大阪新世界    矢場とん&白雪長寿蔵    長岡京小倉山荘    上原屋本店
徳島駅前安兵衛


大阪新世界 [Oct 19, 2005]

注.以下のレポートでは大阪についてやや誇張した表現がありますが、他意はありませんので読み飛ばしていただければ幸いです。

先々週「大阪ポーカーオフ」に出場かたがた、新世界ジャンジャン横丁に串カツを食べに行った。

話はまたまた二十数年前に遡る。当時、東京出身で関西のことなど何も知らない私が大阪の支店に転勤になって、持たされた担当地区は大阪市内の西南部だった。大阪をご存じの方ならお分かりのように、市内の北東部と比較して、西南部はより「大阪」なのである。しかも、ふた昔前のことだから、今考えても冷汗がでるような毎日であった。

だから、たまの休日に新婚の奥さんを連れて外出するといっても、大阪市内ということになると梅田の阪急のあたり(当時、西梅田はまだ再開発されていない)かミナミでもせいぜい道頓堀のあたりまでで、安全確実なところに限定するのが常であった。それと、「ひとりで大阪市内に来るなどということは決してしないように」念押ししていた。

その後しばらくして東京に戻ったのだが、その頃になって奥さんが「大阪は怖いなどと言って行かせてもらえなかったが、あれは「単にいろいろ連れて行くのがいやだったからに違いない。TVでもそんなことは言っていない」と言い出した。

TVと亭主とどっちを信用するのかは問題だが、それほど言うなら連れて行ってやろうと何年か前に夫婦で大阪に来た。そして、御堂筋線を動物園前で下りて、付近を散策しながら通天閣に行ったのである。

植え込みにテントを張って家になさっている方々や、道路に布団を敷いてお寝みになっている方々、がらくたとしか言えない雑貨を売っている露店などを見た奥さんは、せっかくづぼら屋でふぐをご馳走してあげたのにほとんどのどを通らない様子で、ひどくショックを受けて「もう大阪には二度と来ない」と言った(それでも、いまだに亭主よりTVを信用するのは変わらない)。

さて、最近大阪に出張に行ったときに、久しぶりにこのあたりに行ってみた。すると、知事がノックから変わったせいか、びっくりするほどきれいになっている。とりあえず目に付くところに人は寝ていない。ジャンジャン横丁も、道幅に対して人が多すぎるという点は変わらないが、店構えも大層きれいだし若い人も多い。これはまた奥さんを連れてきて、大阪の名誉を回復しなければならない、と思った。

そして、大分渋っていたのだが、先々週再び新世界に行ったのである。通天閣まで来て第一声は「こんなに近かったっけ?」である。ジャンジャン横丁の串カツ屋はほとんどの店が満杯で、本当は「天狗」(東京のチェーン店ではありません)とかに行くのがいいのだろうが、大通りに近い新しい店にちょっと並んで入った。

「キャベツおかわり自由」「ソース二度づけ禁止」の串カツを二人で20本以上、それとどて焼きを2本ずつ、ビール、チューハイ、冷酒と頼んで、お勘定は6000円台だからびっくり(もしかしたら間違い?)。串カツは油のこってり感が全くなく、いくらでも食べられそうな気がした。こうして、大阪を堪能した一夜でありました。

[Oct 19, 2005]

資料映像・通天閣と南側に続く新世界。(出典:関西電力)


矢場とん&白雪長寿蔵 [Apr 1, 2008]

今日はエイプリルフールだけれど、それとは全然関係ない話題。先週出張があって、名古屋・大阪に行ってきた。せっかくなので、ちょっと早く出て名古屋の矢場とんに寄り、帰りがけに白雪長寿蔵に足を伸ばして来たので、今日はその報告を。

矢場とんは名古屋では有名なみそカツ専門店である。2年前にポーカー・イン・名古屋にお伺いした際、終了後にここに向かったのだが残念ながら終わってしまっていた。その時からいつか行きたいと思いつつ名古屋に行くチャンスがなかったのである。

