NFL予想記事。プログ開設当時からの連載です。Niftyの記事を保管しなかったのは残念。
SUPERBOWL 50展望    WILDCARD WEEKEND   DIVISIOAL PLAYOFF
CONFERENCE CHAMPIONSHIP    SUPERBOWL 50直前予想&回顧

NFL予想記事目次  2016AFC星取表  2016NFC星取表  2016PLAYOFF

SUPERBOWL 50展望

いよいよ今年もNFLの季節がやってきた。これから2月のスーパーボウルまで、エキサイティングかつ寝不足の日が続くことになる。

今年最大のニュースは、何と言ってもブレイディの開幕4試合出場停止。昨年のスーパーボウル制覇チームが出遅れ必至となると、AFCチャンピオン争いに影響が出るのは確実である。かたやNFCは昨年チャンピオンシップで戦ったシーホークス、パッカーズの2強を崩すのは他チームにとって容易ではない。現時点でのスーパーボウルオッズは以下のようになっている。

SUPERBOWL50 シーズン前オッズ
◎シアトル・シーホークス 5.0
Oクリーンベイ・パッカーズ 7.0
ニューイングランド・ペイトリオッツ 9.0
▲インディアナポリス・コルツ 9.0
デンバー・ブロンコス 11.0
ダラス・カウボーイズ 17.0
フィラデルフィア・イーグルス 17.0
△ボルティモア・レイヴンス 24.0
ピッツバーグ・スティーラーズ 24.0

本命シーホークスは動かしがたい。なにしろ、スーパーボウルの負け方が負け方だったので、チームとしてのモチベーションは維持されるとみている。幸い、攻守の主力ほとんどが残留しており、ウィルソン、シャーマンの契約更改でサラリーキャップが問題となるまでのあと数年は、黄金時代が続きそうだ。49ナースがやや弱体化しているので、地区内はすんなり通過するだろう。

対抗パッカーズ。昨年のチャンピオンシップで、シーホークスにオンサイドキックを決められて、ほぼ手中にしていた勝利を逃したことによるモチベーションは、シーホークスのスーパーボウルに勝るとも劣らない。順調に行けば両チームがチャンピオンシップで再戦し、勝った方がそのままスーパーボウルをつかみそうだ。

AFCで上げるとすればコルツ。マニングからラックへの代替わり以来、階段を一歩ずつ上がって昨年はチャンピオンシップまで進出した。RBフランク・ゴアとWRアンドレ・ジョンソンが加わった陣容は魅力で、ラックになって初のスーパーボウルに進むためには、第一シードを確保してホームゲームで戦いたい。

オッズ上位には常連2チームが顔を見せているが、ペイトリオッツはブレイディ不在に加えて、今年は地区内ライバルが着実に補強を図っているので苦労しそうだ。ブロンコスはマニング自身冬場が得意でなく、いまにして思えばデンバー移籍がどうだったのか。新HCキュービアックで、いままでのように我慢がきくかどうかも不安要因。

オッズ30倍以内の9チームの中で、あえて挙げればレイヴンス。すでにスーパーボウルを勝っているチームなので実績は問題なく、今シーズンはペイトリオッツ、コルツと当たらない組み合わせ。その点ではスティーラーズも、開幕週でブレイディ抜きのペイトリオッツなのでラッキーではある。ともにアウェイを苦にしないので、シード順位が低くても躍進はありうるだろう。

先週はスーパーボウルオッズ上位9チームを中心にお届けしたが、今週は人気下位のチームから伏兵をさぐってみたい。

スーパーボウル50シーズン前オッズ
34.0倍 バッファロー・ビルズ、マイアミ・ドルフィンズ、シンシナティ・ベンガルズ、カンザスシティ・チーフス、注サンディエゴ・チャージャース、デトロイト・ライオンズ、キャロライナ・パンサーズ、▲ニューオーリンズ・セインツ、注アリゾナ・カーディナルス
41.0倍 ヒューストン・テキサンズ、▲ニューヨーク・ジャイアンツ、アトランタ・ファルコンズ、サンフランシスコ・49ナース
51.0倍 ミネソタ・ヴァイキングス、セントルイス・ラムズ
60倍以上 シカゴ・ベアーズ(61)、ニューヨーク・ジェッツ(81)、クリーブランド・ブラウンズ(101)、ワシントン・レッドスキンズ(101)、タンパベイ・バッカニアーズ(101)、テネシー・タイタンズ(201)、ジャクソンビル・ジャガース(251)、オークランド・レイダース(251)

