第3回AJPC大阪予選  (ポーカーの奥深い世界第84話) [May 1, 2009]

早いもので、AJPC全日本ポーカー選手権も今度が3回目となる。AJPCが開催される前は、全国的なポーカーイベントなどというものが本当に行われるのだろうかと思っていた。主催者や開催スタッフの皆様には改めて感謝したい。

さて、今回はいろいろ考えるところがあって大阪予選にエントリーした。東京・大阪の重複が認められた第1回はもちろん大阪も参加したけれど、昨年は東京のみの参加であった。

第1回は関係団体予選(w)を含めて大阪も東京も全くいいところがなかったので、あまりいい思い出がない。第2回はシニアで3位、メインで9位と表彰台にも昇れたので、ある意味今回は他の方にいい思いをしていただきたい。これは正直な気持ちである(本当です。この部分は遠征前に書いていますw)。

そんなこんなで、4月26日になった。羽田から伊丹に飛んで、上本町経由で大阪商大のある小阪へ。昨年から公私とも大阪にはよく来るので、普段どおりの気持ちで会場入りした。お願いしてあった「大阪ポーカーオフ」のユニフォーム(ポロシャツ)を身に着け、いよいよ今年のAJPCのスタートである。

主催者のリゾカジマスター、TDのhatterさん、フロアのちくわさん、ディーラーのtagaman 、ゆみりんときららちゃん(ゆみりんの赤ちゃん)などなど、久々にお会いする方々にご挨拶して、いよいよ出陣。「なんで大阪に出るの?」と驚かれてしまうが、実はそれが楽しみで遠征したりしているのであった。

大阪予選最後の組、予選Cで指定されたテーブルは2番テーブルの5番。キャンセル待ちで出られない方がいたくらいだから、満席の50人。勝ち抜けは6人。スタートは2時半となる。予選Bでは、第一回AJPCチャンピオンの全裸の会会長が大暴れしているようだ。

幸い、同じテーブルに大阪のけんけんさんと岡山のあけみんがいる。勝手知った相手がいるのは心強い。最初の勝負手はBBで99。リバーでが出て最後フルになる。フラ目が出たときにポジションのいいあけみんが打ってきたので、チェックで回してみたのだがさすがに引っかかってはくれなかった。これがファーストポット。

次はけんけんさん。ブラインド対決でJJをスロープレイしたら、フロップが出てポット打たれる。仕方なくカードを見せて下りたら、けんけんさんはAQで当たっていなかった。でもが出るとあちらはストレート完成だったから、この日の展開からみて(ポケットがセットになる確率大)下りて正解だったかもしれない。

序盤で、ちょっと癖のあるプレーヤーがいて、いつかリレイズしてやろうと思っていたら上のけんけんさんに先を越されてポケット66を降りる。オールイン合戦になって開いてみるとAJvsTT。リレイズしたらどちらにも負けているところであった。結果はリバーでけんけんさんがを引いてテーブル・チップリに。




AJPC2009大阪予選。テーブルについているのは予選B組の出場者。2つ目のテーブルに後姿がみえるのが、初代日本チャンピオン・全裸の会会長。


休憩前に早くも2度のオールインとなる。

1回はけんけんさんとの2度目のブラインド対決。A7でフロップA75と出る。大きくベットされたので、セットではなくA+ハイカードと考えてオールイン。もう1回はTTからフロップKJT。ベットしたのに下家にコールされる。そしてターン。A持ちのストレート狙いなら怖くはないが、Jを持っていてもう一枚が出てしまったら目も当てられないので、オールイン。

結果、「下りてくれオールイン」を2回とも下りていただいたのだけれど、両方ともオールインしたらメガネをグラサンから普通のに替えていたら結果がよかったので、験をかついでこの後オールインの度にメガネを替えることにした。結局、10回以上メガネをかけたり外したりすることになったが。

前半戦ではQQスチールから始まってTTと99がそれぞれフルになり、調子は決して悪くはない。その割にはチップは、4000点から5000点くらいを行ったり来たりとそれほど増えてはいない。そうこうしている間に予選Bが終わり、全裸の会会長はじめ6人が決勝進出を決めた。こちらはあと4テーブル、まだ先は長い。

6ラウンドの250-500が終わると、休憩とチップレースになる。この頃から何回かテーブル移動となり、プレイヤーの情報が乏しいのでおとなしくせざるを得ず、チップがじりじりと減ってくる。ただ、1ラウンド20分でだいたい1周だから、残り2テーブルまでなんとかたどり着く。まおすさん流にいうと、「よく遊んだ」というところである。

