新年に考えた  (ポーカーの奥深い世界第34話) [Jan 26, 2007]

最近また通勤電車でポーカーについて考えている。

いつかも書いたことがあるが、私がポーカーをする際に目標としていたのは、人数分の1くらいの勝率は確保したいということであった。ひと月に10~15回のトーナメントに参加しているから年間でおそらく150回前後。昨年1年間に優勝したのは10回で、勝率に直すと15分の1くらい。参加者は平均すると2テーブル前後といったところだから、昨年についていえばほぼ目標を達成したと言っていいだろう。

しかしこれを逆にみると、20人いれば19/20、30人いれば29/30は負ける、ということである。ほとんど負けると言っていいかもしれない。しかし、トーナメントに参加する人たちをつらつら思い浮かべてみると、その確率以上に勝っているのではないかと思しき人たちがいる(KさんとかJさんとかMさんとかLさんとかSさんとか・・・他にも)。その差はどこにあるのだろうか。

もちろんポーカーは楽しみでやることだから勝つことがすべてではない。気分の晴れないときは思い切ってルーズに振舞ってストレスを解消するということだってありだと思う(結構非難を浴びるのだが)。それに自分が上達しても相手も上達すれば全体のレベルと自分のレベルの相対関係は変わらない訳で、つまり長くやっていれば勝率が上がるということにはならない。

結局のところ、今のゲームの進め方に何か問題があるというか、期待値以上の勝率を上げる人たちと自分との間に違いがあるという結論に達する。それは何ですか?と聞いても多分誰も教えてくれないから自分で考えるしかない。そして最近考えるようになったのは、「負ける時には自分から負けに行っているなあ」ということである。

負けに行っているという意味は、わざと負けるようにしているということではない。自分ではチャンスだと思っている、勝ちに行っているにもかかわらず、結果的に見ると崖から飛び降りている、ということである。例えば、私の飛ぶハンドは大抵開いた時点で勝つ確率が50%を超えている。にもかかわらずまくられる。チップがなくなる。ゲーム終了、というケースが非常に多い。

大阪も2度AKで負けたが、トーナメントでオールインになった時偉いのは、開いたカードがいいことではなくリバーまで開いた時に勝っていることである。そして、飛び込んだ時の自分はチップ劣位であることが多い(チップ優位で致命傷ということも、もちろんある)。ということは道中のゲームの進め方に問題がありはしないか?戦闘(オールインハンドの勝負)に持ち込む前に、戦術面で工夫することによって、戦争目的(優勝ないし上位入賞)を達成することはできないか。そんなことを考えながら、金曜日のDUKEに向かった。

DUKEのウィークリートーナメント、ちょっと遅れて入ってファーストハンドを開くとJJである。とるものもとりあえずレイズ。なにしろ、今回考えた作戦は「最初から行く」なのである。

どういうことかというと、自分の戦績を振り返ると、9割以上はショートスタックで戦っている。これにははっきりした原因があって、ブラインドの小さい時にはポットもそれほど大きくならないし、最初から暴れる人が必ずいるから、局面が落ち着くまではハンドを徹底的に絞るという戦い方を選んできたからである。ただ、このやり方だと確かに中盤までは大抵生き残れるのだが、そこからが伸びない。

オールインで勝率のいい手をまくられてしまうのもこのあたりが響いている。つまり、オールインをして生き残ることもあるけれども、これは記憶にあまり残らない。また勝率のよくない手でまくることがないのは、そもそもそういう手で勝負に行くことがないからである。結局負けたときのことだけが記憶に残って、それはオールインでまくられた時なのである。考えてみれば当り前のことである。

だから、こうした状況に追い込まれないためには、「序盤からチップ優位の展開に持ち込む」ことが必要になる。その上で「まくれるようなオールイン」ができる状況を待つ。今回はその戦略を試してみようと思った訳である。そして、いきなりJJ。これは初手から勝負を掛けていくしかない。フロップもレイズ、ターンもベットなのだが、下家のHさんがついてくる。AもKも落ちていない。何でがんばっているんだろう。

リバーでフロップで出ている2の2枚目が出る。ベットしたらレイズされ、泣く泣くコール。なんとハンドはA2。5アウツで付いてこられてしまったのであった。いきなりざっくりとチップを減らし、途中挽回した場面もあったのだが結局予選テーブルで敗退してしまった。セカンドのTTOSも勝負を掛けるにもかかわらずボードとは一致せず、セブンスタッドまで終ったあたりでやはり予選テーブル敗退。ううん、どうもおかしいな。

確かに前半はブラインドも小さいし、みんなついてくるのはやむを得ない。勝負ごとだから勝ったり負けたりするのも仕方がない。しかし私の場合は、負けたり勝たなかったり、いずれにせよ序盤は置いていかれるようなのである。追い込み馬じゃあるまいしそんなことがある訳はない。2戦くらいで結論を出すのは早急だ、と翌日の土曜日は上野へ。