30倍から40倍のレンジには、プレイオフ常連チームがいくつか含まれている。特に、セインツ、ジャイアンツはそれほど遠くない時期にスーパーボウルを勝ち、当時とエースQBが変わらないにもかかわらずこの人気薄である。人気を落としているだけの要因はもちろんあるのだが、オッズ以上には妙味のあるチームといえそうである。

ここ数年でカンファレンス・チャンピオンとなっているのはカーディナルス。昨年もプレイオフまでは残ったものの、QBカーソン・パーマーが故障欠場では致し方がなかった。ディフェンスが強力なのと、地区内で49ナースが弱体化しているので、シーホークスを脅かすとすればこのチーム。もちろんアリアンズHCのインサイドワークにも注目。

プレイオフ常連チームながら、チャンスを逃し続けるチャージャース。いまにして思えば、ブリーズとトムリンソンがいる時にもうひと頑張りしておくべきであった。ただ、どこと戦っても勝てる可能性を持つ チームなので、ワイルドカードでもプレイオフに残れば一気の躍進があっておかしくない。

残りのチームではプレイオフ2回戦以降まで残るのは難しそうだ。意外と人気なのは過去10年プレイオフのないビルズだが、ディフェンスはともかくオフェンスに決定力がない。ペイトリオッツを脅かすのはむしろドルフィンズで、DTスーが加入したのは大きいし、タネヒルは毎シーズンよくなっている。

[Aug 1, 2015]


WILDCARD WEEKEND

Week17は予想にも書いたように読めないゲーム、読めない結果が多かった。最後のミネソタ@グリーンベイなど、どちらも勝ちたくないし早くゲームを終わらせたいと思っているようだった。結果、より地区優勝したかったヴァイキングスが逃げ切ったが、次週は一番強いかもしれないシーホークスが相手である。

レギュラーシーズンの予想結果は45勝40敗、的中率は52.9%。最後にKCとベンガルズのハンデ負けが痛かった。あと2勝上乗せできれば55%で、CBS予想陣のトップと並べるところだったのに。

さて、ワイルドカード・ウィークエンドは、昨年までと異なり土曜日がAFC、日曜日がNFCのゲームが組まれている。あるいはテレビ局の意向なのかもしれない。4試合中3試合でアウェイのワイルドカードがFavoriteである。ワイルドカード4チームの中からスーパーボウルというのは十分ありうる展開だし、史上初のワイルドカード同士という話もありえない訳ではない。

10連勝チーフス対南地区王者
  カンザスシティ・チーフス(ワイルドカード) -3
Oヒューストン・テキサンズ(南地区優勝)

ジャマール・チャールズ抜きで10連勝、プレイオフまで進んできたチーフス。鉄壁のディフェンス、ミスの少ないアレックス・スミス、知将アンディ・リードと推すべき材料がそろってはいるものの、それではプレイオフを勝ち進めるチームかというと、チャールズ抜きでは厳しいと思う。ましてやFavoriteのアウェイだ。

テキサンズはQBが固まらず、RBフォスターが長期離脱という状況下、久しぶりに南地区を制した。こちらもセールスポイントはディフェンスで、お互いロースコアを望む展開なのでいい勝負になる。ベンガルズが勝ってくれれば次週はブロンコス、前HCキュービアックとの決戦になるのだが。

当たりたくなかった相手
Oピッツバーグ・スティーラーズ(ワイルドカード)-2.5
  シンシナティ・ベンガルズ(北地区優勝)

悲願のプレイオフ勝利に向けて、ドールトンが間に合わなさそうなのが非常につらいベンガルズ。ここでスティーラーズは最も当たりたくなかった相手だろう。ホームの利、堅いディフェンスを考慮に入れても、ドールトン欠場以降の得点力低下は明らか。ブロンコス戦前半のFGを失敗しなければ今週はバイウィークだったのに。

