WPJ5決勝 (ポーカーの奥深い世界第59話) [Apr 16, 2008]
4月第2週はWPJ5、今年度の世界選手権ポーカー日本代表決定戦である。入賞すると、WSOPの出場権が得られる大きなトーナメントである。開催日時は早くから発表されている。だから、その前の週に体調を崩す奴がいるとしたら(私である)、崩す方が悪いのである。
ポーカーにおいて、集中力は勝敗を分けるかなり大きな要因であろう。中1週のブランクと直前調整を行えなかったことは、その点においてかなりのビハインドである。ボードを見た一瞬で戦局の展開を読み、相手の反応を探り、自分のアクションを決定する、そのプロセスが相当部分さびついてしまうのである。
それならオンラインポーカーで調子を整えればいいかというと、それはどうだろうか。実際に人を相手にするのと、ディスプレイを通して戦うのとはちょっと違うと思うし、だいいち敵の顔が見えない。一種の勝負勘、おおげさにいえば危機察知能力がオンラインの場合働きにくいのである。
そんな訳で試合当日を迎えた訳であるが、一瞬の判断力に不安を抱える中で最も可能性のある作戦として、「できるだけ参加せず、参加した勝負を確実に取るようにする」のがベターであると思われた。だから勝負はブラインドが上がって200-400以降、それまでは勘が鈍っているのだから抑え目に行こうと決めた。
99点あるので、10200点スタート。平均チップは12000点前後らしいので、若干それよりも低い。それでも31人中10位だから、悪くはない位置である。入賞は7位からと発表される。約4分の1の確率である。
1ラウンド25-50。オープニングでAQが入り、Aヒットで初ポットを獲得。しかし、その後は長いトンネルに入る。あまりいい手が来なかったこともあるが、セカンドヒットやフラッシュドロー、ストレートドローで下りていたのは当初の作戦通りなので仕方がない。2ラウンド50-100、基本的に、全部下りた。AKはもちろん、トップペアヒットや2ペアでも下りていたので、中には実際には勝っていたハンドもあったようである。
2ラウンド終わって、チップは8775点。じりじりと減らしている。3ラウンド75-150。このラウンドはいいハンドが来た。KKはスチールに終わったが、AQで参加したゲームはフロップJJQからリバーでQが到着、QフルJというこの日のベストハンドをあがることができ、チップ量も11300点と原点を上回るところまで伸ばすことができた。
次の4ラウンド、125-250。昨年ゲームセットとなったラウンドである。これだけチップがあれば、昨年のように夕食前に飛ぶことはなさそうだ。ブラインドも上がってきて、そろそろ勝負に入るタイミングでもある。このラウンドに入ってすぐ、ボタンでAJが入った。メイク750点のレイズ。しかし、SBのShadowさんにメイク3000点のリレイズを食らう。チップ量に差があるので下りざるを得ない。いっぺんに、浮いていた分がなくなった。
この時点で、同じテーブルでもShinさんは飛んでいるし、せりかっちはAAvsKKのオールイン対決でKが落ちてしまいゲームセット、あちらの卓ではSatoさんが終了している。序盤抑えたのは悪くない作戦だったはずだし、実際に手も入っていない。ここからが本番である。
しばらくしてAQからフロップKJ4、ターンAという場面。BBSTARさんのベットに喜んで!とコールしたら、iguさんがレイズである。AK、AJ、QT、セットのどの手でも入っていたらありそうなアクションだし、現状負けているので下りる。リバーではもちろんTが落ちて、iguさんは4のセットだった。
またしばらくしてショートスタックのharuhiさんからオールインが入ってハンドを見ると77。1500点くらいだったのでコールすると、相手はAJ。ボードにはAが2枚しっかりと落ちて、またチップをざっくり減らす。
