして、その後は当然のように自然死一直線である。6ラウンドのアンティ200、800-1600で、残り3テーブル。ほぼBB強制オールインで、相手がナッツフラッシュ。勝ち目はなかったが念のため見てみると、8だか9だかがワンヒットで、フロップの時点では勝っていたけれども、どうしもしようがない。
時計を見ると、8時30分を回ったところで、この日も次のトーナメントには参加できなかった。仕方がないので、エクスカリバーに戻ってステーキハウスで夕食。ナパ・バレーの赤ワインをボトルで飲みながら、ひたすら反省。そして部屋に帰ったが前の夜寝過ぎたせいか目がさえてしまい、結局朝までBJやスロットマシンをして過ごした今回の遠征でありました。(完)
[Dec 12, 2007]