スティーラーズはレイヴンスに敗れて自力がなくなったものの、Week17でジェッツが負けてくれたためワイルドカードに滑り込んだ。レックス・ライアンとフィッツパトリックには足を向けて寝られないというところだが、この強運は軽視できない。もともとプレイオフに向けて調子を上げてくるチームだ。

いま一番強いかもしれない
Oシアトル・シーホークス(ワイルドカード)-5
  ミネソタ・ヴァイキングス(北地区優勝)

序盤戦は伸び悩んだものの、やっぱりプレイオフに向けて調子を上げてきたシーホークス。ここ5ゲームでは4勝1敗、ラムズに不覚をとったのは気になるがほとんどのゲームが大差で圧勝。バイウィークのチームも含めていま最も強いかもしれない。RBリンチの出場可否にかかわらず買い。

ヴァイキングスは勝利への執着心でパッカーズを上回ったが、微妙な判定にも助けられた。ピーターソンのランが止められた場合に、ブリッジウォーターでは局面を打開できそうもないのが厳しいところ。

今週はロジャースが本気
Oグリーンベイ・パッカーズ(ワイルドカード)
  ワシントン・レッドスキンズ(東地区優勝)-1

終盤4連勝で、とうとう最低人気(シーズン前の地区優勝オッズは15倍!)から東地区を制覇したレッドスキンズ。その立役者はもちろん、4試合で12TD1INTと人が替わったかのように素晴らしいプレイを続けるカーク・カズンズである。もちろんその勢いはあなどれないが、さすがにロジャースと比べると技量も経験もちょっと足りないのでは。

アーロン・ロジャースの今シーズンは、レシーバー不足に悩まされた。ブレイディにもどう似た要素はあったが、パッカーズにはグロンコウスキーに当たる中心選手がいなかったのが大きかった。先週のゲームは無理して勝ちに行こうとしていなかったように思うので、今週は本気。

[Jan 8,2016]


DIVISIOAL PLAYOFF

Wildcard Weekendは、オッズからみて半ば予想されたこととはいえ、すべてのカードでアウェイのワイルドカードチームが勝ち上がった。ワイルドカードチームがすべて勝ち上がるのは初めてのことだそうだ。

とはいえ、スティーラーズはベンガルズが終了直前のファンブルと2度の15ヤード罰退でFGチャンスが生まれ、逆にシーホークスはヴァイキングスがまさかのFG失敗で、勝負は最後まで分からないとはいうものの、九分九厘負けていたところを勝ち上がっている。

一転して今週はすべてのゲームでホームチーム有利のオッズとなっている。オッズどおり順当な勝ち上がりとなるのかどうか、今週末も目が離せない。

NFC Saturday
  グリーンベイ・パッカーズ(ワイルドカード)
Oアリゾナ・カーディナルス(西地区優勝) -7

わずか3週間前のWeek16で対戦し、アリゾナが38-8で楽勝している。その時点でのパッカーズは1st Round Byeのチャンスがあり、手を抜いたわけでもないのにあの結果だったとすると、そう簡単に状況は変わらないとみるのが妥当かもしれない。レッドスキンズ戦の後半はさすがロジャースというところをみせたが、第1Qでは全くオフェンスが進んでいなかった。

カーディナルスとしては、再びロジャースのパスを封じ込めたい。Week17ではちょっと不甲斐なかったが、1st Round Byeも決まってメンバーも落としていた。1週間調整して地元、ここはレギュラーシーズン同様に堅いディフェンスで圧倒したい。ただ、カーソン・パーマーにプレイオフ運があるかどうかはちょっと心配だ。

AFC Saturday
  カンザスシティ・チーフス(ワイルドカード)
Oニューイングランド・ペイトリオッツ(東地区優勝) -5

レギュラーシーズンから11連勝中のチーフス。この勢いはとどまるところを知らないというところだが、テキサンズ戦では楽勝しすぎたのがかえって懸念材料で、プレイオフ独特の空気を味方につけることができるかどうか。ベリチックはプレイオフの戦い方を熟知しているし、ブレイディは3つも4つもインターセプトを献上してはくれない。

ペイトリオッツは終盤2連敗が気になるところだが、優勝が決まるとなぜか同地区対決に負けるのはいつものこと。プレイオフではきっちり仕上げてくるはずだ。注目したいのはディフェンスで、失点を20点前後にとどめることができれば、今後の戦いに目処が立ってくる。

