うさぎやのどらやき デンキブラン 大原漁港で伊勢海老 日光ゆば
こしあぶらを求めて 漁師料理かなや 宇都宮餃子来らっせ 森伊蔵の話
神谷バー [Jun 4,2005]
このところずっと放置していた上に、今日約束していた解禁鮎を食べに行く企画も事情によりキャンセルしてしまったので、罪滅ぼしに昨夜は奥さんを浅草神谷バーで接待した。
神谷バーは明治時代から続くという由緒あるバー(といっても非常に大衆的。大衆酒蔵にむしろ近い)で、浅草雷門の交差点近くにある。定番は、生ビールの中ジョッキをチェイサーに飲むデンキブランというこの店特製のリキュールである。
この店の創業当時、「電気」というのはたいへん先進的なイメージであったようで、デンキブランという名前は「電気のように新しくシビレるブランデーベースのカクテル」というような意味でつけられたらしい。
製法は秘伝だそうだが、飲むとブランデーというよりも薬草の香りがする。キリッと冷やしたデンキブランは、これも当時ハイカラといわれたであろう洋食系のつまみ(カツとかチーズとかスパゲティとか。もちろん煮込みにも)と非常によく合う。
オーダーの仕方も、また変わっている。昔デパートの食堂によくあった食券をまだ使っていて、半券を客のところに残しておきデリバリーの時に回収するというやり方である。最初は入口の食券売場で買うが、追加オーダーは店の中を巡回しているボーイさん(蝶ネクタイでこの方たちもいなせだ)にそのつど現金を渡してオーダーする。だから、引き上げるときには精算の必要はない。
席はほとんどの場合相席になるが、ここに深刻な話をしに来る人はあまりいないので、問題にならない。むしろ目立つのは、一人で飲みに来ている人、それもお年寄りである。たぶん、定年を過ぎてかなり経つと思われるお年寄りが、帽子をかぶったり上着を着たり、それなり「よそゆきの」格好をして来る。
そしてお行儀よく飲んで帰る。仲良く話しているのでグループかと思ったら、みんなひとりで来ているなんてことは珍しくない。自分もあのように、年をとってもきちんとしていたい、と思う。たまに日の高いうちに来ると、外人さんのグループを見ることもある。たぶん、観光名所として紹介されているんだろう。
うちの奥さんも、デンキブランのソーダ割りを飲み、いなせなボーイさんやお年寄りのお客さん、店の雰囲気を味わって、だいぶ機嫌が直ってきたようであった。デンキブランは合同酒精から市販されているので、通販でも入手することができる。飲むときは冷凍室でがんがんに冷やし、さらに冷たいグラスを使うことをお奨めする。デンキブランを置いてあるファミレス風飲み屋もあるのだが、冷やしてないところが多く、それだと旨さが半減するので避けた方がいい。
[Jun 4,2005]
鮎を食べに鬼怒川へ[Jun 12,2005]
雨が降ったり止んだりのぐずついた空模様ではあったが、奥さんとふたりで鮎を食べに鬼怒川に行って来た。
鮎を食べるなら、解禁となる6月1日からである。20年前から連載が始まった「美味しんぽ」の単行本第1巻に、京都の億万長者にして美食家の京極さんが料亭に招かれてお膳をひっくり返すシーンがある。そのときのセリフがこうである「鮎やて?いまはまだ5月や!味もそっけもない養殖の鮎なんぞ、わしは死んでも食いたくないわい!」
じつは私は魚というと「トロイカ」のクチで、川魚の良し悪しなどあまりよくわからなかった。それでも、鮎はこれまで千尾以上食べたという川魚専門家の家の奥さんに影響されて、だんだん天然と養殖の違いが分かってきた。天然もののもっとも顕著な特徴はというと、
1.皮と身の間のゼラチン質が余分についていない。皮自体も薄い。
2.身やワタにくさみがない。なんともいえないいい香りがする。
ということだと思う。だから、天然ものだと、頭から全部食べてもおいしい。観光地などでは塩だらけの鮎をよく売っているのだが、あれはたぶんそうした点をごまかすためにしているのであり、ということは養殖鮎であろうという疑いを持たざるをえないのである。
わが家の鮎スポットは、東北道から日光・宇都宮道路に入り、鬼怒川近辺のいくつかの店である。この近辺は観光客の減少が著しく、毎年店が少なくなっているのは残念である。
以前は日光口のパーキングエリアでもおいしい鮎を焼いてくれていたし、五十里(いかり)湖にも店があったのだが、なくなってしまった。新緑の中をドライブし、時期的にそろそろ終わりの「こしあぶら」や「ふきのとう」、きのこや漬物を買いながらいろいろ回った。