用事は午後なので、早めに出て11時すぎには名古屋駅に着き、エスカ地下街に下り、一番隅っこにある矢場とんに着くと、すでに行列である。私の前に並んでいるグループは、おばさんに「20分待ちね」と言われメニューを渡されている。20分か、時間はあるしまあいいかと思って待っていると、「お一人さまどうぞ」と5分待ちくらいで店に入ることができた。

オーダーしたのはもちろん名物の「わらじとんかつ」である。半分をみそ、半分をソースでお願いする。ちょっと脂身が多い。もっと柔らかい肉を希望する場合には、「ロース」か「ヒレ」にすべきかもしれない。みそもソースもかけてある分だけというのも、東京のとんかつ屋の多くが壷に入ったソースをかけ放題であるのと比べるとちょっと物足りない。

といいながら、ほぼ2人分の量とがあるわらじとんかつをおいしくいただく。後から隣に入ってきた女性の「お一人さま」も、私と同じように携帯で写真を撮っていたので、場所柄東京のお客さんが多いのかもしれない。

矢場とん名物わらじとんかつ。向こう側がみそ、手前がソース。


昼前から大混雑の矢場とんエスカ地下街店。


そして翌日は、帰りの飛行機を遅らせて伊丹にある小西酒造の白雪長寿蔵(しらゆき・ちょうじゅぐら)へ。ここは酒蔵の建物の中に、レストランや直営ショップがある。店に入るとまだディナータイムになっていなかったので、「お食事があまりありませんが、よろしいですか?」と言われるが、「利き酒セットやってますよね?」と聞くと、「飲み物はございます」とのお答え。よしよし、これさえ飲めればいいのだ。

ここのレストランには、日本酒とビールの利き酒セットがある。もちろん注文したのは日本酒の方。切子のグラスに入った、4種類のお酒を味わえる「日本酒紀行」は、いずれも私好みの辛口が、グラスごときりっと冷えて登場する。辛口と一口に言っても、飲み比べると超辛口からフルーティなものまである。

中でも気に入ったのが純米酒「伊丹諸白(いたみ・もろはく)」。純米酒というと得てして甘みが舌に残るのが気になるのだが、このお酒は最初はフルーティで、後味がきりっとしている。あまり気に入ったので、帰りにショップで1本(720ml)買って帰ってしまったのであった。

こんなことばかりしているので、出張へ行くとほとんど赤字である。

[Apr 1, 2008]

利き酒セット「日本酒紀行」。きりっと冷えて出てきます。これで840円はお値打ち。


白雪・長寿蔵エントランス。正面の建物がレストランになっています。


長岡京・小倉山荘 [Sep 12, 2012]

京都に行っておみやげといえば、高校時代の修学旅行以来ワンパターンで八つ橋であった。最近それでは面白くないと思っていたら、奥さんがあいしいあられ屋さんが京都にあるというので、行ってみることにした。長岡京にある小倉山荘というお店である。

京都市西部から向日市、長岡京市を経てサントリー山崎醸造所に至るあたりの地名を「乙訓」という。これでなぜか「おとくに」と読む。万葉の時代から続く古い地名である。意味は弟の国ということなので「弟国」でもよさそうなものだが、あえてこういう字で書くというのはそれだけ古い地名ということになる。

漢字を表意文字として使うようになったのは平安時代以降で、それ以前は中国語として使うときは表意文字として、やまとことばを表すときは表音文字として使ったと考えられている。いわゆる万葉仮名である。万葉集はこの万葉仮名で書かれており、平安時代に和漢かな混じり文ができるまで、中国語としての漢文とやまとことばが併存していたと考えられる。

だから古今和歌集の序文も、仮名序(やまとことば)と真名序(中国語)がある。そういう経緯もあって、この時代に使われた固有名詞は現代ではなぜそう読むか分からないものがある。「乙訓」は地名であり中国語と万葉仮名の両方が残っていたため読み方が分かるけれど、そうでなければもしかすると正確な読みが分からなかったのかもしれない。