AFC Sunday
  ピッツバーグ・スティーラーズ(ワイルドカード)
Oデンバー・ブロンコス(西地区優勝) -7

ブロンコスとしては、いきなりKCと当たるのが一番いやだったのではないだろうか。同地区でマイルハイでも戦い慣れているし、何しろいま一番勢いに乗っている。このゲームからマニングが復帰するが、もともと寒いのは苦手なタイプ。ただプレイオフを戦い慣れているという点で、オスウィーラーとは比較にはならない。例によってディフェンス勝負。

スティーラーズはベンガルズがほとんど自滅の形で勝利が転がり込んだ。とはいえ、ロスリスバーガーはゲーム途中で負傷して最後のシリーズまでサイドラインだったし、アントニオ・ブラウンの負傷も気がかり。対マニングということでは2005年シーズン、ディヴィジョナルでの逃げ切り勝ちが印象に残るが、あの試合のように先制して差をつけるようでないと苦しいだろう。

NFC Sunday
  シアトル・シーホークス(ワイルドカード)
Oキャロライナ・パンサーズ(南地区優勝) -2.5

15勝1敗と最高勝率を上げ、QBキャム・ニュートンをはじめ6人がオールプロという最強布陣であるにもかかわらず、今週のゲームでは最もオッズが接近しているパンサーズ。Week6にはアウェイでシーホークスに勝っているし、いつものゲームができれば辛くも逃げ切りそうなのだが、キャム・ニュートンの調子次第というところがある。

シーホークスは極寒零下20度とはいえ、ヴァイキングスがまさかのFG失敗で勝ち上がってきた。ラッセル・ウィルソン加入以来続いているプレイオフの強運が、まだ続いているようだ。とはいえ、ヴァイキングス相手に10点しか取れていないことも確か。今週は暖かいので先週のようなことはないとは思うが、リンチが戻ってもどうかというところ。

[Jan 15, 2016]


CONFERENCE CHAMPIONSHIP

ディヴィジョナル・プレイオフは熱戦が多かった。初日の2試合は点差の開かない緊迫した試合だったし、2日目は両試合とも最後にオンサイドキックという展開で、いずれもエキサイティングなゲームとなった。結果的には両カンファレンスともシード上位のチームが勝ち上がっている。

KC@NEはGAORAの実況で村田さん有馬さんも言っていたけれど、2ミニッツ前にKCがのんびり時間を使ってくれてペイトリオッツは助かった。アレックス・スミスは速攻ができるQBではないので結果的には同じだったかもしれないが、1分くらい余して最後の攻撃ということになれば、GBの例にみられるように何が起こったか分からない。

GB@ARZのゲームでは、終了直前にグリーンベイの4thダウン失敗でアリゾナが必勝態勢だったにもかかわらず、まさかのパスで時間を2分近く余してしまい、残り1分では無理だったかもしれなかったヘイルメリーパスを決められる。ところがオーバータイムでは、この試合初めてアリゾナらしいキレのある攻撃で、フィッツジェラルドがあっさりタッチダウンを奪って試合を決めてしまった。

SEA@CARは、最初のシリーズでファンブルしたボールがキャロライナに転がったラッキーバウンドが勝負を決めた。あれがなければ、前半の点差は2TDくらいだったはずだし、そうなると後半に同点か逆転というケースであった。もっとも、シアトルも前半1FG返せるチャンスを棒に振っているので、結果的にみるとこれも大きかった。

PIT@DENはスティーラーズの大健闘。オフェンスの中心選手を欠く中で、堅守デンバーをあれだけ苦しめたのはさすがマイク・トムリン。ディフェンスも気合が入っていて、久しぶりにジェイムス・ハリソンが活躍した。最後はファンブルから逆転ドライブを許してしまったが、スティーラーズばかり目立った試合だった。

さて、今年のNFLも残すのは3試合だけである。

AFC Championship
Oニューイングランド・ペイトリオッツ(東地区優勝)-3
  デンバー・ブロンコス(西地区優勝)