いま一番おいしい鮎を食べさせてくれるのは、鬼怒川からちょっと矢板方面に入ったところにある「篭岩(かごいわ)観光やな」である。店構えはちょっとびっくりするのだが、鮎は間違いない。頼んでから炭火で焼くので30分近くかかるが、その間水音を聞きながら手足をのばすとリラックスする。
鮎は待っただけのことは十分ある。奥さんはあゆ定食(塩焼き2尾とごはん、味噌汁、おしんこ、1500円)、私は竹定食(あゆ定食+もう一尾の鮎を田楽みそで、2000円)。田楽みその山椒もすばらしく鮎に合い、思わず顔がほころんでしまった。
鮎を食べたあとは、1kmほど離れた「かご岩温泉」で日帰り入浴してさらにリラックスである。源泉かけ流しという訳ではないが、アルカリ泉のしっとりした肌触りはたまらない。また、露天風呂は鬼怒川に面しており、その雄大な景色は日頃の鬱憤を忘れさせてくれる。お風呂に入ったあとは休憩室で寝転がってゆっくりできる。決して最新の設備という訳ではないが、こまめに手入れされており気持ちがいい。こちらもおすすめの温泉である。
[Jun 12,2005]
新潟で日本料理 [Jul 17, 2007]
しばらく前から、日本旅館を敬遠する傾向にある。というのは、日本旅館イコール1泊2食が定番なのだけれど、その食事の質的低下が著しいからである。
以前は、部屋食でも宴会場でも、最初に座った時に出されている料理の他にできあがってから運ばれてくる料理があり、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく楽しむことができた。ところが最近では、すべての料理が最初からお膳に乗っている。そのため食べている間に温かい料理はなまあたたかく、冷たい料理はなまぬるくなってしまう。これでは日本料理とはいえない。
この不満は、昨年ある温泉旅館に行った時に頂点に達した。日本料理のコースは昔の本膳料理から発展した会席料理が基本であり(同じ読みでも懐石料理=茶懐石とはルーツが違う)、先付け、一汁三菜(刺身・焼き物・煮物)、揚げ物、蒸し物、酢の物、止め椀、水物と大体相場が決まっている。海鮮割烹を売りにしている店では魚を中心に組み替えるなどそれぞれの店で特色があるのだけれど、この大枠から外れることはあまりない。
ところがその旅館では、全館分を一度に調理しているらしく、最初にお膳からお櫃から吸い物から全部持ってくる。そして料理は茶碗蒸しを除いてすべて室温である。茶碗蒸しは電子レンジでチンしているのではないかという想像がとっさに働いた。さらに、揚げ物(=天ぷら)がない。一度に持ってくるとなると、作りたてを食べないとおいしくない天婦羅をメニューに入れられないのだろう。
おそらくそういうことの起こる背景には、ツアー営業のやりすぎがある。さらにその原因はというと、価格の安さだけを重視する消費者の嗜好がある。温泉バスツアー1泊7,980円とかをせっせと営業したら、こうなるに決まっているのである。もちろん、値段をもう1グレード上げて1泊30,000円くらい出せばまともな旅館はあるのかもしれないが、これまで1泊15,000~20,000円でそこそこまともな宿に泊まれたことを思うと、そこまで出すのはくやしい。
前置きが長くなったが、その解決策としてちょっと前からやっているのが、旅行に行く際に温泉は温泉で、食事は食事で、泊まりはホテルでと要素を分解することである。今回新潟に行ったのもこのやり方で、月岡温泉の日帰り入浴と、ホテルは東横イン(朝食がつく)、そして夕食は、戦前に赤坂、祇園と並び称せられたという古町の一角にある日本料理「小三」に行ってみた。
いかにも由緒ありそうな玄関を入り、全個室の座敷に通される。坪庭がしつらえてあり、すっかり日が暮れた頃には蛍を楽しむこともできる。もちろん、料理はひと品ずつ持ってきてくれる。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく出てくる。お酒はもちろん地元新潟産で、久保田の萬寿をいただく。一年の疲れが飛ぶ思いである。
あいなめのお吸い物に、お造りはひらめと甘海老、焼き物はナメタガレイ、天ぷらの後には胡麻豆腐とじゅんさい。みんなおいしい。コースの最後は、おそばと果物なのだが、料理とおそばの間に枝豆が出る。この枝豆がまた新潟の名産で、これが出ると灯りが落とされて蛍タイムとなる。心憎い演出である。普段1時間くらいで一気に飲むだけ飲んでしまう私も、こういうふうにゆっくり料理が出ると自然にゆっくり飲むようになるのは不思議である。
やっぱり料理は、ちゃんとしたところでちゃんとしたものを食べるべきだなあと思った夕べでした。
p.s.帰ってきた次の日にその新潟で強い地震があって、驚いています。まだ余震も続いているようです。被害が大きくならなければいいのですが。