この小倉山荘、JR長岡京から20分ほどバスに乗って行く。バス停を下りると辺りは田園地帯で、頭を垂れた稲穂が実る田んぼと住宅地が混在している地域である。道路は開けている南北方向に走り、東西には山が見える。西は嵐山あたりから続く山並みであり、はるか東に見えるのは淀川をはさんで男山あたりだろうか。

このお店、小倉山荘という店名といい、小倉百人一首をモチーフにしていることといい、まるで藤原定家がここで百人一首を選定したかのような演出であるが、定家も藤原一族、実際に住んだのはここよりは御所に近い嵐山だったとされる。ただし千年前のことで著作権もすでに期限切れであり、小倉山荘もそれぞれの和歌も自由な使用が認められているようである。

ともあれ、奥様ご推薦のあられ詰め合わせを購入する。ただし、私自身はせんべい類の堅いものが苦手であり、お饅頭の「名月小倉山」を買った。この商品は通販で買うと小倉あん、白あんの詰め合わせとなるので、好みの小倉あんのまとめ買いをする。ただしこの名月小倉山、賞味期限が4、5日しかないので食べるだけしか買えないのである。

実はここには甘味とかを食べさせてくれる「小倉山荘カフェ」が併設されており、買い物の後はあんみつでも食べたいなと思っていたのだが、おばさま方が大挙して押し寄せており、みんな大声でお話し中なのでとても入れる雰囲気ではなかった。仕方なく外で30分に1本のバスを待ったのでありました。

[Sep 12, 2012]

小倉山荘本店。全国に支店もあり、通販にも力を入れているようです。


栗林公園前 上原屋本店(爆) [Aug 17, 2015]

手打ちうどんの店に閉店間近に行くのが間違いだというのは分かっている。でも、出張で行っている以上一日中時間が自由になる訳ではないし、おなかが空いているかどうかという問題もある。

この頃TVで言うことには、「丸亀製麺」では、いつ行っても打ち立てのうどんが食べられるというし、なんと言っても香川県は「うどん県」と県をあげて宣伝に努めている、まさに地元なのである。

上原屋本店は、高松の名所・栗林公園から通りをはさんで反対側になる。とはいっても、ことでん「栗林公園前」の駅からはちょっと歩く。真夏日の炎天下、暑い盛りである。店をみつけてほっとした。

冷たくしたぶっかけうどんでも食べさせてもらおうと張り切って店に入ると、私の前に入った体育会系の若者6人連れが店の人と話している。この時間は冷やしはできない。かけうどんだけだと言われている。3人前だって楽に食べられそうな彼らが、「じゃあかけの"小"」「おれも"小"で」と言っている。確かにこの暑い中やってきて、熱いうどんの大盛りはつらいものがある。

私の番になった。「小、お願いします」。店の人はだまになったうどんをひと玉、丼に入れた。あとは配膳場の前にあるお湯を使って自分でゆで、回転寿司によくある蛇口からだしを入れ、好みで薬味を足して食べる。値段は250円だから、けっして高くはない。高くはないのだが、わざわざ高松に来て、それも栗林公園まで歩いて来て食べるようなものかと思う。

笊に入れて沸騰しているお湯を通すけれども、だまになったうどんはなかなかほぐれない。ようやくほぐれたところでお湯を切って、蛇口からだしを注ぐ。薬味はたいしたものがない。ネギと七味くらい。生姜もあったが熱いうどんには合いそうもない。削り節とか天かすがあってもよさそうなものだが、見当たらない。

まあ、麺とつゆさえよければ言うことはないので、席について食べてみる。一口食べてみて、麺に腰がないのが分かる。打ってから時間のたった麺を、セルフで茹でさせているからに違いない。だしには味がない。おそらくあごだし系と思うのだが、やはり時間が経つのか香りが飛んでいる上に、醤油や味醂の味が薄くて七味の味しかしない。これでは、スーパーで売っている麺つゆの方がおいしい。

もちろん、閉店間際に来る方が悪いと言われればそのとおりだが、仮にも店を開けている以上、これはなるほど自家製麺と人を納得させるようなうどんを提供すべきだというのは、要求レベルが高すぎるのだろうか。蛇口から出てくるだし汁だって、いまどき珍しくもない。おいしくなければ、人件費節約のためにやっているのかと思われても否定できないだろう。