さらにこのラウンドの終了間際、スモールブラインドでK9。コールで回ってきたので参加する。ボードにKとスモールカードが落ちたので打って出ると、チップを持っているりえさんがレイズ。ここでコールしてしまい、その後も打たれてずるずるコール。相手はK7でフロップからツーペア。ワンペアでは勝てない。
結局、第4ラウンドが終わって夕食休憩時には4850点、1ラウンドでチップを半分以上減らしてしまった。1時間の休憩があるので、近くのコーヒー屋さんでアイスラテを飲みながら一人で反省する。
ただ、どこが悪かったのかというと、明らかなミスはなかったような気がした。このへんから行かないと、ブラインドが上がってから苦しくなる。AJレイズをリレイズされて下りるのは間違っていないはずだし、AQvs44で4が落ちたのも、77vsAJでAを引かれたのも、じゃんけんに負けたということである。
最後のK9vsK7では、SBで参加しなければ良かったということはあるものの、トップペアヒットで打って出て悪いという理由が見あたらない。しかも、最初からキッカー負けとかセットというならともかく、結果的に25%を引かれてしまったのである。
夕食前までに8人がゲームオーバーとなり、残りは3テーブル23人。チップ量はスタート時点のトップ4人、ながっちさん、shadowさん、りえさん、inoさんがさらに増やしており、入賞圏の7位は15000点前後。生き残っていれば、チャンスはなくはないと思い直して部室に戻ったのであった。
第5ラウンドは200-400。5000点弱しかないので、次にレイズしたら命がけである。そして、スチールできるぎりぎりのチップ量である。オールインスチールをしたり、ブラインドでたまたま当たったりしてなんとか生き残るが、チップは増えない。そして、この間にも何人か飛んで、ラウンドが終わる頃にはあと1人でテーブルブレイクというところまできた。
第6ラウンド、ここからアンティ50、300-600である。これからは下りているとどんどんチップが減る。そして、たとえオールインしてもみんな厳しいチップ量なので受けられてしまう可能性が大きい。しばらくしてショートのiguさんがオールイン。そして自分のハンドを見ると99である。
実はここまで6時間近くプレイしてきて、最高ハンドがKK、それ以外にハイペアは来ていない。だから99は、本日2番目のいい手ということになるのである。iguさんは堅いプレーヤーだからハイペアの可能性が高いが、もしかしてAとハイカードがあるかもしれない。なんといっても、チップ量が私より少ないショートスタックなのだ。
しばらく迷ったが、オールイン。出てきたのはQQ。まあ仕方がない。ボード68Tと出て、7と9の6アウツまでチャンスは広がったが、結局そのまま押し切られチップ量はとうとう2000点を割ってしまった。
ここはなんとかしのいだのだが残り2テーブル、ブラインドはさらに上がってアンティ75の450-900。いよいよどこかでオールインをしなければならない状況となった。ミドルポジションでAT、いつまで待っても今日はこのくらいのハンドしか来ないのでオールイン。2人コールしたので開くことができない。
リバーでTが出たのでもしや、と思ったのだが、その前に出ていたJをチップリのながっちさんが持っていてここでゲームセット。16位での終了となった。
ちなみに、この大会を優勝したkopaさんは、私が飛ぶ直前にAAオールインを決めて危険水域から一気に安全圏に抜け出したところだった。kopaさんおめでとうございました。(といいながら、同じような位置から抜け出されてとってもくやしい)
瀕死状態で2日目に突入するのなら、ここで飛んだのはむしろ良かったのかもしれない。今年の特徴はAとハイカードは多かったがほとんどボードとかみ合わず、しかもペアが来なかったということであった。高い方からいうとKKがスチール、99、77はそれぞれオールイン負けである。
もしかしたら、序盤自重した中に絶好のチャンスがあったのかもしれないが、それは作戦だから仕方がない。いずれにせよ、今回は直前に体調を崩したのが大きかったと考えることにしよう。幸い、シーズンは始まったばかりである。
[Apr 16,2008]