[Jul 17, 2007]
携帯の画像なのでうまく撮れていませんが、先付。左から、鰯の酢〆とねぎのぬた。焼き鱧といかのウニ焼き、サーモンとチーズ。たらこと新生姜、枝豆のゼリー寄せ。
マネケンのワッフル [Dec 18, 2007]
もう40年以上も昔のことになる。家の父親が折に触れ仕事帰りに「船橋屋のくず餅」を買ってきたものだった。
ご存知の方もいらっしゃると思うが船橋屋はくず餅の老舗で、餅自体に味がないので黒蜜ときな粉をかけて食べる。あまりたびたび食べているとあきるのだけれど、うれしかったものである。後に東京に通学するようになって、船橋屋は父親の勤務地に近い亀戸天神にあることを知った。
それからおよそ20年後、今度は私が子供達にお土産を買ってくる年齢になった。当時は仕事が終わるのが遅く、店の開いている時間に家に帰れることは少なかったので、休日にオートレースに行って、たまたま浮いていると帰り道のケーキ屋さんでショートケーキやアップルパイを買って帰った。ついでに、払い戻しでたまった100円玉をわしづかみにして、「2人(兄妹)で分けな~」と渡すと、大層喜んだものだった。
さらにおよそ20年が経過し、お土産を買って帰っても初老の夫婦だけである。だからここしばらくは、どこかに寄って何かを買って帰るなどということはなかったのだけれど、最近になって久しぶりに立ち寄る店ができた。秋葉原駅構内にあるワッフルの店「マネケン」である。
実はワッフルはあまり好きではなかったのだが、たまたま職場でいただきもののワッフルを食べてみたら、これが非常においしい。調べてみたらマネケンという店のもので、その店が東京初進出で、つくばエクスプレスのため拡張した秋葉原駅に開店したことが分かった。
秋葉原なら通勤経路であるし、また上野ルームへの行き帰りに寄ることもできる。というわけで何週間かに一回、ワッフルを買いに行く。プレーン、メープル、チョコは定番で、この他に月替わりで限定商品が出る。「糖尿なのに、いいの?」と奥さんに言われるのがつらいところ。というのは、糖尿になったのもとある店(六花亭)のとあるお菓子(白樺羊羹)を食べすぎたからという説が濃厚であるからだ。
[Dec 18, 2007]
マネケンのワッフルでコーヒー。至福の時である。カップとお皿はnarumi(ずっと昔銀行員の頃、担当だった)。
うさぎやのどらやき [Oct 21, 2008]
土曜日のストラドル杯のとき、Lupinさんからどらやきをいただいた。松坂屋の向かいにある和菓子屋、うさぎや謹製のどらやきである。
「すごくうまいから、食べてみて」と言われて、昨日書いたように「ダイエット中だから」と一応遠慮したのだけれど、結局いただいて持って帰った。みなさんご存知のように、私は甘くて柔らかいものは大好きなのである。
見た目は、何のへんてつもない普通のどらやきである。包みを開くと、普通に売っているものよりもずっしりと重い。餡子がたくさん入っているようである。割ってみると、ずいぶんと手ごたえがある。あまりふくらし粉を使っていない、卵と小麦粉と蜂蜜でできた本物のカステラである。
食べてみると、上品な甘さが広がる。うーん、おいしい。何より、餡にもカステラにもべっとりした甘さがないのがいい。
甘いものが好きとはいえ、ただ砂糖がたくさん入っていればいいというものではない。わが家の場合、例えばぜんざいを作るとき、市販のゆであずき缶詰を使うと舌がしびれてしまう。だから国産の小豆を買ってきて、料理本に書いてある半分の量の砂糖、それも上白糖でなく三温糖を使って家で煮ることにしている。
そうすると、舌に残らないほんのりとした甘さの餡ができる。その餡でおはぎを作ったり、ぜんざいにしたりすると、これがまたおいしいのである。うさぎやのどらやきも、同じようにほんのりと甘い。おそらく、余分な砂糖が入っていないはずである。
Lupinさんにはおいしいものを紹介していただき、大感謝である。上野部室のすぐ近くにあるので、甘いものが好きな方にはお奨め。
[Oct 21, 2008]
うさぎやのどらやき!Lupinさんサンクスです。
デンキブラン [Dec 26, 2007]
前に浅草・神谷バーのことを書いたが、ここの名物である電気ブランはインターネットでも手に入る。
デンキブランはブランデーをベースにするとされる(製法は門外不出)リキュールで、明治時代に神谷バーの創業者である神谷伝兵衛氏が作ったといわれる。アルコール度数40度とかなり強い酒にもかかわらず口当たりが柔らかで飲みやすい。