あるいは、250円で提供しているうどんに、ぜいたく言うんじゃないということかもしれない。でも、そんなことを言ったら、ドラッグストアなら150円で買えるカロリーメイトだって、十分にお昼になる。コンビニのおにぎりなら120円、ジャスコのカップうどんは80円くらいで買える。

率直に言えば、ジャスコの80円うどんの方がおいしかった。WEB情報はこの店をほめ過ぎである。

[Aug 17, 2015]

さぬきうどん・上原屋本店。3時過ぎに行ったのだけれど、お客さんはかなり来ていました。でもね。


徳島駅前安兵衛 [Oct 26, 2015]

BS番組の視聴率は明らかではないが、調査すればおそらくナンバー1ではないかといわれるのがBS-TBSで月曜午後9時からやっている、「吉田類の酒場放浪記」である。

高知出身の詩人・イラストレーター(らしい。正体不明)吉田類が、東京近郊を中心に全国各地の酒場をめぐる長寿番組である。放送のエンディングで吉田類が「じゃ、もう一軒」と言いながら去る後姿に、その酒場をテーマとした俳句が読まれて終わる。現代の山頭火ともいうべきワンショットが名物の番組なのである。

これまで番組で紹介された酒場の一覧は番組HPに載っている。何年か前の年末特番で、四国お遍路をしつつ四国各地の飲み屋を巡るという企画があり、その際に出てきたのが徳島駅「安兵衛」である。ちょうど私もお遍路を回り始めたところなので、先達(せんだつ、お遍路の先輩のこと)に敬意を表して訪問してみた。

店の場所はお遍路界で定評のある「サンルートホテル徳島」のすぐ裏である。

私が入る前にグループの人達が「満席です」と断られていたのでちょっと心配したが、ひとりだったのでカウンター席の端っこに案内された。とりあえず生ビールと焼き鳥を何本かお願いする。「生ビールは大ですか中ですか」と重ねて問われる。この日はお遍路(八番から十一番)でずいぶん歩いたし、サンルートの温泉「びざんの湯」に入って汗もかいたので大をお願いした。

店の間口はそれほど広くなくて、カウンター席の後ろを人が通る。カウンター席の前が調理場で、奥の席はテーブルが横に2つ置かれている。前の人達が断られていたように、奥の席は満席である。間もなく生ビールと付き出しが運ばれてくる。幅が狭いので、フロアの人も立ったまま行ったり来たりで大変そうである。

運動して温泉に入った後のビールはぐいぐい入る。大ジョッキの半分くらいを一気に空けてしまった。注文していた焼き鳥が出てきたけれども、腹が減っているせいか思いのほか小さい。これでは足りないなと思って「煮込みはないですか?」と尋ねると、「煮込みはないけど角煮なら」とのこと、四国では煮込みはそれほどポピュラーではないようだ。

混んでいるので一緒に日本酒もお願いする。店に置いてあったのは東北の地酒だが、銘柄は忘れてしまった。冷酒はないのでそのまま冷やで。お銚子に入って出てくる。東北の酒はキンキンに冷やすとうまいんだけどなー。

角煮は柔らかく味が染みておいしい。それにしても、徳島は近くに明石海峡も瀬戸内海もあるし、どこに行っても地魚が出てくるんだろうと思っていたら、ひとに聞いたところでは魚を出す店はそれほど多い訳ではなく、むしろ焼き鳥の店が多数派なのだそうである。この後、お遍路絡みで何回か徳島に寄ることになりそうなので、いろいろと研究したいところである。

[Oct 26, 2015]

夕やみに店の灯りがまぶしい「安兵衛」店頭。日曜日だったのに夕刻には満員で、グループの人達は残念ながら「満席」でした。


私は一人だったのでカウンターの隅に。煮込みを頼んだら、「煮込みはないけど角煮なら」ということで豚角煮。生ビも日本酒も大分とすすんでいる。


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