ノーリスク・ノーグローリー  (ポーカーの奥深い世界第7話) [Aug 30, 2005]

昨日も上野虎の穴に行った。Doyle先生の講習を受けた後、「ストラドル・バウンティ」のリミット・トーナメントに参加。残念ながら予選テーブルでの敗戦となったが、これで来週のテニアン、初めてのリアルマネー・トーナメントの準備をすべて終えたことになる。8月に参加したトーナメントは8つ。うち5つのトーナメントで決勝テーブルに残ったが、上位入賞はなし。自分なりに課題を設定して臨んでいるので、結果がすべてではないが、かなり欲求不満が残ったことは確かである。

今月の課題は何だったかというと、主なものは2つあった。一つは、「玉砕オールイン戦法」をあまり使わずに、できるだけ粘って打ち回すこと。もう一つは、フロップ以降の駆け引きを勉強すること、である。だから、今月については平均ベット以上の水準から一気に飛んでしまうということはあまりなかった。また、フロップ以降に勝負がもつれ込んでも、そこそこついていけるような気がしている。その分、この1ヵ月でできなかったのは、勝負とみた時の見切り、飛び込んで行く勇気である。

例えば、自分の波が上げ潮である、ここは押すべきだと一瞬思っても、何人もコールしたりレイズする人がいたりすると、「まだここで勝負するのは早いのではないか。」と思って引いてしまうのである。特にそういうときは平均チップ以上持っているときが多く、せっかく戻したのだからという気持ちと、フォールドしたところでチップが減るわけではないという現実的な判断とでそうなるのだが、後から考えるとその時が最後のチャンスだったりするのである。

飛び込んだ時は、例え結果が悪くてもその時のシチュエーションを何度も反省できるし、大抵の場合、勝とうと思って勝負したのだから仕方がないという結論に達するのだが、見送った場合は当然のことながらボードが開かないことが多いから、その選択が正しかったかどうか後から検証することが難しい。結果的に今日はジリ貧だったなあ、というあまり教訓にならない結論に達してしまいがちである。もちろん、1時間2時間だと全くツカないことは十分ありえるし、敗因はないけれど負けたということはありえることなのだろうと思うが、たとえ負けるにしてもこれで負けたというはっきりしたものがないと非常にもやもやとしたものが残る。

だから、テニアンに向けて自分に言い聞かせたいのは、「ノーリスク・ノーグローリー」という言葉である。330ドルで1万ドルを狙うというエビで鯛を釣るようなことを考えている以上、どこかで勝負しないと仕方がない。だとすれば、勝っても命が少し延びるだけというオールインをするよりは、これを6回続けて勝てば優勝だというオールインをする方が性に合っているような気がする。

具体的には、目標を2日目生き残りに置くのではなく、2日目に残れるならそれなりに期待できるだけのチップを持つように勝負していく、でなければ初日敗退も仕方ない、という戦略を現段階では考えている。いずれにせよ、あと1週間で結果が出る。参加費程度には楽しみたいと思っているのだが。

さて、昨日は勝負に対する精神面のことを書いたのだが、今日はプレー面にポイントを置いた話をしてみたい。何しろ初級者の考えることだから、まあ反面教師程度に見ていただければありがたいです。なお、実際にどのようなボードだったか正確には覚えていないので、あくまで例題としてみてください。

例1:20人参加トーナメント、まだ15人残り。テーブル8人。スタート4000点、持ちチップ5000点。ブラインド200-400ゲーム400-800のリミット。現在位置BB(したがって、持ちチップは4600点に減少)。プリフロップで自分の他に2名残り、ミドルポジションとSB。二人とも上級者。ただし、チップ量は7、8千点で自分の倍まではいかない。手札QhTs。オプションチェック。フロップ、ターンともチェック回り。ボードAhKh6c7hJs。SBはチェックで自分の番。

選択肢はチェックかベットしかない。私の性格だから当然ベットである。しかし、二人のアクションはまさに想像していなかったものであった。ミドルポジションはコール。SBはレイズである。ここではフォールド、コール、リレイズの選択肢があるが、コール。ミドルポジションもコールしてショーダウン。さて、勝ったのは誰でしょう?

私の手はナッツではないのだが、Qhを持っているから私以外の人がナッツである可能性はない。だとすれば、考えられる負ける可能性は、①J以下のスーツでポットに参加された場合、でかつ、②私がフラッシュでないと見抜かれた場合、だけのはずである。この時点で、相手がAAであろうがKKであろうがAKであろうが、勝っているのである。しかし、2人とも付いてきた。しかも一人はレイズである。どちらかがブラフであるとは思ったが、リレイズしたところでもう片方は付いてくるに決まっているので、危険が大きすぎる。

今の私の力では、逆の立場になったときにコールしたりましてやレイズすることはできない。なぜフラッシュなしと見抜かれたのか、そしてもう一人はどのような見通し、戦略を持っていたのか。勝つためにはどうすべきだったのか、考えるべきことは多い。ちなみに、勝ったのはミドルポジション。絵札なしのハートのスーツでした(ということはどこかの時点でフォールドさせることが可能だったのでは)。

例2:20人参加トーナメント。決勝テーブル残り6人。5人で入賞。スタート60点、持ちチップ130点。ブラインド20-35ゲーム35-70のリミット。現在位置ボタン。ブラインド前まで200点あったが、BB、SBともフロップまで参加して削られる。手札Ts8s。チップリーダーは上家(ボタン前)で300点以上。あとは大差なし。UTGからボタン前まですべてフォールドで自分の番。

選択肢は3つ。フォールド、コール、レイズである。正解は多分フォールドなのだが、ここで3回連続上がれないようでは勝てる訳がないと思った。確かにあと一人で入賞なのだが、オールイン者がなかなか飛ばず、3周以上この状況が続いている。目の前に置いてある55点も魅力だ。行くならレイズ。たしかに70点はきついが、SB、BBも状況に大きな違いはない。コールでは誰も下りないが、レイズならコールしてくるかどうかは分からない。だからレイズで入った。

予想に反して、SB、BBともコール。ということは、ペアかハイカードか。フロップでAsJc9d、全員チェック。この時点でオープンエンド(両面待ち)。ターンは9h。フルハウス目もあるが、SB、BBチェックで再び自分の番。さて?

この時点で相手がついてくるとすれば本命はJJかAJ。A9やJ9では最初の場面でレイズに付いてくる可能性は小さいと思った。それより何より、ここで60点残してもブラインドに削られるだけである。反面、相手にとって追加の60点は決して少なくはない、はずである。結局ここでオールイン。SBは下りてBBはコール。リバーは8でヒットしたがこれではダメで、Jヒットされていたためここでゲームセット。結局、3回連続ポットに参加して上がれなかったのであった。

おそらく、ここもレイズで入ってもコールで回して最後のチャンスを待つというのが正解だったのだろう。が、このボットをとればチップリーダーに迫れる、という状況では、仮に見込みが薄くとも勝負したいと考えてしまうのである。それがいいとは決していえないが、ジリ貧というのがどうも性に合わないようなので、当分はこれで行くしかない、と思っているところである。

[Aug 30, 2005]

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