神谷伝兵衛氏はその後いまの茨城県牛久にぶどう園を開いてワイン作りに進出し、ここが千葉・茨城(ちばらき)地域で有名な牛久シャトーの前身である。また、昭和30年代まで抜群の知名度を誇った「ハチブドー酒」もここから生まれたのであった。
神谷伝兵衛氏の作った酒造会社はその後何度かの合併をくり返し、現在では合同酒精株式会社となっている。だから電気ブランの製造元も合同酒精で、販売元はシャトーカミヤ(牛久シャトー)である。先日スーパーで売っているのをみたぐらいなので、結構入手しやすくなっているようだ。
うちの奥さんによると、屠蘇散を使っているのではないかということだが、なるほどいわれてみるとお屠蘇のような味もする。明治時代に「ハイカラ」とされた飲み物が、いまでもおいしく楽しめるというのは、なんだか面白い。
[Dec 26, 2007]
電気ブラン。2本セットで買ったら、専用のグラスがついてきた。
大原漁港で伊勢海老 [Oct 25, 2008]
お祝い事といえば定番の伊勢海老、全国で最大の水揚げを誇るのは意外にも伊勢ではなくて、わが郷土・千葉の大原漁港である。そして、伊勢海老の最盛期は8~10月であり、この時期を過ぎると海水温の低下によって漁獲高が減少するということである。10月最後の週末、伊勢海老を求めて外房へと車を走らせた。
あちこちにサーファーの姿を見かける九十九里浜からさらに南へ進むと、大原である。昔の地名でいうと、長生(ちょうせい)郡から夷隅(いすみ)郡に入るあたり。大原からは第三セクターであるいすみ鉄道(昔の国鉄木原線)が養老渓谷近くの上総中野まで走っている。有名な赤字路線で、最近、経営建て直しのため社長を公募していた。
めざすは漁協直営の販売店「いさばや」。インターネットでは8時半開店となっているので10時過ぎに到着する。思ったよりずいぶん小さいお店だが、伊勢海老やあわびの入った生簀(いけす)、冷凍ものの商品が入ったショーケースがあり、隣には食堂スペースがある。料理は11時半からということなので、市内の商店街を見て時間をつぶす。
生簀から伊勢海老を選び、その場で調理してくれる。お刺身の場合は頭は味噌汁になり、焼く場合は頭から真っ二つに割りその場で炭火で焼く。ごはんはさざえの炊き込みごはん。伊勢海老の他に、あわびも同じように買ったものをその場で調理してくれる。隣の人たちはバター焼きを注文していた。
奥さんと二人なので、2尾をそれぞれお刺身と炭火焼にして半分こすることにした。伊勢海老の値段は1kg7000円。中くらいのもので1尾400~500gくらい。さざえごはんが300円、味噌汁が200円。
まず最初は炭火焼。アルミホイルを載せて蒸し焼き風にする。出来上がりは中の方がちょっとレアーくらいがいいそうである。しょうゆは少なめにして、頭の部分にあるみそをつけて食べる。焼いてすぐなので、殻が熱くて持てないくらい。なかなか香ばしくておいしい。ただ、こうして焼いてしまうと、伊勢海老も普通の海老もそんなに違わないような気がする。
続いてお刺身。これはまさに産地直送(というか産地で食べているのだが)、少しこりこりするくらい身がしっかりしていて、口に入れると甘い。これぞ伊勢海老という味わいである。惜しむらくは、車で来ているので酒が飲めないのであった。
頭の味噌汁は見た目立派なのだけれど、その場で調理しているせいか出汁があまり出ていなかったのが残念(うちの奥さんにいわせると、味噌汁にしておいしいのは甘エビとワタリガニだそうである)。それと、「さざえごはん、いっぱいありますからね」と言われて正直におかわりしたら、しっかり追加料金をとられていたのが悲しかった。
それでも、漁協直営店というと思い出す内房にある有名店(これはちょっとひどい)とは比較にならないくらい、こじんまりしてなかなかいいお店であった。なにしろ、自分で選んだ海老を料理してくれるのがいい。少人数でやっているので、できれば早目に行った方がいいかもしれない。もちろん、家で調理できる人には、直売や宅配も行っているそうである。
p.s.昨日(10月26日・日曜日)のTBS「噂の東京マガジン」でこのお店を紹介していたが、全くの偶然である。
[Oct 25, 2008]
伊勢海老は重さを量って値段が決まります。
上の子は、炭火焼きに。
下の子は、お刺身と味噌汁に。おいしくいただきました。
日光ゆば [Sep 15, 2009]
日曜日は久々に奥さんと鬼怒川方面へ。最近、介護で忙しい奥さんとは、今年初めてのドライブ。つまり、高速1000円になって最初の機会で、そのため夫婦して1000円高速の意味がよく分かっていなかったのでありました。