休憩の20分後には第8ラウンド、いよいよアンティが始まる。ブラインドも600-1200で、レイズしたらほぼ命がけである。同じテーブルに、再びあけみん。点心さんと大阪オフの何人か、そしてゆみりん夫のよしくんがいる。あえてぶつけた訳ではないのだが、ペアとかA絡みのときに知り合いにレイズすることになってしまう。

よしくんとは2回ぶつかり、あちらがショートの時は私が有利なのに負け、こちらがショートの時には不利なのに勝たせてもらった。絶体絶命のオールイン・シチュエーションは2度。UTGでA6のオールインをA2で受けられ、フロップ244でだめかと思ったらターンで逆転、しかしリバーが出て結局チョップ。

その次のBBではほぼオートマチック・オールイン。78のハンドは悪くなかったが、フロップが出て相手はA持ち、いよいよだめかと思っていたらダイヤが4枚落ちて7dに当たり冷や汗の逆転。そうこうしているうちに向こうのテーブルで勝負がつき、いよいよファイナルテーブルまで来てしまった。






大阪ポーカーオフ・ポロシャツの背に燦然と輝く、ポケットエース。

すでに第10ラウンド、アンティ200の1500-3000である。

ここまでのハンドの流れはというと、序盤戦は2度のフルハウスをはじめとしてよかったのだけれど、チップはそれほど増えなかった。中盤戦はハンドが来なくて、何度も命がけの場面に遭遇したが運良く切り抜けた。現時点でチップは7、8000点。1周はもつけれど、次の周はどこかでオールインという状況である。

話は変わるが夜の部の反省会で、「大阪と東京ではどう打ち方が違うのか」というご質問を受けたのだけれど、おそらく最大の違いの一つが、「状況を考えないプレイをするとすごいひんしゅくを買う」ということなのかもしれない(もちろん、店によっても違うだろうが)。いわゆる、プレイヤー同士の暗黙の了解というやつである。

今回の大阪予選の場合、ゲームの目的は6人の中に残ることであって、トップで予選を通過することではない(はずである)。それを前提としてそれぞれ作戦を組み立てているので、トーナメントの序盤や中盤はともかく、終盤になってそうでないプレイをされると読むことができない(もちろん、それが狙いだというのも自由)。

東京か大阪かというよりプレイヤーの経験値という要素もあるのだけれど、大阪だと「ええやん、それぞれ好きにやれば(その分、俺が食わしてもらいます)」となりがちで、東京だと「今日の勝ち負けではなく、そのプレイはよくない」と説教されてしまうことになる、ような気がする。

さて、あと4人で決勝だけれど、チップ量が少ないのでまあ負けるだろうな、とこの時点では思っていた。幸いボタン決めで遠くにBBが行ったため、すぐに飛ぶことはない。ところがアンティだけ払って見ていたら、なんとすぐさま打ち合いが始まったのである。チャンスがあるのかもしれない(みんなでショートスタックを狙う、という暗黙の了解がない)。

ポーカーの勝ち残り確率は、チップ量と運と戦略の関数ではないかと思っている。その時点のチップ量を所与とすると、あとは運と戦略。これが、ある時点では運8:戦略2の割合になり、5:5になり、2:8になる。ファイナルテーブルの最初は運7:戦略3くらいと思っているうちに、どうやら運と戦略が半々くらいにはなってきたような気がした。

派手に動いたのはロン毛のお兄さん。初手からリレイズやオールインの連発で、巻き込まれて一人、二人とゲームオーバーとなる。チップ持ち同士がぶつかった89のオールインでは敗れて大きくチップを減らしたものの、77オールインではリバーでを引いて逆転して生き返る。浮き沈みの激しいプレイである。

こちらはファイナル最初のBBをTTオールインでスチール、ボタンではAJからオールイン対決となり、相手もAJでチョップになった。それでもチップは1万4千点ほどに伸びる。ブラインドとボタン以外はアンティを払って様子見である。そうこうしている間に、もう一人ゲームオーバーとなり、いよいよ「あと1人」になった。

第11ラウンド、アンティ300のブラインド2000-4000、開始から4時間近くが経過した。総チップ量が15万点で平均チップ量が2万点くらいだから、ほとんどの人がきついはずである。そうなると、運2に対して戦略の占める割合は8くらいになるはずで、こうなったら負けられない、というか負けたくない。この日初めて、肩に力が入る。