再び、マニング対ブレイディのカンファレンス決勝。この二人の決勝は2003年シーズンの印象が強く、ペイトリオッツ優勢のような気がするのだけれど、2006年と2013年にはマニングが勝っている。マニングのデンバー移籍以降では、2013シーズンに@デンバーでブロンコスが26-16で勝っている。そうすると順番としてはブレイディか。それともマニング現役最後のスーパーボウルか。

Week13の@デンバーでは、対オスウィーラーにもかかわらずオーバータイムで敗れているペイトリオッツ。あのゲームではランが39ヤードしか進まず、ファーストダウンでも16対23とデンバーのディフェンスを破れなかった。KC戦ではクイックパスを多用したベリチック、何か策を考えているはずだ。

デンバーは勝っても負けてもマニング。先週のゲームではスティーラーズががんばったとはいえ、オフェンスが全く進まず、ロングパスは一本もなかった。点差を開かれてしまったら万事休す。もちろんディフェンスのがんばりが必須だが、ロスリスバーガーにパスを楽に通されていたのはかなり気がかりである。

NFC Championship
  アリゾナ・カーディナルス(西地区優勝)
Oキャロライナ・パンサーズ(南地区優勝)-3

この両チームのプレイオフには因縁がある。キャム・ニュートンがドラフト全体1位で指名されたのはパンサーズが2010年シーズンに全体最下位になったからだが、この低迷は、わずか2年前のプレイオフで、第1シードで登場したにもかかわらず当時の主戦QBデロームが4INTを献上して、アリゾナに完敗したことに端を発している。その年アリゾナはスーパーボウルに進出した。

ディヴィジョナルのパンサーズ、大量31点リードで守りに入ってしまったのは、サドンデスのプレイオフだからやむを得ない。最後に点差を詰められてオンサイドキックまで行ったのは、緊張感を保つ上でむしろよかったように思う。前回の対戦同様に勝負を決めるのはどちらかのミスのような気がするが、パーマーよりニュートンの方がミスが少ないように思う。

カーディナルスはロジャースに今季2度目となるヘイルメリーを決めるなど隙だらけだったが、オーバータイム最初のプレイで2008年の生き残りフィッツジェラルドのビッグプレイが出た。ベンガルズよりも早くプレイオフ勝利をあげたパーマーだが、カート・ワーナーと違うのはレギュラーシーズンの方がよかったように思えるところ。ディフェンスが相手のミスを誘う展開にならないとちょっと苦しいのでは。

[Jan 22, 2016]


SUPERBOWL 50直前予想&回顧

SUPERBOWL 50(2016/2/7、SFリーヴァイス・スタジアム)
Oキャロライナ・パンサーズ(NFC王者) -5.5
  デンバー・ブロンコス(AFC王者)

3年続けて、第1シード同士の戦いとなったスーパーボウル。マニングがおそらく最後のスーパーボウルを制することができるか、それとも新世代の旗頭キャム・ニュートンが初の栄冠を手にするか話題となっているが、私が思うに最大の見どころはデンバーのフロント7vsキャロライナのランオフェンスである。

チャンピオンシップで、デンバーのディフェンスはブレイディにプレッシャーをかけ続ける一方で、レギュラーシーズン同様ほとんどランを許さなかった。ペイトリオッツの直接の敗因はゴストコウスキーのエキストラキック失敗だったが、ペイトリオッツにほとんどオフェンスをさせなかったデンバーのフロント7の仕事もすばらしかった。

そして、マニングの仕上がりもディヴィジョナル・プレイオフとは見違えるようだった。2TDを含めてパスは安全確実であり、サックされるところでおとなしくサックされていたのも余裕であった。終始リードしていたので任すべきところはRBやディフェンスに任せており、かつてのような自滅パターンには陥らなかった。

ただし、ディヴィジョナルにしてもチャンピオンシップにしても最少得点差で逃げ切ったように、オフェンスの爆発力がなくなっているのは確かである。再び僅差の展開になれば経験の違いが出てくることもあるかもしれないが、点差を開かれて追う展開になった場合に、打つ手が限られてくることも確かである。

かたやパンサーズ。プレイオフは2戦とも前半で大量リードして押し切るゲームで、危ないところが全くなかった。特によかったと思うのはオフェンスラインの堅実さで、ランにしてもパスにしてもニュートンが自在にプレイできる余裕があったのはオフェンスラインの功績だと思う。