というのは、ETC休日1000円が適用されるのは地方の高速道路のみ。東京近郊は割引になるだけなのであった。高速出口で料金表示を見るたびに「あれー?1000円じゃないね。」「1000円高速終わっちゃったのかなぁ・・・。」などと話していたのだから、全くどうしようもない。
さて、最初に行ったのはかご岩観光やな。ここでまず、鮎と岩魚の塩焼きを食べる。次に隣のかご岩温泉に行ってひと風呂。休憩所でゆっくりして、つかの間の休日気分にひたる。お腹が空くまでうだうだしてから、おなじみの「小百田舎そば」に向かう。手打ちそばと手作りのかき揚げを食べるのは、今回最大の楽しみなのであった。
ところが、お店の周りはなぜか、ひと気がなくがらーんとしている。近づいて入口を見ると、「9月12・13日は、従業員慰安旅行のため臨時休業いたします」。思わず、膝からくずれ落ちそうになる。わざわざお腹を空かせてきたのに、これはショックが大きい。あちこち探す気力もなく、来る途中に見えたすぐ近くのそば屋「原宿そば」へ。
店内がほとんど満席なのは小百田舎そば休業の影響のようで、向こうのテーブルの人たちもそんなことを話していた。職人風のおじいさんと店番のおばあさん2人だけでやっているお店のようだったが、これが結構おいしい。
普通のそばと韃靼(だったん)そばの相盛り、それと野菜天ぷらをお願いしたところ、そばは手打ちらしくなく細くて口当たりがいい。なすやかぼちゃ、まいたけ、えごまの天ぷらも品よくからっと揚がっている。田舎なのに都会派のそばなのであった。今市のそば屋も、なかなか奥が深いのである。
川を遡って今市ダムを見学した後は、今市インターに戻る途中の日光ゆば製造直売所「まつたか」に立ち寄る。ここのゆばは圧巻のおいしさで、普通のゆば、銀杏とか山菜を巻き込んだ変わりゆばの他、製造過程で出た端っこの部分を、お徳用として袋詰めで安く売っているのもうれしい。
生ゆばなので、本当は4、5日以内に食べるのが一番いいのだが、たくさん買って帰り冷凍保存してしまうのが家のやり方である。食べるときはまず茹でて戻した後に、しょうゆ、砂糖、酒、みりんなどで味をつけて煮る。野菜の煮物にたっぷり入れてもおいしい。ご飯のおかずにもなるし、酒のつまみにもなる。
最後に、国内産の野菜を使った漬物店で茄子やきゅうりの味噌漬け・しょうゆ漬けと、「日光金谷ホテル」のベーカリーで金谷ホテルのマーガリンを買って、早めに帰途につく。5時には家に帰れたのだけど、久しぶりのドライブは体に相当響いたようで、8時には布団に入ってしまうほど疲れてしまったのでありました。
[Sep 15, 2009]
今市ダム。周りには人もいないし、お土産屋さんもありません。小百田舎そばの近くの交差点から、5kmほど上流にあります。ダムの先に水力発電所があり、道路はよく整備されていました。
日光ゆば製造直売「まつたか」。ほんとに、おいしいんだから。
こしあぶらを求めて [May 26, 2010]
(注.2016年現在、原発のおかげで山菜専門店は出荷停止中)
今年のゴールデンウィークは、5月1日しか休めなかった。その1日も、仕事の状況を携帯で確認しつつの休日で、結局2日の日曜日からずっと出勤となり、最後の7日金曜日は完全徹夜で、そのまま8日のAJPC(全日本ポーカー選手権)東京予選に直行したことはすでに書いたとおりである。
さて、その5月1日は5連休の初日で、各地で渋滞が予想されていたものの、その渋滞のすき間を抜けて栃木県まで遠出をしてきたので、今週はそのご報告を。ばたばたしている間に、もう一月近く前のことになってしまいました。
目的は山菜の入手である。鬼怒川からさらに会津方面へ進出すると山の中の直売店みたいな店があり、ここで山菜を売っている。春先のこの時期には、わらび、ぜんまい、うど、たらのめ、ふきのとう、こしあぶらといった、この時期でしか味わえない春の味覚を手に入れることができる。値段も、新鮮度も、スーパーとかで売っているものとは比較にならないのである。
ただ、その店は結構遠いため、登山におけるベースキャンプのように、腹ごしらえのための中継地が必要と思われた。そこで今回は、おなじみの今市にある小百(こひゃく)田舎そばを第一目的地として、まずそこを目指すこととした。普段であれば夫婦だけだが、この日は社会人の息子・娘も連れて、本当に久しぶりの家族旅行となった。
さて、今市に向かうとはいっても、普通に首都高速から東北道、日光・宇都宮道路を経由するのでは、何時間かかるか分からない。下手をすると、一日かかってようやく目的地ということさえ考えられる。予定は日帰りである。午前6時に出発して、昼までには小百田舎そばに着きたい。