大阪予選Cのファイナルハンド。ブリフロで78%:22%、フロップで86%:14%、ターンで84%:16%。最後までかなり引かれ目が残りました。

チップリーダーはロン毛のレイザーからチップを奪ったサングラスの人で、すでに5万点以上持っている。定石どおり中位のチップ量の人にブラインドが来ると、オールイン要求の大きなレイズでチップを削る。チップリがレイズしないとロン毛のレイザーがオールインする。彼も一時期のショートスタックから盛り返して安全圏に到達している。

2人がかわるがわるレイズしているうちに、残り全員が厳しい状況となっている。レイザーが私の上家なので、「喜んでフォールド」できるのはいいが、そろそろ勝負しないと動きがつかなくなる。またもやレイザーがオールインしたのでハンドを見ると66。おそらく勝っているはずだが、さてどうするか。

ディーラー隣の位置にいる対面のチップ量は、ほぼ1万2千点。こちらは1万4千点。ブラインドは対面の方が先になるので、いまここで勝負するより対面のチップが減るのを待つべきであろうと判断して、下りた。現時点で勝っているからといって、ボード開いてどうなるかは分からない。

その次の回、ハンドは55。レイザーが下りたので、今度は私がオールイン。BBがチップリだったので観戦している方々はコールするのではないかと予想したらしいけれど、おそらくチップリとしてはあまり無理はしたくないはずで、ある程度以上のハンドがくればともかく、K2とかJ5とか中途半端な手でコーってくることはない、と思っていた。

この55オールイン・スチールを決めて、チップは2万点を超えた。この時点でチップリとレイザーが安全圏、私とよしくんが当面の安全圏、残り3人がショートスタックという状況となる。あと一歩である。ブラインドが回ってきたが無理せず流す。下家はブラインドを「下り・下り」できわどくチップを残す。対面もチップがないので、おそらくこの1周のうちで決まりそうだ。

次のBBはショートスタックのOPPCの方(ゆうさん?)。「石敢當」のカードホルダーで残り2テーブルくらいからずっとチップ長者だった。チップリもレイザーも参加せずに私の番。ハンドを見るとKhKd、本日一番である。

前がレイズしていたらKKでも喜んで下りたと思うけれど、後ろは3人。下家とBBがショートスタック、SBのよしくんは私よりやや多いくらいのチップ量。コールして参加者を増やすのはよろしくないだろう。BBがオールインしてこちらが負けたとしてもまだ1周分以上残るので、ぜひともヘッズアップにしたい。そこでオールインという選択をした。

ここは後から議論になって、コールでないのは分かるがオールインはやり過ぎ。仮によしくんがAAでコールしたら、ショートスタック3人が大喜びになってしまうではないか、ということである。確かにそれは言えることで、ミニマムレイズでよかったのかもしれない(現時点では、そう思う)。

ただ、その時点で思ったのは、腰が引けたレイズをして、AKとかQQで仮にリレイズされたら下りるのか、ということであった。ここでAAを持たれているような運勢だとすれば、ショートスタックが全部生き残っていずれピンチになるに違いない。だとすれば今、KKで勝負をかけた方がましである。しかしここでは、思惑どおり二人とも下りてヘッズアップとなった。

このアクションで、観戦していた方々にはプレミアム・ハンドがみえみえだったそうだが、OPPCの彼もそう考えたようで、長考。ただハンドが5d4dのスーテッド・コネクトだったので、最後はコール。AA、KK相手だとするとかえって勝率のある組み合わせであるし、次のSBでこれ以上のハンドが難しいと考えたのであろう。いよいよ、最終局面である。

フロップQ52、すべてハートが当たっているので、54が勝つには通常5アウツあるが、ハートが出てしまうとフラッシュ完成となるので、4アウツとなる。ターンスペードのA。うわ、アウツが増えてしまった。しかしリバーは再びハート8で、決まり手Kハイフラッシュで私の勝ち、これで決勝進出決定となった。

振り返ってみると今回の大阪予選、AAこそ来なかったものの他のハイペアはすべて来た。一方で、AKは一度も来ないし、AQ、AJもほとんどなかった。短時間でブラインドが上がるストラクチャーの場合、とにかくペアは手がかりになるので、結論としては「運がよかった」ということになる。

もう一つ勝因があるとすれば、最後残り1人になるまで、ほとんど肩に力が入らなかったということがある。中盤でハンドが入らない時間帯があり、ブラインド払って見ているだけという展開が続いたが、きっと普段なら我慢できず動いてしまったに違いない。

これで2年続けての予選突破。決勝は150人参加と、かつて国内で開催された中でも最大のトーナメントとなる。どこまでがんばれるか、楽しみである。

[May 1, 2009]

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