本当にあったディナーバウチャー (ポーカーの奥深い世界第65話) [Jul 4, 2008]
WSOPシニアは負けたけれど、まだ遠征は続いている。こちらで落ち合ったスナイパーさん(イベント41でイン・ザ・マネー)と次はどこにしようかと打ち合わせて、最終的にシーザースパレスのメガスタックに出場することにした。
前日の時点では、WSOPの負け方(全然手が入らない)に気が滅入ってしまい、「もう、ロングストラクチャーのゲームは嫌だなあ」と思っていたのだが、時間が経つにつれて「そんなにいつまでも悪いハンドが続くわけはない」と考えが変わってきたため、50分ブラインドのこのトーナメントにしたのである。$340バイインで12500点スタート、メガスタックの名前に相応しいラージスタック・ロングストラクチャーのゲームである。
ちょうど前日のWSOPシニアと同じ12時スタート。相変らず、Jet Lagで頭がふらふらする。こういう長丁場の序盤戦は、必ずしもポットを取りに行かなくてもいいと思っている。それよりも、地雷に近づかないことが大切である。もちろん当っていれば打つけれども、レイズされたらさっさと下りる。150点や200点取られても大したことはないからである。
そんな訳でほとんど参加せずにいたのだが、たまたまいいポットが取れて500点、1000点とプラスが積み上がる。うれしいことである。
そして休憩後の第3ラウンド、100-200で、とうとうこの遠征はじめてのハイペアが到着した。最初はQQで、次がAA、そしてその次のKKでは、たまたまコール200、レイズ1200と入っていたので一気にレイズ5000点。レイザーは長考の末下りたのでKKを開いて見せた。プレミアムハンドが入って大きくリレイズするのは、ポーカーのたいへん楽しい瞬間の一つである。
その後もこのラウンドの50分で、88が2回、TTが1回入る。最後のTTはテーブル・チップリが大きくレイズしていたので、リスク回避のため下りる。手が入らない時期には考えられないことである。このラウンドの猛攻で、チップはほぼダブルアップして25000点となった。まだまだ先は長いが、この時点ではかなり上位に入るチップ量である。
次の第4ラウンド200-400は、一転して絵札すらほとんど入らないようなバナナハンドが続く。ただ、これだけのチップ量があれば、アンティが始まっても当分は安心してプレイできると思った。次に波が来るまで、スチールで現状を維持しようと決める。50分ラウンドのディーラーシャッフルなので、ほぼ1ラウンドに3周。ということは50分に3回のスチールがノルマである。
そこそこチップ量があるので、ペアかAが入ってメイク2400とかでレイズすると、ほとんどコールして来ない。そしてハンドが全然来ないものだからだんだんレイズするハンドもひどくなって行く。A5とかKTなどはまだいい方で、K5とかJ9とか、普段では考えられない手でも歯を食いしばってレイズした。いつかマジ手が来ると思ってそうしていたのだが、実はこの後7ラウンド延べ5時間以上、またもやハイペアは入らないのであった。
ディナーバウチャーが出たフードコート at シーザースパレス。
7ラウンドからはいよいよアンティが始まり、アンティ100の600-1200。相変わらずハンドは入らないが、必死でスチールを続ける。A8sでレイズしたときにショートスタックから44でリレイズを食らいオールイン対決となるが、フロップ8が落ちてなんとか逃げ切る。しかしその後にスチールで失敗して4000点削られてしまい、チップは相変らず25000点をちょっと上回るくらい。
8ラウンドはアンティ200の800-1600。このラウンドのBBで、3人コールで回ってTd6dをオプションチェック。フロップJQK、ダイヤが2枚。チェックで回したら、最初にリンプインしたショートスタックがオールイン。ポットは8000、上乗せベットが10000点くらい。おそらくはAJからAKのどれかで、ワンヒット&ストレートドロー。しかしこちらも、オープンエンドのストレートドローとフラッシュドロー、オッズは十分合うはずとみてコール。
案の定相手はAQだったが、ターンがダイヤのエースでフラッシュ完成。逆転のフル目は残ったもののリバーラグで、大きなポットを獲得、持ちチップは本日最高の40000点に達した。しかし、この後またもやレイズメイク5500点を2回リレイズされて下りスチール失敗、チップは再び27000点に逆戻りしてしまった。
ここで第8ラウンド終了。トーナメントディレクターから、ディナーブレイク75分が発表される。そして、残っている人(ディスプレイでは543人中148人残り)に1枚ずつ紙が配られる。読んでみると”$10 Voucher”と書いてある。おお、ディナーブレイクまで残ると、フードチケットがもらえるのか。
先々月のアウトサイダースカップで、ディナーブレイクまで残ると無料で夕食が提供されたが、まさか本当にそんなものがあるとは思わなかった(WSOPでは全員に$10バウチャーが配られる)。指定されたフードコートに行くと、同じバウチャーを持った人がたくさんいた。長い行列を並んで、ビーフ・サンドイッチ(バウチャー)とハイネケン(スナイパーさんからゴチ)で夕食。
ディナーブレイク後は第9ラウンド、アンティ300のブラインド1000-2000。いよいよ、持ちチップ27000点では苦しくなった。スチールするにもレイズメイク10000かオールイン、コールされたりレイズされたら行こうと覚悟を決める。そしてこのラウンドは、34とか58とか、いまだかつてやったことのないようなハンドでのレイズが続いた。とにかく、全く手が入らないのである。
なんとかここも現状維持で、第10ラウンド、アンティ400の1500-3000へ。1周で8500点減るから、何もしなければ3周で自然死である。勝負をかけるしかない。最初のBBはレイズが入って下り。次のSB、ハンドは87o、相変らず良くないが、手掛りにはなる。ボタンまで全員下り。あとはBB、20000点を割り込んでいて、私より何千点か少ない。
ここは勝負に行くしかないように思えた。だが、いっぺんにオールインしたら相手も受けやすい。まずレイズして、フロップを開いたらエニーハンドオールインと決めた。まずレイズメイク12000点。BBコール。下りないからにはそこそこの手なのだろうが、リレイズしてこないということは下りる選択肢を残したということである。
フロップKJ6。全然当っていないし、ストレートも遠い。しかし初志貫徹でオールイン。Aが落ちていない以上、ブラフが効くかもしれない。案の定、BB長考。”Do you have a King?”とか言っているということは、Jペア以下のハンドということである。しかしコールされたらAハイで負けである。下りろ、下りてしまえ。
しかしBBはコール。ハンドはAQ、まあこれは下りないだろう。というよりはフロップでリレイズ十分の手である。「最悪、ストレートドローがあるからコールできた」「彼に大した手が入っていないことは分かっていた」とか言っていたが、まあ言われても仕方ない。それでも7か8が落ちれば逆転だったが、そういうことは起こらなかった。
結局次の手(66)をオールインして、またまたAQにコールされAが落ちてゲームセットになったので、87を自重していても結果は同じだったことになる。ディスプレイを見ると残りは105名。54位からインマネだったので、あと半分届かなかった。
終わった後、シーザースパレスからエクスカリバーまでストリップ大通りを歩きながら、何でこんなに手が入らないんだろうと少しは思ったものの、前日ほど気が滅入ることはなかった。なぜかというと、これまでやったことがないくらいいろんなハンドでスチールできたことが一つ、もう一つはわずか$10とはいえ、ディナーバウチャーという結果が残ったからではなかったかと思う。
[Jul 4, 2008]