そこでちょっと工夫して、柏インターから東京方面に向かわず、水戸方面に向かうことにした。水戸の前の友部から北関東道が分かれていて、これで栃木県まで行ける。東北道に合流する前に高速を下りて、あとは一般道という方法なら、危機的渋滞にはならないだろう。もちろん一般道も渋滞している可能性はあるが、下を通っていれば抜け道はある。
そう思っていたら、予想がずばり当たって、やや渋滞していたのは利根川を渡るくらいまでで、あとはすんなり流れている。もちろん距離的には東北道経由より大幅に遠回りではあるが、なにしろ高速一律1000円だから、遠回りでも早く着けばその方がいいに決まっている。
常磐道から北関東道に入るとさらに車が少なくなり、「GWの渋滞って、何の話だっけ?」という状況になった。PAでゆっくり休憩して、今度は一般道に下りたけれど、こちらも全く順調である。結果的に、柏インターを7時頃に入って、今市の田舎そばに10時に着いてしまった。
残念ながら、田舎そばの開店は11時である。中からわざわざおばさんが出てきて(ここは地域の方々がやっている店である)、「11時からなんですけど」と言われてしまったが、「すいません。早く着きすぎちゃいました。近くを散歩してきます」と車を停めて、付近を散策し、11時の開店を待つ。
11時前には他のお客さんも現われ、いよいよ開店。家族4人いるので、注文したのは最も大きい「1升ぶち」。大きなざるにそば粉1升分の打ちたて・茹でたてのそばが入っている。この他に手作りの天ぷら(玉ねぎ、にんじん、ごぼう)を計6つ。食べきれるか心配されてしまったが、余裕で完食し、満ち足りた気分で田舎そばを後にしたのでありました。
春の小百田舎そば。遅い桜が満開でした。
開店前に着いてしまったので、近くをお散歩。この年のGWは好天が続き、いいお散歩日和でした。遠く日光連山を望みます。
「大丈夫ですかぁ・・・かなりありますよ。」と言われましたが、4人なので余裕でした。そばは秋と言われますが、打ちたて。茹でたてのそばはこの時期でも格別です。
小百(こひゃく)田舎そばで腹ごしらえした後は、鬼怒川から会津西街道を会津方面へ向かう。現在は野岩(やがん)鉄道が会津田島まで通っているけれど、昔は東武鬼怒川線の新藤原が終点で、そこから先の五十里湖や会津方面へ向かう公共交通機関はバスしかなかった。
めざす山菜直売店は、この街道沿いの龍王峡、五十里(いかり)湖、上三依(かみみより)を20kmほど抜けて、塩原方面への分岐点のあたりにある。今市・鬼怒川あたりと比べても標高が高く、ゴールデンウィークの時期にもかかわらず長袖1枚では寒いくらいである。
さて、ゴールデンウィーク初日だというのに、鬼怒川あたりからほとんど混むことはない。鬼怒川の旅館・ホテル街にも、「本日空室あり」の看板があちらこちらに見られる。日本の景気はどうなってしまったのだろうか。もちろんそれに加えて、老舗温泉街の知名度にあぐらをかいてサービスがよくなかったという要素もあると思われる。
このブログでも、何度か鬼怒川近辺の旅行記を書いたことがあり、以前は普通にホテルに泊まっていたのだけれど、行くたびごとにどんどんサービス水準が落ちてきたのを実感した。最近では、「泊まるのは東横インで十分。いいものを食べたかったらそれなりの店へ」というポリシーになってしまったが、これは旅館・ホテルが営業努力を怠っているせいである。
それはそれとして、山菜専門店である。今年は4月に入っても朝晩冷え込む日が続き、まだ早いかもしれないと心配していたのだけれど、そんなことは全然なくて、春の味覚が満載であった。
中でも私の一押しはこしあぶらである。「山菜の女王」と呼ばれるこしあぶらは、たらのめと同じ低木の新芽で、春のこの時期出てきた直後に収穫しないと、大きくなって(枝分かれして)からでは食べられない。これを天ぷらにすると、たらのめやふきのとうほど「えぐく」なく、なんともいえない苦味と香りを楽しむことができる。
それが、大きなパックに入って500円とか1000円で売っているのだから、本当にたまらない。わらびに至っては、一束200円である。おひたしにすると最高である。他にも、たらのめ、こごみ、ふきのとう、しいたけ、エシャロットなどを仕入れる。新鮮なうちが華なので、あまり保存できないのが難点であり、この時期限定の楽しみである。
山菜を仕入れた後は鬼怒川に戻って、かご岩温泉でアルカリ単純泉に浸かり、日光ゆば「まつたか」で激安ゆばを仕入れるといういつものコース。帰りも北関東道から常磐道経由で帰った結果、きちんと6時過ぎには家に帰ることができ、予定通りの日帰り旅行をほとんど渋滞なく終えることができたのでありました。