翌土曜日の上野はストラドル・デイ。午後のスト杯ミニの開始時間が繰り上がって1時スタート。ゲームはオマハハイローである。

まだ2時スタートと勘違いしている人が多く、バケーションが結構ある。オマハハイローなので、序盤から参加する。しかし・・・、来ないのである。そりゃあ1度も勝てないということはないのだが、ロー(ポット半分)、負け、負けといった感じで結局チップは減っていく。30分くらい遅れてきた下家のSさんがバケーションしていた自分より少ない私のチップを見て不思議そうにしている。「今日は参加してますから」と言い訳。普段の私はバケーションと大差ないのである。結局このオマハハイローも後方まま、といった感じで予選テーブルで敗退してしまった。

ひと休みして夕方からはスト杯メイン。こちらもスタート時間が5時半に変更されている。参加者は30人を何人か超えていたが3テーブルでスタート。太めの私にはかなりきつかったが幸いお隣の方がバケーションだった。スト杯は新年から若干ストラクチャーが変わって、1ラウンドからノーリミットである。つまり、今回私がやろうとしている「序盤からスパート作戦」には持ってこいである。

5000点持ちでスタートは25-25、2ラウンドが25-50。このあたりは以前はリミットだったのでほんとに序盤戦といった雰囲気だったのだが、今回はノーリミットなので最初からがんがん行く。プリフロでレイズメイク150、ターンでベット300といったように積極的にポットを大きくしていくが、取ったり取られたりである。たまたまこの段階で今年はじめてのAAをはじめAとハイカードが連続して来たこともありちょっとプラス。対面にいるMさんから、「今日はTAIPAさんが積極的だから」と言われてしまう。

そうこうしているうちに、2ペアをセット(スリーカード)でまくられたり、ローカードばかりのボードなのにしっかりストレートを作られたりして、ざっくりチップを減らしてしまった。またしてもショートスタックである。お隣のバケーションはまだ200点くらいしか減っていないのに、こちらはすでに2000点近く減らしている。「私もバケーションにした方が良かったかなあ」と言うと、「増える可能性もあった訳だから」となぐさめられてしまう。「最初から行く作戦」は作戦に入る前に武器(実弾)を失ってしまったようである。

結局いつもと同じサバイバルモード。2500点くらいまで減らしたチップをなんとか原点より上まで挽回したのだが、そのうちにアンティを払ったりブラインドも大きくなったりして飛び込み待ちへ。最後は33でオールインしたらPさんにAJでコールされ、フロップでJが落ちてゲームセット。いつもと同じような負け方。まったく改善されていない。その晩はさらに蔵前に転戦する。

蔵前(コーナーポケット)は9時からベガスカップの2ndトーナメント。これもやや遅れて入ったらBBでハンドが46。コールで回ってタダでフロップが見られた。フロップ422と出たのでベットするとコールされる。さらにターンで、ここもベット。こちらはブラインドハンドだしあちらはコールで入っている。このボードでBBが打って行ったらこわいはずで、2持ちとか35とか読んでくれればいいのだが・・・。

リバーは絵札が出てチェック。こちらは46のツーペアで、あちらのハンドは99。ボードの2のペアが効いて上目のツーペアで負けである。またまた初手でざっくりとチップを減らしてしまう。まあ、この回は4なんぞで打って出たのがかなり横着だし、場にペアがあればツーペアは決して強くないので結局自分が悪いのだが、BBからこのボードで打ってダメというのはなかなかつらいものがある。

結局この回も3テーブル中2テーブルまで残ったところで強制オールインに近い状態に。最後はUTGからJ9でオールイン。案の定かすりもしなかった。

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と、ここまで書いてあと反省文があって「締め」だったのだが、その後水曜日のコナポケでとうとう「最初から行く作戦」が爆発した。

この日のコナポケ、セカンドはノーリミットホールデム。開始1周目にAQsが来た。もちろんレイズで入ったのだが、フロップはローカードのみ。ターンもやはりローカードで歯を食いしばって付いていくだけの状態。しかし、リバーでが落ちて今年初めての「がっぽり建設」である。

その後、かねて用意の「まくりオールイン作戦」。Sさんの66vsKQでのオールインを、フロップでKQともに落ちながらリバーがでセット完成の大まくり。ここから波に乗って、KさんにはATvsAQからTヒットでまくり、kopa兄さんには82vs89からリバーでが落ちてまくり、Mさんには33vs44からターンでまくり、などなど2時間で何ヶ月か分のオールイン逆転劇を連発してしまった。

結局最後息切れしてYさんにヘッズアップで敗れて2位に終ったが、久々に勢いのあるポーカーをすることができた。しかしながらこのとき思ったのは、「キャラじゃないなあ」ということである。勝率の低いオールインをまくっても、ちっとも爽快にはならずかえって申し訳なく思ってしまうのである。おそらく、いつもやられているからその痛みを思い知っているからだろう。

優勝ではないがひとまずやりたいことはできたということで、次回からはまた普段の作戦に戻ろうと思う。でもまあ、たまにはやってみても面白い作戦かもしれない。

[Jan 26, 2007]

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