スーパーボウルにおいても、デンバーの強力ディフェンスに対して、パンサーズのオフェンスラインが互角の勝負ができるかどうかがポイントである。ブロンコスが警戒すべきなのはパスではなくランで、ニュートンやジョナサン・スチュアートのランが出ない展開となれば、ニュートンのパスターゲットとして信用できるのはオルセン位なので、膠着した展開に持ち込めるかもしれない。

とはいえ、レギュラーシーズンから通算して17勝1敗というパンサーズの勢いは、なかなか止まらないのではないかという気がしている。実際に、-4でスタートしたハンデはじりじり上昇して-5.5まで大きくなっている。それでもパンサーズに乗りたいし、オッズ次第でパンサーズ-21とかを少々遊んでみたい。

[COMMENT from saitohさん]

TAIPAさん、ご無沙汰しております。
年に1回しか書き込みしてませんが今年も勝手に
予想させて下さい。
日本人としては判官贔屓の傾向があり&友人がブロンコスファンなので
応援したいのですがプレーオフの圧倒的勝ち方を見させられているので
TAIPAさんが仰るように
「それでもパンサーズに乗りたいし」というのが本音ではないのでしょうか。
と言う事でブロンコスを応援しつつベットするならパンサーズにします。
ハンデが-7以上ならブロンコスに乗るのですが・・・。

[COMMENT from ビートルさん]

 今シーズンのNFLもついにスーパーボウルを残すのみ。1967年に旧NFL(現NFC)と旧AFL(現AFC)の王者同士による統一王者決定戦として始まったスーパーボウルも今年で50回目の記念大会になりました。今年はどんな名シーンが生まれるか今から楽しみです。
 今回は2年ぶり8回目のAFC優勝を果たしたデンバー・ブロンコスと12年ぶり2回目のNFC王者に輝いたカロライナ・パンサーズとの初顔合わせとなりました。ブロンコス勝てば17年ぶり3回目、パンサーズならば初の世界一となります。既に伝説となっている名QBペイトン・マニングと新鋭カム・ニュートンとの対決をはじめ見どころの多い組み合わせとなっています。
 さて、下馬評ですがパンサーズ優位と見るものが多く、私も同じです。ブロンコスの攻撃力は2年前に比べて落ちているし、パンサーズは攻守ともに充実し勢いもついています。ブロンコスの強みは選手の多くが既にスーパーボウルを経験済みであることですが、前回は大敗であった以上さほどの強みとも言えません。また、驚異的な身体能力を誇るニュートンに対してマニングはあまり動けないのも不利な点です。
 とはいえ、ブロンコスが劣勢を覆すのは不可能ではありません。極めて強力なディフェンスが存在しますし、守備陣が踏ん張って接戦に持ち込めばマニング率いるオフェンスが少ないチャンスをものにして勝利をつかむことは十分可能であると考えます。ブロンコスとしてはとにかく焦らないことだと思います。焦って無理な攻撃をするとブロンコスが初めてAFCを制しスーパーボウルに出場した第12回大会(1978年)と同じ轍を踏んでしまうおそれがあります。
 全体評価としてはパンサーズの優位は動かないものの、絶望的なほどの差があるわけではありません。考えてみればブロンコスが初めてスーパーボウル制覇を成し遂げた第32回大会の時は確か12点差のアンダードッグでした。それと比べるとマイナス5.5点というのは大した差ではないでしょう。これが最後かもしれないマニングに何とか花を咲かせてほしいと思います。
 どちらが勝つにせよ記念大会にふさわしい好勝負となることを願っています。それでは。


[Feb 4, 2016]

SUPERBOWL 50(2/7 リーヴァイス・スタジアム)
デンバー・ブロンコス O 24-10 X キャロライナ・パンサーズ

Underdogの下馬評に反して、ブロンコスがゲームを支配した。ブロンコスはほぼ予想されたとおりの動きだったのに対して、パンサーズに全くといっていいほど精彩がなかった。

まるで数年前に逆戻りしたようなニュートンだった。オフェンスラインが押し込まれることは試合前にある程度予想されていたはずなのに、あまり工夫はみられなかった。後半になってRBやFBをパスラッシュ要員にしたけれども、もともとレシーバーに駒が少ないのに数的に劣勢を作ってしまってはどうしようもない。