まあ、つらい毎日が続いているので、1日くらいご褒美があったということで。楽しい1日でした。
[May 26, 2010]
手前から、わらび、こしあぶら、行者にんにく、山うど、こごみやふきのとうも見えますね。
漁師料理かなや [Jun 12, 2010]
最近、仕事仕事の毎日である。ゴールデンウィークに休日出勤した代休はいつ取れるか見当もつかないし、その間に夏休みの期間になってしまった。
そういえば、いまから30年近く前に就職した当時もこんなだったなあ・・・と思い出す。あの頃、毎日どうやって過ごしていたのかほとんど覚えていない。人生の無駄使いをしているようで、まったくもったいない。
6月は、ラスベガスに遠征する予定を立てていたけれど、結局行けなかった。ホテルのキャンセルは2年連続。米国内の乗継便はキャンセル手続きが間に合わず、マイルを捨てることになってしまった。うまく行かない時はこんなものだとあきらめはするけれども、落ち込んでしまうのはどうしようもない。
それでも、若干の時間はできるようになったので、気分を盛り上げてブログの記事を書いてみる。いまは週に1、2度しか書けない状態だが、こうしているうちに、きっといつか調子が戻ってくるであろう。
先週の土曜日は、久しぶりに外出してみた。あまり遠出はできそうもないので、近場を選んで東京湾である。この時期は梅雨アナゴといって、アナゴが旬である。金谷フェリーターミナルの手前に、「漁師料理かなや」という景色のいいお店がある。そこで、大アナゴの天ぷらをいただこうという趣向である。
東関東自動車道から京葉道、館山道と乗り継ぎ、富津竹岡ICで下りて一般道へ。鬼怒川に行った時と同じくらい高速料金がかかってしまうのが難点だが、時間的にはずっと早く、10時前に到着。本当に海沿いにあるので、車を下りた途端に磯の香りがする。そして、こんなに早い時間なのに、すでに先客がいるのは驚きである。
海の見えるテラス席がまだ空いていた。金谷と久里浜の間を結んでいる東京湾フェリーが行き来するのが見える。注文したのは、地物のお刺身の舟盛りがつく「かなや定食」と、アナゴの天ぷら、それに貝の焼き物セット。お刺身は漁協直送で、あじ、まぐろとかじき、かんぱち。アナゴも一匹まるごと開いて天ぷらにしたもので、豪勢である。
そして、この日驚いたのは貝の焼き物。はまぐりやサザエ、ホタテを焼いたものは食べたことがあるが、この日初めて食べた(というか見た)のは大アサリ。はまぐりより一回り大きな二枚貝で、中にあふれるばかりに身が入っている。味は確かにアサリだけれど、大きさが半端ではない。
さすがに私は身のところをちょっとだけしか食べられなかったが、奥さんが残りを全部食べてくれた。とてもおいしかったということである。
[Jun 12, 2010]
海を臨むテラス席からの展望。向こう岸は久里浜あたり。フェリーもちらっと見える。
かなや定食の舟盛りとアナゴの天ぷら。
この日初めて食べた(というか見た)大アサリ。
来らっせ~宇都宮餃子フードコート [May 1, 2012]
このゴールデンウィークは久々に暦どおりの休みが取れる。こんな当り前の生活が長らくできなかったのは何ということなのだろう。そして連休前半戦は、震災以来初めて鬼怒川周辺に出かけてみた。
鬼怒川周辺に行って、そばや鮎・岩魚を食し、山菜を買って帰ってくるというのは昔から春・秋の定番であったが、大震災と原発事故により昨年は断念した。今年の様子はまた改めて書くとして、今回は宇都宮の餃子フードコートについてである。
年々運転が辛くなってきて、とうとう関東圏内の日帰りすら難しくなってしまい、今回は宇都宮に泊まることにした。ついこの間まで、東北道を青森まで行って函館で泊まったりしていたのに、この加速度的な体力の衰えはどうしたことだろう。
それはともかく、夕飯は餃子である。ホテルでパンフレットを見ていると、いろいろな店の餃子を食べられる場所があるらしい。名前は「来らっせ」。泊まっているのはJR駅の近くで、場所は東武の駅の近くなので2kmくらいあるが、行ってみることにした。
ちょうど二荒山神社の前、ドンキホーテの地下1階にそのお店はあった。あんまり人が入っていかないような様子にもかかわらず、中は夕飯時には時間があるのに結構な込み具合。そして我々が食べている間に満員になって待ち行列ができていたのにはちょっと驚いた。
まずテーブルを確保、5つ入っている餃子店に行ってオーダーを入れおカネを払う。その際テーブル番号を伝えると、焼けたら持ってきてくれるというシステムである。とりあえず、「みんみん」と「めんめん」で焼餃子を2人前ずつ、それに生ビールを注文。
本当の店に行けばラーメンやザーサイ、その他サイドメニューもあるのだろうが、こちらは餃子関連と丼ものが各店1つずつ。奥さんが「おしんこが食べたい」と言っても、それはないのであった。飲み物も基本的に生ビールと地ビール、ソフトドリンクで、紹興酒を飲みたいと言っても置いていない。
ものが餃子なので、おいしいけれどびっくりするほどではない。後から水餃子とめんたいチーズ餃子という変化球を追加してみたが、味としてはほとんど変わらない。餃子だから仕方がないとはいえ、香港・マカオの飲茶と比べるとかなりレベルに差がある。
注文してテーブルに持ってきてくれるというシステムは本場と変わりはないのだから、餃子だってもっとおいしくてもいいし、シュウマイくらい置いてもいいと思う。後ろの席に中国から来たお客さんがいたのだが、おそらく客単価二~三千円という価格とメニューの代わり映えのなさに驚いたに違いない。
「餃子消費量日本一」にこだわりすぎて、ちょっと外したような気がしないではないが、ちゃんと味わうのはそれぞれの店に行ってくれということなのだろう。その意味で、単価を高く回転を上げて、それぞれの有名店のエッセンスのみ味わうことができるという点で、アンテナショップとしては成功しているのかもしれない。
[May 1, 2012]
餃子フードコート「来らっせ」店内。
餃子の街宇都宮には、「餃子像」(”ぎょうこ”と読むのか?)があります。もちろん、大谷石の石像。
森伊蔵の話 [Sep 22, 2014]
さて、来るべき年金生活を控え、サラリーマン生活は残すところあとわずかである。今しかできないことは今やらなければならないと思っているのだが、そういう訳で森伊蔵の抽選に応募してみることにしたのである。
今年度に入ってから仕事関係の飲みが増えていて、焼酎を飲むことが多い。その時ふと思い出したのは、昔クリスマス交換会でGONさんにいただいた森伊蔵はおいしかったなあということであった。ネットで買うと15000円くらいするので、なかなか気軽には買えない。何とかならないかよくよく調べてみると、抽選販売に応募する方法があることが分かった。
方法の一つは森伊蔵の蔵元に直接電話することであるが、これが何回電話しても話し中なのである。あまり根気がある方ではないので、早々にあきらめた。もう一つの方法として、高島屋の抽選に応募する方法があることが分かった。倍率は10~20倍らしい。ポワソン分布によれば、20回応募して0回、1回、2回以上当選の確率がほぼ等しくなる。
サラリーマンの今は、定期券があるのでそれほど出費なく出かけることができる。ところが引退後に日本橋の高島屋に行こうとすると、片道千数百円かかってしまうのである。往復で二千円超、確率どおり20回の応募で1回当たるとすれば、たとえ定価で買えたとしても他に必要経費が4万円かかる計算になる。ネットで買った方が断然お得である。
ならば定期券が使える間に、足しげく高島屋に通うというのが賢い選択であろう。という訳で、先々月から日本橋高島屋に行くことにしたのであった。応募できるのは月の1~10日、中旬に抽選があって当たった人にはハガキが来る。ハガキが来た人は下旬にハガキを持って再度高島屋に行き、晴れて定価で購入することができるのであった。
さっそく月初めに日本橋に行ってみる。和洋酒売り場に行って「森伊蔵の抽選・・・」と言うと、言い終わる前に応募用紙を渡してくれる。おそらく相当数の応募があるのだろう。店の片隅に記入台と用紙を入れる箱がある。「コピー無効」と書いてあるので、手書きで住所氏名電話番号を記入して応募終了である。
これだけだと通勤経路外の地下鉄代しかかからないのだが、何しろ周りには購買意欲を刺激するものばかりである。この日も小倉山荘(高島屋にあった)で詰め合わせを買ってしまった。まさに高島屋の思う壺、いわゆるセット販売と同様の効果になるのであった。
1ヵ所では心細いので、別の高島屋にも行ってしまう。まさに高島屋の思う壺なのだが、なんとこちらの方が一発で当たったのである(みんな行くと困るのでどことは書かない)。 はがきを手に高島屋を再訪すると、「おめでとうございます」と店員さんにお出迎えを受けて、めでたく森伊蔵を定価購入することができた。
結構簡単に当たるじゃんと思ったのだけれど、その後は全く音沙汰がなく、やはり巷間伝えられるとおりの高倍率のようである。せっかく当たった森伊蔵だが、もう一本当ててから開けようとおもっているのでいまだ未開封である。いつまで我慢がきくのだろうか。
[Sep 22, 2014]