パンサーズの攻撃がラン28に対してパス41。試合終盤にランを多用したブロンコスとランの数は同じなので走ってはいるのだけれど、チャンピオンシップのカーディナルス戦がラン37パス28、ディヴィジョナル・ブレイオフのシーホークス戦がラン41パス22だから、明らかにランが少ない。ニュートンのパスミスとレシーバーのドロップばかりが目についた。

確かにブロンコスのディフェンスは堅いのでランは止められると思ったのだろうけれど、終盤まで点差はなかったのだから時間を気にする必要はなく、もっとしつこくランで攻めてよかったのではないかと思った。

だが、おそらくそれ以上に大きかったのはニュートンのメンタル面だったかもしれない。ファーストシリーズでがら空きのレシーバーにとんでもないすっぽ抜けパスを投げたところからおかしかったが、2つのファンブルがいずれも自陣深いところでパスを投げようとした結果で、状況を冷静に判断できていなかった。

後半にはTVカメラがベンチに一人でいるところを何回も映していたが、チームのムードメーカーがあれではいけない。その意味ではシーホークスのラッセル・ウィルソンは大したもので、劣勢になっても動じないところは肝が据わっている。

したがって来シーズン捲土重来なるか厳しいところもありそうだが、この日ミスをしたのはニュートンだけではなく、オフェンスラインもひどかったし、スペシャルチームにもミスがあったし、レシーバーにもドロップがあり、トルバートのファンブルも痛かったし、FGミスもあった。その意味ではチーム一丸となって負けに行った感があり、巻き返しの余地はありそうだ。

一方のマニング。インターセプトもファンブルもニュートンと同じだけ食らっていたけれども、フィールドに余裕があったのと、最近のマニングはミスに慣れていて冷静さを失わなかった。「今日はディフェンスで勝てた」というのが今シーズンの決まり文句だったけれど、そのままのセリフがスーパーボウルまで使われることになった。

テキサンズ以来続いているキュービアックHCとウェイド・フィリップスDCのコンビ、ブロンコスではまだ日が浅いのでこの体制はしばらく続きそうだが、来シーズン以降メンバーが変わってもこのディフェンスが維持できるかどうか。いかんせんオフェンスが弱いので、ディフェンスが崩れたら地区で勝ち残るのも難しい。

試合前にはニュートンvsマニングのドラ1対決がキャッチフレーズになっていたが、終わってみるとニュートンvsボン・ミラーの2011年ドラ1vsドラ2対決だった。この年のドラフトは当たり年で、1巡指名には他に、JJワット、AJグリーン、フリオ・ジョーンズ、パトリック・ピーターソン、ニック・フェアリー、マーセル・ダリウスなど錚々たるメンバーがいる。

[COMMENT from ビートルさん]

第50回スーパーボウルはAFC王者のデンバー・ブロンコスがNFC王者のカロライナ・パンサーズを下馬評を覆して破り、見事17年ぶり3回目の世界一に輝きました。守備陣が期待通り活躍し、攻撃も致命的な状況にはならず、「ブロンコスが勝つにはこれしかない」という展開でした。
 一方のパンサーズ。何だかチーム全体がおかしくなっており、まるで力を発揮できなかった印象があります。経験不足が響いてしまった感じです。何とも不本意なことになってしまったパンサーズですが、ニュートンを含めて力のある選手が揃っているので、また機会は巡ってくるでしょう。
 50回目の記念大会となった今回のスーパーボウル。試合自体は白熱の好ゲームとはいいがたく、つまらないミスや反則が目についたのは少々残念でした。でも、歴代のスーパーボウルMVPがほぼ全員顔を見せるなど華やかだったと思います。
 さて、不世出の名QBペイトン・マニングにとってこの試合が最後の試合になるともいわれています。この試合では全盛期と比べると衰えが目立つプレイではありましたが、要所を抑えて致命傷を避け地道に得点する姿はやはり素晴らしかった。彼のプレイがもう見れないとすれば寂しいですね(プロボウルがかつてのようにスーパーボウル後だったら華やかな「お別れ試合」ができただろう)。もう一年やってほしいです。

[Feb 9, 2016]

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